念能力者の英雄譚   作:煽りイカ

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第54話

 数時間前。

 

「んで? 話って」

「道を歩いてた人が二人いたんだけど、纏が出来てたの」

「うんうん」

 

 俺は夜刀ちゃんが話があると言われ、裏へ。

 他のパーティーメンバーも同様。

 

「片方の人の声がどっかで見た事あると思ったら、もう片方の人がその人をミレナリオって呼んで…………」

「ミレナリオ…………」

 

 来てたのかよ。

 やっぱり波に参加しそうな感じだな。

 

「それで、もう片方の人の名は?」

「えっと……ゴドルだったけ? ボゾボソ言ってたから何言ってるか分からなかったけど」

「何ィィィィィィ!!」

「こんなに叫ぶの珍しいね…………」

 

 まずいまずいまずい。

 結構な強敵だぞオイ。

 

 俺だけで勝てるか? 

 

「ハジメ様、私も」

「?」

「実はその人達は全員で四名です」

「マジ?」

 

 は? まだいるの? 

 嘘だろ。

 

「他にはどんなのいるんだ? あと二人は」

「私の念獣で調べたんですけど」

 

 カキカキ

 

「この四人です。夜刀ちゃんのが言ったのも含めて」

 

 ローナは書いた似顔絵見せる。

 

「ん? フェムトとベリトもいるのか……」

「また知り合いでござるか……」

 

 えーコイツらもいんのかよ。

 厄介さが増したな。

 

「この人達の能力ってなんなの?」

 

 うーん。言わなければ駄目か。

 

「その代わり、誰にも言うなよ」

 

 

 

 ■

 

 

 

 数日前。

 

「さて、カルミラ島にあにさんがいるらしい」

「先生、そんなにヤバい相手なんですか?」

「ヤバいも何も怪物」

 

 ヒミコパーティー。

 ホテルで密談中。

 

「クソ爺と戦って一勝六敗した強者だし、数々の分野で功績をだしてる。皆戦いたくないとかよくいってるよ」

「クソ爺ってのがよく分からないんだが強いのか?」

「前の世界で最強の武人って言われてるってさ」

 

 ジジイと比べられるハジメ。

 

「船内見たけど他の世界の勇者もいるみたいだし……」

「ああ、鎌でその辺の魚斬っても経験値が入らなかった」

「さて、どうするか。計画の邪魔になりそうだし」

「あっちも何考えてるのか……」

「やる事被らなければいいけど」

 

 計画、とある水面下で計画を立てている。

 ただいま実施中なのだ。

 

「それじゃ、あにさんの能力を教えておく」

「最強の武人に一勝出来る能力ってのはなんなんだ?」

「うん、全部は分からないけど制限付きのコピー能力だって」

「「コピー能力?」」

「そう、他人の念能力をコピーするんだってさ」

「なるほど、相手によって相性の良い能力で戦えばいいでしょうし」

 

 コピー能力。

 色々な功績を立ててきたのも、この能力が活躍してきた。

 特に魔猿ギギはハジメじゃないと倒せなかったと言われている。

 

「でもどうやってコピーするんだ? さすがに戦闘中は無いだろ」

「まあね。あるとしたら戦闘後でボロボロにした後かな? 私もコピーする所見たこと無いから分からないけど」

 

 コピーした能力を使っている所は見た事あるが、コピーの手順や使用時のルール等は知らないヒミコ。

 

「とりあえず、知ってる能力は教えるよ」

 

 

 

 ■

 

 

 

「電撃銛 十!」

「銛!?」

 

 しまった。コイツ銛の勇者だったか。

 

 漁師だから似合ってるな。

 

「飛天大車輪 十!」

 

 いや、待て! 

 十!? 

 

「なんで十とかつけてるんだ?」

「え? スキル強化だけど?」

 

 鈍器の勇者は死んでないのか? 

 

 ……いや、それは問題ではない。

 スキルの威力が弱いような気がする。

 

「輝石・紅玉炎!」

 

 宝石魔法をテリスが打つが、対して威力は無くキラークイーンの能力で弾かれる。

 

 コイツら固まって動くようだ。

 何を考えてる? 俺が本気を出したら崩れるぞ。

 

「分散させる。俺ヒミコを、他を足止めして置いてくれ」

『了解』

 

 他の能力者は待機。

 他の兵隊は波の亀裂でも攻撃してこい。

 

「ねぇ、あにさん」ガギン

「なんだ」ガギン ガギン

「私達の世界へ来ない?」ガギン

 

 あ? なんだいきなり? 

 

「今こっちの世界でやってる事があるんだ。そっちには行けない」ガギン

「そっか」

 

 カスの掃討や四霊も。

 

「こっちの世界にユニちゃんがいるよ」

「マジか!」

 

 ユニが!? なんで!?

 死んだのかよ!! 

 

 なんで俺の知り合いばかり? 

 

「そう言えばお前なんで死んだの?」ガギン

「パームがいなかったから、ユピーの方を手伝ってぶっ飛ばされちゃった。アクアトライデント 十!」ガギン

 

 ああ、パームが念字で亡きものと考えろって言ってたやつか。

 で、ユピーに殴られたと。

 

「…………」ガキーン

 

 なんかおかしくないか? 

 俺か? 色んな知り合いが来てるし。

 

「オラオラ!」

「くっ、コイツら……」

「ラルク、持ちこたえて!」

 

 まーまーよく持ちこたえてるわね。

 ラルクもテリスも多少はやれるか。

 

「それで? グラスが来るまで持ちこたえられるのか?」

「……グラス? ああ、扇の勇者ね」

 

 反応が鈍い?

 

「弟子じゃないのか?」

「私の弟子じゃないよ? ユニちゃんでもないよ」

 

 じゃ誰だ? 変態が他にもいるだろうし。

 まだいるかわからないチームのメンバーか?

 

「じゃ誰だよ」

「どうせチームの━━」

「シールドプリズン!」

「「あ」」

 

 な、尚文。

 話の途中なんだが。

 

「話の途中だが今はそんな余裕は無い」

 

 空気嫁と言いたいが、他人の命がかかってるし責めはしない。

 

 だが、ヒミコにアイアンメイデンしても無駄だぞ。

 

『その愚かなる罪人への我が決めたる罰の名は鉄の処女の抱擁による全身を貫かれる一撃也。叫びすらも抱かれ、苦痛に悶絶するがいい!』

「アイアンメイデン!」

 

 鉄の処女が現れ、シールドプリズンごと無数の針で串刺しにするが、

 

 ガシャン

 

「…………いない!」

「…………話の邪魔しないで欲しいな」ドン! 

「ぐっ!」

 

 後ろから蹴られる尚文。

 

「あのさーホントに邪魔しないでくれない? あにさんと会えるのどんだけ楽しみにしてたか…………分かるの?」

「ナオフミ様!」

「ごしゅじんさま!」

 

 流石に相手をさせるのは分が悪い。

 

「まて、ヒミコ。相手は俺だろ」

「あにさん……そう言うなら分かった」

 

 よしよし素直でよろし。

 コイツは油断させて拘束するか。

 

「それで話の続きは?」

「ああそれで━━━━」

「その戦い待った!」

 

 ん? その声は!? 

 

「おっ、フェムト! 久しぶり!」

「お久しぶりです師匠!」

 

 やっぱり出てきやがった。

 

「クッソあのアマ……」

「騙しやがって」ボソリ

 

 ミレナリオ、ゴドルまで……この世界に来てたんだな。

 

「よぉおひさ、遅くない?」

「あの女のせいだよ」

 

 ?

 

「ああ、今さっき……」

 

 

 ■

 

 

 波の前。

 

「あれ? 君らまだ編成機能の貰ってないの?」

「ああ」ボソリ

「私らの分隊でやる? 手続きあるし面倒だったよ?」

「…………じゃ頼むわ」ボソリ

「はい」ピロリーン

 

 ヒミコ変装中である。

 そして波の転送後。

 

「ゴドル、転送してないぞ?」

「…………分隊が破棄されてる」ボソリ

 

 

 

 ■

 

 

 

 意外とうっかり騙されるとかあるよな。

 よくある事だ。

 

「クソアマ……」ボソリ

 

 ゴドル君キレてるよ? 

 付いた二つ名が"カキンの狂犬"だからな。暴れさせると不味いことになる。

 

「ねえ、あにさん」

「なあに?」

「一時的に手を組まない?」

「嫌に決まってんだろ。お義父さんを傷つけてただで帰れると思うなよ?」

「えええ!?」

 

 ドカアアアアアアアアアアアン! 

 

 ぬおっ!? 何だ!? 

 

 ……海に何か落ちた! 

 もしかしてグラスか? 

 

「この気配どっかで…………」

「俺も……」

「もしかして…………」ボソリ

 

 あ、グラスじゃないなこの気配。

 

 この懐かしくて心強い気配。

 俺の顔見知りだな。

 

 …………何故だ、死んでたのかよ。

 

 気配が水上に上がってくる。

 

 バシャン! 

 

「ふううう、まさかベリト君がもう海にいるとはね。面倒だから気絶させておいたよ」

「「「「ベリトォォォォォォォォ!!」」」」

 

 その気配の持ち主が、全裸のベリトを抱えている。

 びっくりして俺まで声が出てしまった。

 

 中学生位の背丈、濡鴉の黒髪と泣きぼくろ。

 間違いない。

 

「よう、久しぶりだなハジメ! 来ちゃったゾ!」

「師匠……」

 

 俺の師匠、アノン=クルーガーだ。

 

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