念能力者の英雄譚   作:煽りイカ

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第10話

 キラークイーンが天使化してから数日後。

 

「それじゃいってくる」

「行ってらっしゃいお館様」

「ポータルアックス」

 

 さて今日は一人で遠征である。

 行き先はメルロマルクだ。

 

 この前キラークイーンでひとっ走りしてポータルを取っておいた。

 多分よくここに来る事になるだろうし。

 一応尚文に支援をしておこうと思う。

 俺の手には金貨が数十枚握られている。

 

 そして俺はとある建物に入った。

 

「おっいらっしゃい!」

 

 武器屋の親父の店である。

 スキンヘッズとその傷跡が特徴だ。

 

「お客さん何をさがしてんのか?」

「武器屋の親父さんの店ってここであってる?」

「ああ、あってるぜ」

 

 一応確認を。

 ちなみにまだ四聖はまだ召喚していないそうだ。

 そして俺は武器をハルバートに変える。

 

「少し頼みがあるんだけどさー」

「いきなりなんだよ兄ちゃん!?」

「俺斧の勇者なんだけどさー」

「勇者!? 話聞くから武器を降ろしてくれ!」

 

 うん? 普通の頼みかたってどうするんだっけ? 

 前の世界でよくわからなくなってきた。

 

「それで、兄ちゃんの頼みって?」

「盾の勇者がこの国に召喚されるって言ったら?」

「…………それマジか兄ちゃん」

「マジだ。宗教がらみでな」

「そう言えば女王は外交で他の国に居るって聞いたな」

「ああNo.2が好き勝手やるビションが見えるだろ。第一王女も」

「確かに…………ありえるな」

 

 …………本当に話の分かる親父さんだ。

 尚文が懇意にする気持ちが理解できる。

 

「それで迫害されると思うから助けたいんだ」

「でもよ、ありえる話だが本当にそうなんのか?」

「可能性が高いだけだ。この国の宗教と王族を知ってれば分かると思うし、信じる信じないはそっちに任せる」

「…………」

 

 この時間帯が槍直しでは無いことを祈る。

 

「…………わかった信じる」

「あれ? 信じるの?」

「長年接客してればわかるさ。で…………兄ちゃんは何かやるのか?」

「うん。盾の勇者に味方だよ」

 

 前の世界で尚文のノウハウでかなり儲けたのだ。

 いやぁ不労所得って最高。

 

「はい金貨三十枚。盾の勇者の防具や仲間の武器をこの金から引いて安くしてやってくれ」

「はいはいわかったよ」

「ビッチ王女と一緒に来たらその金から引かなくてもいいから。売った防具の登録番号とか記録しておいて、証拠になるから」

「…………証拠とか用心深いな兄ちゃん」

「叡知の賢王がいるし」

 

 お義父さんの冤罪をスムーズに晴らすためですぞ。

 今赤豚を爆破しに行った方がいいですかな? 

 

「ちなみに金を猫ババしたら」シャキン

「わかったわかった、降ろしてくれ!」

「たまに見に来るからな、すぐ分かるぞ」

 

 まあ性格は良さそうだし大丈夫だろうね。

 

「俺ゼルトブルから来ているんだけど、ここの武器も負けず劣らずだね」

「お、そうかい? 嬉しいねぇ」

 

 俺は親父さんとしばらく話をして店を後にした。

 そしてとある建物が目に止まる。

 

 …………取り敢えずやっておくか。

 

「隠蔽斧」

 

 俺は対象に近づく。

 そして、

 

「トマホークボマーX! ポータルアックス」

 

 ドッカァァァァァァァン

 

 

 

 

 □ □ □

 

 

 

 

「お土産を買うのを忘れていたな」

 

 ゼルトブルに帰還し、ようやく帰って来た。

 今日は午後から念の修行だ。

 シルフィにも教えており、キラークイーンにも教えるつもりだ。

 

「皆ただいま」

「父様ただいま~」

 

 黒髪のツインテイルの中学生程の女の子が抱き着いてきた。

 うん、癒し。

 

「父様、私も撫でて~」

「よしよし」

 

 わしわしと頭を撫でる。

 メルロマルクで破壊活動してきたから俺は機嫌が良い。

 

「ハジメ様! 大変です!」

「ローナか、どうした? この子誰?」

「ヤトちゃんですよ!? 知らないのに撫でてたんですか!?」

 

 はへ? 

 夜刀が? 人間状態になるの? 

 グリフィンも人間フォームになってたし、普通なのか? 

 

「お前夜刀なの?」

「うん、ヤトだよ?」

 

 なんだろうこの生物は。

 前の世界でも面白い生き物見てきたんだけど…………。

 

「ところでハジメ様は何故メルロマルクへ?」

「三勇教の教会を爆破してきたよ。いやぁスッキリ」

 

 ローナに上腕を強く掴まれる。

 ……顔怖いぞ。

 

「下手したら戦争だとわかってます?」

「…………あ」

「父様苛めちゃだめー」

「だめー」

「苛めてませんよ!?」

 

 後でわかった事だが戦争は起きなかった。

 盾教の仕業とかそんな話も無かった。

 

 

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

「それでシルフィの服どうしようか」

 

 大人になったのできつくなってきた。

 変えようと思って洋裁屋にやってきた。

 

「シルフィはどんな服がいい?」

「うーん拙者は動きやすいのがいいですね」

 

 やっぱ忍者服っぽくしとこう。

 弟子が忍者だから親近感あるし落ち着く。

 

 キラークイーンとヤトちゃんの服も作っておこう。

 

 オーダーしてまた後日来る事になった。

 

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 

 

 それで当日。

 

「いいんですか? 相当高い生地ですが」

「そのかわりしっかり働けよ」

 

 緑の半纏にに黒のアンダーシャツとホットパンツ。

 破れても問題ないように再生機能付きだ。

 

「父様ありがとー」

「ハジメありがとー」

 

 ヤトちゃんは白い和服に水色のスカート。

 キラークイーンは黒を中心としたドレス。

 

 俺とローナがデザインを担当した。

 

「そろそろ波だからちゃんと整えなくちゃな」

「あと5、6日でしたっけ?」

 

 もう1週間を切っている。

 明日にはゼルトブルの商人達から呼ばれ、波の対策会議を行う予定だ。

 薬とか結構売れているらしい。

 強い傭兵もわんさか集まっているそうだ。

 

 まあ波の尖兵でSランクの冒険者を殺しているからその分俺は頑張るけどね。

 

「昼飯食ったら修行な」


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