念能力者の英雄譚   作:煽りイカ

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第47話

「ふぅ」

「あ〜ウザイわ」

「でもスッキリしましたね」

 

 宴が終わった。

 乱闘とか皆やってたらしい。

 

 主導してたのはウチらのパーティーだ。

 

「でもそこまで強くなかったでござる」

「こっちの方は鍛え方が違うからな。あっちもステータスは高い方らしいぞ」

 

 慢心とかしてるからトレーニングとか怠けてるだろう。

 

「それで? どうなって乱闘になった? 詳しい話聞いてないぞ」

 

 

 ■

 

 

 数時間前。

 

「それにしても女王が帰ってきてまともになりましたね」

「ホントだね」

「何人か投獄されたり左遷されたりしたって」

「怖いねー」ガツガツ

「これで盾の勇者様の名誉回復したでござる」ŧ ‹" ŧ ‹"

 

 ここまでは大人しくしていた。

 おかしな事しない限り平和。

 

「だけど三勇教は根深いからね。残党とか居る可能性もあるからまだ終わりじゃない」

「かなり昔から三勇教ってありますからね」

 

 一枚岩ではないからな。

 他の国に根を張っている事もありそう。

 

「ビッチは改心しますかね?」

「流石にしないでしょ」

「薄汚い亜人がいると酒が不味くなる!!」ドシン

「チッ、あそこに粛清対象がいますよ」

 

 鎧、もとい燻製がラフタリアお姉さんに絡んでますぞ。

 名前なんだっけコイツは? 

 

「盾の仲間だか知らんが図に乗るな! いいかよく聞け。樹様さえいれば他の勇者は必要ないのだ!」

 

 お前原作じゃ霊亀の生贄にしたり、都合の悪い時には賭けのツケ押し付けて逃げたよな? 

 槍直しじゃ手の平返して保身の為に殺してた。

 

 お前の言葉に価値なんて無い。

 

「特に盾の勇者の恥さらし。ヒック、お前の腰抜け主に言っておけ、痛い目に会う前に消え失せろ! とな」

 

 何考えてんだコイツ。

 恥さらしはお前だバカ。

 

 そしてこっちを向いた。

 で、近づいてきた。来んな。

 

「ローナちゃん、はい」

「ありがとうございます……」

「シルフィちゃんお願い」ヒソヒソ

「? 分かったでござる」

 

 春菜がとあるブツを渡す。

 

「おい、何故ここにクソ勇者の配下がいる!! 国に帰ったらどうだこの原人共が!!」

「「…………」」

「言葉が通じないとは、今さっきの薄汚い獣と同等だな!」ヒック

「言いたいことはそれだけですか?」シュン

 

 クソ勇者? 

 ローナが燻製の肩に飛び乗り、度数の高い酒ぶっかける。

 

「なっ、貴様!?」

「ファスト・ファイアでござる」パチン! 

 

 キルアみたいだな。

 

「ぎゃあああああああああああああああ!」

 

 うるせえよ。

 案の定上半身が火達磨になり床に転がる。

 

 それで俺と尚文パーティー戦闘態勢に。

 

 樹パーティーは戦闘態勢に。

 お前ら俺の領地でボコボコにされてなかったっけ? 

 

 オリガよりも強いぞコイツら。

 

「貴様らグハッ!?」

 

 立ち上がってきた燻製にローナはシャイニングウィザード。

 

 他の奴らも負けずと殲滅へ。

 

 

 

 ■

 

 

 

「間違った事やってないよね?」

「問題ない。薄汚い亜人とか盾の勇者の恥さらしとか言ったんだぞ。女王の意思に反してる」

「お咎めを受けるのは弓の勇者でござる」

 

 この国の民間人を救ったり、三勇教と言う膿を取り出すために頑張ったんだぞ。

 

 樹は隣国の財政を悪化させて余計苦しませた。

 

 どっちが偉いのかな? 

 

「そっちの会議はどうでした?」

「そっちと同じでぐだぐだ」

 

 ゲームとは違うからな。

 ウキウキするのはわかるがご都合主義が通じるとは限らない。

 

 前の世界でも油断して危なかった事もあるし、緊張感とか持って欲しいものだ。

 

「あれ? そう言えばヒソカは?」

「本拠地に帰りました」

「そうか」

 

 いつの間に…………。

 

 

 ■

 

 

 はい、翌日。

 

「さて、カルミラ島へ行きますか」

「やっとだね…………」

 

 だだいま俺はメルロマルクにいる。

 

 もう既に人員をカルミラ島へ送ったのだ。

 シーラに頼んで夜刀ちゃんの機材とかも運び出し完了している。

 

 誰が一緒に運ぶとしよう。

 ん? 尚文だ。

 

「あ、尚文」

「ハジメ?」

「なあ、時間あるか?」

「用事あるからまた今度にしてくれ」

「あ、うん」

 

 まあ、用事あるならしょうがねえな。

 

 さっき聞いたけど元康と樹は既に居ないし。

 後は、

 

「あ、錬」

「ハジメか、どうした?」

「今時間あるか?」

「まあ、出港の時間まで結構あるが……」

「一緒にポータルでカルミラ島へ行かないか?」

「何!?」

「ああ、夜刀ちゃんのライブとかあるから行かなければならないんだ。ついでにどうかなって」

「助かる! 少し待っててくれ仲間を呼ぶ!」

 

 確か船酔いしてたよな。

 先に行きたいだろうし。

 

 酔い耐性とか装備ボーナスとかあったな。

 今度教えよう。

 

 

 

 

 

 ■

 

 

 

 

「さて、カルミラ島だ!」

「暑い日差し!」

「青い海!」

「泳ぐでござる!」

 

 よくよく考えたら海に来たんだ。

 遊ばないと損だ。

 

 夜刀ちゃんのライブは夕方だし。

 少し遊んでもいいだろう。

 

「ハジメ様どうですかこの水着!」

「拙者のもどうでござる?」

「私のも私のも」

 

 ローナの水着は青の三角ビキニ。

 シルフィは明るい花柄のフレアビキニ。

 春菜はエプロンチェック柄のクロスホルダービキニのパレオ付き。

 

「お〜みんな凄い似合ってる。写真撮りたい」

「でしょ!」

 

 心の底でも似合ってるって感じる。

 あ、カメラ持ってきたんだ。

 

「よし、撮るぞ」

「あ、魔道カメラ」

 

 ロクスが作ってくれたカメラだ。

 タイマー式なので全員映る。

 

「お前らも入れ入れ」

「分かったー」

「うん!」

 

 夜刀ちゃんは白のホルダービキニ。

 キラークイーンは旧式の黒スク水。

 

 ちなみに俺はグラサンにアロハシャツと黒のハーフパンツ型の水着。

 久しぶりの南国だから気合いを入れた。

 

 はいチーズ。

 帰ったら現像してもらおう。

 

「ハジメ様、そろそろ昼なんでバーベキューしません?」

「おっけー焼くか」

「材料も足りなくなりそうだね」

「キラークイーン、取ってきてくれないか?」

「うん!」

「あ、飲み物も無い」

「あ、私買ってきますね」

「拙者も行くでござる」

 

 少し忙しかったから準備不足だったな。

 気をつけよう。

 

「それでキラークイーンの報告じゃ海底神殿とかここら辺じゃ見つからなかったみたいだ」

「他の海岸かな?」

「カルミラ島は保養地で有名だからな。海岸とか多いぞ」

「活性化は海の中でもあるし」

 

 気になっていた。

 ここで波が起こるかどうかって事。

 

 Web版か書籍版かどっちだ? 

 

 イレギュラーとかよくあるので注意したい。

 

「ラルク達や他の世界の勇者も来る可能性もあるよね」

「ミレナリオも来てたし当然有り得る話だ」

 

 どさくさに紛れて四聖を始末する。

 俺を倒すよりも四聖を殺害した方が楽。

 

 他にも俺のチームの奴らが来ているようなので、要注意だ。

 俺より攻撃力が高いメンバーもいる。

 

 グラスが能力者って事は他にも能力者がいるだろうし、尚文達じゃ太刀打ち出来ないだろ。

 

「お兄ちゃんの考えは?」

「波があると仮定する。それだとグラスの世界の能力者が沢山くる。もしくは来ない」

「沢山くるってのはわかる」

「グラスってのは相当実力あるはずだ。それをボコボコにした上に逃がしてくれたって事はめちゃくちゃ強いって思われてるだろうし、ヤバい奴とは戦闘を避けるのか普通だし」

「なるほど」

 

 あの三人と会って命があるって事はツキ過ぎてる。

 実力はある程度あると思う。

 

「取り敢えず薬とかポータルで多めに持ってきた」

「まあ、活性化だし結構売れてるらしいよ。シーラさんの方も繁盛してるって」

「薬草畑を作っておいて良かった」

 

 周の練習で畑を耕し、薬草を数種類植えました。

 肥料とか撒いたり、改造して弄ったら相当な数でしたよ。

 

 摘みに行く必要が無くなり、量を生産できるようになった。

 

「畑か……」

 

 アイツ元気にしてるかな? 

 

 

 

 ■

 

 

 尚文side

 

「も、申し訳ございません!! もちろん専用のお部屋はご用意していたのですが……先に来られた勇者様方が……お使いになると……」

 

 アイツら……。

 国の特権を何か勘違いしてないか!? 

 

「今一般船室の客を下船させるように手配してますので少々……」

「相部屋でもいい」

「あ、はいお仲間の方とご一緒してくださるのなら……」

「じゃなくて一般客との相部屋でもいいて言ってるんだ」

 

 ったく、船長室を占拠した勇者もだがあの船長……妙におどおどしやがって、更にイライラするだろ。

 

 船長室も奪われたって言ってたし、余程ワガママな事言ったのか? 

 

「つっ、着きました」

 

 船員が部屋の前に止まる。

 

「もうここしか空きがないのですが、六人部屋に先客は三名の冒険者なので、少しは広く使えるかと」

 

 今カルミラ島は入島制限するほど人気らしい。

 俺たちは国の援助を受けて島に行くが一般の冒険者はそうでなはない。

 

 きっと安くない金を払って乗ってるんだろう。

 追い出そうもんならそれこそアイツらと同じじゃないか。

 

「お前は馬鹿か!」ドゴッ

「グホッ!?」

 

 …………どうせ短い間の付き合いだ。

 何も問題ない。

 

 コンコン

 

「お前の頭はどうなってるんだ!!」ギイイイ

「ぎゃあ!?」

「ど、どうぞ」

 

 …………。

 

 

 

 


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