少年は幻想を辿る   作:ゼロニャン

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サブタイトルが無いのは気まぐれです
決まったものは付けてません

誤字脱字あるかもしれませんが……….


1話

 

 

 

 

 

 穏やかな風を感じながら一人木の上で佇む少女がいた

 彼女は心地よい風を受け少し眠そうな様子

 

 

 っと、いけない まだ仕事の途中だった

 

 

 彼女は眠気眼を擦り自分の仕事に専念する

 

 …と

 

 

 麓の森が騒がしく感じた

 野鳥が飛び交う中心を彼女は見る

 

「また人間が侵入してきたのかしら…」

 

 彼女はそういいつつ腰を上げ、その中心へ向かおうとするが、彼女の目に飛び込んだのは

 

 

 

 何もない空から、一人の人間が落ちているという光景だった

 

 

 

「!? ちょっと、あんな高さだと怪我じゃ済まないわ!」

 

 彼女は速度を上げて向かう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 木々を潜り抜け、たどり着いた先は

 

 

 すでに全身葉だらけの男の人間が倒れていた

 

 

 

 遅かったか…?

 

 

 彼女は近付き、意識があるか確認しようとすると…

 

 

 

「………んぅ…」

 

 

 唸る声が聞こえた

 

 

 !? 生きているの!?

 

 

 彼女は近付き、声をかける

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 身体中が痛い…

 

 その痛みでようやく覚醒する

 一体何故こんな事に…?

 

 

 確か、八雲 紫とかいう奴に落とされたんだっけか?

 

 あいつ…俺を殺すつもりかよ……

 

 身体を動かそうにも、あまりの痛みで動けそうにない

 

 俺は唸り声を上げる

 

 その時…

 

「……すか…………うぶですか!?」

 

 

 女性の声が聞こえる

 

 明らかに俺に呼びかけてるな

 

 痛みを我慢して、俺はその声の主に顔を向け、声をかける

 

 

「……あ…、だ…大丈夫……だと思う…」

 

 その声を聞き、ホッとする女性

 

 …というか、コイツ女性というより少女といった方が正しいな

 

 っていうかケモ耳ついてる

 ここどっかのコスプレ会場か?

 

 謎の疑問を抱えつつ、彼女を見つめる

 

 

 

「よかった、気がついたのですね」

 

 彼女は俺の身体を起こして、こう口にした

 

 

「何故貴方は空から降ってきたのかはわかりませんが、ここは妖怪の山

 人間の貴方が無断で入って来ていい場所じゃありませんよ?」

 

 

 よ、妖怪の山ぁ?

 

 いきなりのパワーワードにびっくりするが、俺は彼女の質問に答える

 

 

「お、俺は八雲という女性に落とされてここに来たんだ

 妖怪の山なんて聞いたことがないぞ」

 

 

 

 

 …というか、この説明で納得するのか?

 恐る恐る彼女の顔をみる

 

 

 

「成る程…紫さんならあり得ますね」

 

 

 謎に納得していた

 

「納得してくれるならありがたい

 ここはどこなんだ」

 

「この場所を知らないのに紫さんの名前を知っているという事は…貴方は一体何者なんですか?」

 

 少し彼女の視線が鋭くなる

 不審者を怪しむような目で

 

 弁解するべく、俺は身に起こった事を話す

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…つまり、貴方は外の世界にいた所、紫さんに落とされこの場所で倒れていた

 紫さんとは外の世界でお会いになられて、いきなりスキマに落とされた…で間違いないですね?」

 

「す…スキマかどうかはわからんが、それで大体合ってる」

 

「そう…ですか…何故また人間をこの場所に落としたのでしょうか…?」

 

 ケモ耳彼女は考える

 俺は考えていることを他所に、ずっと気になっていることを話す

 

「な…なぁ、ずっと気になってたんだが、その耳はなんだ?

 犬…じゃなさそうだし、白い狼のコスプレかなんかか?」

 

 この言葉を聞き、こちらを向き少し驚く彼女

 

「よ、よくわかりましたね

 てっきり犬と思われると思ってましたが、まさか白狼が出てくるとは…」

 

「以前やってたゲームでそういう動物出てたし、それなりの知識はある…と自負してる

 不定期に動いてるってことは…ソレ本物か?」

 

「えぇ、もちろんホンモノですよ?

 

 …申し遅れました、私は白狼天狗の哨戒隊長の犬走 椛と言います」

 

「は、白狼天狗?

 …天狗にそんなのいたっけ?…っと、こっちも名前言わないとだな…

 黒野 浩介 ただの一般人…だと思う」

 

「浩介さん、ですね

 先ずは、この世界について簡潔に説明しますね」

 

 

 う、初対面なのに下の名前で呼ぶのか…

 

 っと、慣れない事に戸惑いつつ彼女の説明を聞く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………つまり、この世界は妖怪や神、魑魅魍魎と蔓延っている場所

 俺みたいな人間はそいつらの餌になるらしい…が、それなりのルールがあり秩序は保たれている

 外の世界…言うところの俺が来た世界から来た人物の名称を「外来人」と呼ぶ

 ここ、妖怪の山は…まぁ名前の通りだな

 故に人間はこの地には無断で入ってはいけないルールがある…と解釈していいのか?」

 

 

「………は、はい…そんなところです」

 

 

 

 な、何ですかこの人!

 ほんの3分くらいしか話してないのに内容を事細かく理解している!?

 それに短絡的にしか話していないのに…

 

 こ、この人、案外凄いのかも…

 

 

 

 

「……ん?どした?なんか変な事言ったか?俺」

 

「へ…あ、いや!簡単に説明しただけでよく理解出来たなぁと思って…」

 

「まぁ八雲があんな事するからな、幽霊、死神やらが出てきてもおかしくはないかなぁとは薄々感じてたから」

 

 

 

 出会って僅か5分ぐらいで…

 この人、吸収するのが上手いんですかね…

 

 

 

 

 

「…んで、俺はここに来ちゃいけないんだろ?

 なら俺はこの山から下山するよ」

 

「は、はい

 ……え?下りるんですか?」

 

「いや、だって俺みたい人間は理由もなく来てはいけないだろ?

 それにさっき言ってただろ?哨戒隊長だって

 哨戒と言うことは見張り、監視っていう意味だったはず、その仕事の邪魔をする気は無いししたくもないからな

 だから俺は邪魔にならないように下山する」

 

「で、ですが、貴方の様な人間は一人で行動するべきではありませんよ!

 それに、下山したところで何かアテでもあるんですか?」

 

「人間を追い返す、と言うことは何処かに人が住んでいる場所があるはずだろ?

 

 あくまで俺の持論だが…人間は妖怪を恐れているというなら、村やら里やら人が繁栄している場所があるはずだ…人数で対抗するためにな

 しかしこの山から見渡しても建物の類は見当たらない

 ということはそこまで大きくはない村がある

 それなら物資やら食料の確保はどうなるか?村の中だけで収まるのか?

 自然に考えれば、外から素材を集めてくる考えに至る

 恐らくここに来た人間は大半は俺みたいなバカで、ごく少数は山菜採取やらの人が来ている…はず

 

 ここまでの持論が正しければ、活動している跡があるはずだろ?それを探して村に行くつもりだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この人、本当に人間?

 

 

 

 彼女は少し唖然としていたが、我に帰る

 

「た、確かに人里はありますがここからは少し遠いですし、人間である貴方一人では到底辿り付くことなんて出来ません

 …それに貴方はあの「賢者」によってこの世界に意図的に呼ばれた身

 ここで人里に下すのは腑に落ちません

 

 …私について来て下さい

 天魔様の元へご案内します」

 

「天魔様?」

 

「私たち天狗の長です

 あの方なら御手を貸して下さるはずです」

 

 天魔…聞いたことがないな…

 その人ならなんとかしてくれるか…?

 まぁ、普通考えたら手を貸してくれるかも知れないなら、それに頼るが得策かな

 

 

「…んじゃあお願い出来るか?犬走さん」

 

「えぇ、任せて下さい

 …それでは、逸れないようについて来て下さい」

 

 俺は彼女に促されるように、山を登っていった

 獣道をひたすら登山する

 しかし、比較的歩きやすい道を先導してくれる

 彼女は中々気が利いている、本当に有難い

 

 …八雲とは違って………

 

 あ、さん付けしているのはあくまで俺の気まぐれで深い理由はないです、はい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 到着したのは山の7合目か8合目辺りだろう場所で、中々賑わいのある和の趣溢れる街だった

 目に見える人達を見ると、犬走さんの頭に被っている頭襟を付けてる人やら、緑帽子を被っている人、その他諸々が談笑をしたり団子を食べたり、楽しい雰囲気を醸し出していた

 

 恐らくここにいる人たちは皆、妖怪なのだろう

 

 奥には立派な門が建っている

 恐らく天魔様とかいう人はこの奥にいるのだろうか

 

 

 

「なぁ犬走さん…不躾な質問だとは思うが、天魔様とかいう人って、もしかして鞍馬天狗?」

 

「えぇ、よくご存知ですね」

 と感心そうに

 

「いや、歴史の授業で習ってたし、その辺りの知識はネットやら何やらで…

 確か鞍馬天狗は源義経と何か深い関係があったとか…その辺りは忘れたが」

 

「天魔様は大昔、牛若丸…今で言う源義経に剣術を教えたと言われているんです

 そのため、外界では伝説と謳われているのでしょうね」

 

「大昔って…どんだけ長生きしてるんだよその鞍馬天狗…」

 

「あら?私たちもある程度長生きはしていますよ?少なくとも貴方のおばあちゃんよりもずっと」

 

「……末恐ろしいなぁ」

 

 そうこう言っている内に大きな門の前に到着する

 門の前に立つ大柄な男天狗が俺をみて驚き、高圧的に話す

 

「何故人間がここにいる?

 …ここはお前の様な者が来ていい場所ではないぞ」

 

「彼は賢者殿に呼ばれた人間です

 ……天魔様との謁見を願います」

 

「何?紫殿の…

 

 …わかった くれぐれも粗相のない様に」

 

 男天狗は道を開け扇を仰いだ途端、大きな門が開く

 つくづくこの世界は凄いと実感してしまう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 暗闇の部屋に蝋燭の火明かりが薄々と灯る

 不思議と懐かしい気分になってしまう

 

 まだ17なんだがな…

 

 

 

「…着きました、この奥に天魔様がおられます」

 

「そうか、それじゃあ行くか」

 

 襖に手をかけ開く

 そこには他の天狗よりも巨大な姿の天狗が鎮座していた

 白い髭を伸ばした大天狗だった

 その傍らには年老いた天狗が三人いる

 恐らく相談者か側近なのだろうか

 

「天魔様、こちらは賢者殿に呼ばれた外来人です

 こちらの山に落とされた…との事です」

 

 大天狗は口を開く

 

「…うむ………卿は名を何と申す?」

 

「く、黒野 浩介と申します」

 

「うむ……浩介というか…」

 

 圧倒的な威圧に少したじろいでしまう

 普通に話しているだろうが、その一言一言に強い圧をひしひしと感じる

 

 

 側近であろう老天狗が声を出す

 

「犬走よ、かよう人間を何故追い返さん?

 この山には他の妖怪は愚か、人間は断固入れてはいかんのだぞ?」

 

「最近では山の頂上に守矢とかいう神社の所為でこの山の訪問者も少なくもない

 それに加えその者…人間が我らの長の前に現れるなど、これでは我ら天狗の威厳が丸潰れではないか」

 

「…人間は我ら天狗の格下の生物

 その下等生物に舐められる様な真似をしないで頂きたい」

 

 

 この御三方は否定派か

 しかもボロクソに言ってくるのな

 

 

「…浩介と言ったな

 …卿は何を望む…?」

 

 大天狗もとい天魔は俺に問いを投げる

 

「え…?望みと言っても……」

 

「卿は何故ここに来たのだ…?」

 

「え…は?いや、自分の意思でこの山に来たというわけでは…」

 

 天魔はふっと微笑む

 

「…少々難問だったか…

 …では質問を変えよう

 

 卿はこの世界…幻想郷に何故きたのだ?」

 

 少し空気がピリついた

 

「…賢者殿に呼ばれたとは言え、理由もなくこの山に落とすとは到底思えぬ

 この山での外来人の発見は頂におる東風谷とかいう風祝の巫女しかおらぬからだ

 

 …卿は自分の意思でこの世界にきた…

 …違うか?」

 

 まだ会って3分も満たないのに全てを見据えての発言

 流石天狗の長…と言ったところか

 

 ここは素直にきた理由を述べよう

 変に嘘をつくと返って危険だ…

 

 俺は口を開こうとした

 

 

 

 が、

 

 

 

「彼をここに連れてきたのにはある理由があるからですわ

 

 …一馬殿」

 

 目の前に謎の亀裂が走り、その口が開かれる

 

 中から出てきたのは黒野を落とした張本人の八雲 紫だった

 

 その登場幕に、側近達は戸惑いの声が上がり、天魔は呆れた様な顔をしている

 

 

「…賢者殿、その名はあまり出さないで頂きたいのだが…」

 

「あら、いいじゃありませんか?天魔殿

 昔のよしみじゃありませんか」

 

「他の者がおる中で幼名を言われるのは些か…」

 

 

 

 

「八雲…一応俺に言わなきゃいけない事はあるよな?」

 

 途轍もなく低い声を出す

 

 周りの連中は化け物を見たような顔で俺を見る

 八雲も堪らずこちらに振り返り、「ヒッ」と声を出す

 

 ……俺そんなに怖い顔してたか?

 

「ご…ごめんなさい!そ、そんな顔で睨まないで欲しいなぁ……」

 

「いや…睨んでるつもりは無かったんだが…」

 

 

 

(いや、十分怖い形相で睨みつけてましたよ)

 

 周りの人はそう思う

 

 

「っと、兎に角何故俺をこの山に連れてきたんだ?理由があるんだろ?」

 

 そう切り出すと、八雲はすぐに真剣な表情に切り替わる

 

「えぇ、もちろんよ

 なんの理由もなくこの山に連れてくる事はないわ

 

 ……彼の中にあるモノの為にはこうするしかないのよ

 少々スパルタだけど、こうでもしないと遅かれ早かれ大変な事になるから」

 

「…むぅ、質問の意味が分かり兼ねる

 彼の中にあるモノとは一体…」

 

「それは私にも分からないわ」

 

 その答えに唖然とする天狗達

 が

 

「でもね…それをなんとかしないと幻想郷が

 …この世界が大変な事になってしまうのよ」

 

 

 

 

 自分が置かれている状況がものすごく大変な事だと納得するのに時間がかかってしまう

 

 世界が大変な事に?

 

 俺が?

 

 俺の中にいるあのゾンビがか?

 

 何故?ナゼ?

 

 ワカラナイ

 

 

 

 

 

 

 

 

「賢者殿、結論から言ってもらいたい

 …あの少年をこの山に連れてどうするつもりなのだ?」

 

「簡単な話

 

 彼をこの山で修行をさせて、彼の中に眠るモノに対抗するための力をつける

 

 たったこれだけよ?」

 

 

 

 至ってシンプルな回答だった

 

 俺は八雲に力を表面に出された時の事を思い出した

 身体中が消滅し、代わりに黒い靄がかかる奇怪な現象

 それが世界の危機になるという

 修行してその力に対抗すれば大丈夫だというのか…?

 

 

 …いや、今は本当かどうか悩むより今出来る事を一つずつこなす事

 

 

 それが一番かもな

 

 まだ死にたくはない

 

 

 

 

 

 死ぬなら目的を果たしてから死にたい

 

 

 

 

 

 

 

「…随分と簡潔な回答でしたな

 危険なこの山を選んだのには不可思議な力…と言ったものか、それの力を対抗するため

 …と言った所か」

 

 

「長よ、紫殿の口車に乗ってはいけませぬぞ」

 

「如何なる理由があろうとも、我ら天狗の顔に泥を塗るような事はあってはなりませぬ」

 

「…世界の危機というなら今すぐ其奴を殺めて仕舞えばよかろう」

 

 

「!

  待ってください!流石にそれは言い過ぎかと存じます!」

 

 犬走が相談者達に声を上げる

 

 流石に彼女には迷惑かけられないなぁ…

 

 

「犬走よ、何故こうまでしてその少年を庇おうとするのだ?」

 

「その小童に恋でもしたのか?」

 

「…笑止」

 

「ち、違います!私は、ただ…」

 

 

 

「犬走さん、もういい」

 

 

 俺は天狗達の前に立つ

 

「…確かに勝手に来ておいてここで修行させて下さいというのは礼儀にもなってない

 が、私が人間であるという理由でそこまで差別をするという事には強く憤りを感じています

 

 …貴方方が仰る通り、私はこの山から下りる次第です

 迷惑をかけるつもりは毛頭ございません」

 

 

 はっきりとした口調で天狗達に言い放つ

 

「ダメよ、貴方はここで修行をしなさい

 

 …貴方、死んでしまうかもしれないのよ?」

 

「その時はその時

 あんたも場所選びが悪かったんだ

 ゲームでもあるだろ?いきなり初心者が終盤に出てくるベヒーモスやら何やらの強敵の真っ只中に落とされるか?

 普通スライムやらの雑魚敵がいる中に落として、そこから強くさせるだろ

 

 …俺はここにいる人達と違って空を飛ぶことも、その謎の空間を出す力もない

 

 ……危険な場所での修行は100歩譲って良いとして、差別主義者の奴らと修行?

 巫山戯たこというなよ!」

 

 

 

 言いたい事全て言ってしまった

 言っては行けない差別的発言も

 

 つい感情任せに言っちゃいけないことも言ってしまうんだよなぁ

 

 

 

 

「……悪い、感情的になって」

 

「浩介さん…」

 

 

 

 

 

 

「黒野よ……」

 

 天魔は声を出した

 

「儂は賢者殿には昔世話になってな、この山の長になってからも妖怪を纏め上げてくれたのも…な

 

 賢者殿…

 もし、彼をこの山での移住を許可するというのであれば、我ら天狗にはこれ以上面倒を寄越さないで頂けますかな…?」

 

 

 は?

 

 天魔様という人は何考えてんの?

 

 

「あら?貴方は肯定派なのね?」

 

 

「い、いけませぬぞ!天魔様!」

 

「我ら天狗社会にとっては人間を移住したさせることはタブー同然」

 

「…人間など、100年も経たんうちにすぐ生き果てる

 その少ない時間生きるなら、今死に楽にした方が少年の為…」

 

「黙らぬか」

 

 天魔のドスの効いた声が響いた

 相談者達は身体を震わせ、言葉を無くした

 

 その迫力に犬走と俺も内心ビクつく

 

 

 

 

 

「世界の危機になるというなら我ら天狗にも一概に無関係とは言えぬ

 もし彼奴を殺めた所でその力が暴走でもすればどうする?

 …賢者殿がそこまで恐れられているというのなれば、我ら天狗にも脅威とある力であると考えるのが妥当であろう」

 

 

 

 情報量が多すぎて、少し思考が止まる

 

 

 

「黒野よ…老人の発言をどうか水に流しては貰えぬか?

 …この天狗社会には、人間には排他的な所があってな」

 

「え、えぇ…まぁ差別的発言をした自分にも非があると思いますし…

 …しかし私がここにいて大丈夫なんですか?」

 

「構わぬ、儂が許可するのだ

 …もし儂に刃向かおうというなら、この手で斬るがな…」

 

 

 

 あんたパネェよ天魔様…

 

 

「しかし…そのままでは同胞はおろか、妖怪に変な目を向けられかねぬ…黒野よ、側に」

 

 俺は言われるがまま天魔の側に行く

 

 

 

 すると、天魔は俺の頭に手を翳し始める

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 10秒か?それぐらいの時間が経つと、天魔は手を下ろし、こう告げた

 

 

「……うむ、これで周りからは人間扱いはされぬだろう」

 

 

「? 何をしたんですか?」

 

「卿に少しばかり妖力を流したのだ

 …人間に悪影響を与えんぐらいにな

 これならば卿が人間だと気付かぬはずじゃ」

 

 

 

 妖力………

 

 妖怪の力と書いて妖力だよな…

 

 

 この世界は摩訶不思議だな…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 天魔との謁見を終わらせ、門の外に出る

 出る途中相談者から睨まれたような気がしたが、気付かぬふりをしてスタコラと去る

 

 どうやら俺の住居があるみたいだ

 はなれにある古屋だ

 小さいながらも住居としては十分使えるそうだ

 

 

 

 

「…ごめんなさい、浩介さん…」

 

 犬走が唐突に謝る

 多分俺があの時言った言葉を気にしているんだろう

 

「いや、犬走さんが謝る必要は全く無いよ

 逆に謝らないといけないのは俺だ

 まるで天狗全員に向けて差別してるみたいな発言したし」

 

「浩介さんが言った事はごもっともですよ

 …あと、私の事はさん付けしなくても結構ですよ?あと、下の名前でも」

 

「まぁさん付けしないのはいいけど、上の名前で呼んでるのはあくまで癖だし、直すつもりはないな

 …じゃあ犬走、住居まで案内頼むよ」

 

「はい、お任せください」

 

 俺は犬走と共に新たな住居に向かった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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