念能力者の英雄譚   作:煽りイカ

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第45話

「それでは弾劾裁判を始めます」カンカン

 

 教皇戦が終了し、数日が経った。

 加勢が間に合わず、尚文がブラットサクリファイスを使用し、重症アンド呪いで眠っていた。

 

 俺が起案した反三勇教連合も仕事してくれたらしい。

 参加したのはメルロマルクの女王派やゼルトブルやフォーブレイ、そしてシルドヴェルトやシルドフリーデンも参加。

 

 一緒に血を流すことが大事なのだ。

 それが波に対して結束を深めるので俺が発案。

 

 話を戻そう。

 

 尚文が復帰、女王が帰還したのでグズとビッチをボロクソにする裁判が始まった。

 

「マイン、任せろ! 絶対無実を証明してやるからな!」

 

 弁護人 元康。

 

 結構証拠出てるし、どう弁護するか楽しみ。

 

「無駄な足掻き…………」

 

 検事 春菜。

 

 なんか知らないが、異端審問官とか資格持ってたらしい。

 あとメガネとスーツ姿でノリノリ。

 

「被告人前へ!」

 

 裁判官 女王。

 

 誠実な判決をできそうだな。

 

「それではこの二人の罪状を━━━」

「待った! マインが何をしたんだ!?」

 

 は? そこから? 

 

「この二人は私が居ないのをいい事に三勇教と組み、国家の転覆を狙っていました」

「ワシはしらんぞ! 盾じゃ、皆盾がやったんじゃ!」

「私は無実よママ! 皆盾が悪いのよ!」

「…………」

「違うって言ってるじゃないか!」

 

 尚文パーティーは呆れてるな。

 ここまで来ると頭が心配。

 

「それでは罪状を読み上げますね。波の混乱時に女王派の人間を投獄、または左遷。更には四聖勇者を他国に無断で召喚。女王が沢山頭を下げてました」

 

 春菜検事が読み上げていく。

 ここまではクズが悪いな。

 

「そして四聖勇者を召喚するも盾の勇者に強姦容疑の濡れ衣。不純な理由で決闘を強要させ、反則で槍の勇者を勝利させ奴隷紋を解除」

 

 尚文になんの罪もないのに、なんでこんな仕打ち受けないといけないんだ? 

 

「三勇者が各地で問題を起こして死人を出しても、本人達には何も罰もない。それで三勇教と結託しメルティ王女と盾の勇者を葬ると計画」

「でっちあげだ!」

 

 また言ってんのか? 

 こっちも証拠も証人も揃ってんだよ。

 

「全部尚文の陰謀だ!」

「そうですか〜証人も沢山いるので登場してもらいましょうか」

 

 

 証人その1 ヴァン・ライヒノット卿

 

「ご無沙汰です。盾の勇者様」

 

 尚文を匿った優男の貴族である。

 鞭使いのデブ貴族にボコボコにされたそうだが回復したそうだ。

 今、国や亜人達の為に走り回ってるそうだ。

 

「それではライヒノット卿、証言をどうぞ」

「えっとまず最初の波が終わった後なんですけど━━」

 

 最初の波が終わった後の事なのだが、それを皮切りに亜人の難民がよく流れてくるようになった。

 

 聞き出したのだが、国の兵士が奴隷狩りをしているから逃げてきたと多くの亜人が証言。

 自分の領地にもちょっかいとかもかけられたらしい。

 

「それでちょっかいをかけてきた国の兵士が三勇教のロザリオを持っていました」

「なるほど、三勇教が国に癒着していた証拠になりますね」

 

 国と三勇教が結びついていた証言ですな。

 相当根深いな。

 

「それじゃ次の証人〜」

 

 

 証人その2 エクレール・セーアエット

 

「エクレール・セーアエット! 貴様!」

「久しぶりだな国王…………」

 

 女王派の人間なので、信頼出来るのである。

 

「牢から脱獄してどこへ行っていた!?」

 

 それは簡単。

 

 ★

 

 数ヶ月前。

 

「お前がエクレールか?」

「…………そうだが貴様は?」

「女王派の人間を助けに来たんだが……他にいるか?」

「は?」

 

 ★

 

 投獄された人間を女王への手土産にしていた。

 フォーブレイへ行った時に、ついでに女王にも会っていたのだ。

 いい恩を売れた。

 

「私は奴隷狩りの兵士を発見し、撃退していたのですが、捕らえられてしまい牢に入れられていました」

「ほうほう」

「それで拷問をかけられてた時ですが、『盾の悪魔』と何度もその単語を聞きました」

「『盾の悪魔』って単語は三勇教でよく使われる言葉ですね城の内部も三勇教が入り込んでいたって事が証明されました」

「待て! 証言だけじゃ犯罪者にならない! 証拠を出せ!」

 

 ここまで来て信じないのか。

 筋金入りだな。

 

 尚文の濡れ衣を証言だけで信じていたのに証拠を出せと? 

 

 

 証人その3 俺

 

「えーまず自分は配下の商人がいるので、それを情報源にしています」

 

 シーラとイメルダ等で連携している。

 だから相当なネットワークを築いている。

 

「盾の勇者の噂とか聞きますが、殆どが良い評判です」

 

 もう神鳥の聖人だって事はゼルトブルには広まってるぞ。

 

「多数の人間に施し救いをしてきた人間が強姦をする最低な事をするのでしょうか?」

「だから皆洗脳されてるからだろ!」

「えっと、この前も言ってたけど洗脳って証拠は無いし、洗脳の盾もあるんなら他の武器にもあるでしょ」

「だけどマインを襲ったんだぞ!」

「情報じゃその王女は人を陥れるのが好きだから継承権を下げられたってさ」

「その通りでございますキタムラ様、それはここにいる全員が知っております。更には国庫から無断で抜かれていますよ」

「なっ…………」

「エステやアクセサリーに使われてたらしいぞ」

「他にも槍の勇者様の元パーティーの冒険者の殆どはマルティ王女の陰湿なイジメで辞めたそうです。後で本人達に聞いてみますか?」

 

 何も波と関係無いじゃん。

 横領と一緒。

 

「あと人脈で手に入れたのですが」

 

 映像水晶オン。

 

 ★

 

 まず尚文の寝顔がアップで映る。

 

 次に方向を変えると、ビッチが銀貨の入った袋と鎖帷子を持っている映像が。

 

「フフフ……馬鹿な男、騙されちゃって……明日が楽しみだわ」

 

 酷い。

 だが尚文に着いてれば、継承権第一位になれたんじゃないか? 

 

 で、まだ映像が続く。

 

「あら、モトヤス様ではありませんか」

 

 バッチリ元康に鎖帷子を渡す所も捉えていた。

 これは言い逃れが出来ませんね。

 

 それでビッチが元康と離れたので、

 

「…………」ドガ! 

「うぐ!?」

 

 俺は元康に蹴りを食らわせた。

 

 ★

 

「捏造だ……」

「ほぉ?」

 

 まだ言うか。

 

 

 証人その4 天木錬

 

「錬? なんでお前が?」

 

 ああ、俺が頼んだら協力してくれた。

 

「俺もこの国がおかしいと感じていたんだ。尚文の扱いが酷すぎる。樹とも話してみたが同様だ」

 

 普通の頭だったら理解出来るでしょ。

 

「決闘騒ぎでもそうだった。この国は奴隷を禁止していないし、明らかに不正を行ったのに元康の勝ちだぞ?」

「そりゃそうだろ! 勇者が奴隷を使ったらダメだからな!」

「だったら勇者が民間人に迷惑をかけちゃいけないし、国家転覆を手伝っちゃだめだろ…………」

「うっ…………」

「それに完全アウェイで仲間を作れると思うのか? 尚文は民間人を避難させたのに奴隷を没収するのはどうなんだ?」

 

 なお、注意だけでお咎めなしだそうだ。

 尚文は女性を襲って国内外に悪評を出されたのに、三勇者は民間人の生活に危害を出したのに注意だけって? 

 

「でだ、仲間や他国からこの国の話を聞いてみて真実を知った。女王が不在だったり盾の勇者が神敵だってな。それで変な話も聞いた」

「変な話とは?」

「実は城下町の草原でレベル上げをしていたんだが、近くに尚文がいたらしくてな」

「ふむふむ」

「俺の仲間曰く、元康のくさりかたびらとそっくりの装備していたと言っていた。それだと今さっきの映像とも辻褄が合うし、尚文が枕荒らしをされた証言と合う」

「そう言えば最初の波の直前まで鎧を装備していなかったと情報があります。枕荒らしされて無いのならば装備してるはずですし」

 

 

 証人その5 武器屋の親父

 

「えっと、鎖帷子の登録番号を記録してたから確認するように届け出をだしてんだが……全然返答が無くてな」

 

 親父ぃ、トドメ刺してくださいよ。

 返答が無いって事はそれだけ知られたくない理由があるって事? 

 

「それじゃ脱いでくれますかね?」

「…………ほら」

「それでは調べて貰いましょうか」

 

 人が出てきて、レンズのような道具で調べていく。

 

「これはそちらの武器屋で作られたものですね。しかも良い鎖帷子だ。相当いい腕を持ってますな」

「おっと嬉しいねぇ」

 

 ゼルトブルの武器屋と遜色ないな。

 

「認め…………ない」

「はい?」

「マインをそんなに貶めて何が楽しいんだ!!」

 

 皆でっちあげでやってると思ってんの? 

 証人とか相当信頼出来る人間なんだけど。

 

「それでは本人の口から聞いてみましょうか?」

 

 今さっきからスタンバイしていた奴隷のインク。

 嘘を吐けなくしたり、行動を制限する事ができるのだ。

 

「ぎゃあああああああああああああ!!」

「マルティィィィィィ!!」

「ヒソー、お腹空いたー」

「後で食堂行こうか♦」

 

 お前らコンビ通常運転だな。

 まあ、どうでもいいだろうな。

 

 それでここからは原作通りビッチが白状。

 ここまで証拠や証人が揃ってるし。

 

 それで、ビッチの自白が終わった。

 そして女王が提案、尚文が罰を決めると。

 

 こうして、クズとビッチに改名されるのであった。

 

 

 

 ■

 

 

 

「美味い美味い」ガツガツ

 

 キラークイーン、よく噛んで食えよ。

 ただ今パーティーの中。

 

「なあ、ハジメ♣️」

「どうしたヒソカ」

「今回そっちの方も能力者に会ったかい? ♠」

「…………会った」

 

 そっちにも? 

 やっぱりおかしい。

 

「こっちは三人組だったんだけど━━━」

 

 ヒソカの話を聞くと、一人殺したんだけど光になって上に飛んで行ったそうだ。

 残り二人は悲しむ様子もなく、敵わないのでまた光になって逃げた。

 

 これだけイレギュラーが多いとイベントが心配になってくるな。

 次はカルミラ島、霊亀戦、絆の世界もあるかもしれない。

 

 俺も気をつけなければ。

 

「ヒソーこれ美味しいよー」ガツガツ

 

 あ、ビッチが尚文に毒を盛って失敗して、痛い目に合うやつだ。

 見に行こう。


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