念能力者の英雄譚   作:煽りイカ

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第5話

 とある転生者Aside

 

「これで今日の仕事は終わりかな」

「お疲れ様でした」

「ラミリアもご苦労様」

 

 この世界にきて25年。

 俺は貴族の三男に生まれた。

 

 まったく神には頭が下がる。こんないい所に転生させてくれた。感謝しかない。

 

 そして今俺は領主をやっている。

 

 ん、兄貴はどうしたかって? 

 そんなの決まっているだろう。死んだのさ。

 

 上の兄は俺の事を性悪とよく言ってきており、仲が険悪だったのだ。

 ある日森で言い争いになり、顔を殴られた為ブチ殺して生き埋めにしてやった。

 まったく顔殴るとかありえないだろ。自分の程度の低さを棚に挙げてよ、嫉妬かっての。

 

 下の兄は大人しいタイプであり、表に出るタイプではなかった。しかし俺の事を裏では偽善者呼ばわりし、皆に言いふらしていた。

 そんな卑怯者に領主は勤まらない。毒盛って殺してやったよ。死体は上の兄貴が眠る森に埋めてきた。

 

 そして親父がタイミングよく病で亡くなり俺が領主になったと言うわけだ。

 

 タイミングと言えば斧の勇者が召喚されたって聞いたな。丁度いいから俺の戦略で武器を奪い取ってやろう。

 

「その為には兵力増やさないとな。増税するか」

 

 ドス

 

「へ?」

 

 胸から刃? な……ん……で……。

 

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 

 

 とある転生者Bside

 

「よし、これを入れれば」

 

 これを入れればこの薬は完成する。

 金貨何枚儲かるだろうか。楽しみだ。

 

 この世界には楽しい事が沢山あるな。

 女も寄ってくるし、少し頭を使えば金なんていくらでも沸いてくる。

 

 それなのにこの国は邪魔してくるんだよな。この前なんか強制捜査とか言って家に入り込んで来たけどよ、なんも見つからないんだぜ!

 はっはっはバカだな、お前らじゃ見つかんねえよ。

 

 地下室のそのまた地下に隠し部屋があるなんて誰も気づかないんだよな。土魔法で地下の様子を知る事とか出来るのによマヌケな奴等だ。

 

 思えば俺の前世は周りにろくでもない人間しかいなかった。その上才能もなかった。だが今世は違う。

 

 才能を貰い沢山の人間からチヤホヤされる。こんな最高な世界はない。

 

 ん? 眠くなってきたな。寝るかな、明日早いし。

 

 俺は明かりを消し、ベッドに入った。

 明日は取引だし、上手く行くといいな。

 

 ドス

 

 なんだ? アーリーか? それにしても気配が無かったな。

 ん、胸が痛い? 

 

 あ……れ……意識が遠……の……く。

 

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 

 

 とある転移者Aside

 

「リュウ様、好きです」

「お、俺もだ」

 

 転移してきて1ヶ月、ようやく軌道に乗ってきた。

 チート貰ったから簡単にSランク冒険者に成れたぜ。

 

 そして莫大な金を貰ったので家を買った。大きな家で、奴隷達と一緒に住むことになり、今告白されたところなのだ。

 

「よ、夜に体を清めてくるのでその時に契りを……」

「お、おう」

 

 夜まで待つのか、今ここで押し倒したいくらいだ。

 

「それではのちほど」

 

 ドアがしまる。

 

 やったぁぁぁぁぁぁぁこれで童貞卒業だぁぁぁぁぁぁぁ! イヤッホオオオオオゥ! 

 

 はっ、こうしてはいられない。こっちも身だしなみを整えなくちゃ。

 

 それにしても楽しみだなぁ。あの爆乳を触れるなんて幸せ者だ。

 

 ガサ

 

 ん!? 後ろで気配が? 

 

 振りかえると、

 

 ザシュ

 

 あれ? 何もいない? なんか変な音もしたな。

 何だろうか。疲れてるのか? 

 

 ボド

 

 は、頭が地面に落ちた? 自分の背中が見える!? 

 

 な…………に……こ……れ? 

 

 

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 

 夜、ゼルトプルの裏路地。

 

「おい、聞いたか。俺ら側の人間が何十人も殺されているらしいぞ」

「俺も聞いた。誰がそんな事を……」

「僕が役人から手入れた情報だと、死体の側の壁に『転生者に災いあれ』とか書かれていたらしいぞ」

 

 三人の冒険者がひっそりと会話していた。この三人は神によりこの世界に送り込まれた存在だ。

 

 人格はそれぞれ違うが性格に難があり、自己中心的な性格をしている。

 

「俺はこの国から出る」

「マジか俺もだ。この国には何かある逃げた方が得策だ」

「僕は出ないぞ。家を買ったんだ。暗殺者なんて返り討ちだ」

「だがSランク冒険者で殺されたのがいるんだ。止めといた方がいい」

 

 ガシャァン ガシャァン ガシャァン

 

 猿の人形が三人へ向かってくる。

 金属音を発てながら。

 

「ん、なんだこのシンバルを持った猿は?」

「懐かしいな。これ家にあったよ」

「あのCM気持ち悪かったよな…………」

「おい、この猿の背n」

 

 ドカァァァァァァァァァァン

 

 猿は大爆発した。

 

「な……ん……で……」

 

 

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 はい、ハジメさんです。

 今、ルール違反者を爆死させました。

 

「熱い……助け」

 

 グシャァ

 

 おっとまだ生きていたか。

 油断大敵だな。

 

 それで今俺がやっているのは波の尖兵やルール違反の商人の暗殺だ。

 実は転生者等がよく悪さをしており、ゼルトプルの商人が困っていたらしいのだ。俺も何とかしようと思っていたので丁度良かった。

 ゼルトプルは金と力があれば偉いけど、何をしてもいいって訳ではない。

 

 例えば、領主の権限を使い不法に奴隷狩りをしていたり、麻薬を密造して売りさばいていた奴もいたらしい。他にも奴隷商人へ強盗や強姦、連続殺人等もしているやつらがいるとか。

 明らかにクロなのだか証拠が無く、暗殺しようとしても返り討ちにされているとかもあるそうだ。

 

 何十人と殺して気づいたのだが、転生者はオーラが気持ち悪い感触がするのだ。

 今の三人も転生者であり、全員オーラが気持ち悪かった。うち一人は強盗殺人を犯したらしい。

 

 女も何人か殺したのだがオーラが気持ち悪い奴はみんな評判が悪かったらしい。

 ……ビッチ女神の端末の可能性があるな。

 

 つまり、俺は波の尖兵を見破れると言うことだ。

 これは大きなアドバンテージだ。

 

 科学者タイプの転生者やビッチには念のためソウルイートしており、転生を二度と出来なくしている。

 

 それで話は変わるが、気になるのがレイ=アースログと言う魔導師だ。

 コイツは今国外に要るらしく、何処にいるのかわからないそうだ。

 調べたところコイツは非道な人体実験を行っているとの事で帰国したら即殺そうと思う。

 

 取り敢えずギルドと提携し、新人で目立ったやつがいたら報告するようにしている。

 出る杭は打つ。

 

 今日の仕事はもう終わりだし帰るかな。

 

「ポータルアックス」

 

 ちなみに龍刻の砂時計の砂を貰い、スキル強化もしている。

 今度フォーブレイに遠征にでも行くかな? 

 

「さて、寝ますかね」

 

 ホント金も稼げてゴミ掃除も出来るんだ一石二鳥だな。

 あっ、アリバイ作っとかないとな。誰が数人と話そう。


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