「御館様、今日はなんの集まりですか?」
「報酬だってさ。波とか色々」
「期待できそうね」
「わーい」
ポータルでゼルトブルに帰って来た翌日。
ゼルトブルの商会館に集まり報酬を貰うことになった。
金とか貰わないと本当にやってられない。
タダ働きなんざ真っ平ごめんだね。
「そう言えばクラスアップはしてないんだよね? フィトリアにはもうあった?」
「いや、会ってない。捜索中」
「フィロリアルの多い地域とか回れば出てきそう」
「しらみ潰しにやってる」
もう既に探している。
そろそろだと思うんだけど…………。
「まあそれまで資質上昇をしまくるさ」
「私も頑張らなくちゃ」
「色々落ち着いたら発を見る。念で何をしたいか考えて楽しみにしてな」
「洗礼お願いしまーす」
そろそろ本格的に念能力の修行に入らなくては。
育成系の能力をフルに使う時が来る。
でも時間が欲しいな。
どっかに精神と時の部屋は無いだろうか?
「うっふふ、何系かな~」
気持ちは分かる。
◆ ◆ ◆
「それで報酬は?」
「…………実は」
話を聞くと金が無いらしい。
実は先の件でレイがやらかした事があり、賠償金とかで流れてしまったそうだ。
あの野郎…………まだ寝取られプレイ中なのに迷惑をかけるのか。
「わかった。金以外でいい」
「それでは領地等どうでしょうか? 最近領主がいない領地が沢山のありまして…………」
多分誰かさんのせいだな。
厄介払いか? 面倒事は勘弁してほしい。
だが税金を徴収出来るし、色々自由な事も出来るそうだ。
俺派の商人も協力してくれるってさ。
勇者の治めている領地ってのも人とか集まりそうだ。
(どうする? 皆の意見が聞きたい)
(私は賛成です。拠点があるのは嬉しいですし)
(拙者は問題ないでござる)
(私も簿記とか出来るし、領地経営の本やゲームとかやった事あるよ。大変だったら代行や部下に任せればいいし)
(走る所欲しいなー)
(父様に任せる!)
確かに便利だな。
よし、受けるか。
それで地図を持ってきた。
で、丸を書いていった。5個位あるね。
それから選ぶことになった。
どこがいいのかよくわからんが。
「確かここは葡萄酒が有名ですね」
「あれ? ここウルト石の採掘地だ」
色々名産品があるようだ。
「父様ここがいい!!」
「どれどれ」
「ここは有名な所はありませんね。交通の便が悪いですし、って言うかここは…………」
「こーこーがいいの!!」
「理由は?」
「わかんないけどここがいいの!!」
「ヤトちゃん。理由になってませんよ」
? 夜刀ちゃんの様子がおかしい。
そこまでして入れ込む?
…………。
「よし夜刀ちゃんの選んだ領地にしよう」
「ハジメ様が決定権を持っているからいいんですか……」
あれが手に入ったし、問題ない。
特に目立った事が無い領地でも、私兵を育てられる場所ならばどこでもいい。
俺達はその領主になるのだった。
◆ ◆ ◆
「さてと、水見式やりますか」
「待ってました!」
「春菜、洗礼はまだ少し待ってろ」
水の入ったグラス、葉っぱを用意する。
「二次創作だとこの時が一番楽しいんだよね」
「分かる。俺もそうだった」
俺も水見式や能力開発時にはテンション上がったし。気持ちが分かる。
弟子を育成するのは初めてではないし、少しはコツがわかっている。
さて始めましょうか。
「まずはローナから」
「はい」
「水にオーラを当てて」
すると、
「葉っぱが動いてます……」
「操作系か」
人や物を操作するのが得意な系統だ。
考察だが物を操るよりも、人を操作する方が難易度が高い。人間の動作は複雑だしさ。
長所はサポートに向いているって事と、操作精度が高いって事かな?
「ん~」
「次はシルフィ」
「了解でごさる」
シルフィがグラスに手をかざす。
「あっ、水が溢れました」
「強化系だな」
強化系は人や物を強化したり、働きを強くするのが特徴だ。
考察だが単純に力が強化されるという地味な系統だが、単純で地味ほど使いやすいのだ。複雑で派手な能力ほど使いにくく難しいものはない。
長所は戦闘向きの系統って事かな?
「はい、キラークイーン」
「うん」
爆弾の能力を作ったらどうしよう……。
「水の中になんか出てきたよ」
「具現化系か」
吉良吉影みたいにならないことを祈る。
具現化系はオーラを物質化する系統だ。その物質化した物に能力を付けるのが基本的。
俺の考察では特殊がある念能力だ。ぼくがかんがえたさいきょうのぶきとかも作れるのだ。
「父様、次は私」
夜刀ちゃんが手をグラスにかざすと、
「父様? 葉っぱか沈んだよ?」
「特質系か…………」
超レアである。
能力を盗むとか借りるとか未来予知とかがいい例だ。
このヘビは何者だろうか?
さてとオーラ量を増やしながら能力の開発を手伝うとしますか。
春菜の念能力開花もしなければ。
「ねぇお兄ちゃん」
「何?」
「参考までにどんな能力を作ったか教えて欲しいんだけど」
「あっ! 私も気になってたんです」
「拙者もでござる」
「…………やっぱ聞きたいよな。頼むから絶対誰にも言うなよ。能力バレは痛いし」
まあ知ってても知らなくても厄介な能力だし。
俺は水見式を行う。
~斧の勇者説明中~
「──って事だ」
「……地味に強いね」
「念能力って凄いですね……」
まあ制限があって使えないって能力とかあるし、万能ではない能力だ。
「取り敢えず修行するぞ。能力の作成はその最中で作るぞ」
12時に2話目投稿。