念能力者の英雄譚   作:煽りイカ

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第37話

「あ、錬」

「ハジメ? 何故ここに?」

「俺の領地」

「そう言えばそんな話しあったな」

 

 とある日の昼下がり。剣の勇者、天木錬と遭遇した。

 

「ダンジョンにでも遊びに来たのか」

「まあな、メルロマルクでも有名だそうだからな」

 

 ほうほうダンジョンに来たとな。

 まだ見るものあるんだけどね。

 

「ここいい所だな」

「だろ? 温泉とかあるし」

「パーティー全員で昨日から泊まりに来ていてな」

 

 最近旅館とか増えたからな。

 相当賑わってる。

 

「暇だったらコーラ飲みに行かねえ?」

「コーラ!?」

「植物改造したら偶然な」

 

 他にも紅茶とかミルクティーとか出てきたのだ。

 

 そして喫茶店。

 

「それでどうよ景気は」グビクビ

「メルロマルクが怪しくなってきたな」ゴクゴク

 

 だろうね。三勇者の中では頭が回る方だからね。

 他は馬鹿しかいないし。

 

「あの時の決闘の時にあの王女の横槍もおかしいしな。尚文の扱いも酷すぎる。波のボスを倒すのも大事だが民間人の避難も同様に大事だ」

「なのに尚文が不遇」

「お前……何か知ってるんじゃないか?」

 

 まあ知ってますけどね。

 教えてもいいけど原作ブレイクしそうだ。

 

「知ってるけど? 教えないが」

「理由は?」

「直にわかるし教える必要が無い」

「そうか…………」

「ゲームでも自分で謎を解く事も大事だろ」

「そうだな」

 

 コイツ頭いいからな。すぐ分かるだろう。

 つーか真実教えたら国から逃げてブレイクしそう。

 

「気をつけろよ」

「分かっている」

 

 コーラをおかわりした。

 氷入ってたから沢山飲んだ。

 

 現代日本から来たんだし味わっておきたいだろう。

 

「そうだ、この後暇か?」

「ん? まあな」

「少し着いて来てくれ」

 

 んで、連れてこさせてきた先。

 ステージや音響機器を設置。

 

「何だこれ?」

「アイドルのライブ」

 

 そう、実は芸能関係にも手を出してたのである。

 

「錬は行ったことあるのか?」

「いや、知り合いが行ったことあると言ってたが」

 

 ちなみに俺の知り合いにアイドルがいるからそれが軸となっている。

 大体を真似てみた。

 

「あれなんて読むんだ?」

「夜刀ちゃんのライブ」

 

 試しに歌とか踊りをさせてみたら上手く、宴会で皆の前で歌わせてみると好評。

 俺から見ても才能あるし、金取れる腕前だ。

 

 それでサプライズで広場にてライブをしたら領民からも好評。それでクチコミでゼルトブル国内でも話が広がって行った。

 

 この前ゼルトブル首都にてライブした。

 いやぁ〜人が多いからグッズが売れる売れる。

 

 音響機器はロクスに作ってもらい、服はマリオン、作曲はアンナ。

 

 俺ラ○ライブとか好きだ。

 華やかで楽しそうな作曲と服にしてみた。

 

『みーんなー! 今日は来てくれてありがとー!』

『『『『わああああああああああああぁ!!』』』』

 

 1人じゃきついだろうし、ユニットとかも組んでみた方がいいかもしれない。

 

「音響も本格的だな」

「技術者が優秀なだけさ」

 

 良い部下を持っただけですよ。

 

『聞いてください、最初は《白雪姫》!!』

 

 夜刀ちゃんホントに踊り上手いな。

 2曲目3曲目を続けていく。

 

『〜♪♪ 〜♪♪ 〜♪♪♪♪』

 

 錬も魅入っているようだ。

 

『みーんな最後まで聞いてくれてありがとう!!』

『『『わあああああああああぁぁぁ!』』』

 

 すっごい盛り上がりである。

 ちなみに遠征とか考えているので、暫くしたら他の国へも行こうと思う。

 

「レベルが高いな…………」

「でしょ?」

 

 才能って凄いよね。

 この後は握手会ですな。

 

「そろそろ行くか。またこの領地に来るとするか」

「ああ、また来てくれ」

「コーラ美味かったぞ」

 

 その時までにパフォーマンスとか磨いているから楽しみにしていてくれ。

 

 あ〜オタ芸とかする人居ないかな。

 公式ファンクラブとか作ろうかな〜? 

 

「さーて仕事…………ん?」

 

 また誰かの視線を感じるな。

 本当に何なのだろうか。

 

 

 

 ■

 

 

 

 ? side

 

「痛てぇ!」ドカ! 

 

 クソ女神に巻き込まれ認定されて、気が付いたら後頭部に衝撃が走った。

 他のクラスメイトも同様だ。

 

「ああ、救世主様達!! この国をお救い下さい!!」

 

 世界よりも国なんだな。

 

「あの……あなた達は?」

「私達はベールラル国の魔術師団です。まず女王様と謁見をして欲しいのですが…………」

「ええ、わかりました」

 

 盾の勇者の世界か? 名前が出てこない国名もあるだろうし。絆の世界って事も有り得る。

 

 つーかメガヴィッチに送られた時点でこの国が胡散臭い。

 

「ねえ、草野君?」

「何?」

「草野君ってゲームとかするの? こういう世界とか詳しい?」

「さあ」

 

 Web小説とかよく見るし、大体陰謀とか隠れているんだよな。

 権力争いに邪魔だから暗殺とかあるだろうし、領地拡大や資源略奪の為に使われるとか。

 

 このバカ共は操りやすいからいい人材だろ。

 

「では謁見なので頭を垂れて膝を着いて下さい」

「なんで救世主がそんな事しなければならないんだよ」

「止めないか雨宮君! 郷に入っては従えとあるだろう! 話が進まないじゃないか!!」

「わ、分かった」

 

 雨宮君の言葉も正論だと思うけど。

 やっぱり怪しいなこの国。

 

「女王陛下のおなーりー!」

 

 出てきたのは僕らと変わらない歳の女だった。

 少しケバい女だな。ビッチの端末の可能性もあるだろうな。

 

「皆様ようこそベールラルへ。私はこの国の女王エイリーと申します」

 

 でもなんで若いの? 継承権とかあるだろうし。

 

「私は夢を見ました。女神様があなた達が来ると言う夢を。そしてこの世界を救ってくれると!」

 

 隣を見ると剣城君が真剣な眼差しで話を聞いている。やめとけ。

 上手い話なんてこの世界にはないと思うよ。

 

「この国は数年前までは独裁国家でした…………ですが私は自由と平等、そして博愛の為に革命を起こしました。しかし、大勢の人間が死に、今人が居ないのです…………」

 

 ぽたぽたと涙を流す。嘘泣きっぽいなコイツ。

 革命ってのも胡散臭い。

 

「我が国は波や他国の侵略に怯えています。お願いします…………あなた達の力を私達に貸してください」

 

 簡単に言えば、労働力が欲しいんだな。

 独裁国家とか言ってたけどコイツらも独裁主義っぽい。

 

「皆! この話を受けようと思う。困っているんだし助けてやりたい!!」

「しょうがねえな。付き合ってやるか!」

「太一!」

「仕方ないな。手伝おう」

「雪菜!」

「私も頑張るよ!」

「乃々華!」

「私も…………」

「イリス!」

 

 えー? 疑わないの? 

 自由・平等・博愛なんて使ってる時点で信用出来ないんだけど。

 周りの人間を見ても同様疑ってない。

 

 取り敢えず、逃げる準備とかをしておこう。

 

「それでは別室へ。ステータスの確認をしますので」

 

 来たよクラス転移のお約束。

 俺が笑われるんだな。

 

 そして別室。

 

「おお、ツルギ殿。ステータスが常人よりも高いですぞ。攻撃力と魔法攻撃力がずば抜けておりますな。素早さも高い」

「いやぁ嬉しいですね」

「おお、ハガネダ殿もステータスが高いですな。攻撃力と防御力が凄まじいですな」

「へへっ、ありがとよ」

「ホウリュウジ殿は素早さが特段にありますな。我が軍でもこんなには無い」

「フン」

「ハシヒラ殿はMPが大量にありますな。回復や援護の適正ですし、治療院でも引っ張りだこでしょう」

「ふふっ、嬉しい」

「シルバーランス殿は魔法攻撃力や魔法防御力とMPが常識を超えていますな」

「…………」

 

 確かこの五人は勇者の補正がある上に、ステータスが上昇してるんだっけ。

 

 あ、次は僕の番か。

 

「クサノ殿は…………ステータスには変わった所はありませんね」

「だろうね」

「そりゃそうだろうな! だって女神様から加護を貰ってないんだしな〜」

 

 なんだろうなコイツらは信用出来ない。

 

「と、取り敢えずステータスって訳でもないので。レベルアップしていくと伸びが上昇するケースもあるので…………」

 

 この人いい人なのか? 

 そう言えば大器晩成のキャラとかいたな。

 

 

「それでは皆様、歓迎パーティーがあるのでご出席を」

 

 うわっパーティーとかあるんだ。

 まあ初日だし媚び売った方がいいか。

 

 で、パーティーに参加したが。

 

「こいつ何にも加護を貰ってないんだぜ〜!」

 

 って雨宮君が大声を出して指を指す為、人が全然来なかった。

 

 部屋は期待されていないのか城の空き倉庫だった。

 勿論使用人はいなかった。


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