「それじゃ盾の勇者の事をお願いねフィーロ」
「うん!」
まずは説明しておこう。
俺や尚文達とヒソカ。バラけて動く事に。
俺、尚文とヒソカで勇者を説得する事になった。
それでヒソカとクロちゃんはもう別の所へ飛ばされてる。
フィトリア曰く、まだ三勇者は生きているそうだ。
生存している反応があるらしい。
「斧の勇者」
「なに?」
「皆をお願い」
「……善処する」
俺が呼ばれたって事は何かあるって事か?
…………原作と違う何かが。
可能性はあるな。
フィトリアやグラスが念能力を使用している時点で原作と違うし、前の世界の人間が関わっている事は間違いない。
マジでこの世界線はどうなってやがる。
■
「関所か」
「うってつけだな」
「あ、槍の勇者ですよ」
「話が通じないのが来ちゃった」
あーこれ原作通りの奴だ。
とりあえず降りよう。
「元康、話をしたい」
「…………」
「大事な話だ」
「言いたい事は……それだけか」
「は?」
「盾の悪魔ぁぁぁぁぁ!」
攻撃してきた。
あ、錬と樹が死んだとか言われたんだっけ?
「おい、元康!?」
「錬と樹はお前にとって、そんなモノだったのかよ!」
「あ?」
「俺が錬と樹の仇を取ってやる!」
やっぱりか。
尚文がアイコンタクトしてくる。騙されてるぞ。
フィトリアに聞いたところまだ生きてるらしいぞ。
「落ち着け、元康。俺は殺していない。その必要が無い、お前は錬と樹の死体を見たのか?」
「……っ」
「教会の影からからの確かな情報ですわ。街に封印された魔物を解き放ち、その隙にレン様とイツキ様を殺したと」
ビッチ、お前も利用されているのが気がついていないのか?
通常、人を貶めるような人間が信用出来ると思うの?
取引ってのは信頼できる相手と結びますからね。
「モトヤス様、盾の悪魔は洗脳の盾を使いますわよ。お気をつけください!」
「俺は……騙されない!!」
洗脳って…………そうされてたらもっと様子がおかしいと思うけど。
「流星槍!」
尚文に当たりそうになるが、
「えい」パシーン
「ハジメ」
「ちょっと俺に話さしてくれ」
「お前が話すとややこしくなりそうなんだか?」
まあ、策はある。聞いててくれ。
「よぉ、元康」
「ハジメ、お前も洗脳されたのか!」
「待て、洗脳なんて無い。ただのデマだ」
「クソッ…………」
洗脳の力持ってたら、操ってこの国を襲撃するだろう。
…………流石にしないか。
「原点に戻って考えてみろ。何故洗脳なんて言葉が出た?」
「そりゃ国中の人間が尚文を称えてるんだぞ? おかしいだろ!」
「ほぉ? なんで?」
「弱職の盾なんて活躍出来るわけないだろ!!」
「ソウルイーターを倒したのは? 波の際、民間人の避難してたのは? 国外でも活躍してるって有名だぞ」
お前タンクとか馬鹿にしてるだろ。
俺のチームの中にも重戦士いるけど凄い頼りにされてるよ?
「尚文は技能で作った薬を売りながら人助けをしていたんだ。更には三勇者がやらかした事の尻拭いもやってる。それで多くの人間が救われたんだ。皆称えるに決まってるだろ」
「だから洗脳してるからだろ!」
「盾の勇者が活躍して他の四聖が他人に迷惑かけてるんだぞ? 三勇教か嬉しいわけない。洗脳なんて話になるだろ」
「三勇教?」
「あーこの国の宗教。三勇者が偉くて、盾の勇者が悪魔って教えの国教。盾の勇者は神敵で完全アゥエイって事だ」
三勇教知らなかったのか。
不味くないかコイツ。
「だ、たけどマインを襲ったんだぞ! 強姦なんてするやつ信用出来るわけないだろ!」
「その王女様が人を陥れて楽しむ性悪だぞ? 国内外でも有名だが?」
「何かの間違いだ! マインを陥れようとしているんだろ!」
「それじゃ決闘の横槍、リユート村への重税はどう説明する?」
「くっ…………」
「モトヤス様! 騙されてはいけません!」
「第一に洗脳の武器なんてお前らのゲームの中にあるのか? あるんだったら他の勇者も怪しいだろ。何故尚文だけを疑う?」
「俺は…………俺の仲間を信じる!!」
こいつが洗脳されてるんじゃないか?
これだけ証拠が集まったのに。自分でもおかしいと思ってるだろ。
「さ、ビッチ王女様。取引しようぜ」
「?」
ここからは本題。
コイツは悪知恵は働く。
話がわかればいいんだが。
「実はメルロマルクの女王にもう会っている。盾の勇者の濡れ衣の事もその時に話した」
「フン」
「国民に施してきた神鳥の聖人と権力で他人を陥れる極悪人、どっちを信じるかな?」
大将を落とすなら馬を射よってね。
「実は今各国が結成した反三勇教連合がもうメルロマルクに入ってる。もう三勇教は終わりだ」
「…………」
「ちなみに女王はクズ王とビッチ王女を許さないらしくてな、戦争も起きそうだったり死んだ人間も多いから、死刑も有り得るかもしれないな」
「…………」
「そこでだ。取り引きしよう。元康を止めろ、そしたら死刑の中止と多少の人権だったら守ってやる」
「…………」
「それに、三勇教が評判の悪い人間と仲良くしたいと思うか? 最後は毒盛られて死ぬぞ。他人を貶める人間は信用出来ないから継承権を下げられたんだろ?」
「長々説明どうも…………大法螺なので信じられませんわ!」
ダメでしたわ。
「尚文スマン」
「いい、ん? 何がするみたいだぞ」
ビッチがなにかするみたいだな。捕縛の雷鑑だっけ?
あれ? 俺の強さはビッチは知ってるよね?
だったらなんで俺との交渉を断った? 元康じゃ勝ち目ないのに。
…………俺を封じる手があるって事か?
「さあ、勝負の時ですわ!!」
ビッチが何かすると、雷で出来た檻が出現。
ん? 俺らの地面がマス目の様になる。
あ、上にプラネタリウムのようなのが出現もしてるな。
「なっ!?」
「うっ!」
「わっ!」
「きゃ!?」
俺らに重力がかかってくる。
「ほ、捕縛の雷鑑…………」
「それとグラビティフロアと断魔の夜? 確か値段張るよねこの術式?」
あれ? 初めて聞く単語だな。
「春菜、説明よろしく」
「グラビティフロアは味方以外に重力をかける設置式の罠で、断魔の夜は味方以外の魔法威力を著しく下げる設置式の罠」
「確実に殺りに来てるな」
フィトリア、グッジョブ。
お前の勘は当たっていた。
多分俺が助っ人に来ることをビッチか三勇教は読んでいたのか?
「確かこれらはフォーブレイの最新の魔法トラップだったはず」
「フォーブレイは未来に行ってんな」
今度調べてみよう。
色々な事とか出来そう。
「お……い……」
尚文? 声に元気無いぞ。
「大丈夫か?」
「お前……ら平気……なの……か?」
「もっと重くてもいいぞ」
「この位朝飯前ですよ」
シルフィはスクワットし始めた。
この位の重さ、ジジイの一撃より軽い。
あれ? 元康達も驚いている顔してる。
俺を殺りたいなら真面目にやってくれませんかね?
「さて、誰が戦う?」
「父様! 私も戦いたい!」
「拙者が戦うでござる!」
「私やりたーい!」
「キラークイーンもー!」
「私もやりたいです!」
皆戦いたいのかよ。
もしかして皆さん元康さんの事嫌い?
「あのビッチを殴りたいでござる!」
「ウザ男をボコボコにしたいです!」
皆ストレスとか溜まってるんだね。
シルフィも要らないサインを貰ってたし、冤罪で盾の勇者を格下扱いしてたから嫌いだろうな。
「それじゃこうしよう。全員で戦おう、その方が早い」
『はーい』
あー元康の負けだな。
「な!? 洗脳した人間を使うのか!? ふざけるなよ尚文!!」
説得しようとした俺が馬鹿だったよ。
どうしたら納得してくれるんだ?
自分で物事考えられねぇのか?
「ごめん君達、皆を元に戻す為に、そして錬と樹の為に俺は……」
「フン!!」
「ぐはぁ!?」
ローナのアッパーカットの一撃により、空中にランデブーする。
他の奴らは後ろにいる女共を襲撃。
「オラオラビッチが!!」
「往生しろでござる!」
「調子乗るなアバズレ!」
「"ピッー"」
おやおや? キラークイーンが"ピッー"なんて言ってますよ。
後、往生したら苦しめられないですぞ?
攻撃開始から10数秒。
元康のパーティーはボコボコだ。
「うっ……」
お、まだ立ち上がるのか。
道化だけどよく頑張るよ。
「俺は……こんな所で倒れる訳は行かない…………」
「よし、これでグラビティフロアを解除と」ガチャガチャガシャン!
「錬と樹の仇を取って…………皆の洗脳解かないと…………」
「春菜ー! 断魔の夜ってどう解除するのー?」
「俺は諦めない。何故なら俺は……槍の勇者だからだ!!」
「断魔の夜の真ん中に装置があるから自分で探してー!」
「おっけー、えっーとここか? アクアレーザー!」ドカーン!
二つのトラップを解除。
後は捕縛のの雷鑑か。
えっと? グラビティフロアと同じく地面に隠されてたのか…………。ガチャガチャ
尚文も解除されたので普通に立っている。
今の元康の言葉聞いてて、呆れてる。
「俺は負ける訳には行かないんだ!!」
「!」ぞわり
フィーロたんが何かに気づいたようだ。
尚文・元康・俺パーティーを中央に蹴って集める。
「フィーロ! 何のつもり━━━」
「斧のひと!!」
「あ?」
「防いで!!」
「どういう意味だ?」
「早くして!!」
おいおいなんで知っている!?
俺に防げる手段があるなんて何故わかった!?
「フィーロ? なにを━━」
「早く!」
くっやるしかないか。
多分イレギュラーが可能性が高い。
「全員、守るけどこれを見た事は忘れろ」
人員交換はやる?
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やる
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やらない