念能力者の英雄譚   作:煽りイカ

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第32話

「そう言えばフィロリアル増えたんだって?」

「ああ、3匹な」

 

 春菜と話をしていたらフィロリアルの話になった。

 3匹ともドラキューア山脈で育てたのだ。

 

 結構レベルが上がったのでそろそろまん丸な形態になる頃だろう。

 

「午後暇だし、一緒に見に行かない?」

「夜に仕事あるから問題無し」

 

 よし、行こう。

 資質上昇で素早さを上げているのでみんな健脚なのだ。

 

「そう言えば叔父さんから連絡入ったけど、準備が整ったってさ」

「マジ? 速いな」

「狩る?」

「まだだ。絶望をプレゼントしないと。それに奪ってかないと損」

 

 ああ、まだやらないと行けない事がある。

 色々交渉とかしなければ。

 

「それと1ヶ月経ったのにあのカスまだ生きてる見たい」

「まだ生きてんのか」

「うん、NTR結婚式は後半に差し掛かったって」

「もう1ヶ月続くのか、ざまぁ」

「うん、そろそろ映像水晶が溜まってるから消化しないと」

「アンナも呼んで一緒に見よう」

 

 あのカスまだ生きてるんだな。

 生前、アイツは暴行や窃盗の常習で、家の権力で捕まらなかったとか。だから前科も無いらしい。強姦とかをやった噂があるとか聞いた事もある。

 好き勝手やってきたんだ。報いを受けろ。

 

「国王陛下にはもっと長く苦しめてくれと頼んでくれ」

「オッケー」

 

 

 

 ■

 

 

 

 到着! 

 

「グア!」

「グアグア」

「グアー」

「へーこの子達が?」

 

 紫、黄、桃色のフィロリアルが寄ってきて並ぶ。

 いやぁー大きくなったなぁ。

 

「名前はなんて言うの?」

「ああ、紫はオアシスちゃん、黄はクリーム君、ピンクはサンちゃんだ」

「え?」

「キラークイーンって名前もなんか鋭利だし可愛い名前にしたんだ」

 

 オアシスは計算高く、忠実、もしくは機転が利く様になって欲しいと思いが込められている。

 

 クリームは相手を見くびらず冷静に相手の性格・能力を分析し、強敵に対して一定の敬意を評する心を持って欲しいと名付けた。

 

 サンは高く強く、そして正確な行動を出来る様になって欲しいと名付ける。

 

「お兄ちゃんは何処まで業を重ねるの?」

「あれ? 不味かった?」

「何で敵キャラのスタンドの名前をつけるの?」

 

 そうか? 可愛い名前だと思ったし。

 

「なあ、俺って頭おかしいか?」

「グア」コクリ

「グアー」コクリ

「グア!」コクリ

「味方いないよ」

「うーん」

 

 チームの中では1、2位を争うほどの常識人なんだけどなぁ。

 やっぱ俺達チームは頭おかしいのか?

 パリストンから『本当に頭大丈夫ですか?』ってよく心配されるし。

 

「本当に大きな原作ブレイクとか止めてね。重要なキャラは殺しちゃダメだよ」

「分かったよ」

 

 やり直しとかでやっちゃ不味い事とかあったな。

 クズとか戦争の抑止力になってるし殺しちゃだめだし、同時にビッチの殺害もダメだ。

 後シルトヴェルドに尚文とか連れてったら戦争になりそう。

 

「ほぉら肉だ」ポイ(っ・-・)⊃ ⌒Ꮚ

「グアー」

「グアアア!」

「グア!!」

 

 ドラゴンを狩ってきましたから肉をプレゼントですぞ!! ガツガツ食っていますな。

 

「お味はどうですかな?」

「「「グアグア」」」フルフル

「え、良くないのか!」

 

 まあ、正直者で良いんだけどさ。

 

「グア?」

 

 ん? サンちゃんが何かに気づいたようだ。

 

「ハジメ様! 来客だそうです」

「は? 今日そんな予定無いぞ。誰だよ」

「ええ、予定無いって私も知ってます。実は━━━」

 

 ローナの話を聞く。

 

「……お兄ちゃん」

「ああ、狐狩りだ」

 

 取り敢えず来客には帰って貰い、後日会う事になった。

 本当にアポ取って欲しいよ。用事があったらどうなるんだ? 

 

 

 

 

 ■ ■ ■

 

 

 

 

 3日後。

 

「さて、カリン。予知を皆に教えてくれ」

「はい、30分後、暴れてキラークイーンに殺害されると」

「キラークイーンがー?」

 

 屋敷の中の玉座で俺と愉快な仲間たちが獲物を待ち構えていた。

 それで今確認中だ。

 

 さて、何が来ると言うと。

 

「爪の勇者か」

「この時期って……槌の勇者が死んでるよね」

「尚文が召喚されたところら辺だと偽物だろ」

 

 そう、タクトの配下の狐である。

 この前アポ無しで来たので追い返してたのだ。

 

 ったく、何しに来たのだろうか? 

 タクトとの仲介のつもりか? それとも催眠術でもかけて人質や乗っ取りとかか? 

 

 何にせよ面倒事だろう。

 狩るって事になったし。

 

 一応幻術対策として、とある魔法を覚えた。

 ここで披露しよう。

 

 後始末とかはもう考えてある。

 

「ハジメ様、来ます」

「おk」

 

 準備は万端。来い。

 俺は玉座に座る。

 

『爪の勇者様のおなーりー』

 

 デカい獣人がドシンドシンと音を立てて入ってくる。

 うわー迫力あるなー。

 

 やり直しじゃ匂いとかも真似してたらしい。

 光と闇の魔法で五感の電気信号を狂わせてると俺は推測する。

 

 あ、俺の所に止まった。よし。

 

『我、斧の勇者が天に命じ、地に命じ、理を切除し、繋げ、膿みを吐き出させよう。龍脈の力よ。我が魔力と勇者の力と共に力を成せ、力の根源足る斧の勇者が命ずる。森羅万象を今一度読み解き、彼の者に全てを妨げよ』

「リベレイション・ジャミングⅩ!」

 

 ノースフェラト大森林の魔法の石碑を見てきた。

 四聖勇者とは違う魔法だな。

 

 この魔法は妨害魔法のオールマイティー版で、どんな属性魔法でも打ち消す事が可能なのだ。

 なお、登録したパーティーメンバーの魔法は妨害されない。

 

「なっ!? 貴様ァ!!」

 

 幻術も光と闇の魔法を使用した物なのでジャミングされる。

 なお、証拠の為に映像水晶を撮影している。

 

「よぉ、爪の勇者はどこ行ったんだ?」

「妾に何をした!」

「質問を質問で帰すなあーっ!! どこへ行ったか聞いてるんだッ!!」

 

 話する気ないのか? 敵と判断していいのかね? 

 

「フッ、まさか妾に勝てると思ってるのか?」

「勝てますけど?」

 

 あ、巨大な狐に変身した。

 レベルで勝敗とか決まらないんだけどね。

 念にも絶対って言葉は無いし。

 

「喰らええええ!」

「んー?」

 

 キラークイーンに突進か、外見弱そうだから勝てるとでも思ったのか? それとも人質か? 

 

 残念だが…………キラークイーン強いぞ。

 

「ウグッ!?」

「遅いよー」

 

 狐、トゥリナだったけ?

 隙間に挟まったハムスターみたいになった。ウォーターセブンのルフィ見たいな感じだ。

 

 何も無いところで挟まるってのも手品っぽくていいかもしれない。

 

 キラークイーンの能力は応用力高いな。

 ローナや春菜の能力も応用力がある方だ。

 

「はいくいっくすとらいくー!」グチャ! 

「ぎゃあああ!!?」

 

 動きを止めた上に、技で頭を潰す。

 強くなったな。

 

 さて、後始末しておこう。

 

「武器に死体を吸わせよう」

「……死体が出ないと事件にならないよね」

 

 あ、吸えた。

 なんか強そうな武器が出たぞ。

 

 あ、でもカーペットに着いた血は取れないみたいだ。

 後で戻しておこう。

 

 後は、目撃証人作りだな。

 

「シルフィ、今さっきの爪の勇者の姿になれるか?」

「出来るでござる」

「その姿で俺と一緒に国境付近に行ってくれ」

 

 タクト側から爪の勇者は何処へ行ったかと聞かれるだろうから、誰かに追われているから裏門から逃げさせたと言い訳すればいい。

 国境の門でその姿になってアリバイ工作すれば最高。それで他国に入ったらポータルで帰るっと。

 

 爪の勇者の死体はタクトが処理したと思うし、狐の死体は武器に吸ったからない。

 

「よし、隣の国行くぞ」

「ハイでござる」

 

 

 

 ■ ■ ■

 

 

 

「まったくタクトがうるさいなぁ」

「拙者もそう思うでござる」

 

 後日、タクトの使者が来て爪の勇者が何処へ行ったか聞かれた。何回も。他にも俺にタクトと会うようにと。

 波や勇者同士の連携について議論し、追われてるから裏門から逃がしたと説明。他国との国境付近での目撃があると言う事も教える。

 教えても何度も同じ事聞かれたから、豚王に爪の勇者様を招集してもらったらどうか提案もした。

 

 説明に不自然な所も無い。招集しても死んでるから出れないし、爪はタクトが持ってる。

 爪の勇者が偽物で襲って来たなんて無い。狐なんていなかった。

 国境での目撃証言もあるし、面会が終わってからは死んではいないと言う証拠だ。

 使者はしぶしぶ帰って行った。

 

「お兄ちゃーん!」

「何だ?」

「…………大物2人がアポ取ってきたよ」

「大物? 誰だ?」

 

 

 

 


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