念能力者の英雄譚   作:煽りイカ

35 / 81
第34話

「おーいパリスー!」

「ボスではありませんか」

 

 夜刀ちゃんと食事を取ったあと、お口直しにジュースを飲みに行こうとすると猟銃担いだパリスに遭遇した。

 

「警備帰りか?」

「ええ、そうです。この後獲物でも取ろうかなと」

「面白そうだから着いて言っていいか?」

「問題ありやせんぜ」

 

 一つ目小僧の固有能力は視力が強化されている事。

 動いている獲物にも普通にヒットさせ、射程距離は2000M程。

 

 前々の世界記録だと3540Mは行くそうだ。

 知り合いのスナイパーは5000Mはいくって。

 

 弾丸に周を使えば軌道も保てるし、空気抵抗も減少するしな。

 

「高台に行きましょう。能力使います」

「あれ使うのか? それで狙撃する所初めて見るな」

 

 俺達は高台に移動する。

 50M位あるかな? テスタが作ってくれたらしい。奴は元々工兵で土木建築が出来るらしく、戦争時に野戦築城等を作ってたとか。

 ……あれ? 工兵って事はどっかの兵隊だったのか? 

 

「階段長ぇな〜」

「父様おんぶ〜」

「はいはい」

 

 大きくなったなー。お父さん嬉しいよ。

 

「父様ぎゅー」

「ふぉっふぉっふぉっ」

 

 いい……温もりが感じる。

 重さに幸せを感じる。

 

「ねー父様。もし元の世界に帰るんだったら私も連れて行って」

「覗いてたな?」

「うん、偶然だけどね」

 

 春菜との風呂を覗いてたか。

 イケナイ娘ね。

 

「父様の世界の方が面白そうだし。色々なモノがありそう」

「その通りだな。美味しい食い物とか凄い景色とかもあるぞ」

「楽しみー!」

 

 他にも俺が見つけてない素晴らしい物とかある筈だ。

 懐かしくなってきたなぁ。

 

「ボス、着きましたぜ」

「結構見晴らしいいな」

 

 いつの間にか着いてた。

 町外れの森が見えたので狩りやすいだろう。

 

 ここでパリスは能力を具現化する。

 十字の様なドローン、その中心の下部にはミラーボールが埋め込まれてる。

 

 これがパリスの能力、悪魔の十字路《キラーポイント》である。

 

 能力はシンプルで銃弾の反射。

 角度を付けるので障害物を避けて狙撃する事が出来る。

 欠点と言えばフワフワと移動する為、遅い事とか? 

 

「お、獲物見っけ」

 

 オマケに固有能力で目が良いので獲物を狩りやすい。

 

「ボス話しかけないでくだせぇ」

「OK」

 

 やっぱ集中とかするんだな。銃口の先には鳥か? 

 数秒後。

 

 パァン! 

 

 放たれて、その先にある鳥が下に落ちていく。

 50M位かな。

 

「ああ、回収して血抜きとかしなきゃな」

「もう、回収したぞ」ヒョイ

「「え」」

 

 俺の手には大きな鳥さんが。

 パリスが撃った獲物だ。

 

「どうやって取ってきたんですか?」

「まあな。能力だ」

「凄い……」

 

 血抜きはしてないな。

 早く処理しなきゃな。臓物を取って冷やすんだっけ? 

 

「それじゃ調理室に持っていきましょうか。後ロクスに魔力銃の整備をお願いするかな」

「やっぱメンテナンスって必要なのか?」

「ええ、1ヶ月に1回は」

 

 さ、見張り台から降りよう。

 でもテスタって凄いよなぁ。この様な塔は後三つあるんだよな。

 1ヶ月で空いた時間に組み立てたからね。

 

 

 

 

 ■ ■ ■

 

 

 

 

「ん、パリスか」

「おう、メンテナンス頼む」

「いいぜ時間空いてるしな」

 

 ロクスの研究室だ。

 何か色んな機械がある。

 

「銃の調子はどうだ?」

「最高だな。スゲー発明だ」

 

 魔力銃。ウチの領地にて使われている武器である。

 簡単に言えば、魔力を銃弾にして放つ銃だ。

 

 攻撃ではなく魔法攻撃で、魔力の消費多いけどそのかわり威力・射程・速度がある兵器だ。

 この発明はレイのカスが発案した物で、国に押収される前に隠しておいた。

 

 材料は希少な素材が使われているので個数は少なく、俺達私設兵しか使っていない。

 拳銃型・突撃銃型・狙撃銃型をも開発。ローナ達も既に所持。

 一応狙撃手も作ろうと思って数人育ててる。見張り台も少し欲しい。

 

「大砲型の魔力銃はどうなってる?」

「アレはもう少し時間かかりますぜ。材料欲しいって所ですね」

 

 うん、大砲型の魔力銃もだ。

 いいなぁ。ロマン。

 

 ちなみに他にも発明した物もある。

 押収して隠しておいた。

 

「さて、この銃丁寧に扱ってるな」

 

 見ただけで分かるんだな。それはそれで凄い。

 

 あ、ロクスが能力使用した。背中からアームが出てくる。

 これがロクスの能力、六芒星《ムシュフシュ》である。

 

 この能力はロボットアームを具現化する能力である。

 戦闘にも使えるし、機械仕事でも効率が上がるとか。

 

「よし、整備完了。調整しといた」

「助かった。今度いい獲物あったら優先するぜ」

 

 いいなぁ。ロクス。

 よく大物取ってくるからなコイツ。

 

「パパー」

「セリア、どうした?」

「はなのかんむりつくったのー」

 

 あ、ロクスの娘のセリアちゃんだ。

 バツイチなんだよな。社員寮にて2人で住んでいる。

 

「ありがとう。後でお父さんとご飯行こうか」

「やったー」

 

 家族でご飯かー。

 …………今日は春菜と夕飯食べよう。

 

 

 

 

 ■ ■ ■

 

 

 

 

 尚文side

 

「いやぁ……神鳥の馬車に乗れるとは私も幸運でした」

「神鳥ですか?」

 

 その日は次の町に行きたいという商人が馬車に乗せてくれと言ったので、乗せていた。

 

「やはり、その神鳥は話せるのですか?」

「…………斧の勇者と知り合いか?」

 

 そう言えば、波の時にフィロリアルクイーンがハジメの配下にいたな。

 魔法の威力が強かったのが印象強い。

 

「ええ、弟の命の恩人です」

 

 アイツも結構実力ある。

 色々な場所で活躍してるだろう。

 

「ゼルトブルの立てこもりの話は聞いた事ありますでしょうか?」

「いや?」

 

 そう言えばゼルトブルの専属って言ってたな。

 クズが治めているこの国よりも、違う国に行った方がいいかもしれないな。

 

「商会館に立てこもりされ、人質を取られた事件です」

 

 立てこもりか、やっぱりテロリスト見たいな奴らもこの世界にはいるんだな。

 

「たった数分で20人もの人間を無力化したのです」

「アイツ人間か…………」

 

 ヒソカが言っていたが犯罪者を狩る仕事だったか? アイツ強過ぎだろ。

 

「他にも領地経営もしておりまして、発展しているそうです」

「確かダンジョンとか温泉があるって噂で聞いたな」

「はい、私の姪もそこで働いております」

 

 領地が人が来そうな場所にある。金とか零す人間が多そうだな。武器や薬とか売れそうだ。

 

「姪が言っていたそうなんですが、斧の勇者様やその兵隊達は屈強だとか」

「どのくらいだ?」

「同じLvでも歯が立たないとか聞きましたね…………私の姪も斧の勇者様の配下なのですか、素手で魔物を倒したとか」

 

 いったいどんな鍛え方をしているのだろうか? 

 魔法もスキルもとんでもない威力だったし、強化方法でもあるのだろうか? 

 

「他に奴の事で知っている事は無いか?」

「そうですな……そう言えば斧の勇者様のフィロリアルは空を走りますな」

「空?」

 

 空を飛ぶなら分かるが…………走る? 

 

「私も半信半疑でしたが実際に見て驚きました。本当に空で馬車を引いて走ってますよ」

「フィーロそんなことできないよー」

 

 そう言えばヒソカもトランプを宙に浮かせてたな。

 何かのトリックか? 見えない道路が空中にあるとか。

 

「他にも配下の数人は使い魔がいるとか。クワガタとか恐竜型の使い魔を領地で見ました」

「使い魔?」

 

 異世界ならではの要素だな。

 …………三勇者は持ってるのか? 機会があれば聞くか。

 

 一度集まって波に対しての作戦会議をした方がいいかもしれない。

 聞いた話じゃ錬がハジメのから編隊機能の事を聞いたらしい。

 根本から見直した方がいいだろう。

 

「後は山の形を変え━━」

「ナオフミ様! 前方に武器を持った人間が!」

 

 全くこの国の人間ときたら…………。

 俺は外に出る。




☆悪魔の十字路〈キラーポイント〉
・銃弾を反射し、軌道を変える能力。操作系。
・監視能力もあり、それでターゲットを定め撃つ。

モデルはジョンガリ・Aのスタンド。

☆六芒星〈ムシュフシュ〉
・六個のアーム付きのマジックハンドを具現化する能力。
・作業効率が上がる他、かなり戦闘でも活躍する。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。