念能力者の英雄譚   作:煽りイカ

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第24話

「さーて、野郎共! 波を退けるぞ!!」

『サーイエッサー!』

 

 さてさて、波の30分前。

 俺の私兵と冒険者達だ。

 

 波は起きるほどレベルが高くなる。

 前回よりも戦力を増やした。

 

 前回と同様に作戦はシンプル。

 俺達や冒険者の精鋭で波のボスを倒し、他の冒険者は市民の避難と防衛。海凄獣人・亜人を連れていく。

 

 この前の対策としてゼルトブルの偉い商人は人質に取られないように避難。この前の失敗があったから油断しない。

 物資もあるし、怪我人がいても魔力尽きても平気。

 

「ハージーメーちゃん!!」

「ん、ナディアか」

 

 うん、また参加してくれた。

 

「この前のリスト、役にたったか?」

「助かったわー! 12人見つけられたわよ」

「メルロマルクの奴隷の方もリスト作ってるから、まだ長時間かかるぞ」

「闇深いわ…………」

 

 メルロマルクって亜人差別が根深いし、闇が深いために捜索が難航しているのだ。

 

 子供の亜人奴隷を拷問している変態"ピッー"野郎が生息している国、嫌だなぁ~俺、女王派を支持するぜ。

 

「ねぇ、あのクワガタ何かしら?」

「聖獣」

「聖獣!?」

「ああ、心が純粋な人間にしか使役することが出来ない聖なる獣だ。見ろよアイツの目、澄みきってるだろ?」

「…………」

 

 信じてくれだろうか? 

 この野郎、能力を見せびらかすとか何考えてんの? 

 もっと特訓が必要か? 

 

「うーんすごいわね」

「ホントだな」

 

 皆、ゲロとか吐いてたからね。

 あの地獄を乗り越えたからこそ強くなったからな。

 

 俺の私設兵に弱者等いないのだよ! 

 

「また今度ハジメちゃんの領地に遊びに行くわ」

「いつでもどうぞ、歓迎するぜ」

「まぁ嬉しい」

 

 俺達の領地について、調査したので説明しよう。

 

 地質調査によると、湯量が膨大な為に旅館や温泉街がたてられる事になり、春菜やアンナが大忙しだそうだ。

 あのお湯って、疲労回復とバフの他にも、美肌の効果が見られる為に国内外でも話題になってるって。

 

 そして遺跡なのだが、しばらくしたら一般人にも公開する予定で、余り奥まで入ることが出来ないように仕掛けを作り、転生者等が入れないようにしたい。

 敵に力を与えたくないし。

 まあ、全部攻略はしてないけどね。急ぐか。

 

 

 それで今後の予定。

 傘下の私設兵をドラキューア山脈に送り込み、レベル上げ、そして素材集め。ポータルは既に取った。

 

 その次にメルロマルクの波に参加し、四聖勇者を手伝う。まあ三勇者が波のボスを倒してくれるから、俺達は村人の避難をするか。

 

 その後は戦力強化したり、町おこししたり、金儲けしたりと大忙しですな。

 

 

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 00:03

 

 波まで3秒前、人事を尽くして天命を待つ! 

 

 00:00

 

 俺達は光に包まれ転移する。

 着いてみるとそこは…………。

 

「町?」

 

 皆町の広場にいる? ここで起こるって事? 

 

「ここは私達の領地の隣です!」

「亀裂は何処だ!!」

 

 360度見回すが、空の色が変わってるだけで亀裂はない!? あれ? これって……。

 

「お館様! 上です!!」

「やっぱり!!」

 

 カルミラ島の時と同じかよ。

 それで亀裂から巨大な物体が落ちて、地響きを奏でる。

 

「GYAOOOOOOOOOOOOO!!」

 

 次元のガネーシャ Lv90

 

「俺らが波のボスを倒す! 他は避難と防衛を、急げぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

 

 でっかい象だ。

 なるはやで倒し、被害者を減らす。

 

「風王列空斬X!」

「ドライファ・アクアランス!!」

「ドライファ・ダークショット!!」

「ドライファ・エアーショット!」

「ドライファ・エレメンタルバースト!!」

「天道・王黒雷!」

 

 最後は夜刀ちゃんね。

 何かオリジナルの固有魔法みたい。

 

 それで今の攻撃で3割減ったのか…………固っ。

 多分何かの弱点とかあると思うけどわかんないし。

 

「お兄ちゃん、合唱魔法!」

「OK」

 

 俺と春菜とローナで一緒に練習したのだ。

 行っけぇ! 

 

『力の根源たる私達が命ずる。理を今一度読み解き、猛り狂う嵐を吹かせ、敵を粉砕せよ!!』

「「「オーディン・トライデント!」」」

 

 風と雷と水で作った槍を突き刺す。

 

 ちなみにオーラを沢山込めている。

 実験した所、魔法にオーラを入れるとかなり強化される。だが、少しコツがいる。

 一応リベレイションの試し打ちをしたのだが…………山が削れちゃった。

 他の奴らにも魔法の試し打ちさせたけど、地形とか変える奴いたし。スゲーな。

 

「GYAOOOOOOOOOOOOO!?」

「よし、4割減った」

 

 相当な威力だし、結構効いた。

 つーか倒し方なんなのコイツ? 今の攻撃で結構倒せると思ったんだけど。

 後3割ほどだ。

 

「んじゃ後は俺が倒すか」

 

 スキルにもオーラを混ぜると威力が上がる。

 集中し、武器にオーラを注入する。

 

「バルムンクX!」

「GYAOOOOOOOOOOOOO!!?」

 

 頭をぶち割る! 

 よぅし、勝った。倒れたし。

 

「さて、残党を……?」

「あれ?」

 

 気づいたけどまだ空がワインレッドのままだ。

 波が終わってないのか…………? 

 

「春菜、どう考える?」

「まだボスが倒れてないか、それとも他世界の人間がいるか……」

 

 おいおいどうする、この波のボスの事よく知らないんだけど。

 

 まあ、取り敢えず波の亀裂を攻撃するか。

 

「オイ、亀裂にカチコむぞ」

 

 パチ パチ パチ

 

 ん? 拍手? 

 こんな時に拍手するのは誰だ? 

 

「いやぁー凄い。この世界にも能力者がいたとは」

 

 拍手と声が同じ場所、建物の影から人間が出てくる。

 全然気づかなかったし、今の言葉で能力者だってわかったので絶でも使ったのだろう。

 この世界にもって言ってたし、他の世界でも活動してる可能性が高い。

 

 建物の影から出てきたのは長身の男、髪は肩までかかる金髪。得物は小太刀か? 細目だな…………あれ? 

 

「危険そうだし早めに潰………………ハジメ?」

「…………ミレナリオ?」

「何やってんのお前」

「お前こそ」

「知り合いですか?」

 

 知り合いもなにもなぁ…………。

 

(前の世界のチームメイトだよ)

(えっ? お兄ちゃんの仲間?)

(ああ、たまに俺と組む事があった)

 

アギレラの弟子である。ちなみにクライムハンター。

 

「なんでお前がこの世界に?」

「事故で死んで本拠地の世界に召喚されてな」

「お前も死んだの!?」

「こっちのセリフだ。まさか互いに勇者になってたのか……」

 

 前の世界の同僚と会うとか。

 どんな巡り合わせ? 

 

「それでどうする? どうせ間引きだろ、戦るのか?」

「実は顔確認しないで出てきたんだ……」

「アギレラにもっと注意深くしろって言われてなかったけ?」

 

 コイツよく抜けてる事あるからなぁ。

 でも才能あるし、能力も厄介だし。

 

 この場面でもしも戦うなら勝てるが、数人死ぬだろう。

 

「で、返答は?」

「戦わねぇよ。死にたくないし」

「逃がすと思うのか?」

「…………ハジメの能力の切り札って拡張?」

「!?」

「隙有り! スモークパンサー改!!」

 

 うおっ! 煙幕かよ! 

 

「あばよ、ハジメ!」

「待ちやがれロリコン野郎!」

「黙れド外道!!」

 

 ド外道って酷くないか? 

 俺って慈悲深く無いの? 

 

 あっ、気配が無くなったみたいだ。

 逃がしたか…………クソ。

 

「まさかお兄ちゃんの仲間が居たなんて……」

「俺が居なかったら皆死んでたな…………」

 

 ミレナリオの能力は条件が整えば厄介な代物だ。

 この場で条件が整え掛かっていたので危なかった。

 

「あっ、空が」

 

 ワインレッドの空が水色に戻っていく。

 まだ波の魔物が蔓延っているし、掃討しなければな。

 

 

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

「お館様、全滅確認の報告でござる」

「御苦労、被害は?」

「冒険者や町人に重軽傷者数名、私設兵には擦り傷が数名程でござる」

「大勝利だ」

 

 善し善し、建物に損害はあるが俺らは壊した覚えが無いし。全部クソ女神が悪い。

 

「ハジメ様、アイツって強いんですか?」

「場数踏んでるし、犯罪者から恐れられてるって」

 

 そろそろ一ツ星取れるってアギレラが言ってた。

 

「ロリコン野郎ってなんなの?」

「アイツの特技なんだが…………この話はまた今度。帰るぞ、ドラキューア山脈にGoだ」

 

 また後で能力を教えておこう。

 

 こうして、波が終了したのだった。




次回、原作介入………!?

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