念能力者の英雄譚   作:煽りイカ

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第20話

「これだけ?」

『すいやせん、最近来なくって』

「これで献上分になるとでも思ってんの?」

『こ、これを、補填の山の幸です』

「しょうがねえな、気を付けろよ」

「お兄……ちゃん」

 

 財宝が少ないな。

 やっぱ強いのかこのドラゴン。

 

「このドラゴンは?」

「一応俺がケツモチしてる」

 

 そう、山で狩りをしているときに出会った竜帝だ。幸いにも命乞いをし、ショバ代を支払わせているのだ。

 後2体くらいそれと同じ竜帝がいる。

 

「お兄ちゃんってマフィアに知り合いいるの?」

「いるけど?」

「そ、そうなの……」

 

 一応グレーな事やってるけども問題無い。

 麻薬とかはやってないからセーフ。

 

「さてと、他の場所行くか」

『それでは私はこれで』

「稼げよ」

 

 ダンジョンと温泉か。

 

 

 

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 まずは近かったから温泉の方に来た。

 

「私温泉とか行ったことないんですよね」

「俺は結構行ったことあるな」

 

 色々旅をしてきたのでよく入るのだ。

 お湯を触ってみると40℃以上はあるようだ。

 

「土魔法で整えて入ってみるか」

「このまま入るのもアレだし足湯見たいにしよっか」

「ツヴァイト・アースホール」

 

 俺は土魔法を唱える。

 俺の魔法適正は土・光・雷だ。

 

「あー気持ちいでござる」

「極楽~」

 

 意外と気持ちいいな。

 よくよく考えたらあまり休暇を取っていなかった。

 

「お兄ちゃん」

「なんだ?」

「結構湯量多いし、吹き出てる場所も多いし旅館とか出来るかも」

「いきなり言われてもな…………」

 

 旅館経営ってのも大変だと動画で見たことある。

 温泉旅館が増えると湯量が減ったりするとか。

 

「温泉って雨水らしいよ」

「知りませんでした…………」

 

 自然災害とかでいろいろあるらしい。

 

「なんかジュース飲みたくなってくるねー」

「俺も酒飲みたくなってくる」

 

 昼間っから飲む酒は最高である。

 温泉旅館の他にも銭湯とか作ろうかな? 

 

「さてとダンジョンの方にいきますかな?」

 

 一応タオル持ってきたんだ。

 さてと、ダンジョンに行くとしますか。

 

 ポカポカ

 

 あれ? 

 

「足が軽くなってます」

「疲れが取れてる……」

 

 ふくらはぎが温かい。

 疲れも取れてるぞ? 妙に足に力が入る。

 

「ローナ、ジャンプしてみろ」

「えっはい、ほっ!」

 

 ジャンプしてみると結構な高さを跳んでる。

 

「これって……」

「疲労回復とバフか……」

 

 えっ……何なのこの温泉。

 何らかの鉱物が染み込んだのだろうか? 

 これ金とか取れるな。

 

「このお湯で湯船に浸かりたいでござる」

「後で改造してみるか」

 

 俺も日本人だし肩まで浸かりたい。しかし他の用事かあるためゆっくり出来ない、後で土魔法で柵でも作って足とか広げたり、泳げるように大きく浴槽を作ろう。

 

 夜にまた入りに行くかな? 

 ダンジョンに行くとしよう。

 

 

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

「ここを押せば開くでござる」ゴゴゴ

「おー本当だ」

 

 やって来たのは近くの遺跡である。

 少し古いから何か出土品があるかもしれないな。前の世界でもトレジャーハンターってのもいるし。

 

「人工的な通路ですね」

「何のためにこんなのがあるんだ?」

 

 何の遺跡なんだここは? 

 

「ピギ!」

 

 ん? オモチャ……いや機械の様なネズミが現れた? 

 モンスターで良いんだよな? 

 

「てい」

「ピギャ!?」

「一撃……」

 

 簡単に倒せた。

 おっ、経験値が高い方だ。

 

 もう少し進んでみよう。

 

 皆で歩くと蝙蝠型、犬型、蛙型、虎型のゴーレムが湧いてきて、俺らに襲い掛かって来るが返り討つ。

 そして広間があったので出てみると、

 

「ギャオオオオオ!!」

「あっ、ドラゴンだ」

 

 ゴーレムチックなドラゴンってのも良いものだよな。

 

「さすがに強そうですね」

「俺がやる、喰らえ! 俺のギャリック砲!!」

「ギャオオオオオオオオオ!?」

 

 俺は大きな念弾を飛ばす。

 うっわ、串刺しをされたかのように風穴が空いた…………。

 

「わっ! 大量の経験値が入りましたよ!」

「資質上昇しますかな」

 

 そろそろフィトリア探さないと困るな。

 クラスアップしたいんだけど早く現れてくれないだろうか? 

 

 そもそもこの遺跡はなんなんだろうか。

 カルミラ島等の活性化が起こっているダンジョンなんてあり得るのだろうか? 経験値を吸いとって貯めているのだろうか? 

 

「そろそろ帰るか、兵士も心配するだろうし」

「そうね。また今度攻略すればいいし」

 

 あのカスの改造された被害者達の殆どが俺らの兵隊になった。

 行く当てが無かったり、外見で恐怖されたりでここに残留したのだ。

 

 全員ステータスが高く、強力な固有能力を持っている奴等も居る。さてさて頑張って育てますかな。

 

「もう夜ですね」

 

 ダンジョンの入り口から出ると薄暗く、蝙蝠が出ていた。

 

「腹減ったでごさる」

「今日は牡丹鍋ですよ」

 

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 

 

「ドライファ・アースウォール」

 

 ディテールを凝って壁を作り上げ、簡単な浴場を作った。

 湯船も広いしたまには羽目を伸ばす時間が欲しい。

 

 酒もタオルを用意したし準備オーケー。

 

「ふぅ」

 

 俺はお湯に入る。

 この温泉は疲労を回復効果があるので、肩まで浸かりたい。

 

 この酒いけるな。月も綺麗だし風流ってのはこの事を言うんだよな。グイ

 

 知り合いの宗教団体からよく果実酒を貰うのだか、それが美味いのなんの。

 …………アイツ元気かな? 面白い念能力を使用するし、世の中の貧困とか無くせそうだ。

 

 しかも儲かってるとか。その分貧しい人に還元してる。

 

「お兄ちゃん、やっぱ入ってたの?」

「掃除中の看板が見えなかったのか?」

 

 おっと春菜か。

 お兄ちゃん今入浴中なんだ。

 

「工事してるのが見えたから気になって来ちゃったし、タオルも持ってきたよ」

「入るのか?」

「そりゃそうだよ。兄弟水入らずでさ!」バサバサッ

 

 入るんだ!? 服脱いだし。

 前から思ってたけど唐突だなぁコイツ。

 

「ふぅ~気持ちいい~」

「一杯いくか?」

「いいや。酒弱いし」

 

 タオルを巻かないので、スタイルの良い肉体が丸分かりである。

 長い黒髪で、相当な美少女だ。

 転生前も結構可愛かったし。

 

「眼福ですな」

「そう♪ 襲っても良いけど、初めてだから優しくしてね?」

「…………保留で」

「いけずぅ。恋人でもいるの?」

「いるよ?」

「え?」

 

 前の世界で色々あったからな。

 残してきたものが多すぎるし、全部終わったら帰りたいのだ。

 

「…………だよね。世界を救ったらお別れかぁ…………」

 

 何を言ってるのかね君は? 

 

「何言ってんだ? 一緒に来いよ」

「えっ? いいの?」

「勿論、師匠やゴン達にも紹介するぜ」

「う、うわぁぁぁぁぁぁん!! ずっと一緒だからね!! 約束守ってよ!? わかってる!?」

 

 泣きながら抱き締められ、胸を押し付けられる。

 それの状態が数分続くのだった。

 

 

 


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