少年は幻想を辿る   作:ゼロニャン

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誤字脱字はお許しをm(_ _)m


2話

 

 

 

 

 

 

 連れて来られたのはごくごく普通の小さな古屋だった

 水回り、寝室、生活するには申し分ないだろう

 

 唯一不便なのが、商店から少し遠いぐらいだろう

 

 

 昔ながらの佇まいに少々感慨深くなってしまい、少しフリーズする

 

 

 

「あの…何かお気に召しませんか?」

 

 少し覗き込みながら伺う犬走

 

「いや、そんな事はないよ

 ただ、古風な感じの家に住むのは初めてで…」

 

 

 それもそのはず

 この黒野浩介、IHやオートロックドア、インターホン等現代では当たり前にある環境の中育ったのだ

 

 こういう場所に来たことがあるのは少し前に…

 

 っと、そんな事は置いといて先ずは中に入って掃除やらなんやらするか

 誰も住んでない古屋が野晒になってたら埃やら何やらの宝物庫になってるし

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ある程度綺麗にはした

 犬走も進んで手伝ってくれた

 本当に有難い

 

 

 

「…それにしても、浩介さんって色々物知りなんですね

 私驚きましたよ?」

 

 

「ん?そうか?そんな事は無いとは思うんだが…」

 

 家事やら何やらはネットから色々学んだ

 そこまで驚かれる事はしていないはずだがなぁ…

 

「そんな事ないですよ?

 山を降りるって行った時の事覚えてます?

 その時の洞察力は凄いなぁって思いました」

 

「あぁ、まぁそれはサバゲーをしていたからで…」

 

「さばげー??」

 

 あ、犬走にはサバゲーという言葉は知らないのか

 

 まぁこっちの世界の人もサバゲー知らない人いるからなぁ…

 

「サバゲーっていうのはな、こういう森の中とか荒野とかで擬似的な戦闘をするっていう遊びでな、正式名称はサバイバルゲームってところだな」

 

「擬似的な戦闘…

 それって弾幕ごっこと似たようなものなのですか?」

 

 耳と頭を傾けて聞く犬走

 

 

 

 

 可愛い

 

 

 

 

 

「弾幕ごっこ、それはなんぞ?」

 

「あぁ、そうでしたね

 

 …弾幕ごっこというのは弾幕、スペルカードを使い、闘う決闘の事です

 それらを使い相手を降参させれば勝ちで、決められたスペルカードを全て攻略しても勝ち

 というものです」

 

「すぺるかあど?

 それに弾幕って、銃やらなんやら使うのか?」

 

「そうですね…

 先ずは一つずつ教えますね

 

 先ずはスペルカードです」

 

 そういうと犬走は懐から白いカードを取り出す

 そこには絵柄が書かれていて、タロットカードのようなものだった

 

「これがスペルカードです

 まぁ一つの技みたいなものですね

 

 …因みにこのカードの名前は狗符「レイビーズバイト」と言います」

 

「これがスペルカード…

 それは制限とかあるのか?」

 

「そうですね

 絶対に攻略が出来ない物は禁止されていますし、同じスペルカードはその決闘中一度限りしか使えません」

 

 あぁなるほど

 サバゲーで例えるならこちらは小銃での装備に対して、向こうは重戦車と装甲車で来るみたいなもんか

 その時はトンズラするが

 

 

「…では次に弾幕の説明に入ります

 

 …弾幕は気の弾…と行ったほうがいいんですかね…

 自分のイメージした弾を多く放つ事を弾幕といいます」

 

「イメージした弾?そんなことも出来るのか…」

 

 

 

 頭の中でパッと思いついたのは某野菜の人と人造人間さん

 そして18禁のコアなゲームぐらいか?

 

 しかしよく考える

 

「…まぁ俺はそんな力は出せないから俺には無縁な話だったかもな」

 

 

 そんな気を扱うような力は無い

 ごく普通の一般ピーポーが出来るはずもない

 

 が、

 

「いいえ?貴方にも出来るはずですよ

 

 …というより、少なくとも出来ないとこの先やっていけないですよ

 

 

 

 …この世界は人喰い妖怪やら何やら貴方にとっても危険なものでいっぱいなんです

 その対抗手段がこの弾幕ごっこなんです

 普段の弾幕ごっこでは人を殺してはいけないルールがあって、非殺傷の弾幕を使い物事の勝ち負けを競うものなのですが、全ての妖怪がそのルールを守るとは言い切れません

 弾幕ごっこを覚えるという事は、自己防衛手段を会得すると同じ事なんですよ」

 

 

 

 下手したら命に関わることになんのか…

 

 

「…まぁ自分の身を守る為には是が非でも覚えとけって話だな」

 

「そういう事です

 …さて、それでは早速やってみましょうか

 

 …手の上に小さな気の玉みたいなものを作りましょうか

 良くイメージして下さい…」

 

 言われるがまま手を出してみる

 

 ここは元気を分けてくれた時に出せる玉をイメージしてみるか…

 すると、ものの数秒で掌の上に黒と白が合わさった色の弾幕が出来上がっていた

ってか色モノクロかよ、まぁ好きだからいいけど

 

「おお…!ホントに出来た!」

 

「呑み込みが早いですね、驚きましたよ」

 

 と、笑みを浮かべた犬走

 現実では起こりうることが出来ない事が出来た事になんとも言えない喜びを感じてしまう

 

 

 と同時に多少の恐怖も込み上げてくる

 

 

「んで、これを飛ばしたりすんのか…

 

 こうやって…」

 

 俺は掌の上に出来た弾幕を投げるような形で飛ばしてみる

 

 投げてみたが、どれも狙った的には当たらずポンポンッと消えていく

 

「うーん、難しいなぁ」

 

「たしかにそのやり方だと難しいですね…

 こう掌から出すようにすれば狙いやすいですよ?」

 

 そういうと犬走は的に向けて掌を出し、小さな弾幕を出した

 5.6個撃ち出された弾幕は見事に全て的に命中して、軽い破裂音を出し消えていく

 

「おお…すごいなぁ」

 

「練習すれば出来ますよ

 …さて、掃除も終わったことですし

 表で練習してみましょう」

 

 弾幕ベテラン勢の犬走に教えてくれるなら分かりやすいかもな

 俺は素直に促され、外へと出る

 

 

 

 

 外へ出た瞬間、ある異変に気付く

 

 

 誰かに見られてるような気がする

 

 確信はないが、視線が気になる

 

 

 

 

 ビュっと風が吹いた

 

 

 俺は見上げる

 

 

 そこに翼の生えた少女がいた

 

 

 

 

 

 

 ……白

 

 

 

 

 

 

「最近この山に落ちて来た外来人が可愛い狼に連れられて二人離れの山小屋へと消えていく……」

 

 カメラを持っているということは…写真家か何かか?

 

「その噂を聞いてここに来て見たんですが…

 あやや、椛

 あなた案外大胆だったんですねぇ」

 

 すたっと着地して、犬走を見て微笑みながら話す

 当の本人は、何故か顔を赤らめていた

 

「ち、ちち違いますよ!

 これは仕事ですから、そんな不埒な事は!」

 

 え?何

 話が見えてこないんだが……

 山小屋に案内されただけなのに不埒はないだろ

 

 呆然とする俺に翼の彼女が話しかけて来た

 

 

「ふむふむ…貴方が黒野浩介さんですか

 

 …微量な妖力が備わっていますが、これは天魔様のものですね」

 

「わかるのか?」

 

「私、こう見えて優秀な烏天狗ですから」

 

 

 烏天狗って、あの鳥の鴉からきてるのか?

 いや、それよりも俺の事を知っていていきなり現れて来たわけだし、何かしら用があるんだろう

 

「…で、君は誰なんだ?」

 

「おっと、自己紹介が遅れましたね

 私は射命丸 文

 文々。新聞で御馴染みの清く正しい射命丸です!」

 

 

 

 どう突っ込めばいいんだ?

 

 

 

 

「…黒野 浩介

 それで射命丸、俺に何か用なのか?」

 

「まぁ用という用はないんですがね

 外来人の様子を見にきただけでして」

 

 

 

 

 …あぁ、観察か

 まぁそりゃそうだわな

 

 

 

「…それで、見たところ貴方は弾幕ごっこの練習をしようとしていたと見ました」

 

「…小屋の中でやっていた事なのに何故君が知っているんだ?」

 

「あややぁ、そんな細かい事は気にしない気にしない」

 

 

 うわぁ……ぅっぜぇ……

 

 

「…で、どうです?私が弾幕ごっこの練習相手になりましょうか?」

 

「え?」

 

 

 

 

 一体何故そうなる

 

 

 それに…

 

「練習相手なら犬走がいるんだが…」

 

「彼女は近接特化型でして、この弾幕ごっこでは少々不利な立ち位置なんですよ

 弾幕ごっこを教わるのなら偏った型ではなく、多面性があった型の方がいいんではないですかね?」

 

 すると、犬走はバツが悪そうに

 

「…確かに、私はこの大太刀と盾を用いた弾幕を使います

 遠距離は苦手…です

 

 …悔しいですが浩介さん、ここは文先輩の言う通りにした方がいいですよ」

 

 

 耳、尻尾が垂れ下がる

 そんなにショックなのか

 

 

 

「では、決まりですね」

 

 そう言うと、射命丸は空へ飛んで扇のようなものを構える

 いきなりかよ!?っと若干驚きつつも、いつでもすぐ動けるように態勢をとる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…あれれ?貴方、空飛べないんですか?」

 

 

 弾幕ごっこ云々よりそれ以前の問題だった

 

 皆は当然のように空を飛んだりしているが、俺は一般ピーポーだ

 空を自由に飛べるはずがない

 

 

 唖然としている俺に射命丸は少し困った表情をしてから少しの間フリーズ

 ハッとした表情で手を叩き、何かを思いついた様子

 

 

 

「それじゃあ1分の間に私の弾幕を避け切る事が出来れば貴方の勝ちってことでどうでしょうかね?」

 

 

 あぁ、言うなれば「お前、マトな」的なものか

 

 

「貴方は空を飛ぶことが出来ないと言うことは、ルールに法っての対戦をしたとしてもその時点で私には勝てないことは言わずもがなですよね?」

 

 まぁそうだろうな

 

 っと俺は頷く

 

「ですが、貴方にある程度のハンディキャップがあれば話は別ですよね?

 私の弾幕を避けきる、そして私に一つでも弾幕を当てる事が出来れば貴方の勝ち

 逆に…そうですねぇ、貴方は10回被弾してもセーフとしましょうか

 私の弾幕に11回当たれば貴方の負け…

 どうです?これなら私と戦えますよね?」

 

 

 

 ……悔しいが、正直そのぐらいのハンデがないと勝てないだろうな

 相手は恐らく古参、いやガチ勢プレイヤーなんだろう、ゲームで考えたら

 そんな奴にまともに戦うのは自殺行為としか言えない

 

 

 …ホントは断ろうかと思ったが、何故だか心のどこかでワクワクしている自分がいる

 

 

 弾幕ごっことはどう言うものなのか

 

 サバゲー、FPSと比べたらどんなものなのか

 

 

 

 

 

 …射命丸のご厚意に甘えてそのハンデで戦ってみようか

 まぁ負けても初心者って事でセーフだな!

 

 そう言って乗り切ろう…

 

 

 

「……それとももう少しハンデか必要ですか?」

 

「いや、もうそれでいい

 女性相手にそこまでハンデを貰ったら男として情け無くなりそうだ

 

 …その条件で戦おう」

 

「おお、乗ってくれましたね!

 …では椛、1分測って下さいね?」

 

 小屋の縁側で耳を垂れ下がってる犬走は元気無さげに「はい」と返事を出す

 

 

 

 

 

 そんなにショックだったのか…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…では、準備はいいですかね?」

 

「いつでも良いですよ」

「あぁ、いつでも良いぞ」

 

 空と大地

 両者それぞれ距離を開け、構えを取る

 

 

 

「それでは始めます

 …試合開始ッ!」

 

 椛の号令とともに二人は動いた

 

「初心者ですから手加減しますよ、安心して私に弾幕を撃ってみなさい!」

 

 射命丸は開けた場所で仁王立ちする(空飛びながら)

 

 随分な余裕だなぁ…

 俺は木々に隠れる

 

 

 あまり相手の口車には乗らない事

 と油断させておいて………馬鹿め死ね!

 …というオチが見える

 

 

 

 中々攻撃して来ないことに射命丸は少し呆れる

 

「あやや、臆病ですねぇ…

 では、こちらから行きますよ!」

 

 射命丸は扇を仰ぎ弾幕を放つ

 数はそんなに多くなく、バラバラに放たれる

 恐らくどう動けるかの小手調べだろう

 

 ドン、ドン!っと木にあたり破裂する弾幕を見て、これ当たると死ぬんじゃね?っと思いながら即座に回避行動をとる

 

 

 俺は木を使っての回避行動を取った

 何しろ相手は空から攻撃してくるわけだ

 開けた場所だと格好のマト

 ならばどの場所からでも壁を作れる木さえあれば避けることは可能と踏んだのだ

 

 空から不規則に放たれる弾幕は黒野にはカスリもせず、木や地面にぶつかり破裂する

 

 

 

 

(あやや、地の利は向こうにあるってことですかね…なら)

 

 射命丸は少し弾幕の数を増やし、速度を上げる

 しかしその半数は黒野の方向には向けておらず、明後日の方向へと飛んでいく

 

 

 

 しっちゃかめっちゃか撃ってんのか?と思いつつ俺は危うげもなく回避する

 正直走って避けることができるから案外簡単だった

 

 が、俺は途中で気付く

 

 

 

 

 嵌められた、と

 

 

 

 気付いた時は木々が周りにはなく、開けた場所に来てしまった

 

 明後日の方向に撃っていた弾幕、実は陽動として使われていたようだ

 

 

 

「さぁ!これで逃げ場はありませんよ!」

 

 射命丸はニヤリと笑い弾幕を次々に放っていく

 

 大きな隙間を開けての弾幕だったが、それでも空を飛べない人間からしたらたまったものじゃない

 

 俺は走ったり、スライディングしたりフェイントをかましたりと次々に避けていく

 

 …が、

 

 

 

 バンッ「っ!」

 

 左脚に被弾してしまう

 

 痛いことは痛いが、死ぬほどではないが

 怯み、竦んだ所で背中に被弾

 反動で倒れ込んでしまった

 

 が、咄嗟に右手で地を掴み転がり込んで弾幕を避け、すぐさま起き上がり態勢を立て直す

 

(あや、あの人中々やりますねぇ…手加減していたとは言え、よくあそこまで避けることが出来るとは…面白い)

 一瞬不敵な笑みを浮かべ、射命丸は懐から何かカードを取る

 

「30秒経過!」

 犬走からの伝令が聞こえ、あと半分だと気付く

 

 体感だと、本当に長く感じてしまう

 

 まだ2回くらいしか被弾していない

 この調子で良ければ勝てるんじゃないか?

 

 

 そう思ったのもつかの間、射命丸はカードを掲げて声を出す

「疾風【風神少女】!」

 すると、射命丸はとてつもない速さで動き出した

 

「早ッ!?」

 

 素早く動いた射命丸は空を飛びつつ、彼女の中心から無数の弾幕が飛んでくる

 それは自分に目掛けてではなく、周りに向かって飛ばしていた

 

 これが犬走が言っていたスペルカードか!

 

 時間制限があるよな?確か

 その試合中1回しか使えないって事は

 

 そうこう考えてるうちに俺に向かって無数の弾幕が飛んできた

 

 する事はただ一つ

 

 

 逃げる事

 

 弾幕を撃とうにも撃つ隙がない

 というか、そんなヒマがない

 逃げる事で精一杯なんだよ!

 せめて銃さえあれば…

 

 

 

 

 

 

 転がりつつも走って回避するが、数弾か背中、腕に被弾してしまう

 

 恐らく被弾数は7回、残り時間20秒程だろう

 このままだとまずい 本当にマズイ

 

 

 

 そういえば射命丸はスペルカードを使っていたな…

 俺にも使うことが出来るなら…

 

 しかしカードの類など持っているはずも…

 

 

 

 

 

 

 

 あった

 

 右ポケットの中に

 

 

 

 手を突っ込んだら1枚の白紙のカードが入っていた

 

 俺こんなの入れた覚えないんだが…

 それに白紙だろ?使い方も…

 

 

 ドッ 「うわっ!」

 

「ほらほら!考え事をしている余裕は貴方にあるんですかねぇ!このまま終わらせても良いんですよ?」

 

 弾幕の勢いが激しくなってきた

 

 

 

「ええいままよ!なるようになれ!」

 

 

 

 俺は白紙のカードを掲げた

 

 

 

 

 すると、そのカードに絵と文字が浮かんできた

 

 !!これがスペルカードなのか!

 

 

 すかさず俺は叫ぶように唱えた

 

 

 

 

「盾符【ピクセルガード】ッ!!」

 

 すると俺の周りから1センチほどだろうサイコロのような立方体が無数現れ、幾多も重なり合い半ドーム状の壁が出来上がる

 その壁一つ一つ真っ白な立方体が互いにくっついているようなものだった

 

 

 !?彼はスペルカードを使えるんですか!

 

 いつの間にスペルカードを!?

 

 

 射命丸と犬走は驚きを隠せないが、

 

「…面白い!ならばスペルブレイクするのみ!」

 

 

 射命丸は風神少女を放った状態で俺に向けて激しい弾幕を放つ

 

 盾となった壁は激しい音と共に崩壊していく

 

 

 

 が、

 

「な…何ですかそれは!」

 

 

 

 

 射命丸に向けて幾多の弾幕が襲いかかる

 

 しかし、実際のところ黒野は弾幕を撃ってはおらず、ただただ自分が出した壁に驚き立ち竦んでいるだけ

 

 

 

 ーーーーーーーーーー

 

 盾符【ピクセルガード】

 それは1cm×1cmの立方体を出し、盾のように使うスペルカード

 

 一つだけでは盾の機能としては全く使えないが、数百、数千と数を増やして重ねていくと立派な壁になる

 

 その一つ一つの立方体が破壊されてしまうと、破壊された周りに向かって複数の弾幕を放つという言わばカウンターのようなものなのだ

 

 射命丸が撃った多量の弾幕の数々が壁にぶつかり、相殺され立方体………もといブロックから数量の弾幕を放ち射命丸に襲う

 

 これだけでは一般的なカウンターと同じなのだが、問題はその量だ

 

 ピクセルガードのガードを成り立たせるためには多量のブロックが必要になる

 厚さ、大きさが無ければただの遊撃ボムとしか使えないが、ちゃんとした厚み等があれば弾幕を凌ぐ立派な壁となる

 

 先程黒野が出したブロックの数量は…

 

 

 8000程

 

 

 

 ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 咄嗟に回避を取ろうとするが…

 

 ブゥン… 「!?しまった!」

 

 

 射命丸のスペルカードの効果が切れた

 それにより射命丸の先程のスピードが嘘みたいに無くなる

 

 だが、弾幕ごっこガチ勢の射命丸は扇で弾幕を放ち、相殺

 次々と向かってくる弾幕を避けて………

 

 

 こちらに向かってくる!?

 

 

 

(油断したわ……!だったら接近戦ならどうかしら?)

 

 半ば興奮気味の射命丸はこちらに向かって弾幕を放ちつつ向かってくる弾幕を相殺、回避する

 

 対する俺は使い慣れないピクセルガードを何とか維持させて、考えを練る

 だが…

 壁の周りは射命丸の弾幕により完全に退路は封じられてしまい完全に絶対絶命だった

 

 

 射命丸の弾幕はより激しさを増し、遂にピクセルガードの壁の一部に穴を開けてしまった

 

 ここまでか……ッ

 

(この勝負…貰ったわ!)

 

 射命丸の弾幕が壁をくぐり抜け…

 

 

 

「そこまで!!」

 

 

 犬走の声が聞こえた

 なんだ?まだ被弾してないぞ?

 と同時にドゴンッと頭に見事命中

 

 

 

 え…酷くね……?

 

 

 

 そのまま俺は意識を手放した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 私は声が聞こえたと同時に弾幕の撃ち方をやめた

 …が、一発浩介さんの頭に当ててしまったようだ

 

 小屋の方から椛が走ってくる

 

「そ、そこまでそこまで!時間切れです!」

 

「…え?椛、今何と言いました? じ、時間切れ?」

 

「そうです!黒野さんの被弾数は8回しか当たっていません

 これにより、勝者は浩介さんです!」

 

 

 し…信じられない

 弾幕初心者に負けるだなんて…

 

 でも…彼、私の弾幕を初めてな割によく躱していたし、何よりスペルカードの難易度が高かったわ

 

 

 八雲紫…

 彼女、面白いのを連れて来ましたね…

 

 

 

 

 

 ひと時考え事をした後…

 

 

 

「ハンデがあったとは言え、私の負けですねぇ

 彼、案外弾幕ごっこに向いてるかもしれませんよ?弾幕こそ撃ちませんでしたが

 

 …じゃあ椛、彼を頼みましたよ?」

 

 そう言い、私は里の方へと向かっていく

 取材はまた今度にしよう

 

 後ろの方から椛が何か言ってるが、気にしない気にしない!

 

 

 

 


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