はあ? レイ=アースログってイカれた錬金術師だろ。
多分波で俺がいないのがチャンスだと思ってたのかね?
「それで……」
話を聞くとこうだ。
波で俺達が転移した後、乗り込んで制圧したらしい。
流石に手薄だった。油断した。
それでゼルトブルの商会館をジャックし、俺をパーティーに誘うと見せかけ、ぶっ殺すとか。
数人だが人質に取られたらしい。
人質を取られているので斧の勇者に黙っていようか意見が割れたらしい。強いからなんとかするだろうと。
黙認派の権力が強く、黙っている事となった。
俺の予想だとその派閥は商売仇を減らしたいのか、それともレイ派の商人と言うことも考えられる。
つーか制圧した時点で内部犯がいる可能性が高い。
多分俺の情報を転生者に流した人間も居そうだ。
だが波に立ち向かったり、知らずに人助けしたお陰で容認出来ない奴等がおり、この影が知らせに来たって事だ。
なお、この影に嘘発見能力を使用したが反応は無かったし、敵ではない。
ふぅ、やってくれるじゃあないか。
「ゼルトブルをナメてるんですかね……」
「拙者もそう思います」
闇が深い国だからな喧嘩売らない方がいいけどさ。
放っておいてた方が崩れそうだ。
だか、
「プッ……アッハッハッハッハッ!」
「? 何か企んだんですか?」
「いやぁ~この世界に来てもハントするんだってな」
ここまでコケにされたし、人質が可哀想だから見せてやるよ。
一ツ星テロリストハンターの攻城戦をな。
◆ ◆ ◆
ゼルトブル商館内。
「おい、ハヘヤ。首尾はどうなっている?」
「はい順調です。斧の勇者の命は時間の問題かと」
「やっと勇者の武器が手に入れますねレイ様」
「楽しみだな」
レイ=アースログら20人が占拠していた。
人質は5人。全員見張り付きで牢に閉じ込めている。
「デビルフィールドの準備は出来ているか?」
「はい、問題なく」
数人がとある物を設置した。
武器を奪う罠である。
「ナズラ、応答を。ナズラ?」
「どうかしたのか?」
「ナズラから応答が来ません」
「通信機が故障か? いや、そんなヘマは俺はしない」
通信機を全員が持っている。
全部レイが作った魔道具である。
「ミリナ、アリノ、サーシャからも応答がありません」
「なっ牢番全員が!? おかしい。誰か見に行ってくれ」
「はい」
5人程出ていく。
しかし、数分後。
「レイ様! あの5人の応答がありません!」
「はあ!? クソッタレ俺がいく!」
大急ぎで走る。
そして牢に行くと、
「なっ!? 人質がいないだと!!」
もぬけの殻である。
鍵は掛かったままであるが。
「クソッどうなってやがる!」
そして元居た場所に戻ると、
「あ、あれ。みんな何処へ…………」
罠のチェックをしていた人間8人が消える。
いつの間にか回りにいた2人も。
計画を実行するので位置につく。時間が無い。
斧の勇者が来るまで後、
「よぉ~お前がレイ=アースログか、初めましてだな。斧の勇者のハジメ=ヤマカワだ。歓迎する人間は少ないようだが…………何かあったか?」
0分である。
ハジメがニヤリと笑う。
◆ ◆ ◆
「なっ貴様俺の女に何をしやがった!」
「さあ? サボって寝てるんじゃないか?」
俺が眠らせて違う場所にいる。
ちなみに皆生きている。
「くっ」
「さてどうする?」
「…………フッ。久しぶりに会うがあんまり変わって無いな」
「はあ?」
あれ? 初対面の筈だけど?
「お前花川田中の山川だろ? 校舎裏で30万程借りたよな」
「…………お前、樋口礼次郎だな」
「当たりだ」
「ハジメ様? 知り合いですか?」
「学校のな」
まさか、コイツとまた会うとはな。
樋口礼次郎。小中高で学校が一緒だった。
金持ちの癖に俺につっかかり、金を奪ったり、有ること無いこと言って俺を苦しめてくれたクズ野郎だ。
コイツも転生してたのかよ…………。
ナメクジにでも転生してればいいのに。
「まさかまたお前から奪うんだし因果だな」
「何でこの世界にいるんだ?」
「教えてやるよ。90歳で大往生したら女神様が出てきてな。才能を持たして転生させてくれたんだよ。秘密を喋ったら頭が破裂するらしいがそんな呪いなんて普通に解除できたわ」
「へー」
カスだから選ばれたって事だな。
なるほど。タクトでも出来なかったみたいだし才能があるようだ。
「だけどお前も転生したんだな。まあ俺が殺したんだけど!」
「………………は?」
はい? どういう事?
…………考えてみればこいつが今までの事を謝罪したいからBBQしよう、って夜いきなり電話が来たんだ。
呼び出された場所に来たけど誰もいなかったし、そこで記憶が途切れている。
「実は俺、酒飲んで無免許で運転した上に人跳ねて殺しちゃってさ。それでお前を呼び出して後ろから襲った。次に携帯を抜き取ってのLINEに酒飲んで人を跳ねた事を遺書として打った」
レイ、いや樋口が楽しそうにお喋りする。
「そして眠っているお前の口に漏斗である程度酒を飲まして海に捨てたよ。浮かんで来なかったな」
「……」
「それでお前が無免許で飲酒運転して殺人したと言う事実が出来上がりだ。お前の家族は最後まで信じていなかったが」
嘘だろ……確かに師匠に相談したら何かに巻き込まれてる可能性があると言っていたような…………。
ふざけんなよコイツ……人に罪を被せてなんで楽しそうに話すんだ?
「お前がニュースで出てきた皆で笑ったぜ。知り合いから有名人が出たってな」
「…………それで母さんと春菜は?」
家族は、家族はどうなったんだ?
最後とか言ってたし最後を知っているのか。
「ああ母親は被害者家族に刺されて死んだよ。被害者家族は精神鑑定で無罪になったけどな。妹の方は呼び出して犯そうと思ったんだか真実を話したら掴みかかってきたから殴ったけど、倒れた頭の場所に釘があって即死だ。山奥に死体は埋めたけどなアッハッハッハ」
カースシリーズ
──の斧の条件が解放されました。
──の斧の条件が解放されました。
斧からドス黒い感触を感じる。
「コイツ……何様ですか」
「お舘様、コイツ殺していいですか?」
「敵だねハジメー!」
「父様の家族の仇!」
「あーあ知らないって損だな。発動! デビルフィールド!!」
地面が光る。しまったこれ罠か?
ん? 斧のアイコンと武器がきえていく?!
なっ! 奴隷のアイコンも消えるだと!?
「バァァァァァァァァカ! 全部手の平の上の事なんだよ!」
樋口礼次郎を見てみると斧を持っている。
しまった。武器を取られた。
「さてと女性達に聞くが脅されているんだろ? 大丈夫。君らを解放してあげるよ」
「ふざけるな! このクズが!」
「キモいんですよバカが!」
「バーカ!」
「キモーイ」
本当に気持ち悪い男だ。
めちゃくちゃ言われとる。
「あのなー。武器取られてるんだぞ? あんな力が出るのって武器の力だろ。ハジメ君のバカは一般人の力しか無いんだよ?」
「そんな事で裏切るわけ無いじゃないですか! 裏切った時点で末代まで恥ですよ!!」
「拙者達を見くびり過ぎでごさる!」
「…………ダメだな、洗脳されているらしい」
樋口礼次郎は斧をカイザーファルコンアックスに変える。
「ハジメ様、逃げてください。時間を稼ぎます」
「お館様と会えて本当に良かったでござる」
「はぁ~残念だかデビルフィールドは結界も兼ねている。脱出不可能だ!」
…………お前達は何言ってるの?
でも良い仲間を持ったって感じでちょっぴり嬉しい。
「本当に可哀想だなハジメちゃん。また奪われるなんて。まっ、これが社会の縮図ってやつだから悲しいよねー」
「…………言いたい事はそれだけか?」
「あ? 生意気だな。死ね! 風王裂空斬!」