念能力者の英雄譚   作:煽りイカ

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第53話

「龍刻の砂時計が水中神殿に!?」

「嘘じゃない後で連れていく」

 

 尚文曰く、沖の方にあったらしい。

 キラークイーンがまだ探していない場所の近くだった。

 

「どうする?」

「どうするって?」

「無視するって選択肢もある」

 

 まだ人の手が入っていない砂時計もあるってフィトリア言ってたな。

 頑張るね。

 

「カルミラ諸島の周辺は地形的に海での戦いになる」

「水兵か…………」

 

 あ〜ヒミコは水場じゃ無敵なんだよなぁ。

 ベリトも水中大丈夫だし。

 

 居たら厄介な敵だな。

 

「海での戦いは正直俺には自信が無い。ハジメの方はどうなんだ?」

「俺? ゼルトブルじゃ海が近いから波の時に水生系の水兵を連れてく。私設兵の中にも水中戦も出来る奴いるぜ」

「それもそうなんだが……前の世界で海で戦いをしたかどうか聞いてるんだが? アドバイスはあるか?」

 

 ああ、そっちか。

 と言っても数回だけだが。

 

「船の上ってのは安定しないから体勢を保持しにくい。水中に落とされると難易度が上がって上下前後左右気をつけなければいけないし、息は出来ないし体はもっと動かしにくい。だから戦ってる際中には水中には落とされるなよ」

「なるほど。分かった」

「後海の魔物を武器に入れてれば分かるが、船上や水中での補正がかかる武器もあるから入れておくといい」

 

 水場の犯罪も多いのだ。

 飛行機よりも船の方が捕まるリスクは少ないし、誰もいない水上なんて結構あるので密輸入しやすいのだ。

 

 密入国なんてパスポート見せずに入れるだろ。空港程港は警備は厳しくないだろうし。

 

 なので水中や船上で有利に働く能力を作るのもいる。

 

「あと、二日」

「二日!?」

 

 二日あれば準備はできるな。

 

「愚問ですね。勇者に逃げるとは……そのためにここにレベル上げに来たんじゃありませんか」

「全くだ。丁度いい腕試しじゃないか!」

「同様に問題無し」

 

 んで船と水兵を一緒に転送させる事に。

 

「なんかネドゲの大規模戦闘みたいだな。SLG」

「俺やった事があるぞ!」

「じゃあ作戦案は? どのような陣形で臨むのか? 状況への対処パターンは?」

 

 俺そこまでやったことないから分からねえ。

 

 それでこの世界のことを知っていて指揮に長けた人間、女王陛下頼む事に。

 

「くだらんな」

「パードゥン?」

 

 錬は泳げないんだな。

 でも協力プレイじゃなければ手に入らないアイテムとかもあると思うぞ。

 大天使の息吹がいい例。

 

「馴れ合いはお前らだけでやってくれ」

「錬!」

「待て、錬」

「なんだ? お前がいるから大丈夫だろう」

「素材とか欲しくないのか?」

「お前らに譲ってやる」

 

 結構信頼されてるのか?

 でも可能な限り参加しなければダメだろ。

 

「泳げないのか?」

「俺は泳げるっ!」

 

 泳げないって顔に出てますよ? 

 俺は錬の体を持つ。

 

「おい! 止めろっ!」

「泳げるんだろ?」

 

 何を止めろって? 

 分からないなぁ(笑)

 

「あ、お兄ちゃん。足持とうか」

「ああ頼む」

 

 春菜と遭遇。

 協力してくれるって。

 

「巫山戯んなよお前らぁぁぁ!」

「せーの」

「やめろぉぉぉぉ!!」

 

 ドボン

 

「春菜って泳げる?」

「家にプールあったから問題無し。お兄ちゃんは?」

「平気。水中で戦える能力持ってる」

 

 ゴポポ

 

 可哀想だから助けよ。

 入ると浅かった。

 

 コイツ悪魔の実の能力者か? あ、ルフィでも浅い所でも少しは大丈夫か。

 

「泳げないんですか?」

「ダッセェ」

 

 水溜まりでも窒息する事もあるし、小川の事故もニュースで結構あるぞ?

 

「…………」

「まあ、あれだ。一定時間息継ぎ無しで出来る魔法があるからそれを頼れ。あと潜水技能がついてる武器あるから」

「…………俺も参加させてもらおう」

 

 それがいい。

 最悪ビート板とかの浮具を持たせるか。

 

「それで海中神殿までどうやって行くんだ?」

「これを着て」

「…………」

 

 ペックル着ぐるみ。

 

「俺は魔法で行く」

「俺も」

「僕も」

 

 みんな着ないんだな。

 

「んじゃ俺は着るか」

 

 着てみて泳いだけどすいすい泳げた。

 

 

 

 ■

 

 

 

 さて、俺も働きますかね。

 

 さ、やって来ましたシルドウェルトへ! 

 

「さて、城へ行きますか」

 

 一応トップの奴らと話とかつけている。

 

「ゲンム翁」

「おお、斧の勇者様。何かありましたかな?」

「盾の勇者が水兵を欲しているぞ」

「なんと!!」

 

 シルドウェルトで部隊事に直ぐに集められるようにピックアップしていたんだ。

 水兵の招集だな。

 

「ほほう、2~3時間掛かりますな」

「オーケー。ゼルトブルでも集めてくる」

 

 ゼルトブルでもそんな感じでやっている。

 

「報酬は盾の勇者の顔写真でいいか?」

「いいのですか!?」

「よいよい。功績を立てたものは抱擁してくれるってさ」

「な、なんと……」

 

 一応尚文には許可取ってある。

 

「まさか新しい写真を貰えるとは……」

「この前の気に入ってくれたか?」

「ええ、久しぶりに妻と燃えましたぞ」

 

 満足してくれてよかったよかった。

 尚文はモテて羨ましいなぁ。

 

「是非盾の勇者にシルドウェルトに来てもらうようにお伝えくだされ……」

「多分反乱分子がいるから探しておけよ。尚文を利用して企むと思うからな」

「…………お任せ下さい」

 

 こうして何回か往復しカルミラ島へ送るのだった。

 人員制限? スキル強化やオーラを混ぜたら結構な数を送れた。

 

 

 

 ■

 

 

 

「ふぃー終わった」

「お兄ちゃんおかえり」

「おかえりでござる」

 

 ゼルトブルとシルドウェルトのメンバーを全員運んだ。

 宿泊費はメルロマルク持ち。

 女王陛下にも許可を取っている。

 

「俺が居ない間になんかあった?」

「女王がこの島に来ましたよ」

「薬とか爆売れだって」

「了解、後で会っておくか。あ、薬の在庫あるっけ?」

「シーラさん曰く結構あるって」

 

 売上を期待しておこう。

 

「他の勇者は?」

「波の準備中」

「わかった」

 

 とりあえず尚文に会っておくか。

 錬に浮具を渡すか。

 

「ヤマカワ様」ガチ

「あ、女王」

 

 あ、来てくれたのか。

 こっちから行くのに。

 

「人員の増員、誠に感謝します」

「いいよ。これで架け橋になればいいけどな」

「何から何まで…………」

 

 フフ、聡明な女王だから大きいリターンはあるだろう。

 いい投資ですぞ。

 

 その投資が暴落しないように、カス達の掃討作戦を開始しなければ。

 そのために豚王の死を防ぐ。結構趣味が合うからな。

 

「それにしても羨ましいパーティーです」

「そうか?」

「ええ、我が国は人間と亜人の友好を望んでいたもので……手を取り合っていくのが理想だったので」

 

 俺には分からんが、女王も相当な苦労をしたようだ。

 クズめ、貴様は重罪ですぞ! 

 

 前の世界でも人間とはかけ離れてたのと仲良くなってたし、あまり違和感とかは無いな

 魔獣とか知り合いにもいるし、動物にも仲間にいる。

 

「そうだ。女王」

「なんでしょう?」

「カジキとサザエ、後ロブスターが欲しいんだけど?」

「?」

 

 

 

 ■

 

 

 

「準備完了だな」

「やっとまともに戦えるねこの国」

 

 女王が来てくれてよかった。

 士気が上がるうえにまともな戦力。

 

「錬……」

 

 ふと錬を見ると背中に浮具をつけていた。

 今度泳ぎの練習でも手伝おうかな。

 

 あ、ラルクとテリスを発見。

 ん? もう一人傍にいるぞ? 誰だろうか? 

 

「ハジメ様」

「父様」

「どうした?」

 

 

 

 ■

 

 

 

 00:10

 

 転送まであと10秒。

 

 …………。

 

 …………。

 

「どうしたのハジメー?」

「………………何でもない」

 

 00:00

 

 景色が変わる。

 大海原に転移する。

 

「亀裂は!?」

 

 あ、この時は確か……。

 

「亀裂は上だァァァァァァァ! 何かに捕まれェェェェェェェェ!!」

 

 次元ノ勇魚

 

 ドガァァァァァァアン! 

 

 でけぇ魚だな。

 食えるのかな? 霊亀も食えたしいけんのか? 

 

「うわっ、船が大破した……」

「凄い威力……」

 

 相当の大物だって事。

 前の世界でもこんくらいのはいた。

 

「さて、終わらせて答え合わせするか」

「準備オーケー」

 

 あ、尚文が海にフィーロたんと入った。

 そろそろだな。

 

 顔出した所を攻撃だな。

 

「お兄ちゃん」

「ああ」

 

 水が盛り上がってきた。

 そこだな。

 

「出たな!」

「今度こそ!」

「これで、終いです!」

 

 尚文と次元の勇魚が海上へと出てくる。

 三勇者の一斉攻撃を行う。

 

 コイツらが総攻撃しても大した威力にならんし、俺がその攻撃を受けてもダメージは少ない。

 

 手伝うか。

 

喝!! 

 

 ドカァァァァァァァァン! 

 

「GUUOOOOOOOO!?!」

 

 実は口の中に仕込んでいたのだ。

 この能力は遠隔操作が出来て便利だね。

 

 飛び出た魚が力尽きたのか、海面に叩きつけられる。

 

 今回はウボォーをボロクソにするよりも簡単な作業だったな。

 

 

 

 ■

 

 

 

「いやぁ今回は楽勝でしたね」

「この魚呆気なかったな」

「レベル上げの効果が出てるかもな」

 

 ……しまった。調子に乗らせちゃったか。

 

「だけどおかしくないか?」

「何がだ?」

「前の波より簡単に倒せたが? 今まで一撃で倒せた波のボスがいたか?」

「確かに……」

「それにボスが倒れても亀裂が収まらない」

 

 やっぱり気づくか。

 多分ラルク達が出てくるだろ。

 

「亀裂を攻撃するぞ」

「おっとそれは困る」

「ラルク」

 

 ラルク出てきた。

 

「なんですか貴方達は?」

「なあ、坊主。誰が倒したか教えてやろうか?」

「ラルク? どういう事だ」

「ソイツだ」

 

 ラルクが指を指した先は……

 

「んー?」

「キラークイーン、お前倒したのか?」

「知らないよー」

「違う違う! 位置をすり変えるな!」

 

 場所を瞬時に交代。

 盾にするって方法もあった。

 

「お前倒したのか?」

「まあな。やり方は教えないが」

君の知らない物語(スターゲイザー)水銀粘獣(メタルスライム)の遠隔操作だろ」

「…………」

「?」

 

 …………………………あ、そういう事か。

 今まで全然気づかなかった

 

「お前ら何の用だ?」

「俺ら四聖勇者になにか用か?」

「勇者? 嘘だろこんなに弱い勇者いるのか?」

「なんだと?」

「言わせておけばこの覗き魔が━━━━」

 

 ブーメランだぞ?

 お前らさすがに学習してるよな? 

 

 ラルクは瞬時に鎌で周りを攻撃する。

 オーラは使用せずに技術で勇者を吹き飛ばした。

 

「これはなんだラルク?」

「いゃあ本当に、どうなってんだか俺の方が聞きたいくらいだ。まさか坊主が本当に盾の勇者だったとは……」

 

 確か仲良かったからな。互いに嫌だろう。

 

「お前に恨みはないが……世界の為に死んでくれ」

「あ、いいか? 話入っていい?」

「「…………」」

 

 あ…………いや? 空気読めてないってのは分かるよ。

 ただ聞いておかなければならないんだけどな。

 

「そこの虚無僧の女」

「何?」

「お前ヒミコだろ」

「…………」

 

 女は被り物を取ると、

 

「ああ、やっぱりあにさんにはバレるか」

「今さっき分かったけどな」

 

 声が変わり、ポニーテールの美少女が出てきた。

 お前なんでここにいるの? 死んだのか!? 

 

「でもよく分かったね? オーラの感じや匂いとか歩き方やサラシとか声も変えたのに…………」

水銀粘獣(メタルスライム)の能力名と遠隔操作の事はヒミコにしか教えてない」

「あ、なるほど……」

 

 チームから抜ける時点でこの能力はなかった。

 

「あれー?」

「ああ、この前はどうも」

「キラークイーンと関わりあるのか?」

 

 キラークイーンがヒミコに反応した。

 

「石鹸忘れたから貸してくれたんだ。お礼に背中を洗ったよ」

 

 あれれれ? お風呂に入ってたのか? 

 仲良くなりやがって。

 

「先生、もう戦っていいか?」

「いいよ。さっさとやれ」

 

 尚文とラルクが戦い始めると、

 

「ぬおっ!?」

「ナオフミ様!?」

「ごしゅじんさま!!?」

 

 遠くへ吹き飛ばされ……海までぶっ飛ばされたか。

 結構余裕だな。

 

「それで? やるのか?」

「は?」

「俺らとお前らの戦力をかち合わせてみろ。お前らは三人。俺らは十数人。倒せんのか?」

「やってみないと分からないじゃん。あにさん知ってるよね? 私の能力」

 

 確かに厄介。

 水中はヤツのテリトリーだからな。

 

「先生、やるんですか?」

「ひゅーう。先生の本気が見れるのか」

「分かってる? 本来の目的。作戦通りに動いて」

 

 目的? 作戦?

 目的は四聖の殺害じゃないの? それともグラスとかの援軍を待つとかか? 

 

「お前ら能力者同士の実戦だぞ」

「うん!」

「ぶっ倒したでござる!」

「分かったよ父様」

「ハジメ様? 奴らはどうなってるんですか?」

「あれ? 何で出てこないの?」

 

 あ、どうしたんだろう。

 空気読めてないからそろそろ出ると思うんだけど。

 

「皆気をつけて! あにさんの能力は━━━」

「全員海に落ちるな! ヒミコの能力は━━━」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「━━━━━━容量制限付きのコピー能力!」

「━━━━━━水中地中どんな場所でも泳ぐ念魚だ!」

 

周りが海だし、ヒミコの口寄せ・蛟龍(メガロドン)は厄介だ。

 

だから見せてやるよ。

俺の能力、海賊王(ジャンキーコレクション)を!

 

 




って事でオリ主の能力はコピー能力でした。
異能力系バトルの定番。

春夏なるさんへ→これが複数能力持ってる理由です。
ウルト兎さんへ→作中で能力のアイデアは使わせて頂きます。

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