念能力者の英雄譚   作:煽りイカ

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第13話

 ゼルトブルの刑務所。

 

「よぉカス」

「この卑怯者ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 ご覧の通り普通に返り討ちにした。

 武器を奪われたのだが、ステータス1割以下しかダウンしなかったし、特に問題なかったので徒手にてバカをボッコボコにした。

 デビルフィールドだったけ? 装置を壊してたら簡単に結界を脱出できたぞ。

 

 いるんだよね~力を持ったから調子に乗って自爆する奴。

 

「クソッ! 何故斧を取り返せる!? お前も神様からチートを貰ったのか?」

 

 ちなみに斧を取り返したのは能力である。

 あまり切り札を使いたくない物だ。まあ死人にネタばらししても問題ないけどね♠️

 

「ふざけんな! 俺の斧を返せぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

「俺から奪っておいてその言いぐさってなんなの?」

「はぁ!? 盗人が調子に乗るんじゃねえ!!」

 

 そっくりそのまま返してやる。

 俺の家族を殺した時点で楽に殺してやるものか。

 

 苦しめる上に、得するような一石二鳥のアイデアがあるのだ。

 我ながら鬼だと自負できるぜ。

 

「おまえさ、他人に人殺しの罪を着せておいて自分は悪くないとか思ってんのか?」

「ハッ、クズのお前を殺して何故罪悪感があるんだ? 弱い奴が悪いんだ。自分自身を呪うんだな」

「ほぉ…………」

 

 これは面白い。

 自分はこの世界で人殺しをしていないから死刑にならないとでも思ってんのか? 

 甘えよカス。

 

「取り敢えず、今の状態を見ようか。どうなってる? 俺にボコボコにされて拘束されているんだよね? 勇者の武器を奪われた一般人にさ」

「テメェが汚ない真似したんだろうが!」

「立てこもりした上に俺を騙し討ちにして殺そうとするのは汚なくないのか? まあ影に伝わってたし話にならないけどさ」

「知るか! 俺の斧を返せ!」

 

 やっぱり波の尖兵は話し合いができないな。

 本当にクソ女神の人選は最高だとしか思えない。

 

「まあ裁きは楽しみにしていろ」

「地獄に堕ちろ!!」

 

 俺は刑務所を後にした。

 さーて、一仕事しますか。

 

 

 

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 

「あー疲れたー」

 

 まだレイ=アースログの残党は居たので、レイが捕まったと言う情報を隠して呼び出した。

 レイから重大発表があるから親しい人間はゼルトブルのとある場所に集まってくれと。

 集まったのは10人程だが。

 

 情報は漏洩してないと思うんだけどね。評判が悪いと有名だったし人望がないんだなぁ。

 

 そして、レイ派の商人を嘘発見能力で摘発。3割程のギルドの闇の商人がアウトだった。

 レイが国外に出たのはリークした奴等がいたからだそうだ。

 

 後で教えてもらった事だが、人質の商人は俺の味方らしく、レイ派の商人の商売仇なので俺を殺したあとに殺す予定だったそうだ。

 良かった助けておいて。

 

 その後の打ち上げが終わり、部屋に帰って来た。

 

「ふぅー寝よう」

「わっ!!」

「うおっ!?」

 

 びっくりした! 

 ローナ? 絶上手いなオイ。

 

「なんかあったのか?」

「いやぁ聞きたいことがあって」

 

 なんだ? 

 

「……家族が殺されたってのに凄い冷静なので気になったので」

「ふむ」

「私の父さんが死んだときに取り乱しましたので……おかしいなと思ったんです。理由お聞かせくれませんか?」

 

 確かに自分でも冷静だと思ったよ。

 前の世界で色々あったんだ。

 

「実はさ俺テロリストを捕まえる人間と友達でさ。その友達は両親と弟と妹をテロリストに殺されたんだ」

 

 ヒミコを育てる前はチームで奴らと行動していた。

 俺はリーダーで奴が副リーダー。ちなみに同期である。

 

「それでテロリストをハンティングする仕事を手伝う事が多かった。だから見てきたんだ、俺より理不尽な目にあった人間達を沢山」

 

 見てて苦痛だった。

 何も悪くない人間が死んでいくのは。

 死んだ人間の目の前で泣いている人間も。

 

「それを無くすためには感情を殺して冷静になって行動するしかないんだ」

 

 なお、一緒に仇は打った。

 その際に星を一つ貰ったのである。

 今頃幹部クラスの数人は、仲間のハーレムに入って可愛がられてるだろう。

 

「だからさ俺の事なんて考えない方がいいんだ」

「…………ハジメ様、屈んで下さい」

「えっ、何しボフ!?」

 

 いきなりローナの胸に顔が押し付けられる。

 

「ハジメ様。皆家族が死んで悲しいのは同じなんです。悲しいことを我慢してたらおかしくなります。だから…………泣いていいんです。自分の事を考えてください」

 

 俺は抱き締められる。

 気付くと泣いていた。

 

「無い胸ですがいつでも貸し出しますよ」

「……ありがとう」

 

 シルフィが部屋に入ってくるまでこの状態が続くのであった。


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