念能力者の英雄譚   作:煽りイカ

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第46話

「…………」

「…………」

「…………」

 

 ただ今、四聖アンド俺と女王でテーブル囲んでいる。

 情報交換なのだか沈黙が続いていた。

 

「ええ、そろそろ話し合いを始めたいと思うのですが…………あまり気が進まないご様子ですね」

「せっかく集まったんだ。腹を割って話さないか?」

 

 情報交換はもっと早いうちにやっとくべきだろうに。

 

「始めてくれ」

「此度は三勇教の起こした事件により、多大なご迷惑をお掛けしました。その補填をしたいと私共は考えております。近々カルミラ島が活性化する見込みです」

「本当か!」

「ボーナスフィールドが出現するんですね」

 

 もうポータル取って準備はしてある。

 夜刀のライブやシーラの店の出張もするって。

 

「活性化?」

「ああ、数十年に1度魔物の経験値が上がるって現象。この前ドラキューアって所で活性化があったんだけど、俺の私設兵もlv70くらい逝ってるぜ」

「そんな場所があるのか…………」

「尚文はそんなことも知らなかったのか?」

 

 うわっ腹立つ。

 この世界は俺も知らないこともあるし。

 

「勇者様同士の争いでレベルアップの弊害になっていたのは事実。つきましては効率よくレベルをあげるために、胸襟を開き情報交換等如何でしょうか?」

「そうだな、分かった」

「俺も」

「情報交換なんで言っても話すことはないぜ」

「ですね」

「ご理解頂けるように申し上げましょう。イワタニ様とヤマカワ様以外の勇者様がたにおいては、その強さに難ありとの意見がございます」

「「「!!」」」

 

 !! じゃねえだろ! 

 他の第三者から見ても普通に分かるだろが。

 

「どういう意味だ…………」

「前回の波で敗れた勇者様方が、次の波を生き残るとは考えられません」

「なんだと!」

「波を生き残るためには勇者様方の結束が必要です。この場はその為の話し合いだと考え下さい」

 

 つーかその言葉がもっと前に言う言葉だと思う。

 波はチームで挑むものではなく集団戦だ。

 

「まず、ハジメさんと尚文さんから話すべきでしょう」

「べき?」

「ハジメも?」

 

 まあ、わかるやつにはそうだよな。

 

「あなた方の仲間は異常に強すぎます。どこでチート性能の武器を手に入れたのですか」

「は?」

 

 尚文はともかく、俺の場合は努力だ。

 楽するのも大事だが、苦労する事も大事だぞ? 

 

「確かにローナちゃんとか凄い強いし」

「あの禍々しい盾にしてもそうです」

 

 尚文はゲーム知識無しでここまで来た人間だ。

 まさか尚文が努力せずに戦ってきたと思ってんのか。

 俺も原作知識を頼りにしてたけど、ミスとかも会ったぞ? 

 

「分かった、教えてやる」

 

 手が少し震えてるぞ。

 

「その代わりお前らも教えろ! ヘルプに乗ってるものでもいい。復習を兼ねて一から教えろ!」

 

 教えて欲しいならばお前らが先に教えろって話だ。

 

「どうする?」

「教えるしかないだろ」

「しょうがねぇな。まず基本だが武器は同じ系統の武器を持つことでコピーできる。ウェポンコピーシステムがあるよな」

「初期はタダで強い武器が手に入って助かりました」

「うん」

「お前ら自白じゃね?」

 

 よく考えてみれば違法アップロードと一緒だな。

 国内ではともかく、国外でやったら不味くない? 

 

「手にするだけでいいのか?」

「尚文さん。そんな事も知らなかったんですか?」

 

 まあ、知らなくても犯罪だからな。

 

「他はドロップだな。魔物とか武器に入れると武器とか素材とかが出てくるぞ。見せたよな?」

「ドロップ…………」

 

 俺もゲームとかでドロップ品とか出たっけ。

 ポケモンとかでも捕まえたポケモンが道具とか持ってたとか。

 

「後は道具の作成だよな」

「技能系ですね。これは元からありますよね」

「……一応、詳しく」

「技能のスキルとレシピを習得したら武器に材料を吸わせて、システムで作るんですよ。しばらくすると武器から出てきます」

 

 一応薬の作成の品質上昇のボーナスを持っているが、オルクがいるのであまり使わない。

 

「転移系のスキルもあるよな?」

「色々な国に行けて便利だな」

「何を入れた?」

「龍刻の砂時計の砂」

 

 口パクでもスキルは発動OKだ。

 屋内や魔物のテリトリーじゃ不可能だけど。

 

「では、特別に強くなる秘訣を教えて上げましょう。この世界はですね、武器のレア度が全てなんですよ。付与とかはついでです。元が強くないと意味が無いんです」

「嘘を言うな。武器の強さは熟練度だ」

「違う違う強化精錬とステータスの高さがものを言うんだ」

 

 やっぱ食い違うよな。

 強化方法は共有出来るし。

 

 あ、言い争いが始まった。

 止めるか。

 

「待て待ておかしいぞ」

「何がおかしいんですか!?」

「ウェポンコピーやドロップは共通してるのに、何故強化の方法は違う?」

 

 固有の強化方法の可能性もあるのに何故言い争いになるんだ? 

 

「ありうるのはそれぞれの武器が強化方法が異なる可能性か」

「確認するが嘘なんてついてないよな?」

「ついてねぇよ!」

「俺もだ」

「一応ハジメの強化方法は?」

「俺は肉体改造って強化方法だな。ステータスにポイントを入れて強化か? 他にもパズルのような方法の強化もあるぞ」

「そんな強化方法聞いたことねーよ」

 

 まあ、武器別に強化方法は違いますし。

 

「お前らも嘘ついてないんだろ? 俺も嘘つかない」

「本当か?」

「信頼出来ないんだったら帰るぞ」

 

 帰る場合は後で尚文に話すか。

 

「ヘルプ見てもウェポンコピーやドロップなんて見当たらないんだが」

「そんなはずない!」

「俺らのヘルプにはあるんだが……」

 

 なんかの妨害とか入ってるんじゃないの? 

 盾の強化方法は知られたら他の勇者が強くなるし。

 

「色々強化方法言ったし、どっち答える?」

「俺から行く」

 

 魔物使いの盾、奴隷使いの盾を説明。

 補正がかかり、どんなものを入れれば出現するか。

 

「何処であの力を手に入れたのですか? 違いますね……言い方を変えましょう。何処で神様に会えたのですか?」

「はぁ?」

 

 いる訳…………クソ女神! 

 

「何処で神様に出会いチートの力を授かったのですか?」

「チートぉ!?」

 

 チートって……どんだけゲーム脳なんだ? 

 

「そんなんじゃねえよ!」

「だってそうじゃないですか! 盾職が戦力になるなんて十分チートですよ!!」

 

 お前らそれ尚文が雑魚とでも言いたいのか? 

 今まで何を見てきたんだ。

 

「そうだそうだ。俺たちがその力を手に入れれば強くなるだろ」

「ああ、盾職より火力あるはずだ」

 

 …………。

 

「お前らさ、今まで何を見てきたんだ? 尚文が相当活躍してたけど盾職が弱職だと?」

「僕らのやってきたゲームでは役に立ちませんよ」

「各地で被害を出すし、この前の波でもズタボロ。それで三勇教の時も遊ばれて騙されてたのは?」

「…………」

「分かるか? ここはゲームとは違う。甘く見ると痛い目に会うぞ」

「ご忠告どうも。気をつけますよ」

 

 ヘラヘラすんな。

 

 それで憤怒の盾の説明をしていく。

 

「ヘルプに載ってるくらいだぞ? それ相応の代償を支払う。ちなみに教皇を倒すときに放ったスキルで俺は現在ステータスがだ」

「……ないぞ、そんな項目」

「俺もない……」

 

 あのカス野郎と話してて、負の感情が湧き上がって何か文字が出てきたけど読んでなかった。

 

「もしかしたら強い負の感情を抱くのが出現条件じゃないのか?」

「確かに漫画とかでありそうだな」

 

 七つの大罪だけではなく、三毒とかもありそうだ。

 

「さ、次はハジメだ」

「どうぞどうぞ」

 

 質問が始まった。

 

 Q 仲間の強さの秘訣は? by尚文

 A 筋トレと走り込み、武器の補正とか

 

 Q どうやって強くなった? By元康

 A 前の世界で修羅場をくぐったから

 

 Q そっちの領地で恐竜に乗りながら奇声をあげてる奴がいたんだかあれはなんだ? By錬

 A 私設兵です

 

 Q あなたの兵隊が一瞬消えて、上からかかと落とししてきましたけど、瞬間移動でも使えるんですか? By樹

 A 普通に素早く移動しただけです

 

 Q ローナちゃんとかとどこまで行ったの? By元康

 A 後でツラ貸せ

 

 Q 小人をラフタリアが見たって言ってるんだか? by尚文

 A ラフタリアさん疲れてるんじゃない? 大事にしてあげなよ? 

 

 Q 修羅場と言いましたが何やってたんです? By樹

 A 犯罪者狩りとか金策とか

 

 Q ヒソカってどんな奴だ? By尚文

 A 変態ピエロ

 

「ホントか〜? 筋トレとかで強くなんのか?」

「お前部活動とか馬鹿にしてるだろ。基礎体力とか反復練習とか馬鹿にならないからな」

「信じ難い話ですね…………」

「法螺でも吐いてんじゃねえの?」

「あ? 何で嘘吐き呼ばわりされなきゃならないんだ?」

 

 念能力の事は隠しているがそれ以前に能力者は基礎体力が大事。

 

 つーか大なり小なりそっちの事を信じてるのに法螺扱いは酷い。

 

「なあ、まだ隠してる事があるんじゃないか?」

「尚文? 他人の個人情報については話さないぞ」

「知り合いの商人から聞いたんだが、そっちのフィロリアルは空を走れるって聞いたんだが?」

「ああ、キラークイーンの?」

「使い魔を召喚するとか聞いたが?」

 

 まあ、そこまでの情報くらいは耳に入るな。

 

「使い魔なんてシステム無いぞ?」

「空を走るなんて初めて聞きました」

「…………カジノでも何かやってたんじゃないか?」

 

 元康、儲けさせたのに言っちゃうの? 

 まあ、言われるのは想定内。

 

「空を走るってのはキラークイーンの固有能力。元の世界でもあるだろ? 透視だったり未来予言したりする超能力者とか。そんな感じ」

「超能力?」

「まあ、そんな感覚だな。訳ありで俺の領地に沢山いる」

「訳あり? なんですそれ?」

「実験動物だが? 聞きたいか?」

 

 そっちの世界にも結構いるだろ。

 特に樹の方は説得できる。

 

「使い魔もか?」

「そうだ」

「お前も何か使えるのか?」

「? ある程度なら」

「SFみたいだな」

「面白そうだから見せてくれ」

 

 面白そうだから!? 

 まあ、わからない程度に教えよう。

 

「女王、ちょっと用意して欲しいんだが」

 

 数分後。

 

「それで何する気だ?」

 

 用意したのは水の入ったコップ。

 

「これをよく見ててくれ」

「?」

 

 俺はコップにオーラを込める。水見式だな。

 

ドハッ!

 

「な! 水が……」

「増えた……?」

 

 コップの水が湧き水の様に吹き出し、テーブルに水が零れていく。

 

「ちなみに俺は水の適性は持っていないから魔法は使っていない」

 

 見せるのはこんくらいか。

 これで満足してくれましたか? 

 

「超能力者っているんだな……」

「いるよ。隠れて静かに暮らしてるのも結構いるぞ」

 

 引退して静かな余生を送っている人間も前の世界にはいた。

 

「他に聞きたいことは?」

「波の被害がゼロって聞いたが何かしたのか?」

「そっちと違って集団でやってるからな。編成機能を使って波のボスを倒す組と避難誘導の組を連れていってる。重軽傷者は出てるけどな」

 

 普通の……思考だよな。

 だって民間人の命を考えるのが国だよな。

 

「他は?」

「まだあるか?」

「ねぇな」

「僕も」

「俺も無いな」

 

 こっちも聞きたいことがあるんだ。

 質問してみよう。

 

「なあ、アルドミティアって国知ってるか?」

「なんだその国?」

「聞いた事無いな……」

「ゲームにはそんな国ありませんよ」

 

 やっぱりゲームには出てこないイレギュラーか。

 

「俺は知ってるぞ」

「え?」

 

 尚文、アルドミティアのこと知ってるの? 

 なんで? 

 

「アルドミティアの商人と知り合ってな。国の事を教えてもらったぞ」

「どんな事教えてもらった?」

「国力がナンバーワンの国って事だけだな」

「そうか…………」

「だが不自然な所が会ってな」

「不自然?」

「ああ、ハジメの━━━━」

「大変です!!」

 

 おや? 兵士が飛び込んできたぞ。

 ビッチと燻製が何かやったのですかな?


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