念能力者の英雄譚   作:煽りイカ

32 / 81
今年初めての投稿。今年もよろしくお願いします。orz



第31話

 とある案件が終わり、ローナと二人で歩いていた。

 

「いやぁーマリオンが裁縫出来て良かった」

「いい衣装が出来上がりましたね」

「これでライブも盛り上がる!」

「ハジメ様って……ん?」

 

 あれ? 警備の奴らが集まってる? 

 何やってるんだ? 

 

「縄を解け貴様らァ!」

「何故僕らが縛られなければならないんですか!?」

「なんだコイツら」

「何をやって……あ」

 

 グラン達1番隊と3番隊のメンツが集まり、ギャーギャー騒いでるから気になって見に来たけど知り合いがいた。

 

「樹じゃん。何やってんの」

「ハジメさん!? 何故ここに?」

「ここの領主だし」

 

 弓の勇者御一行である。

 何故ここにいるんだ。

 

「縄を解いてください! 何で縛られなければいけないんですか?!」

「………何があった?」

「実は……」

 

 

 

 ■

 

 

 

「親父、結構持ってたな」

「ああ、ボスも大喜びだ!」

 

 一番隊は盗賊狩りをしていたらしく、かなりの宝が眠っていたため運搬中だったそうだ。

 

「今日は宴だな」

「イヤッホホウ……ん?」バシッ

 

 オリガは飛んできた矢を掴んだ。

 

「止まりなさい! あなた達がフェイリス盗賊団ですね?」

「「「は?」」」

 

 弓の勇者、川澄樹君だ。

 いきなり攻撃とか何考えてんの? 

 

「イツキ様」

「ええ、あれがアレス家の短剣ですね」

「あの、何かご要件ですか」

 

 テスタか優しく話しかける。

 いきなり攻撃されて対話するとかマジ温和。

 

「その短剣をこっちに寄越して下さい」

「何言ってんだお前?」

「それは盗品です。依頼主からクエストで頼まれたしてね」

 

 お節介やきの冒険者みたいに近づいたんだな。

 副将軍様がよォ。

 

「それが本物だと言う証拠はあるのか?」

「ではその剣の裏を見てください。柄の部分に✕印の傷があるはずです」

「親父、本当だ」

 

 オリガが裏返してみると、✕があった。

 本物って事は間違いなさそう。

 

「それでなんだ? 俺達が苦労して取ってきたのに寄越せってのは酷いんじゃねえの?」

「返さないんですか……仕方ないですね」

 

 樹は武器を変える。

 

「おっと、勇者様か」

「いかにも、どうします?」

「やるよ」

 

 グランは短剣を樹に放り投げる。

 

(いいのか親父?)

(他にも高そうな奴があったし、少し無くなっても問題ねえよ)

 

 グランの判断は間違っていない。

 無益な戦いは避けるべき。戦ったら俺との関係に禍根が出てきそう。

 

「話が分かるので何よりです。ですが……」

 

 まだ何かあんのか天パ? 

 

「あなた達の悪逆は見過ごす事はできません。倒して役人に引き渡します。行きますよ皆さん!!」

『ハッ! イツキ様!!』

 

 結局戦うんじゃねえかよぉぉぉ!! 

 マジでコイツら何様なの!? 脳みそに何詰まってんだよ。

 

「流星弓!」

「山割手刀!!」

 

 樹がスキルを放るが、オリガは迎え撃つ。

 スキルを放った樹が驚いてる。

 

「なっ!? ウインドアロー!!」

 

 風を纏った一撃を放つも、

 

「は? 消え……うぐっ!?」

 

 技が当たる前に消えて、樹の脳天に踵落としを決める。

 脳天は急所だよ。

 

 ドサリと音を立てて樹は倒れる。

 なお、既に他の仲間もとっくに倒れてる。

 

 戦い初めて終わるまで約10秒。

 話にならないとテスタは語っていた。

 

 

 

 

 ■

 

 

 

 

「ふざけないでください! あなたの子飼いの盗賊ですか!!」

「そもそも俺は盗賊を飼っていない」

「それにフェイリス盗賊団は一昨日カクライ達が殲滅しましたし」

「あの短剣はジルク山賊団からかっぱらってきたんだが」

「は?」

 

 短剣を渡したグランは全然悪くないな。

 盗賊だと勘違いした上に、善意で返したのに攻撃してきた。問題だねほんとに。

 

「どう落とし前つける?」

「巫山戯るな貴様ァ!!」

「黙れカス」バキ

「マルド!」

 

 はっは〜パーフェクト=ハイド=ジャスティス破れたりー。狩られる側になった気分はどうだ? 

 

 まあ、まだこの領地は財政難だからなぁ。寄付してもらおうか。

 

「それじゃ有り金全部とドロップ数割寄越せ。後そっちのゲーム知識でお得な情報も教えろ」

「なんですかそれ!? 理不尽じゃないですか!!」

「は?」チャキ

 

 俺は燻製に斧を差し向ける。

 理不尽なのはお前の頭だろうが。いきなり攻撃したり、武器を向けて来たのはお前らの方。殺されても文句言えないし。

 

「わ、分かりました」

「ただしドロップを寄越す割合はそっちが決めていい」

 

 金の方が使い道多い。

 ドロップは売ればいいか。

 

 有り金とドロップを落としてくれた。

 

「それでお得な情報は?」

「穴場の鉱脈はどうです?」

 

 樹は廃坑の採掘場なのに、まだ鉱石が眠っていると言う場所を教えてくれた。クエストでそんなのがあるらしい。

 

 高く売れるらしい宝石もあれば、いい武器の素材になる鉱石もあるようだ。

 

 落とし前はこんな所か。

 あ、ついでに聞いてみよう。

 

「そういえばアルドミティアってどんな国か知ってる?」

「…………なんですかその国?」

 

 知らない? ゲーム知識でも無いって事か? 

 …………他の勇者にも聞いてみよう。

 

 まあ、そろそろ解いてやるか。

 

「貴様ら……こんな事してただで済むと思っているのか!!」

「許さんぞ貴様らァ」

「皆さんやめましょう!」

 

 樹が窘める。

 正直会話が出来ない奴らとか前の世界にいるし。

 まあそんなヤツらを俺達は叩いていたのだが。

 

 こうして弓の勇者とその仲間達は帰っていった。

 

「さあて今日は宴だぞ!!」

「イヤッホホウィ!!」

 

 仕事したしな。お疲れさん。

 後で混ざるか。

 

 

 

 ■

 

 

 

 そして宴会時。

 

「本当に迷惑な奴らでしたね」

「本当だな、親の顔が見てみたい」

 

 アイツらどんな教育を受けたんだ? 

 樹はゲームだと思って羽目外れてるし、その他は三勇教の信者だし。

 

 やだなぁ環境ってのは。

 

「親の顔と言えばハジメ様の親と師匠ってどんな方なんですか?」

「母さんと師匠か…………」

「どんな大胆不敵な人かなと」

 

 大胆不敵って……あ、心当たりがある。

 三勇教会爆破やクズ強襲とか。

 

 前の世界でもテロリストを襲ったり、窃盗団のボスの娘を人質にして攻略を有利にした覚えもある。

 

 他にも破天荒な予定も立てている。

 

「母さんはシングルマザーで教師だったな」

「へぇ〜」

「外見が凄い若いんだ。中学生くらい」

「…………若作りの秘訣とかあるんですかね?」

 

 あんまそういうの聞いた事はないのだが。

 何であんなに若かったんだろうか。

 

 よくアニメで主人公の母親が若いのがよくあるが、現実では少ないんだよな。俺の所はレアだ。

 

「師匠の方は?」

「科学者だな。文化系の職なのにめちゃくちゃ強いんだ」

「凄い人なんですね」

 

 前の春菜に説明したが、ウイルスハンターの星1つ貰った人間である。さらに俺が星貰ったから星2つになったし。

 

「30代前半のくせに外見が10代女子なんだ」

「また若いんですね」

「ああ、能力使ってるみたいだ」

 

 師匠は優しいし気配りも効く出来た人間だ。俺は幸せ者と言ってもいい。

 

 少し変な性癖があるが、それはそれで気があったので問題は無い。

 

「何か話してたら会いたくなって来たわ」

「私も会って見たいです」

 

 ミレナリオの奴も転生して他の世界で勇者してるし、勇者しててまた会える可能性もあるかもしれない。

 

 …………いや、考えるのはよそう。母さんは死んでるからともかく、まだ生きてて欲しい人間はたくさんいるし。

 

 それに俺の仲間には教育上会わせるのはダメだ。

 俺の品性が疑われるし。

 

「そう言えばヒミコさんってどんな人ですか?」

「あー結構元気な奴」

 

 一応忍者なのだが、漁師も兼業でやってるのだ。魚の種類にも詳しいし、釣りも結構上手い。

 珍しい魚とかよく取って売っている。

 

 …………まさか狩猟具とか銛の武器とかで召喚されてないよな。

 

 あーでも俺は前の世界だと斧使わないしなー。それだとは限らない。

 信念とかそんな条件があるのかもしれない。

 

「ローナの家族とかも教えて」

「えっ〜とまず次女の─────」

 

 

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。