念能力者の英雄譚   作:煽りイカ

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カルミラ島
第48話


 尚文side

 

「俺たち四人で挨拶か」

「はい、伝説の勇者の皆さんから声をかけてもらえれば船員達も張り合いが出ますので」

「まあ、いいか」

 

 ついでだ。

 アイツらに他人のシステムを信じれば使えるようになる話をしておくか。

 

「ううっ……」

「何で尚文さんだけ平気なんですか…………」

「船室を占領した罰が当たったんだろ。それより聞いてくれこの前の会議で言っていた精錬度や色々な昨日だか━━」

「止めてくれ……今は難しい話は聞きたくない」

「大事な話だ。ところで、錬はどこだ?」

「そう言えば……どこ行ったんですかね」

「見てねえな…………」

「取り敢えず聞いてくれそのシステムがあると」

「おろろろろろろろろ」

 

 今はそれどころじゃないな。

 陸に上がったら教えるとするか。

 

「おや? よかったら酔い止めいかがかな?」

 

 半死半生の元康と樹に、男が近づいてきた。

 スコップを持っており、細身だが背の高い。

 ニコニコしているが目がギラギラだ。

 

「ほら、この葉っぱを口の中に含んで」

「あなた誰です……」モグモグ

「ただの農家ですよ」

「農家……」モグモグ

 

 酔い止めの薬、葉っぱを二人の口の中に入れる。

 

「念の為持ってきて良かった……」

「別に渡さなくても良かったと思うぞ。コイツらこの船に迷惑かけてる」

「それだからと言って苦しんでいる人間を見捨てる理由になりません。理不尽な飢えや苦しみから人を救うのが信条なんです」

 

 出来た人格者だな。

 勇者達に見習って欲しいモノだ。

 

「あ、酔いがひいてきた」

「……本当だ」

 

 即効性がある酔い止めなのか? 

 …………持ってる葉は見た事ない植物だ。

 

「その薬草初めてみるな」

「まあ、自分で育てて配合したので見かけることはないかと」

「配合?」

 

 農家って言ってたし、植物を配合して品種改良とかもするだろう。

 

「カルミラ島へは何しに?」

「仲間と一緒にレベル上げです。そっちは?」

「俺らも国の支援を受けてレベル上げだ」

「お互い怪我の無いように気をつけましょう」

「ああ、そうだな」

 

 気持ちのいい奴だな。

 

 ザパーン

 

 ん? 魚? 

 空中に上げられた。

 

「よっと」スパァン スパァン

 

 一瞬で飛び上がり、魚を三枚おろしにする。

 ……速い。

 あれ? 今一瞬鎌に変化したような…………。

 

「活きのいい魚だ」

「お前強いな…………」

「いやいや、師匠程では無いですよ。師匠はもっと早いですし」

「そんな超人いるんだな…………」

「ええ、強いですよ」

 

 こいつよりも強い奴がいるのか。

 波とかで活躍してそうだ。

 

「ごしゅじんさまー今日は焼き魚ー」

「いいですな。いいハーブがありますぞ」

 

 ハーブとかも持ってるだな。

 後で薬を買っておこうか。

 

「おーい、フェムト!」

「ああ、ベリト。今行く」

「またな」

「あ、そう言えば名前は?」

「尚文だ」

「それって四聖の盾の勇者の名前……極悪人と聞いてますよ。偽名は他の名前を使った方が?」

「バレたか。俺の名前はハジメ=ヤマカワだ」

「…………」

「…………」

 

 またあの同室三人と同じ事を言われたので、ハジメという偽名を使った方が良いとか言われたので答えてみる。

 沈黙するなよ…………。

 

「色んな人間を見てきているので、貴方は悪人には感じませんよ」

「……そうか」

「フェムト……聞いてへんの?」

「お互い気をつけましょう」

「会議やで緊急!」

 

 フェムトは仲間に連れられる。

 俺に手を振りながら。

 

 仲間か……そろそろ入れた方がいい。

 だがそれは裏切られるリスクを背負うのと一緒だ。

 考えて置かなければ。

 

 夕食は香草包みの焼き魚でフェムト達の仲間と一緒に食べるのだった。

 

 

 翌日、カルミラ島についた。

 二人の勇者はフェムトからもらった草で酔いから回復している。

 助けなくても良かったと思うんだけどなぁ。

 

 そういえばハジメと錬は何処だ? 

 船員に聞いたが乗ってなかったらしい。

 

「よぉ坊主」

「ラルク……」

 

 ラルク達が話しかけてきた。

 

「なあ、せっかくだから一緒にレベル上げしないか?」

「はあ?」

「船で一緒になったのも何かの縁だろ? 丁度六人だから問題ない」

「分かった。ただ俺たちの足を引っ張るなよ」

「それはこっちのセリフだ」

 

 ラルク達と一緒にレベル上げをする事になった。

 調子狂う奴だな。

 

「おや? ナオフミ」

「フェムト?」

「今さっきの人間と知り合いですか?」

「ああ、同室だった」

「…………」

「?」

「あ、いや! なんでもありません。お互い気をつけて」

 

 知り合いか? 

 顔広そうだし知ってる人間もいるだろう。

 

「まさか…………たとは」

「ハジ…………狩・」ボソ

「……拉……」

「…………」

 

 遠くて聞こえない。

 四人とも真剣な顔をしている。

 

 なーんか嫌な予感がするな。

 

 

 

 ■

 

 

 

 さて、せっかくだしレベル上げしましょっと。

 沢山休んだしもう十分と言いたいが、すこし時間あれば遊ぼう。

 

 もう少しレベルが高い場所に行っても問題ないな。

 

「ふん!」

「おらっ!」

 

 一撃で倒すか。

 

 ホント強くなったなコイツら。

 しばらく敵が居ないかもな。

 

「…………なあ、春菜」

「何?」

「ハーベンブルグ伯爵が変な話あるって言ってたな」

「人攫いとか密漁とかでしょ。人が多いから有り得ると思うよ」

 

 こんだけ人が多いと犯罪も加速しそう。

 数多ければ人が一人か二人消えても気づかないし、絶滅しそうな固有の動物もいるらしいく、経験値と素材がレアだとか。

 

「でさ、今気配があるから円を使ったんだわ」

「うんうん」

「20メートル前に落とし穴がある……」

「え?」

 

 人攫いが待ち構えてる事もあるので少量のオーラを使用し円を使っていた。

 

 で、案の定落とし穴の近くに数十人待ち構えていた。

 ここら辺は一般の冒険者がよくいるが、やや強めで森に囲まれた人気の無い場所である。

 

 人の目が無ければやりたい放題。

 

「とりあえずハンターたるものとして狩らなければならない」

「うん、ハンターの鏡」

 

 ハンターですから密漁等の事をしている事は見過ごせないのだ。

 

 狩るぞー。

 

「アル・ファスト・ライトニング!」

『ギャアアアアアアアアアアア』

 

 隠れていた奴らが電撃をくらい、飛び出してきた。

 

 ファストクラスで大ダメージ受けるからな。

 

「このやろおおおおおおおおおおおお!」

「やりやがったなぁああああああ!」

 

 おや? まだ息がありましたかな。

 さっさと眠れですぞ。

 

「銃を発射しまーす」

「やっちゃって」

 

 春菜がマシンガンをとりだした。

 

「ほらほらほら」ドドドドドドド

『ぎゃあああああああああ』

 

 一応威力を最小化してるみたいだ。

 

 それでコイツらの目的は拉致か? 

 多分拠点があるはず。

 

「さて、調べますか」

 

 

 

 ■

 

 

 

「あれですね。確かにこの商会は危ない噂が多いですな」

「やっぱり? 気配がする」

「権力があるのでなかなか迂闊に手を出せなかったので」

 

 とある港、そこに泊まっている船。

 気配がするので円を使用。

 

 あっ、船の底に隠しスペースがあるみたい。

 そこに何人か寝転がってる。

 

 他の人間からも自白(強要では無い)でウラは取れている。

 

 って事で。

 

「えーそれでは荷物を点検します」

「な、なんなんですあなた達は!?」

「人身売買の通報が入った。改めさせてもらう」

 

 ガサ入れ開始だな! ヒャッハー! 

 

「あなたらを名誉毀損罪で訴えます! 理由はもちろんお分かりですね? こんなデマで船に不法侵入するからです! 覚悟の準備をしておいて下さい。ちかいうちに訴えます。裁判も起こします。裁判にも問答無用できてもらいます。慰謝料の準備もしておいて下さい! 貴方は犯罪者です! 刑務所にぶち込まれる楽しみにしておいて下さい! いいですね!」

 

 ワザップジョルノみたいだ。

 だけど俺の円は嘘ついてない。

 

 ドカァアアアアアアアアアン!! 

 

「今、船の中から爆発音したよな?」

「なっなぁ!?」

「突入!!」

 

 ちなみに爆発音を出したのは俺の仕業。

 これで突入する口実が出来た。

 

「くらえでござる!」

「フン!」

「外の奴らは制圧頼むぞ!」

 

 弱い、弱すぎるぞぉぉぉ! 

 

 俺らは多数の兵士と船内に。

 ここは商船を装っているので貨物とかあるようだ。

 

 商人風の人間が襲ってくるが、戦闘タイプでは無いので相手にならない。

 

「よし、底に着いた! オラッ!」ドカーン! 

 

 俺は板底を殴る。

 

 すると、

 

「なっ……」

 

 なんと目を隠され縄で縛られている人間が沢山。

 奴隷狩りは普通にアウトだろ。

 

「な!? ベチャット!!」

「知り合いか?」

「ええ、この島出身の冒険者です。三日前からクエストに行ったきり戻ってこなかったのでここに居たとは…………」

 

 近くの兵士が知り合いがいたらしい。

 多少筋肉の着いた人間が縛られているので冒険者を拉致しているのだろう。

 

「キューキュー」

 

 あ、動物の密輸もか。

 ギンタさんが怒りそう。

 

 さて、外も静かになったし拉致被害者を連れていくか。

 

「キラークイーン、兵士を呼んでくれ」

「はーい」

 

 動物も体に以上が無ければリリースだ。

 

 後はコイツらの商会の隠し財産を密かに徴収だな。

 自白した人間の中に幹部クラスがおり、儲かりすぎて脱税の為に金貨とかを埋めたらしい。

 

 勿体ないので貰っておこう。

 波の打倒の為の資金にさせてもらおう。

 

 あ、尚文の村の復興の寄付にも良いかもな。

 

 




アニメ楽しみ。

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