「そう言えばフィロリアル増えたんだって?」
「ああ、3匹な」
春菜と話をしていたらフィロリアルの話になった。
3匹ともドラキューア山脈で育てたのだ。
結構レベルが上がったのでそろそろまん丸な形態になる頃だろう。
「午後暇だし、一緒に見に行かない?」
「夜に仕事あるから問題無し」
よし、行こう。
資質上昇で素早さを上げているのでみんな健脚なのだ。
「そう言えば叔父さんから連絡入ったけど、準備が整ったってさ」
「マジ? 速いな」
「狩る?」
「まだだ。絶望をプレゼントしないと。それに奪ってかないと損」
ああ、まだやらないと行けない事がある。
色々交渉とかしなければ。
「それと1ヶ月経ったのにあのカスまだ生きてる見たい」
「まだ生きてんのか」
「うん、NTR結婚式は後半に差し掛かったって」
「もう1ヶ月続くのか、ざまぁ」
「うん、そろそろ映像水晶が溜まってるから消化しないと」
「アンナも呼んで一緒に見よう」
あのカスまだ生きてるんだな。
生前、アイツは暴行や窃盗の常習で、家の権力で捕まらなかったとか。だから前科も無いらしい。強姦とかをやった噂があるとか聞いた事もある。
好き勝手やってきたんだ。報いを受けろ。
「国王陛下にはもっと長く苦しめてくれと頼んでくれ」
「オッケー」
■
到着!
「グア!」
「グアグア」
「グアー」
「へーこの子達が?」
紫、黄、桃色のフィロリアルが寄ってきて並ぶ。
いやぁー大きくなったなぁ。
「名前はなんて言うの?」
「ああ、紫はオアシスちゃん、黄はクリーム君、ピンクはサンちゃんだ」
「え?」
「キラークイーンって名前もなんか鋭利だし可愛い名前にしたんだ」
オアシスは計算高く、忠実、もしくは機転が利く様になって欲しいと思いが込められている。
クリームは相手を見くびらず冷静に相手の性格・能力を分析し、強敵に対して一定の敬意を評する心を持って欲しいと名付けた。
サンは高く強く、そして正確な行動を出来る様になって欲しいと名付ける。
「お兄ちゃんは何処まで業を重ねるの?」
「あれ? 不味かった?」
「何で敵キャラのスタンドの名前をつけるの?」
そうか? 可愛い名前だと思ったし。
「なあ、俺って頭おかしいか?」
「グア」コクリ
「グアー」コクリ
「グア!」コクリ
「味方いないよ」
「うーん」
チームの中では1、2位を争うほどの常識人なんだけどなぁ。
やっぱ俺達チームは頭おかしいのか?
パリストンから『本当に頭大丈夫ですか?』ってよく心配されるし。
「本当に大きな原作ブレイクとか止めてね。重要なキャラは殺しちゃダメだよ」
「分かったよ」
やり直しとかでやっちゃ不味い事とかあったな。
クズとか戦争の抑止力になってるし殺しちゃだめだし、同時にビッチの殺害もダメだ。
後シルトヴェルドに尚文とか連れてったら戦争になりそう。
「ほぉら肉だ」ポイ(っ・-・)⊃ ⌒Ꮚ
「グアー」
「グアアア!」
「グア!!」
ドラゴンを狩ってきましたから肉をプレゼントですぞ!! ガツガツ食っていますな。
「お味はどうですかな?」
「「「グアグア」」」フルフル
「え、良くないのか!」
まあ、正直者で良いんだけどさ。
「グア?」
ん? サンちゃんが何かに気づいたようだ。
「ハジメ様! 来客だそうです」
「は? 今日そんな予定無いぞ。誰だよ」
「ええ、予定無いって私も知ってます。実は━━━」
ローナの話を聞く。
「……お兄ちゃん」
「ああ、狐狩りだ」
取り敢えず来客には帰って貰い、後日会う事になった。
本当にアポ取って欲しいよ。用事があったらどうなるんだ?
■ ■ ■
3日後。
「さて、カリン。予知を皆に教えてくれ」
「はい、30分後、暴れてキラークイーンに殺害されると」
「キラークイーンがー?」
屋敷の中の玉座で俺と愉快な仲間たちが獲物を待ち構えていた。
それで今確認中だ。
さて、何が来ると言うと。
「爪の勇者か」
「この時期って……槌の勇者が死んでるよね」
「尚文が召喚されたところら辺だと偽物だろ」
そう、タクトの配下の狐である。
この前アポ無しで来たので追い返してたのだ。
ったく、何しに来たのだろうか?
タクトとの仲介のつもりか? それとも催眠術でもかけて人質や乗っ取りとかか?
何にせよ面倒事だろう。
狩るって事になったし。
一応幻術対策として、とある魔法を覚えた。
ここで披露しよう。
後始末とかはもう考えてある。
「ハジメ様、来ます」
「おk」
準備は万端。来い。
俺は玉座に座る。
『爪の勇者様のおなーりー』
デカい獣人がドシンドシンと音を立てて入ってくる。
うわー迫力あるなー。
やり直しじゃ匂いとかも真似してたらしい。
光と闇の魔法で五感の電気信号を狂わせてると俺は推測する。
あ、俺の所に止まった。よし。
『我、斧の勇者が天に命じ、地に命じ、理を切除し、繋げ、膿みを吐き出させよう。龍脈の力よ。我が魔力と勇者の力と共に力を成せ、力の根源足る斧の勇者が命ずる。森羅万象を今一度読み解き、彼の者に全てを妨げよ』
「リベレイション・ジャミングⅩ!」
ノースフェラト大森林の魔法の石碑を見てきた。
四聖勇者とは違う魔法だな。
この魔法は妨害魔法のオールマイティー版で、どんな属性魔法でも打ち消す事が可能なのだ。
なお、登録したパーティーメンバーの魔法は妨害されない。
「なっ!? 貴様ァ!!」
幻術も光と闇の魔法を使用した物なのでジャミングされる。
なお、証拠の為に映像水晶を撮影している。
「よぉ、爪の勇者はどこ行ったんだ?」
「妾に何をした!」
「質問を質問で帰すなあーっ!! どこへ行ったか聞いてるんだッ!!」
話する気ないのか? 敵と判断していいのかね?
「フッ、まさか妾に勝てると思ってるのか?」
「勝てますけど?」
あ、巨大な狐に変身した。
レベルで勝敗とか決まらないんだけどね。
念にも絶対って言葉は無いし。
「喰らええええ!」
「んー?」
キラークイーンに突進か、外見弱そうだから勝てるとでも思ったのか? それとも人質か?
残念だが…………キラークイーン強いぞ。
「ウグッ!?」
「遅いよー」
狐、トゥリナだったけ?
隙間に挟まったハムスターみたいになった。ウォーターセブンのルフィ見たいな感じだ。
何も無いところで挟まるってのも手品っぽくていいかもしれない。
キラークイーンの能力は応用力高いな。
ローナや春菜の能力も応用力がある方だ。
「はいくいっくすとらいくー!」グチャ!
「ぎゃあああ!!?」
動きを止めた上に、技で頭を潰す。
強くなったな。
さて、後始末しておこう。
「武器に死体を吸わせよう」
「……死体が出ないと事件にならないよね」
あ、吸えた。
なんか強そうな武器が出たぞ。
あ、でもカーペットに着いた血は取れないみたいだ。
後で戻しておこう。
後は、目撃証人作りだな。
「シルフィ、今さっきの爪の勇者の姿になれるか?」
「出来るでござる」
「その姿で俺と一緒に国境付近に行ってくれ」
タクト側から爪の勇者は何処へ行ったかと聞かれるだろうから、誰かに追われているから裏門から逃げさせたと言い訳すればいい。
国境の門でその姿になってアリバイ工作すれば最高。それで他国に入ったらポータルで帰るっと。
爪の勇者の死体はタクトが処理したと思うし、狐の死体は武器に吸ったからない。
「よし、隣の国行くぞ」
「ハイでござる」
■ ■ ■
「まったくタクトがうるさいなぁ」
「拙者もそう思うでござる」
後日、タクトの使者が来て爪の勇者が何処へ行ったか聞かれた。何回も。他にも俺にタクトと会うようにと。
波や勇者同士の連携について議論し、追われてるから裏門から逃がしたと説明。他国との国境付近での目撃があると言う事も教える。
教えても何度も同じ事聞かれたから、豚王に爪の勇者様を招集してもらったらどうか提案もした。
説明に不自然な所も無い。招集しても死んでるから出れないし、爪はタクトが持ってる。
爪の勇者が偽物で襲って来たなんて無い。狐なんていなかった。
国境での目撃証言もあるし、面会が終わってからは死んではいないと言う証拠だ。
使者はしぶしぶ帰って行った。
「お兄ちゃーん!」
「何だ?」
「…………大物2人がアポ取ってきたよ」
「大物? 誰だ?」