念能力者の英雄譚   作:煽りイカ

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アニメ……延期だと?


第60話

「さ、親子丼とカツ丼と天丼。ラーメンやうどんの麺類もあるから好きなの選べ」

「意外と揃ってるんだね」

「俺の趣向だ。ジャポンの料理を多数食べられるようにしたい」

 

 俺は出前のメニューを渡す。

 

 ここは取り調べ室。こっちの趣で警察の取り調べの感じみたいにしている。

 ヒミコが来たので取り調べだ。

 

 キラークイーンが近くで傍聴し、鏡があるがマジックミラーとなっており春菜が待機している。

 

「とりあえずざるそばかな? 麺類あるでしょ」

「あるけど味は普通だぞ」

「わさびもつけてね? つゆに入れるから」

 

 ったく、やっぱり入れるよな。

 

「キラークイーン、頼みに行ってくれ。俺はカツ丼を」

「うん」

 

 卵とじのカツ丼だ。

 唾液が出てきた。

 

「さ、何をしに来た? 拉致じゃないのは分かってる」

「よく分かったね…………誰かの能力?」

「黙秘だ」

 

 取り調べる側が黙秘。

 

「確かに戦闘しに来たわけじゃない。あにさんと停戦と情報共有の協定を結びに来たの」

「メッセンジャーか……懐柔策でくるのか?」

「うん。強硬策じゃこっちが疲れそうだし」

 

 その方が被害がなさそうだしな。

 俺を拉致しようとするんならもっとヤバい能力者を連れてくるといい。ジジイとかゾルディック家とか。

 

 それに俺も顔見知りと戦いたくない。

 互いに害はない。

 

「しかし情報共有ってのは?」

「変な能力者とか現れなかった?」

「現われた」

 

 教皇戦で出てきたあの二人。

 通常版じゃ出てこないキャラなんですけど。

 

「こっちも出てきてる。結構強いのも襲ってきたし、危なかった事も少しあったし」

「マジか……なんか変な勢力が介入してる」

「んでその中にイゾウ=チョウソカベがいたって話」

「嘘でしょ? A級犯罪者じゃん」

 

 噂で聞いた話だと能力を与える能力らしい。

 しかし、貰うには代償が必要らしく条件を満たすと死ぬとか。

 写真を見たらまんま喪黒福造だったから印象に残ってる。

 

「で、ここから厄介なんだけど」

「うんうん」

「こっからは協定を結んでくれないと駄目」

「わかった。停戦と情報共有な。だけど俺らの一派限定だから国とかはそれに入らないぞ」

「いいよ。こっちの一派も限定ね」

 

 あ、書類を取り出した。

 簡単に今言ったことを守る制約が日本語で書かれている。

 透かしや極小の字とか無いか? 

 

 先に師匠の名前と拇印が押してある。

 

「えっと、これ血?」

「さすがに朱肉」

 

 まあ、そりゃそうか。

 

「これでよし」

「そう言えばそっちの勢力ってどのくらい?」

「うーん、全部は言えないけど能力者とか増えてるよ。扇の勇者の国を拠点としてるかな?」

 

 師匠も勢力とか広げてるんだな。

 こっちも広げよう。

 

「で、喪黒福造の話だったろ」

「喪黒福造?」

「あ、イゾウ=チョウソカベに似てる人」

「? まあ、いいや。実は転生者のクズ達に能力を与えてるらしいよ」

「は?」

「私達にも被害が出てるけど殆どは共食い。それにルールがあるのか突然死ぬらしい」

 

 わー利用されてるな。

 知らない人から物を貰うなとかよくあるし、代価があるとは考えないのだろうか。

 

 そんな事を考えないから操りやすいし、メガヴィッチはカスを転生させて手駒にする。

 

「そっちはどう? なんか情報ある?」

「こっちはホーネットってのがいた」

「あー強盗集団ね」

「ご飯持ってきたよー」

 

 お、キラークイーンが食事を持ってきてくれた。

 

「お、いただきマース」

「お、いいにおい!」

 

 カツ丼とざるそば。

 あ、天丼もあるぞ? キラークイーンか? 

 

「お、うめぇ」

「いけるいける」

「おいしー」

 

 ごはんターイム。

 

「やっぱり丼物は美味い」

「分かる。ざるそばのツーンとしたのも美味しい」

「美味し美味しー」

 

 コンコン

 

 チッ、分かったよ。

 

「あ、そうだ。転生者の背後に女神いるのわかってる?」

「…………女神? 背後になにかいるのは分かってるけど……」

「記憶を読む能力者がいてな。女神の事を話そうとすると頭が破裂するんだって」

 

 破裂する事を知らない奴がいるのは少しだが不憫。

 大切にするなら教えると思うし、捨て駒だというのがよくわかる。

 

「全く、酷い迷惑。転生者のせいでどれだけ傷付いたと思ってるんだよ」ŧ‹”ŧ‹”

「ああ、ソイツらの役目は勇者の妨害や世界の基盤を狂わせる事らしい」

「…………詳しいねあにさん? 関係者に知り合いいるの?」

「いませんよ。転生者みたいな人間が迷惑起こした話が過去にも沢山あるし、それだと国や勢力がめちゃくちゃになるからそう推測しただけだ」

「こっちも迷惑起こした話なんて沢山あるよ。クーデターとかして善良な領主とか殺してるし、商人を一家人中させたりとか」

「だろ?」

 

 そっちは相当暴れてそうだな。

 三勇教なんて転生者とか狩ってたらしいからメルロマルクじゃあまりいない。

 褒めてやるよ。

 

「あにさんは色々知ってるよね。話聞いてるとこの波って女神が起こしてるの?」

「多分な。でも違う勢力が介入してるからまだそんなのがいるかも」

 

 何か知らんが原作とは違った方向に進んでいる。

 なんでこんなになったんだろうか? 

 

「成程ね。あ、そうだ。アノンさんから異世界同士の貿易するかもしれないから様子をちょっと見て来いって言われたから技師とか商人とかいない? 紹介してほしいんだけど」

「良いぞ。だけど秘匿の情報は渡さないぞ?」

 

 念は押しておく。

 機密情報はバラしたくない。

 

 それにしても異世界貿易か。

 面白いかもしれない。互いに資金も増やしたいだろうし。

 

 ミレナリオやゴドルの世界とも貿易するかもしれないからな。

 

「そう言えばマルシダスさんを波で見かけたよ」

「知ってる。通常運転らしいな」

「ハジメ様大変です!!」

「どうしたローナ」

 

 あ? なんだ? もしかしてマルシダスが現れたのか? 衛兵はしょっぴいてやれよ。

 

「この前のミレナリオって人が夜刀ちゃんのコンサートに紛れ込んでました!」

 

 チッ、ミレナリオかよ。

 でも奴がやらかす予知は無かったぞ。

 

「俺が追うか」

「あと……フェムトって人が練兵場で訓練してます。兵士達と仲良くなってます」

 

 アイツは話術もよく出来る。

 交渉とかしたいのか? 

 

「ちょっと連れてこい」

 

 その前にカツ丼平らげないと。

 お口直しにリンゴに近い果物を食おう。

 

「あにさんそのリンゴちょうだい」

「ほれ」

 

 

 

 ■

 

 

 

「で?」

「こっちと停戦と情報共有の協定を結んで欲しい。最低停戦だけでもいい」

「お前ら……あにさんに手を出して虫のいい思わないのか!」バン

「いやそっちも手を出してたろ!?」Σ(゚д゚ll)

 

 俺、机に足を乗っける。

 ヒミコ、取り調べを手伝いたいのか手で机を叩いてる。

 

「ほら、メニュー選べ。奢りだ」

「カツ丼で」

「自分はフルーツパフェで」

「デザートだな。俺もフルーツパフェ」

「私はチョコパフェ」

「フルーツパフェ食べたーい」

「ガッツリは俺だけ?」

 

 ミレナリオだけカツ丼。

 今度始まった豚丼もオススメだ。

 

「それで? そっちはどうよ? 波との状況は」

「なんも問題ねぇぞ? 能力者も召喚される前からいたし、面白いシステムがあるから死人も少ない」

「面白いシステム?」

「それは企業秘密だな。そっちはどうだ?」

「ヒソカが召喚されてた。波で会わないように気をつけな」

「「「は?」」」

 

 能力者が召喚される前から居たってことか。

 数百年前とかに召喚された能力者とかいるかもしれないな。

 

「は、ははは。ヒソカいるの?」

「いるいるー。フィロリアル連れてる」

 

 クロちゃん元気かな。

 

「うわ……やだな」

「前俺のとこの部署にも来てな、ハッパ上司をじっくり品定めして帰ったよ…………」

「こっちは直に遊びにきましたよ。グールルの所もアポ無しで来そうですよ?」

 

 ハッパ上司って結構強いって聞いたし。

 ってかアポ無しで来るとか本当に迷惑だな。

 

 グールル。アイツ殺されてねぇよな? 

 トラックで轢かれるタマじゃない。

 

「でさ波の時から気になってたんだけどさ、あの翼生え」

「パフェ持ってきたよー」

「やっときたか」

 

 ここで採れたフルーツのパフェだ。

 チョコパフェはチョコ農家から仕入れた。

 

「あ〜美味し!」

「うっ」

「?」

 

 く、あの番外編を思い出したじゃねえかよ。

 あんなに頭おかしいから長男がグレて盗賊になるんだよ。

 

 環境って怖いな。

 

「みんなパフェ食ってるのに……俺だけカツ丼って浮いてるな」

「いいんじゃないの? 食いたいもの食べれば」

「そうだな」

 

 まあ、こっちも食べるか。

 俺は久しぶりに仲間と飯を食べるのだった。

 

 

 

 


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