念能力者の英雄譚   作:煽りイカ

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第50話

「それで何かあったんですかいボス」

「まあな」

 

 それで呼んだのはパリス。

 樹パーティーの獲物を狙撃し、経験値をかっ攫う計画だ。

 

 勇者が横取りしていいのならば横取りしていいはず。

 そっちが先にルール違反をしているので問題は無い。

 

 悪質なことしておいて笑顔になれると思うなよ? 

 

「確か領地では目立ったことは無いから問題は無いですぜ」

「オルクも連れて行ってくれ。魔物避けのアクセサリーを持たしている」

「念の為にテスタから透明になる魔道具を借りていたよ」ヒョイ

 

 ぐへへ、2人とも絶が出来るし、パリスの能力は念弾でも使用可能だ。

 

「それでさっき弓の勇者の一行が宿を出て島に向かったらしいよ」

「台無しにしてこい」

「イエッサー」

 

 こうして、弓の勇者達の経験値は大して貰えなかったのだった。

 

 

 

 ■

 

 

 

 尚文side

 

「よぉ、坊主」

「ラルク……もう帰ってきたのか?」

 

 船頭に声をかけ島の方へ行こうと思ったらラルク達に声を掛けられた。

 

「そういえば聞いたか坊主?」

「?」

「どうやらこの島に四聖勇者と斧の勇者が来てるらしいぞ」

「ふーん」

「なんだよ? 少しは驚かないのか?」

 

 お前の目の前に1人いるしな。

 

「何かあったのか?」

「ああ、さっき舟渡に聞いたんだが……斧の勇者が人身売買組織を潰したらしい」

「…………」

 

 アイツ、樹より正義の味方向いてないか? 

 

「斧の勇者の話を結構聞くけど短い期間で武勇伝を数々打ち立ててるらしいぜ」

「ああ、立てこもりの制圧だろ」

「他にも水虎って魔物の飼育法を確立したってさ」

 

 色々武勇伝打ち立ててるな。

 

「師匠と同じくらい武勇伝立ててるな」

「ラルク」

「おっといけねぇ」

「…………」

 

 師匠? あ〜隣の深編笠被った女、トヨの事を言ってるんだよな。

 

「トヨも武勇伝立ててるのか?」

「…………今は関係ないでしょ」

 

 同じ部屋だったが被ったままだったので顔を見てない。

 有名人なのか? 

 

「それで他の勇者達は?」

「剣の勇者は朝から仲間に送られて1人で狩りだと。槍の勇者はナンパ、今さっき師匠が殴って海に叩き落としたぜ」

「やるじゃないか」

「あんな軽薄な男に誰が着いていくかって話……」

 

 元康、お前いつか刺されるぞ。

 

「弓の勇者は……」

「弓の勇者はさっき会ったぜ」

「今から北西の島に渡るなら気をつけた方がいい。俺らは面倒で帰ってきちまった」

 

 

 

 

 ■

 

 

 

 さて、またLv上げますか。

 

「ほらほらほらー」ドドドドド

 

 マシンガンってもいいもんだな。

 連射式だじ休む暇なく撃てる。

 

 俺もオーラを飛ばし、ボスモンスターを穿つ。

 

「もうここら辺には居ないですかね?」

「GRRRRRRRRR」

「あ、まだいたでござる」

 

 しょうがねぇな。

 

「あ、お兄ちゃん。私やる」

「いいぞ」

 

 行っけー春菜! 

 

「月牙……天衝!」シュバン! 

 

 うわっ、斬月やん。

 コイツジャンプ系好きだな。

 

「まさかBLEACHの斬魄刀か」

「まあね、螺旋丸と迷ったけど」

 

 螺旋丸か…………懐かしいなNARUTO。

 

「…………おい」

「あ!」

「なんだ今のは…………」

 

 あれ? 錬!? 

 人がいないと思ったらいたよ。

 

 あ、どうしよう。

 春菜の能力見られたか…………? 

 

 ①脅す

 ②泣かす

 ③殴る

 

 待て待て、何故か変な選択肢しかない。

 まだ言い訳程度で騙せる。

 

「よ、よお錬。ソロプレイか?」

「その斬撃は……なんなんだ? ブレイブスターオンラインにそんな技無かったんだが?」

 

 しっかり見られてた。

 包丁のような斬月もまだ具現化したままだ。

 

 話を押し通せる。

 

「達人になると斬撃を飛ばせるようなやつも結構いるぞ?」

「…………」

「実際に俺もやってみるぞ」

 

 俺も足にオーラを込め、木に目掛けて飛ばす。

 

 スジャン! 

 

 大木真っ二つ。

 まあ、勇者ならば朝飯前か。

 

「ってな風に。前の世界で積み重なった努力だ」

「そうか…………そいつもか?」

「この世界にも魔法とか飛ばすやついるだろ」

 

 疑ってるな。

 まあ、想定内だな。

 

「この世界はゲームとは違うから気をつけろよ」

「そういえばどんなゲームの世界から来たんだ?」

 

 あのなー、ゲームゲームって思ってたら痛い目合うぞ。

 

「ゲーム?」

「ああ、皆この世界と似たゲームをやった事があるんだが」

「…………俺は知らないな」

「そうか…………」

 

 事実です。

 あんまり変な事は教えない方がいい。

 

「どうする? ソロだろうし一緒にやるか?」

「いや、経験値が少なくなるからいい」

 

 まあ、それがソロの利点だよな。

 他にも思考が停止しないとかある。

 

「まあ、気をつけろよ」

「分かってる」

 

 

 

 ■

 

 

 

 さて、温泉に入りますか。

 和風の露天風呂のような風呂である。

 

 ちなみに俺の所はローマ風。

 テルマエ・ロマエ様式でデザインされてる。

 

 テルマエ・ロマエのも雰囲気はいいが、日本の銭湯や露天風呂もいい。

 

 さて、石鹸あるし体を洗う。

 体を綺麗にしてお風呂に入るのがマナー。

 

「ん?」

「あ」

 

 尚文じゃあないか。

 奇遇だな。

 

「よお、尚文。偶然だな」

「ハジメ」

「どうだ? レベル上げは?」

「ああ、上手くいってる」

 

 戦力強化してる時点で良かったよ。

 

 俺は体を洗ったので、尚文よりも先に湯船に入る。

 ン〜このお風呂の質よりもうちの領地の質のほうがいいな。

 

 でも普通の温泉よりはいいお湯の質だ。

 あ、尚文が入ってきた。

 

「ふぅ」

「日本人だし露天風呂だと落ち着くよな」

「まあな」

 

 富士山の書かれた銭湯とかも味があるよね。

 よくそれがジャポンにあるため、寄った時はたまに行く。

 

「それで? ラフタリアさんとはどこまで行った?」

「…………」

 

 なんで無言で睨む? 

 

「いやいや、他の人間からも見て仲良いし。付き合ってるのか?」

「…………そんな訳ないだろが」

 

 皆ラブラブだって言ってるぞ。

 鈍感野郎め! 

 

「お似合いだって。もうくっついたら?」

「俺は波が終わったら帰る。ラフタリア達が幸せになれるならそれでいい」

「多分無理矢理でもついてくるぞ?」

 

 尚文様がいない世界なんて嫌だとか言いそう。

 人徳が無いと出来ない芸当。

 

「ラフタリアやフィーロには苦労させてるからな…………」

「そうか? 幸せそうだけど?」

「…………俺は悪人だ」

「…………」

 

 今まで自分のやってきた事を考えろ。

 どれだけ人を救ってきたんだ。

 

 悪人だと言って信じる奴はいるのかなぁ〜? 

 

「そっちはどうなんだ? 波終わったらどうする?」

「俺は元の世界に帰るよ。彼女や仲間がどうなってるか気がかりだし」

「彼女いるのかよ…………」

 

 まあね。

 恋人もそうだけど、積み上げてきた財産や名声があるから名残惜しい。

 

「お、尚文じゃないか!」

「あ、尚文さん、ハジメさんまで…………」

「…………」

 

 三馬鹿勇者が揃っちゃった。

 そろそろ上がろうかな。

 

 チャポン

 

 三馬鹿はもう体を洗ったそうで入る。

 

「仲間の中で一番の美少女って誰だと思う?」

 

 勝手にやってろ。

 元康は話しているが完全ではないが無視。

 

 ただ俺のパーティー全員が可愛いって言ってる。

 

 元康のパーティーは全員言ってないぞ? 可愛くないのか? 

 

「下らん」

「不毛ですね」

 

 悔しいが同感だな。

 顔が良ければ得するとかよくあるが、外見で判断して馬鹿を見る経験とかあるだろ。

 

「女王は性格が悪いと言っていたが俺も気にならなかった」

 

 それで、ビッチの話題になったな。

 

 錬、樹はビッチの表裏の顔の使いように気づいていない。

 

 表面は凄い親切で良い人ぶってるけど、裏では悪い噂や陰口等を叩いたりってのも結構いるぞ? 

 反対に態度や素行が悪いが、裏では誰にも見られずに善行したり、見返りを求めず親切とかするのも少なからずいる。

 前者はクズ、後者は人間性が高い。

 

 意外と顔と外見で人を判断して馬鹿を見るって経験してる人間はいる。

 顔や体付きが怖いからと言って、性格は穏やかだったり、喧嘩を売られない為に体を鍛えてるのもいる。

 弱そうでヒョロガリの人間でも、ネット上じゃ攻撃的だとか普通にいる。

 

 ビスケだって少女姿だけど、あれの方はムキムキマッチョだから目立つ。目立たない方が厄介事は少ない。

 

 外見で判断するなとか聞くけど、意外と外見も大事なんだな。

 もちろん性格の方が大事だけどな。

 

 

 




カルミラ島はまだ続く。

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