もうあんなんやらね。また書けって言われるから。
聖夜に沈め!
「蓮くん次あのお店行こうか」
「ほい」
「クリスマスのイルミネーションとか飾りつけしてて、どこも綺麗だね」
「姉ちゃんほどじゃないんだけどな」
「お姉ちゃんは光ってないよ?」
「そりゃそうでしょうね! むしろ光ってたら人じゃねぇわ!」
「あ、けどベッドの上だと蓮くんが下だから光って見えるのかな」
「公衆の面前で何てこと言ってんの!? 頼むからそういう話はやめてくれないかな!!」
白金姉弟はただいまショッピングモールに来ております。姉ちゃんはRoseliaのメンバーとクリスマスを過ごすらしいんだけど、今井さんって彼氏いるんじゃなかったっけ。強制連行? あの人ってそんなことされる人だったっけ。あー、湊さんと氷川さんとの三人がかりね。そりゃあ逃げ場ないか。いや、大人しく付いていくというパターンも考えられるか。……にしてもよくカズの奴が容認したな。どういうやり取りがあったのやら。
それはいいとして、夜はRoseliaメンバーでクリスマスパーティするらしい。それで、姉ちゃんはあこと湊さんと飾り付け担当らしいんだけど、どういうのを用意するかは姉ちゃんに一任されてるんだとか。まぁ衣装担当でいっつも神々しい衣装を作ってるから、その人選は正しいな。で、俺は荷物持ちってわけだ。
「蓮くんとのデートも兼ねてるんだよ?」
「心を読まないでってば! それと姉弟で出かけるのはデートと言いません!」
「男女で出かけたらデートだよ? 人類普遍の法則だよ?」
「こんなとこでそんな法則出てくんの!?」
「蓮くんは今日奥沢さんとデートだったよね」
「スルーですか!? ……まぁそうなんだけど、それがどうしたの?」
「蓮くんリードできるの?」
「……」
痛いところを突かれた!!
そうだとも! リードなんてできませんよ!! 付き合い始めてからなんだかんだでデートなんてしてないからな!
部活が大変だったんだよ。1回戦に勝って焼き肉に行ったんだけど、その時に全国取れば最高級の焼き肉店に行けるって話になったんだよ。そりゃあ全員食いついたさ。元々ポテンシャルの高いメンバーだから、本気で練習に取り組んで、試合が終わるまで集中力を切らさなかった。さすがに全国壁は甘くなくて準優勝に終わったんだけどな。
まさか先生達も準優勝するとは思ってなかったらしく、ランクがだいぶ下がったけども焼き肉を奢ってくれた。そして全国が終わったら新人戦だ。新人戦で優勝すれば最高級焼き肉店。今度こそ取るしかない。
燃えに燃えた部員のテンションがオーバーヒート。試合を勝ち進むごとに殺人ショット。ボールが敵の急所にクリティカルヒット。敵は悶絶してフィールドからアウト。そんな優勝の仕方でしたけどなにか?
まぁそれは置いとくして、そんなテンションでいたし、俺達が異常な勝ち進み方をしたから学校のテニスコートも使える時間が増えた。美咲と顔を合わせる機会が必然的に減ったわけで、今の今までデートできてない。勉強しないと点取れないから、テスト前もテスト中も会う余裕がなかった。
「初デートがクリスマスデートなのに、リードできないのはどうかと思うよ」
「仰るとおりですね」
「だからお姉ちゃんで練習したらいいよ。時間には余裕があるし」
「姉ちゃん……」
「昼からでもホテルは使えるからね」
「台無しだよコンチクショー!! 姉ちゃんへの尊敬の念を返せ!!」
練習ってデートの練習じゃないのかよ! しかもヤる練習ってなんだよ! 美咲で童貞卒業したわ! 練習なんていらねぇわ!!
「夜は長いんだよ? 体力の配分間違えたら保たないよ?」
「当日の昼からその練習してたらどのみち保たないよ!」
「けど、奥沢さんからのお姉ちゃんっていう連チャンをした日は頑張ってたよね。お姉ちゃんあんなにガッツかれるとは思ってなかった」
「逆!! ガッツいてたのは姉ちゃんで俺は姉ちゃんに食われてたわ! って、何てこと言わせんの!?」
「あ〜! りんりんとれんれん見つけたー! あこも手伝おって思ったんだけど、手伝ってもいい?」
「うん。……もちろんいいよ。……ありがとう……あこちゃん。蓮くん今日は三人かな」
「買い物手伝ってもらっていいのか? いやー助かるわー! あこの感性があるとカッコイイのに仕上がるからなー!」
姉ちゃん! あんた最後にボソっとなんてこと言ってんの!? まさかまだ中学生で、しかも自分の親友まで巻き込もうとしてなかった!? 親友のあの純粋なキラキラした目を見てよ! どう考えてもあの目をしてる子はそういうことに疎いでしょ!
なんとしても阻止しないといけない! このピュアっピュアな少女を裏切らないためにも! 姉ちゃんのことを笑顔で大親友って言う少女を絶望させないためにも!
「そういえばさっきホテルがどうのって聞こえたんだけど、なんの話?」
「それはね……若い人が、お昼からでも「昼からでもホテルにチェックインできるから荷物置けたりするよなーって話。修学旅行で昼から使えたのがなんでだろうって思ってさ」……そういうことだよ。アリガトウレンクン」
「どういたしまして」
「あーそういうことかー! 言われてみると、たしかにその方が便利だもんね!」
「そうだろー」
「蓮くん、あこちゃんにも情操教育は必要なんだよ?」
「それはあこのお姉ちゃんの巴さんがやってくれるでしょ! あと姉ちゃんのは情操教育じゃなくて実践だからアウトだわ!」
「あこちゃん……実践と座学……どっちの方が好き?」
「え? それはもちろん実践だよ! 実際にやる方が面白いもん!」
「だって……蓮くん」
「噛み合ってるようで噛み合ってないんだよなぁ!……ぶへっ!」
「あ、ミッシェル」
なんでこんなとこにミッシェルがいるんだよ!? 「りんりん!ハロハピがいるよ!」 そういうことか。たしかにハロハピはゲリラライブするからな。どこにいてもおかしくはないか。それよりミッシェルどいてくんねぇかな。首だけ動かしてパンチ避けんのキツイんだわ。
「アンタ。見ない間に節操なしになったみたいだね」
「なってねぇからな!?」
「あたしがどんな思いしてたのかも知らずに、のうのうと!」
「悪いと思ってるし埋め合わせは今日するだろ!? 今日だけじゃくてこれからも! 冬だから大会も全然ねぇしよ!」
キグルミのくせに動き俊敏過ぎだろ!
ちょまま ちょままま ちょっと待ってちょっと! キグルミパンチ容赦ないの! あ、首疲れてきた……もう無理だ。イタ、イタタタダダダ! キグルミパンチめっちゃ重たいなぁ!? それと北沢さん! 「おもしろそーはぐみもやるー!」 じゃありません!
ハロハピの外面良心こと花音さんが慌ててミッシェルを止めてくれた。なんで外面良心かって? この人なんだかんだで誘惑してくるからだよ。この前なんて迷子になってるとこ助けようとしたらなんでかラブホの中にいたからな。この人の迷子って感染するらしい。しかも思考力も落ちるみたいだ。
これが噂のマツバラビリンスか!
音葉のやつもこうなるの? 付き合い方見直そうか、それかカズに丸投げするかだな。
とりあえずその時は速攻で逃げたけど。
で、カオスな時間が終わって美咲とのデート……になったんだけど。
「蓮……電話ぐらいしてくれてもよかったじゃん。こっちからのも出ないし」
「それは悪かったと思ってるよ。本当に……」
「テニス馬鹿だし、そっちの部のモチベーションが上がってたのは横で見てたから分かってた。だけど時間は作ってほしかった」
「うん。……これから作ろうぜ。あのテンションの耐性はついたから、また大会続きの時が来ても、今度は時間作るからさ」
「約束。破らないでよ?」
「もちろん」
絶賛ラブホデート中!
ベッドに寝そべり、俺を見上げている美咲の唇を奪う。空いていた、いや空きすぎた時間を取り返すように、お互いに舌を絡めて求め合う。息が苦しくなったのか叩いて合図してくるも、それを無視する。本気でヤバくなる寸前に離すとお互いの口を繋ぐ橋ができてた。
眼下には息も絶え絶えになり、体を震わせながら大きく呼吸する美咲。その姿が煽情的で俺はまた美咲を求めた。美咲の意識が曖昧になってる時に服を脱がせ全身を味わう。
姉ちゃんの言うとおり時間は長いからな。俺は恋人と
ちなみに場所は花音さんに連行されたラブホ。しかも同室。だってここぐらいしか知らないし。安いし。
カズくんは『お姉ちゃんガチ勢の弟ガチ勢のお姉ちゃんの幼馴染ガチ勢のお姉ちゃん』の今井カズくんです。
音葉くんは『マツバラビリンス』の松原音葉くんです。
「ちょっと名前出していい?」って聞いたらOK貰えたので出てもらいました。ご協力ありがとうございます。