念能力者の英雄譚   作:煽りイカ

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第49話

「なあ、春菜」

「何?」

 

 夕方、ホテル内にてみんな寛いでる。

 キラークイーンは寝てる。

 

「錬以外の四聖勇者が着いたらしいって聞いたけどさ」

「うんうん」

「元康と樹が酔って無かったらしい」

「あれ? 原作じゃグロッキーじゃなかったけ?」

 

 春菜の言う通り担架で運ばれていたはず。

 酔い止めでも持ってたのか? それともイレギュラーの仕業か? 

 

 どっちみちこの島で何か起こりそう。

 

「あ、ラルクとテリス見たよ」

「書籍版か…………」

「ぱっと見て纏が出来てたよ」

「マジ?」

 

 纏が出来てる一般人とかいるし、それ以上を使えるかどうか。

 

「まあ様子見だな」

 

 三勇者が問題起こしそう。

 俺らや一般冒険者の邪魔にならなければいいが。

 

 ネトゲのマナー講座とか見たけど、奴らが従うかどうか。

 勇者だから何でもやっていいとか考えてそう。

 

「三勇者は大人しくするかな?」

「無理でしょ。自分でゲーム知識が正しいとか思ってるだろうし」

 

 それが原因で実際に被害出てるしね。

 

 まさか死んでも生き返るとか普通無いだろ。まあ、そんな能力持ってたのは前の世界にいるがな。

 生き返りがあるなんで誰が言ったんだ? 

 

 漫画やなろう小説で死に戻りとかあるが、何らかの条件とかあるだろ。

 

「今は兵力強化や金策、情報収集に専念しよう。俺らのハントは波の打倒。敵は厄介だし、明日は我が身だから慎重にな」

「了解しましたお兄ちゃん大佐」ビシッ

「期待してるぞ春菜軍曹」ビシッ

 

 

 

 

 ■

 

 

 

 

 夜。

 

「みんな〜! 来てくれてありがとう~!」

 

 夜刀ちゃんのライブである。

 

 夜間のアイドルコンサートってのも良いかも。

 ネオンと音響が夜とマッチする。

 

 1時間弱ほど歌う予定だ。

 有名らしく色んな人が集まってきた。

 

「それでは歌います『桜蘭』」

 

 歌が始まった。やっぱり綺麗な歌声ですな。

 

 ダンスも上手い。実は振り付けは誰も教えてなく、自己流だと言うのだ。

 

「〜〜♪ 〜〜〜♪」

 

 近くにいる錬も聞き入ってる。

 

 …………あれ? 錬がいる? 

 いつの間に。

 

(よぉ)

(ハジメ)

(やっぱり聞き入ってるか?)

(…………また聞きたくなってな)

(綺麗な歌声だからな。分かるぞ)

(これを買っちまった)

 

 見せたのは団扇。

 夜刀ちゃんの顔写真が写った団扇だ。

 

 よくあるよね。こんなファングッズ。

 他にもプロマイドやハッピも販売してます。

 

(まあ、よく領地でライブしてるからたまに来な)

(ああ、気が向いたら行く)

 

 一応ライブ会場とかあるので、設備は整っている。

 

 …………そろそろアイドルを増やした方がいいか。夜刀ちゃんにだけ負担をかけさせる訳にはいかんし。

 

 春菜辺りに知り合い多そうだから今度聞いてみよう。

 

「~~♪ ~~~~♪」

 

 いい歌声、あ、ラルクも立ち止まって聞いてる。

 

 …………ってラルク!? 

 なんでいんの?

 

 あ〜凄い目が魅入ってるから話しにくい。

 

 これは…………沢山グッズを買ってくれそうだな。

 今は……敵とか関係ないな。

 

 

 

 ■

 

 

 

 はい、朝。

 

「さて、レベル上げと素材回収するぞ」

 

 資質上昇したり、スキルポイントを沢山収集して、武器への強化も行っている。

 

 素材狩りは他の隊も行っており、薬に必要な素材とかも結構集まった。

 

「あ、槍の勇者でござる」

「ナンパか? 懲りないなアイツ」

 

 元康を発見。

 そういえばナンパしてるとか噂になってたな。

 

 そんな事してるとパーティーのメンバーから愛想つかれるぞ。

 

「アイツはいつか刺されるでござる」

 

 シルフィ、既に刺されたから。

 

 槍直し見てたらギャルゲーの主人公見たいなエピソードとかあったしな。

 

 そういえばギャルゲーで思い出したが、グリードアイランドでそんな指定ポケットカードの入手があったな。

 ヒミコの助言があったからすんなり入手出来た。

 

 ギャルゲーはあんまりやった事ないから不得意だ。

 

「あれ〜ローナちゃんじゃないか〜」

「チッ」

「なんで舌打ち!?」

 

 あ、いつの間にか接近されてた。

 

「よぉ、ハジメもレベル上げか?」

「まあな、そっちはナンパか?」

「いやいや、一緒にレベル上げしないかって誘ってるだけだって」

 

 明らかにナンパじゃないか。

 近くにいる女共は呆れているぞ。

 

「そうか、しっかり励めよ」

「…………なあ、この辺で深編笠被ったスタイル抜群の女見なかったか?」

 

 ? 虚無僧みたいなやつ? 

 

「いや知らない。何かあったのか?」

「凄いスタイル良いから狩りに誘ったんだけどことわられちゃって……」

「しつこく誘ったらボコボコにされた上に海に叩き落とされたとか?」

「何故分かった!?」

「ええっ?」

 

 適当に言ったのになんでか当たった。

 ナンパはいい加減にした方がいいぞ? 

 

 …………元康ボコボコにできるとか結構やるな。

 余程手練に違いない。

 

「そうか、程々にな」

「ああ」

 

 

 

 ■

 

 

 

「アイツ絶対愛想尽かされますよ」

「だろうね。女性の気持ちとかよく分かって無いんじゃない?」

「顔は良いけど頭は悪いのが残念だな」

 

 ハーレム状態でナンパして増えたら元々居た女はいい顔はしない。

 女性は愛情を受けたいと思っている。

 

 ビッチがイジメを起こす気持ちがよく分かるわ。

 

「ハジメ様って恋愛経験あるんですか?」

「ん? まあな……」

「あるの?」

 

 前の世界でも人生経験とかあったからな。

 強くなったり、金も稼いでるから出会いは沢山。

 

「草食系のお兄ちゃんが成長した…………」

 

 前々の世界じゃそこまで自己主張少ないからモテなかったな。

 俺はゲームや漫画、ラノベを愛するオタクだった。

 

 サブカルが好きだからこの能力になったようなものだ。

 春菜もサブカル好きだからあんな能力になったし、これも兄妹だな。

 

「私全然経験無いです……」

「拙者もでござる」

「あ、実は私も…………」

「その位の歳じゃ無いのが普通だろ。自分のペースでな」

「そうだ。ハジメ様デートしてください」

「ホワッツ?」

「いいね! エスコートしてよ。コミュニケーションの一環でさ」

「賛成でござる」

 

 おいおい、なぜそんな話になる。

 確かに観光スポットとか多いけど。

 

「分かった。俺を刺さないと約束するならしてやる」

「槍の勇者の"ピッー"よりもマトモですから安心して下さい」

「あんな勘違い男よりも御館様はカッコイイでござる」

「だね。比べるまでも無いと思うよ?」

「…………」

 

 俺って実は人望高かったんだな。

 前の世界じゃチームのリーダーやってたし。

 

 アイツら纏められるとか相当な器が無いとダメだな。

 

「アローレイン!」

「!?」

「いい、俺が止める」

 

 カキンカキンカキンカキンカキンカキン

 

 アローレインって言ったらあのクソ天パじゃねえか? 

 人がいるの知らないで無差別に撃ってんのかよ。

 

 あ、止んだ。

 

「いきなりなんなんですか!! 危ないでしょうが!!」

「おや? ハジメさん?」

「樹ィ」

 

 お前さーなんでよく問題起こす訳? 

 正義の味方がマナー違反してんじゃねぇよ。人間性疑うだろうが。

 

「すみません。よく見てなくて」

「他の冒険者に危害を加えちゃダメだろ? 前からそうだったけど考えて行動しろよ」

「貴様ら図々しいぞ!」

『は?』

 

 図々しい 自分勝手にふるまい、他人に迷惑をかけても気にしないような態度や行動。

 

 燻製、お前は何を言ってるのですかな? 

 ブーメランですぞ。

 

「謝罪したのに非難するとはどれだけ金品をせがむ気だ!? 厚かましいのではないか!!」

「厚かましい!? そっちが私達に撃ってきたんじゃないですか!! 注意して何が図々しいんですか!?」

 

 危ない行為したから注意したのに何故こんなにも言われなければならないのだろうか? 

 

「今は悪しき魔物を討つべき時! そんな事してる暇などないだろう!?」

「は? なんです? 私達に矢を放ってなんで偉そうなんですかね? このバカ貴族」

「…………なんだと小娘?」

「マルド、やめましょう! こっちに非があります。すみませんハジメさん、他の狩場に移動しますので…………」

「分かった。マナー違反には気をつけろよ」

 

 一応念は押す。

 

 わーわー燻製が凄い睨んでるよ。

 弓の勇者御一行は去って行った。

 

 

 

 ■

 

 

 

「全く燻製はクソだな」

「本当だよね〜凝り固まった貴族主義だもんね。フォーブレイにもよくいるよ」

 

 江戸時代の侍見たいだ。

 切り捨て御免とかやりそう。

 

「ハジメ様」

「どうしたローナ」

「他の冒険者から聞いたんですけど経験値と素材の横取り行為、暴言とか吐いてるらしいです」

 

 アイツら、念を押したのに。

 

「アイツを呼ぶか」

 

 

 

 




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