黒歴史なんて
皆さまおはようございます。大変お久しぶりですね。私は元気にやっていましたよ。えぇ、部活動に励みまくってたら彼女にマウント取られてミッシェルパンチを叩き込まれるのも慣れてきました。最近では避けるタイミングをリズミカルにすることで「わちゃ・もちゃ・ぺったん行進曲」ができるようになりました。美咲と付き合う以上ハロハピの曲も知らないといけないですからね。それはともかく、彼女もそれが分かってしまうために、時折それで笑いながら殴ってきます。マウント取って笑顔で殴ってくる彼女って怖いよね。一般的にはだけど。
俺は怖くないけどな!
だって
そんな俺だが、未だに怖いものがいくつかある。例えばガチギレした時の美咲。目が完全にハイライト失うんだもん。片言になるしさ。他には心霊スポット。心霊スポットはわりといける方だけど、心霊スポットの中でも"洞窟"とか"トンネル"とかは無理だね。先輩は公衆電話で家に電話しようと思ったらお金を入れてすぐに向こう側から電話がかかってきたらしいよ。電話に出たら『迎えに行くね』って知らない人の声がしたんだってさ。それだけ言われて電話を切られたんだとか。しかもお金は
「俺を捕まえれるものなら捕まえてみろ! むしろ美少女ならウェルカム! さぁ来い!」
とか叫んで腕を広げてスタンバイしたんだってさ。そしたら何も来なかったって。一緒にいた人は霊が見えてたらしいんだけど、幽霊は近寄ってたらしいんだけど、先輩が叫んだ瞬間にドン引きして成仏したんだとか。先輩は神主にでもなればいい。お祓い頑張れ。
他にも怖いのがあるんだけど、ここ最近急激に怖くなってきた存在がある。怖くなるものって増えるんだね。人生何があるか分からないよ。
「蓮くんどうしたの? 体震えてるよ? 怖い夢でも見たの?」
「怖いのは目の前にいる姉ちゃんだわ!!」
そう。姉が怖いです。
「え……。私蓮くんに何かしちゃった? シちゃったのはだいぶ前のことだと思うけど」
「速攻で下ネタにいかないで!! 頼むから昔の姉ちゃんに戻ってくれ!」
「え!? 蓮くんは処女厨だったの!? ごめんね蓮くん。お姉ちゃんも蓮くんのために頑張りたいけど、処女膜って気軽に治せるものじゃないの」
「違うわい! その思考をしなかった頃に戻って欲しいんじゃい!! それと怖いのは部屋に忍び込めてることなんだよ! 鍵全部改造したんだぞ!? 窓も内側しか開けられないし半分も開かないようにわざわざ変えたんだからな!?」
おかしい。空き巣対策と同じように窓を改造し、小銭一つで開けられるというセキュリティがガバガバなドアも改造したというのに! 暗証番号と鍵とカードの三段階だぞ!? 鍵とカードは俺しか持ってないのになんで姉ちゃんが入ってきてベッドににいるだよ!
「お姉ちゃんもあの鍵は突破できないよ? ゲームだったら攻略できるけど、リアルの方は駄目だった。窓からも入れないし」
「窓から入れたら入ろうとしてるあたり怖いからな! 運動が苦手なくせになんで二階の窓から入り込もうと考えてたの!?」
「愛だよ♡」
「重いわ!」
「重たいのはお姉ちゃんのおっ「それ以上は言わせねぇぞ!!」……ケチ」
ケチじゃねぇわ! いったいいつだ。いったいいつから姉ちゃんはこんなふうになってしまったんだ! 少なくとも俺がネトゲに手を出した頃はこんなんじゃなかった。姉ちゃんと協力プレイして健全にワイワイしてただけのはずなのに。
「蓮くんってゲームと同じシチュエーションとか好きだよね?」
「いきなり何!? いや、まぁ好きだけどさ。たまにテニス部でゲームの再現して校舎を歩き回って遊んでるけど。校長の部屋がボス部屋ね」
「よかった〜。お姉ちゃんもそれを再現してるんだよ?」
「全裸になって俺の腹の上に乗ってるこの状況が!?」
待てまて! いったい全体どういうことなんだよ。「つまりはそういうことさ」……なるほど、分からん。薫さん。今は脳内再生されないでくれ。姉ちゃんと友達になってくれたのは嬉しいけど、この状況で脳内に出てこないでくれ!
──儚い……
脳内でエコーかけるな! てかなんで俺の脳内ツッコミの方が叫びが小さいんだ!!
クソっ! 落ち着くんだ俺。ステイクールだ。ステイクールすればどうにかなるってハッキリしないハーレム系主人公も言ってた。BLに目覚めて相手に英語を教え込んでたらしこんでたあの人も言ってた。ステイクールは万能なんだ!
現状がゲームの再生だと姉ちゃんは言った。つまり、俺が知ってるゲームのどれかにこの状況があったということだ。しかし、姉ちゃんと一緒にするゲームでこんなのはない。なんせ中学生のあこもパーティーメンバーなんだから。
【現状】 "朝" "ベッド" "腹の上" "忍び込み" "全裸"
なるほどなるほど。つまりどういうことだってばよ!!
こんなゲームは無かったはずだ! 全年齢でこんなゲームは! ……全年齢? エロゲならこんなのあってもおかしくはない?
「鍵付きの引き出しに入ってるゲームの中にこんなのあったよね?」
「ガッッッデム!! 姉ちゃん俺のエロゲ勝手にやらないでよ!」
そういうことかよ畜生め!! たしかにエロゲにこんなシチュエーションあったわ! まさかそれを姉ちゃんがやってるなんて思わなかったぞ! しかもなんで鍵開けられるのさ。もう意味分かんないよ。とりあえず俺のエロゲに手を出したことで姉ちゃんは歪んでしまったらしい。つまり俺が撒いた種だった!? いや、それでこうなったのは姉ちゃんだし、俺のせいじゃない。半分は。
「机のやつは構造が簡単だったね。針金でいけたよ?」
「ピッキングだと……!」
もうこの人泥棒でもしてたらいいんじゃないかな。ピッキングなんて遊びでできることじゃないのにさ。
「朝から疲れる……。姉ちゃん、起こしてくれてありがとう。ちゃんとご飯食べるからどいて?」
「え? ご飯にはまだ早いよ?」
「はい?」
近くにある目覚まし時計に目を向ける。時計の針が指す時間は5時40分。たしかに早い。早すぎる。それなら姉ちゃんはなんでわざわざこんな時間に忍び込んできたと言うんだ。あ、いや分かった。そして俺はそんなの許容しない。二度寝するさ。
「なんで寝るの? お姉ちゃんを食べて? ゴムもあるし」
「頭おかしいだろ! 近親相姦なんぞするかアホ!」
「むっ。それなら蓮くんの
「エゲツないことを企むな! シャレにならないやつしか身に覚えがないわ! けど姉ちゃん! あんた今が間違いなく黒歴史だからな!?」
「蓮くん。お姉ちゃんは黒歴史なんて作らないよ? どんな私だろうと私だもん。後で思い返して恥ずかしくなっても、その時の私をお姉ちゃんは否定しない。つまり
──黒歴史なんて大したことない!
「ムダにカッケェな畜生め!!」
なんで言葉がイケメンなんだよ。行動は最低なのにさ! てか、落ち着いて考えたら俺は二度寝をするべきじゃないな。寝てる間に姉ちゃんにヤられるであろうことを考えたら、俺は起きといて時間が来るまでひたすら姉ちゃんから逃げるしかないんだ。
それと最大の疑問を解決させとかないといけない。だって、ドアも窓も姉ちゃんは「
「隠し扉を用意したの。作るのに時間かかっちゃったけど、完成できてよかった〜」
「どこに作った!! 全然それっぽいの見当たらないんだけどな!!」
「分かられたら隠し扉の意味ないもん」
こういうとこだけ無駄にまともな思考するのやめてくれ! ゲームでも姉ちゃんが作った仕掛けを見破れたことないんだからさ! クソッ! 次は壁の改造をしたらいいのか!? 費用がどれだけかかると思ってるんだ……。
俺は