少年は幻想を辿る   作:ゼロニャン

4 / 4
3話

 

 

 

 

 またあの夢だ

 

 

 ツノが生えたゾンビが追いかけてくる夢だ

 

 俺は相変わらず全力で逃げている

 

 

 夢の中だから捕まっても大丈夫だろうと考える暇もない

 本能か何かは知らんが俺にはわかる

 

 

 アイツに捕まってはいけない

 捕まったらが最期

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何もなく、暗い場所を闇雲に走り、喉が枯れ、血の味すらする程無我夢中で逃げるが、それでもアイツは勢いを増し、挙動不審な動きをしながらヒタヒタッと追いかけてくる

 

 

 や……やば……

 

 

 

 このままだとまた捕まる

 

 

 

 ……また?? 

 

 

 そういえば、捕まったと思ったら目が覚めていたよな……

 その後の内容がよくわからんのだが……

 

 

 俺、捕まった後、どうなった? 

 

 

 

 

 ガッ

 

 

 何かに躓いたのか、俺は盛大に転ける

 体力もなく、体制を立て直すことが出来ず、ただ息を整えることしかできない

 

「ぜぇ……ハァ……ハァ…………くっ……そ……」

 

 

 

 

 

 夢の中でも十分シンドい

 

「くっそ……俺……何に躓い……」

 

 ふと俺は躓いた先を見る

 

 

 

 

 

 子供だ

 

 

 

 

 幼稚園児ぐらいか? 

 その子供が倒れている

 

 

 

 ……は? 

 

 

 俺、まさか子供を蹴飛ばしたのか……? 

 

 そう思っていたが、その子供の後ろを見てその予想が吹き飛んだ

 

 

 

 同じぐらいの子供、更に赤子が山のように積み重なって倒れていた

 

 

「う、あああ!?」

 

 思わず腰が抜けてしまった

 倒れてる子供達は恐らく死体

 

 目が半開きになり白目を剥き出しにしている子供達

 その状況が正気じゃなかった

 

 

 

 

 頼む!! 

 

 これが夢なら早く醒めてくれ!! 

 

 

 

 ガッ

 

 

 

 肩を掴まれた

 

 

 背後に誰かいる

 

 

 

 

 俺は恐怖で振り返ることも立ち上がる事も出来ない

 今起きてる状況にアタマが追いつかない

 

 

 すると、背後のナニモノかが掠れ声で

 

 

 

 

 

「……ウラやマ……しいナァ……」

 

 

 

 

 

 う……羨ましい?? 

 

 それってどういう……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………ん」

 

 目を開けると古びた木材の天井

 

 そして後から来る頭痛

 少し頭を押させつつ起き上がる

 

 どうやらあの夢から解放されたようだ

 

 

 

 夢でも恐ろしかったなぁ……

 

 少しボーッとしていると縁側から足音が聞こえてくる

 犬走か

 

 

「……あ、目が覚めましたか!」

 

 犬走はタトタトと小走りしてきた

 

 

「……ん〜、俺、どの位まで寝てた?」

 

「1時間程ですね」

 

 

 結構時間経ってたなぁ……

 

 

「……そして、勝負の結果ですが、被弾数8回で1分間逃げ切った浩介さんの勝ちです」

 

 

 おぉ……危ねぇ所だったなぁ

 

 ただ…………

 

 

「……全然弾幕撃てなかったからなぁ……なんか勝った感全然ないわ……」

 

「でも、初めてスペルカード出したじゃないですか

 それだけでも大きいと思いますよ!」

 

 っと、犬走は慰めてくれる

 優しいなぁ……

 

 

 だけど……なんか悔しい

 

 俺は立ち上がって歩いて行く

 

 

「浩介さん? どこへ行くんですか?」

 

「弾幕の練習でもするよ

 流石に自衛出来るぐらい上達せんとなぁ……」

 

 俺はヘラヘラと笑って縁側に揃えられてる靴を履き、開けた場所に行く

 

 後ろから犬走も来ている

 まぁ見られても特になんともないが……

 

 気が散る

 

 そんくらいかぁ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「イメージが大事……か」

 そう呟いて、俺は手を前に突き出して少し大きめの弾を沢山出して見た

 

 

 イメージでは、その大きめの弾が弾けると中から小さな弾を広範囲に飛ばすというものを考えていたが、そこまで甘くはなかった

 

 その大きめの弾は炸裂音を出して、小爆発を起こしたぐらいだった

 

 

「……かぁ〜、そんなに上手く行かんか」

 

 そう言いつつ俺はまた構えを取る

 

 次は袋の中にBB弾が入ってるようにイメージしてみて、撃ってみる

 

 が、

 

 

 

「弾道遅くね?」

 

 ふわふわと風に揺れて飛んでいき、先程より大きめの爆発を起こす

 

 

 

 

 

 

 

「う〜ん、やっぱりいきなりイメージだけで凄い技みたいなのは無理かぁ……」

 

「直ぐに出来るのなら苦労はしませんよ

 私だって2月かけてやっと弾幕をマスターしたんですから」

 

 と、犬走が茶菓子の差し入れを持って来る

 

 

「一先ず休憩しましょう

 時間ならありますから、少しづつ頑張っていきましょうね」

 

「ああ、ありがと」

 

 俺は茶の入った茶碗を持つ

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっっっっっっっつぁっ!!!!!」

 

 

 

 

 自慢ではないが、俺は極度の猫舌だ

 

 治したい…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 犬走は哨戒天狗としての仕事を果たすためその場を後にした

 心配そうな目でこちらを見つつ名残惜しそうに去って行った

 

 

 俺そんなに頼りないかな? 

 

 

 

 

 …………頼りないかぁ……

 

 

 

 俺は一息ついた後、再び立ち上がり構えを取る

 

 

 今度は基本をマスターしよう

 

 

 そう思い通常弾幕の練習を開始する

 

 

 

 

 

 そういえば射命丸……と言ってたっけ? あの人

 あの人移動しながら広範囲に撃ちまくってたっけ? 

 

 俺も射命丸みたいに鮮やかに弾幕撃ってみてえなー

 

 

 

 まぁ人の良し悪しあるから長所があればガンガン伸ばすっていう形にしようかな……

 

 

 

 俺は射命丸がバラバラにかつ、対象に当てるように小さな弾幕を撃ってみる

 

「……ふっ!!」

 

 

 的には当たっていないが、数は少なくとも20ぐらいは出せてるはず

 

 後はこの動作を何度も行い、命中精度、数の増加を目指そう

 

 俺は時々走り込みを行いつつ、適当に置いた的の数々を狙い弾幕を撃ち続けた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 20分後……

 

 

 

 

 

 

「ぜぇ…………はぁ……ハァ…………クッソしんどい……」

 

 

 確かに数も増えた

 恐らく一発で20から50は撃てた

 

 それに何度か的にも命中させる事も出来た

 

 

 ただ、途轍もなく疲労が溜まる

 例えるならば全速力で1km走り、休みなく始めの場所までまた全速力で走った後みたいなものか

 

 正直、1時間は行けると思ってたんだが、15分ぐらい? だろうか、次第に弾道が弱くなり数も減って言ってしまい

 終いには単発でしか撃てなくなってしまった

 

 

 

 

 

 

 

「あ゛〜、今なら飯4合楽勝で食えそうだわ……

 ……腹減ったあァ…………」

 

 

 ここに来て口にしたのは犬走が持って来てくれた茶と菓子

 

 そういや今日学校で昼飯食ってから飯食ってなかったなぁ……

 

 太陽を見て恐らく18時前か? 

 まだ明るく、夕方の17時前と思ってしまう

 まぁ、ただいま絶賛夏真っ盛りだからなぁ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 よし……

 

 俺は重い身体を起こした

 

 

 

「さっきの里に行こ……飯食わなやってられんわ……マジで」

 

 ヨロヨロになりつつ、俺は里へと向かった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 先程の里に到着ッ

 

 腹が減っていたのか、食べ物の匂いやら看板やらが目に付いてしまう

 

 

(団子もいいなぁ)

 

 

 

 しかし、懐事情が気になる

 

 

 

 

 ここ来る時、サイフ持って来たっけ? 

 

 小さい折り畳むやつなら…………

 

 ケツポケットにあった

 

 

 

 さて……中身の方は……オープンザ……

 

 プライスッッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 8000円

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まぁそんなもんか……

 というか

 

 

 

 

 

 

 

「ここってこの通貨、使えんのか? …………」

 

 

 

 試しに近くの団子屋に聞いてみた

 

 

 

 

「スミませェ〜ん……このお金使えますかね?」

 

 と、店主のおばちゃんに千円札を見せて聞いてみた

 

 

「あぁ、もちろん使えるよ

 ……コレを聴くって事はアンタ外来人かい? 

 妖力があるから全く気付かなかったよ」

 

 

 

 あ、だから道中あんまり怪しまれなかったのか

 天魔様様だなぁ……

 

 

 まぁ怪しまれん用に真実8割嘘2割程度で話すか

 

 

「そうなんですよ、ちょっと特殊な方でして……

 ……それより実は今途轍もなく空腹真っ盛りでして、予算3000円ぐらいで何か食べれる所ないですかね? 

 ……あ、三色団子2つ頂きます」

 

 そういい一本70円程の団子を貰う

 安いなおい

 

「あら、どうも

 ……そうねぇ、外から来たならわかると思うけど、だいたい物価は外よりかは安いと思うわ

 だから比較的1000円でもお腹いっぱいになれるんじゃないかしら? 

 

 オススメはねぇ……向こうの大きな屋敷の道を突き当たりに……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 団子屋のおばちゃんに教えてもらった道を団子を頬張りながら向かう

 少し妖力があるからだろうか、そこらの妖怪であろう人たちは俺の事をあまり気にはしていない

 

 

 しかし、烏天狗……と呼ばれるものだったっけ? 

 その一部は俺をみては不審そうにみて、仲間と小声で話をしている

 まぁ烏天狗のテッペンに少し優遇されてる感じだからかなぁ……

 まぁそんな事を考えても拉致あかねぇな

 

 俺はさっさと飯が食いたいんだ

 

 俺は残りの団子を全てぐわしぐわしと口に放り込み、小走りで向かう事にした

 

 

 

 

 

 

 

 

 着いた先は御飯処とシンプルに書かれた料亭だった

 比較的大きな店だが、和風感は否めない

 というか、出てくる店ほぼ全てが和風で、洋風の店はほぼないに等しい

 

 まぁ美味い飯さえ食えれば俺は満足だ

 

 そうして俺は暖簾をめくり中に入る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結論から言うと

 

 

 

 

 

「クッソ美味えなおい!」

 

 お吸い物はおろか、白飯ですら桁違いに美味い

 大自然溢れているからだろうか、都会にはない美味しさがあり、正直どこの高級料理店よりも絶品だった

 

 それに結構食っても約2000円内で収まるくらいなので安いにも程がある

 

 

「やべぇ、いい所見つけてしまった……

 距離はまあまあ有るけど、来ようと思ったら来れるしな

 

 

 ……もう少し食ってくか」

 

 俺はまた注文を取ろうとした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ……あの人まだ食う気か?」

「もう5度目だぞ!? 細い癖にどんだけ食うんだよ!」

「ガッハッハ! いい食いっぷりじゃないか! 気に入ったぞあの坊主!!」

 

 スタッフルームからであろう場所から人の話し声が聞こえる

 

 

「ちょっと店長! 感心してる場合じゃないっすよ! 

 この調子だと僕ら他の人の料理間に合わないっすよ!」

 

 とヒョロヒョロオカッパが慌て

 

「馬鹿言うんじゃあねぇよタァコ! 

 お客様は神様だぞ! それにあんなに嬉しそうに食ってるときた

 こりゃあ作った甲斐があったってもんだろうが! 

 ハッハッハ!」

 

 と巨人強面がすっげえ万遍の笑みで豪快に笑い

 

「作ったのは店長じゃなくて俺らなんだがな……

 でもまぁ……悪くはねぇな」

 

 とそっぽ向き呆れつつも微笑む見た目が完璧ヤクザの従業員達

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「てんちょー! 鮎天御膳と日替わり定食追加です! 

 ……またあの人からです」

 

 真面目な感じの髪型素敵カットの青年は伝票を書きつつ店長の元へ

 

「っしゃあ! そんじゃ不甲斐ないお前らに代わってワシが作ってやるとするか! 

 こんなものワシの手にかかれば4分足らずの「て、てんちょー……」早わ……って、なんだよ! せっかく人が喋ってんのに話遮ってんじゃ……」

 

「な、なんかやばそうなんすけど……」

 

「こりゃ一騒ぎ起きそうだなァ」

 

 3人組の下っ端従業員が張り詰めた用に有る場所を見る

 

「ぁあ? どした、そんなに真剣に見て……!」

 

 

 

 

 店長は見た

 

 

 

 

 注文を取った客が3人の烏天狗に絡まれている所を

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……で、君たち何のようなんですかね……」

 

 俺はからんできたチンピラよろしく3人組の天狗を相手にしていた

 

 注文終えて店主が戻った瞬間こいつらが外から来て俺の周りに来たと言う

 

 言っとくけど、俺何もしとらんよ?? 

 

 

「とぼけんじゃねぇよ

 ……てめえ天魔様のトコにいた人間だろ」

 

「……あれ? 俺の事人間だって何でわかんの?」

 

「とぼけても無駄だよ、僕らはこう見えて位は上の方にいるからね

 他のお馬鹿な奴らよりも鼻が利くんだよ」

 

「……天狗だけに?」

 

「上手い! ……て、そうじゃなくてぇ……」

 

 

 一人は目つき悪いツンツン短髪

 一人は少し長髪眼鏡のいけ好かない奴

 もう一人は……髪型には疎いからどう言う髪型だ? 

 長髪で頭に団子作ってる可愛らしい女の人

 

 どして個性的なチンピラが俺に絡んでくんのかなぁ……

 

 

「……で、結局なに? アンタらには何もしとらんでしょう

 迷惑かけてもないんだし、ここは見なかったって事で終わりにしようよ」

 

「巫山戯んな、所詮人間如きが天魔様に一目置かれてるぐらいで調子にのりやがって……

 許可が下りてたら速攻ぶっ殺してたんだぜ?」

 

「篝ィ、そんなに熱く何なくてもいいじゃん

 たかが人間如きにそんなにムキにならなくてもぉ」

 

「そーそー、俺如きにムキになっても疲れるだけなの

 って事で、見なかった事で」

 

「無理に決まってるでしょ……君知ってるよね

 天狗達は排他的なイキモノでね、それも僕ら以下のクズ達にはとても厳しく……

 だから人間である君が僕らの縄張りで好き勝手されると虫唾が走るんだよ」

 

 

 まぁ自宅に勝手に上がり込み、好き勝手されると誰でもムカつくよな……それは分かる……

 

 ただ……

 

 

 

「……それは申し訳ないと思う

 ただ、これは八雲……ここでいう賢者殿が決めた事なんだ

 それも俺が抗議をしても引かないぐらいの

 さらに言うなら天魔様が承諾して下さったんだ

 ……俺にはどうする事も出来んよ」

 

 俺は箸を置き溜息をつく

 

「俺だって本当だったらこの差別主義者ばかりの山を抜けたいさ、すぐに

 なんだったらみんなで仲良く天魔様に相談しにいくか? 

 八雲も呼んで」

 

 と、少し挑発じみた提案をする

 

「その必要はねぇよ

 てめえさえ黙っていりゃあよ」

 

 好戦的だなぁ、この篝『カガリ』っていうやつ

 

 

 

「おい、てめえ等……」

 

 

 ドスの聞いた声が聞こえた

 

 その声の主はスタッフルームであろう暖簾の前にいた

 中々でけえ身体つきの強面のおっさんがメンチ効かせてキレてきた

 

 

 

「ここはメシを食う所だ、ケンカなら他所でやりな

 ……わかってんのか?」

 

 

 

 

 は……迫力が凄え……

 

 思わず震えあがりそうになる

 

 

 

「あ…………アハハ、す、すみませんおじさん……」

 

「……公共の場でお見苦しい所をお見せしてしまいすみません」

 

「……悪かったよ……」

 

 天狗トリオもここは素直に謝る

 どうやらこの強面、中々怖い人のようだ

 

 ……というか、この強面も妖怪なのか? 

 

 

 まぁ妖怪か、

 

 

 

 

「全く……身分が高えてめえ等がこんな事してたらお前等の下なもんに示しがつかねぇだろ?」

 

「しかし、彼は人間です

 彼を野放しにする事こそ、私達にとって舐められたも同然」

 

「そーですよおじさん、理由はどうであれこのお兄さんを叩き出さないとアタシ達、夜も眠れませんよぅ」

 

「だがそこのアンちゃんは俺のお客様だ

 それをわかった上で言ってんのか?」

 

 

 更に威圧が飛ぶ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………はぁ」

 

 

 

 声を出したのは……俺だった

 

 

 立ち上がり……

 

 

 

「わかりましたよ……ここには迷惑かけたくないし……

 表でお話ししましょうよ」

 

「……てめえ」

 

「おじさん、ごちそうさん。釣りはいらないから」

 

 

 そういい2000円を出す

 

 

「……はぁ、まあいい

 だが、まだ注文した料理がのこってんだろ?」

 

「それは何かの容器に入れといてくれると助かります

 今夜の晩飯として頂くんで」

 

「……ハッハッハ! コイツァ気に入った! 

 じゃあ残りの飯、作ってくるか!」

 

 そういい強面は暖簾の中へと消えていった

 

 

 

 

 

 

 

「……さ、いくぞー天狗三兄弟」

 

 

「な……さんきょー……!!」

 

「…………はぁ……」

 

 俺とトリオは店を後にする事に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………アンちゃん……くたばんじゃねぇぞ

 おめえにはまだ注文残ってんだからよう」

 

 手洗い気付等済ませ、強面店長は野菜を切る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………さ、話の続きしようや」

 

 

 俺はある程度店から離れた場所にきた

 

 

 

「いい度胸してんじゃねぇか

 ヤンのか俺と、あ?」

 

「俺は平和主義者なの、あんた等脳筋共とは違って俺は話で解決したいの

 お分かり?」

 

「聞く気は毛頭ありませんがねぇ……」

 

「ならどうすんの? 俺をボコボコにすんの?? 

 それも弾幕も全然打てなくて戦いのトーシロの弱っちい俺を

 格上の天狗様が弱い者いじめするのは品性を疑うんですけどねぇ……」

 

「て、てめえ!!」

 

 篝が頭真っ赤にして突っ掛かってきた

 

 

 

 

 

「やめなよ、篝ィ」

 

 それを止めたのは団子女だ

 

「……花梨、どういうつもりだ?」

 

「だって、このままコイツ殴るとコイツの思う壺じゃん」

 

「……はぁ?」

 

「…………成る程」

 

 

 

 あ、これもしかしてバレた? 

 

 

 

「君ィ……ワザと殴られてアタシ達ハメようとしてたでしょ」

 

 

 

 

 

 

 この女、中々キレるな

 

「怒りに身を任せてコイツに暴力を払えば、僕らは天魔様の命に背く事になる

 それに賢者殿が一目を置かれている以上コイツが傷付けば、僕らはただじゃ済まないだろう」

 

 

 

 

「……脳筋だけかと思ってたけど、頭のキレる奴がいたとはなぁ……」

 

 

 こりゃお手上げかも

 

 

 ここで問題起こしておいてくれたらもうコイツ等とは関わり合う事もないし、陰湿な事も無くなる

 

 ……が、バレてしまった以上問題にならないぐらいの嫌がらせ行為が来るだろうなぁ……

 俺、そういうのマジで嫌いなんだよね……

 

 

 

「……なら傷が付かない程度ならいいんだろ? 

 これから下っ端共にてめえの周りにつかせててめえを玩具みてえにこきつかってやるとか、色々考えは浮かぶからなあ!」

 

「えー、陰湿な嫌がらせすんの? 天狗なのに??」

 

「けっ、もう挑発には乗んねぇよ

 これからはお前をいかにして潰すかの問題だ」

 

「まぁ……悪くないですね、これで僕らの目覚めが良くなれば一石二鳥ですし……」

 

 

 

 うわあ…………最悪

 

 なに? その初っ端の死刑宣告

 精神病んで勝手に死ねと? 

 

 俺、何だかここでやっていけそうにないんだけど……

 八雲はこういうの、予想してなかったのか? 

 

 ……いや、アイツ妖怪だし、人間の事なんて知ったことかって感じか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何をしているんですか? 貴方達」

 

 不意に声が聞こえた

 

 聞き覚えのある声だ

 

 

 

 それは空からだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 …………白

 

 

 

 

 

「あ……文様!」

 

「ちっ、このタイミングで……」

 

「…………」

 

 

 射命丸 文は、ゆっくりと地に降り

 

「はぁ……天狗ともあろう者が情けない……

 たかが人間一匹にムキにならなくてもいいじゃないですか」

 

 ウザい顔をしてトリオに放つ

 

 

「け……けど文様ァ、コイツは

「口出しは無用……ですよ??」

 !」

 

 

 彼女から何やらとてつもないオーラみないなものを感じる

 それを感じたトリオは震える

 

 これが妖力というものなのか……多分

 

「…………しかし……このままでは貴方達は納得しないでしょうね

 陰でコソコソとされても此方からすれば見るに耐えないモノなので……

 

 

 そうですね、ここは一つ勝負といきませんか?」

 

 

 

 

「……は? 勝負?」

 

 

 俺は気の抜けた声を出す

 

 対して射命丸は楽しそうにこう続けた

 

 

「えぇ浩介さん、貴方はこのおバカトリオのどちらか一人と弾幕勝負してもらいます

 この幻想郷は、弾幕ごっこで全てが決まると言っても過言ではない世界ですからね!」

 

 

 

 

 ま……マジでかあ……

 

 

 

「……文殿、この雑魚と勝負をしろと言うんですか?」

 

「ええ、そう言いましたが……なにか?」

 

「文様……俺達を舐めてんですか?」

 

「いいえ? ただ、今の状況では浩介さんには勝ち目がゼロに等しいでしょう

 

 ですので! 今から一週間浩介さんには弾幕の修行をしてもらいます

 そして一週間後、貴方方と決闘という形で……どうです?」

 

 

 あぁ……成る程、確かにそれなら公平性もあるしいいかも知れんが……俺……弾幕まだまだよ?? 

 

 

「文殿……ソイツはそこまでの人間なのですか? 

 妖力も私達とは桁違いに弱いですし、そして何より今日この幻想郷にきた者なのですよ? 

 そんな勝負を……」

 

「おや? 彼はこう見えても私に勝ったんですよ? 

 まぁハンデ諸々つけた状態で制限時間逃げ回っての勝負ですが、彼

 中々筋がありますよ?」

 

 

「な……!」

 

「なんですとー!?」

 

 トリオは驚きを隠せない様子

 

 そこまですごいのか……? 

 俺がした事……

 

 

 

 というより……

 

 

 

「射命丸……あまりハードル上げないでくれないか? 

 そろそろ胃が痛くなる」

 

「あやや、本当のことなのに……

 と、それよりこの勝負……引き受けてくれますか? 

 あ、浩介さん、貴方は拒否権ありませんよ? 貴方の問題なんですから」

 

 

 

「……いいだろう、この勝負受けてやりますよ」

 

 篝はそういうと、少し下がりこう続ける

 

「相手はこの俺だ……文句ないですね?」

 

「ええ、では篝さんと浩介さん、貴方達は一週間後、演習場に来てくださいね

 あ! 浩介さんは、その時私が案内しますから」

 

 そういうと射命丸は途轍も無い速さで飛び去った

 

 

 

「…………て事だ、それまで首洗っとけよ?」

 

 そういうと篝達は飛び立とうとする

 

「あ、そういやお前等の名前なんだよ、篝と……かりん? だっけ、それしか聞いてねぇから、そこのメガネの名前知らないんだけど」

 

 

「メガネ……ですか

 そう呼ばれるのは心底ムカつくので、名乗っておきましょうか

 僕は霞 隼」

 

 ハヤブサか、無駄にカッコいい名前だなあオイ

 

「アタシは桔梗 花梨 よろしくぅ浩介君」

 

「……四ノ宮 篝」

 

「俺は黒野 浩介、人間って言うんじゃなくてちゃんと名前でいってくれよ?」

 

 そう言うと俺はさっきの食事処に戻る

 それと同時にトリオも空へと飛んでいった

 

 

 

 

 

 面倒だけど、俺の中のナニカへの対抗策だと思って割り切るとするか

 どうせ天狗と人間問題も避けては通れない道だろうし

 

 

 

 

 

 

 




失踪はしませんよ?
自己満足かつ気まぐれで書いてるので遅くても気にしないでね
あと、日本語がなってない所があったとしても直す気は更々ないので、そこは何とか雰囲気で(笑

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。