念能力者の英雄譚   作:煽りイカ

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第29話

 グランの飯を食べた翌朝。本拠地と往復し、運び屋を連れて来た。

 

「すまんなシーラ、呼んじゃって」

「問題ナッシングです。結構な量ありますし、薬とかの材料があるのでそこから引いときますが」

「問題無し」

「そこに置いといて下さい。これで全部ですか? 閉めますよ?」

 

 そうしてシャッターが閉められる。

 そう、これがシーラの能力、宝物庫《スペーシア》。

 

 単純に言えば倉庫で、シャッターを具現化して、物品を出し入れする事ができるのだ。

 ノヴさんの能力の劣化版で、どこでもドアみたいな事は出来ないが。

 

 正直、商人向けの能力だと思う。

 だって、多少の数量の品物や貴重な商品を手ぶらで運べるんですもの。

 移動速度速くなるし、盗まれる事も無い。

 

 移動能力があれば更に良し、ポータル系とかと組ませると大量の商品を一瞬で遠くへ運べる。

 

「ボス、それではまた1週間後に」

 

 資質上昇はしておいた。

 また1週間後にな。

 

 さて、俺らのシマに戻りますか。

 

 

 

 □ □ □

 

 

 

「魔貫光殺砲!!」

 

 念弾を飛ばし、機械の様な鳥の頭から尻まで貫く。

 声をも出せずに墜落していき、大量の経験値が入ってくる。

 

「ったく、このダンジョンはなんだ?」

「確かに…………活性地みたいなダンジョンってのもおかしいし」

 

 この遺跡はなんの為にあるか領民に聞いてみたが分からなかった。相当大昔からあるらしい。

 

 大昔で、特に代々領民が気にしてないって事は危険は無いってことか? もし龍脈から吸い取ってこのダンジョンを作っているのならブラド砂漠の様にクソ女神が関わってそうだ。

 

「この遺跡、転生者が作ったんじゃ…………」

「俺も思った」

 

 ダンジョン作るってのもロマンとかあると思う。

 

「GYAOOOOOOOOO!!」

「ちなみにここは30階ね」

 

 10階づつにボスがいるようだ。

 巨大な機械仕掛けのグリフォンですぞ。

 

「天道・煉獄刃!!」

 

 おっと、夜刀ちゃんのオリジナルが炸裂、頭部を縦一文字にぶった斬る。

 

「父様、勝ったよ!!」

「よーしよしよしよし」

 

 セッコって名前の方が良かったかな? 

 後で甘い物でもあげようか? 

 

「で…………ここがゴールみたいですね。下に降りる階段が見当たりません」

「ちょっと円でも使ってみますか…………あっ前の壁に空間があるぞ?」

 

 隠し扉でもあるのかな、ロマンだね! 

 あ、よく見てみるとパズルみたいになってる。

 

 懐かしいなぁ。アルフの遺跡のパズルとか良くやった。あのBGM嫌いなんだよなぁ。不気味だし。

 

「これどうやるんだ?」

「ええっとこれをこうやって…………」

「これをこうするんじゃ…………」

「分からないでござるよ」

「お腹空いたー」

「違う、それはここ」

 

 

 1時間後。

 

 

「で、俺とモン吉が揃って言ったんだ『このテロリスト共が!!』って」

「「「出来たー!!」」」

「あ、終わったごさる」

 

 声を上げたのは春奈とローナと夜刀ちゃんである。

 春奈ってば元々頭よかったし、パズルとかナンクロとか家でやってた。

 ローナも暗算が得意だと言ってたし。

 

 夜刀ちゃん? 君、産まれて何ヶ月でしたっけ? 

 もしかしてキメラアント? 

 

 ゴゴゴゴゴ

 

 開いた。

 入ってみると何かのコントロールルームぽい。

 

「なんか近未来だな」

「秘密基地っぽいね」

「ここに何か書いているでござる」

「何語ですかコレ?」

 

 いや、これは…………

 

「「日本語?」」

 

 日本語、って事は日本人かよ。

 で? 読んでみよう。

 

『私は日本から召喚された勇者だ』

 

 日本から召喚された勇者ってことか、波の尖兵ではないってことだな? 

 

 えっと、読んでみよう。

 何何、とある国に召喚されたそうだが追い出されたそうだ。

 最初は優しく接してくれたが、身に覚えの無いミスが多く、段々信頼を失っていき、仕舞いには犯罪の濡れ衣を負わされたって。

 国家反逆罪で国を追われることになった。

 

 仲間はクズで、戦士の男は金にがめつく、多額の金で寝返り、魔法使いの女は恋人だったがビッチで、国の王子に寝とらせプレイの一貫で仲間に入ってたので裏切り、頼りの盗賊の女は金を持って逃げた。

 

 こりゃ人間不信になるだろう。

 つーかその国に転生者居ない? 洗脳系、闇魔法の能力とかで魅了とか出来そうだし、王子辺りが怪しい。

 

 あ、王子に殺されかけたって書いてある。

 それを周りに言っても信じてくれなかったそうだ。惨い。このクソ女神が。

 

 で、その後の話。

 

 レジスタンスと合流し、この国の王族や元仲間をぶっ殺し回ったとか。

 

 王子が死ぬ前に「やっとやり直せたのに」って言ってたらしく、転生者がいる可能性が高いと書いてあった。うん、その通り。

 その後、レジスタンスに国の運営を任せ、人間が嫌になったのか、隠居生活をしてたとか。

 

 それで武器の力でダンジョンを作ったらしい。

 で、何故経験値が高いか書いてあった。

 

「プラド砂漠の経験値システムに繋がってるのか…………」

「武器の力と経験値エネルギーがあるから機械仕掛けの様な魔物が出るシステムを作れたって、書いてある」

 

 どうやって繋がったのかは知らないが、良い経験値を感謝するぜ。

 

「それでここらがエネルギーを溜め込んだりしたり、ダンジョンを動かしたりする部屋って事か」

「秘密基地みたいね」

 

 この部屋から入り口までの直通の抜け道があった。

 1分くらいで行けるみたいだ。

 

 さーて、このダンジョンで大儲けしますか。

 

 

 

 

 □ □ □

 

 

 

 

「やあ、尚文♦」

「なんだヒソカか」

 

 俺達は村の利権を掛けた元康とのレースに勝ち、村長から行商の通行手形を貰い、更には馬車まで譲ってくれた。

 

 それでヒソカの隣の奴って……

 

「そろそろ僕は本拠地に帰るとするよ♠︎」

「ああ元気でな」

 

 ヒソカとの初見は、俺らがレベルの高い魔物に襲われた際に助けられた。

 その時に俺達は死を覚悟した。

 

 魔物を一瞬で倒し、そのまま一緒にレベル上げを手伝い、更には時間を推し進めてまで波を手伝ってくれた。

 

 薄気味悪い奴だか、近づいた理由があるのだろうか? 

 恩はあるがロクな事考えてないな、多分。

 

「で、あのハジメって奴は何なんだ? アイツが暴れたせいで俺にとばっちりがきたんだが」

 

 斧の勇者って言ったか?

 俺の事を擁護したそうだが、それで暴れたら俺に矛先向いて来るだろうが。

 味方なのはいいが考えて行動しろ。

 

「前の世界でもあんな感じかな? 犯罪者とか狩ってたらしいよ♣」

「賞金稼ぎとかそんな感じか?」

「その通り」

 

 それならあの強さも納得できるな。

 …………いや、まだ秘密もありそうだ。

 

「風の噂だと領地経営してるらしいよ。かなり繁盛してるみたい。私設兵もいるらしいよ♦」

「領地か……」

 

 良い案だな。税金も取れる。

 波は集団で挑んだ方がいいし、ステータスの補正を使って強い奴隷を育てた方が俺も楽だ。

 俺も真似した方が良いだろうか? 

 

「温泉とかお菓子とか有名らしいよ」

「人が来そうだな」

 

 観光客で沢山人が来て金を落としてくれそうだ。

 

「あのアホ強いのか?」

「強いよ、僕より♠」

 

 お前と仲良くしてる時点で同等かそれ以上だろ。

 多分アイツもコイツで苦労してるだろうな。

 

 また会う時には連携でもとるか。

 …………少し言い過ぎたな、詫びに金と素材もくれたし、悪いやつではないかもしれない。

 

「それで? 隣の奴は?」

「うん、隣の村で気が合ってさ、貰って来ちゃった♦」

「気が合うってオイ…………」

 

 ロクでもないってことかコイツも。

 

「で、名前をどうしようかなって思ってさ、ナオフミに決めてもらおうと思って♣️」

 

 ヒソカが決めるとイタイ名前になりそうだ。

 

「そうだな────」




能力紹介。

◎宝物庫《スペーシア》
・念空間を具現化し、シャッターを具現化する事により物品を出し入れする。具現化系。
・本人が後で気付いた事だが、オーラの最大容量が増える度に体積が増える。ただ今の体積、12m×12m×6m。
・温度調節機能付き。
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