念能力者の英雄譚   作:煽りイカ

62 / 81
2期待ち遠しいなー。


霊亀篇
第61話


「なあローナ」

「なんですか?」

「俺の教え方っていつもあんな感じか?」

「そうですよ? 自分でやってて気づかないんですか?」

 

 ん? 今日は何をしてるかって? 

 

「オラ!」

「こんの"ピッー"が」

「どうしたもうへばったか!? お前の愛する女はどうしようもない"ピッー"だな!!」

「気持ちいかぁぁぁ!?」

「なんだコイツら……」

「おい! 誰が口を開いて良いと言った"ピッー"が」

 

 口を開いたのは元康。

 後で折檻だな。

 

 俺らは今四聖勇者の特訓中である。

 基礎体力が大事だと思うので鍛えている。

 

 大雑把で強力な技よりも、生き残れるだけの根性と体力だ。

 

「お前ら…………よくもここまで生きてこられたな」

「否定が出来ないのが辛いな」

 

 三勇者も尚文も多少常識知らずの事もある。

 国の事とか調べれる事ができたんじゃないか? そうすれば尚文の冤罪も不可解と感じるし、三勇教にも踊らされる事も無い。

 

 有名な敗因の一つに情報不足ってのがよくあるぞ。

 

「くっ、なんでワシまで…………」

 

 ああ、女王様に頼んだら快く参加させてくれたよ。

 クズよ、初心からやり直せ。

 

「おい、どうした? 尚文にした事忘れたのか?」

「あにさん? コイツ結構皆に叩かれてるけど何やったの?」

「コイツはねー」

 

 ちなみにヒミコも特訓に参加。

 クズのやってきた行いを教える。

 

「はぁ!! 被害者が怪しいし証拠も無いのに何その仕打ち!?」

「だろ? それで戦争になりそうだったんだぜ」

「罪だよ」

 

 三勇者とクズは毛利小五郎以下だな。

 光彦や元太でさえ根拠も無く犯人扱いはしないだろう。

 

 思い出したのだが、とあるラノベで主人公が売上金の窃盗の濡れ衣を着せられ、管理してた人間から暴力を振るわれるという場面があった。

 大した根拠も無いし、暴力を振るうとかどんだけ程度が低いんだよって話。

 

 主人公は不器用で足引っ張ってるが、性格は良いのになんでこんな仕打ちを受けなければならないと憤りを感じた。

 人間の縮図がよく分かる。

 

「オラ、尚文に謝れや」

「お義父さんにあやまれぇぇ!」

 

 ヒミコはクズを蹴る。

 よし、時間か。休憩やん。

 

 

 

 ■

 

 

 

「それにしてもまさかリーシアさんを追放するとはねぇ」

「アイツは本当に傲慢としか思えん」

 

 リーシアさんが追放された話を聞く。

 実は波の最中に活躍したらしく、女王様にお褒めの言葉を貰っていた。

 

 それなので少しは功績はあるのでありがたいはずなのだが。

 

「あ、そういえばアルドミティアの事だったか」

「? ああ、話が切れたから有耶無耶になってたな」

 

 あ、忘れてた。

 よくあるんだよなぁ。

 

「アルドミティアの商人に会ってな」

 

 尚文曰く、五人程の集団だったらしい。

 馬車が壊れて途方にくれていた時に尚文が通りかかり直したそうだ。

 お礼に食事と積荷を少し貰ったとか。

 

「それで食事を一緒にしてる際に奇妙な事があってな」

「奇妙?」

「ああ、その内の一人がハジメの事を根掘り葉掘り聞いてきたんだ」

「俺の事を?」

 

 確かに武器によってファンがいるのは分かってるけど。

 聞いても不自然じゃないし奇妙じゃないが? 

 

「奇妙なのはハジメの事を斧の勇者だとは知らなかった事だ」

「は?」

「聞いてみたんだが何の勇者か知らなかったぞ」

 

 ? ファンなのにどんな勇者武器か知らなかったのか? 

 流石に情報とか行くだろ。

 

 斧の勇者ではなく名前だけで? 

 

「じゃ俺は用事あるから」

「ああ、仮眠しとけよ。昼寝は体力回復量多いからな」

 

 少し俺も食べておこう。

 本当は食べない方が体に良いらしいが、甘い物だけでも食っとこ。

 

 俺は尚文と別れる。

 

 全く、アルドミティアの謎が一気に増えたぞ。

 

 

 

 

 ■

 

 

 

 昼食時。

 よし、お前らのまだ特訓は終わらねぇ! 

 

「なんて読むんだ?」

 

 分からないと食べられま10です。

 ただいま絶賛読み書きの練習であります。

 

「尚文、復習だ。これはなんて読む?」

「クールぶった自己中」

「これは?」

「人の話を聞かない女好き」

「んじゃこれ」

「傲慢な偽善者野郎」

「正解だ。食っていいぞ」

「お先」

 

 全く…………順応性が高いぜ。

 

「ほら、これはなんて読む?」

「うっ…………燕返……し?」

「違う、無明三段突きだ」

 

 あ、ゴドルの能力を移して使ったらどうなるんだろうか。

 停戦してるし会った時聞いてみよ。

 

「えっと…………ダニエルがジョンを部屋に連れ込みそのままズボンを下ろ」

「待て、何故官能小説がある?」

 

 俺持ってきた覚え無いんやけど。

 誰だ? 

 

「よし、これなんて読む?」

「この訳は〈右の頬をぶたれたら左の心臓を奪え〉ですね」

「正解だ。インテリっぽい雰囲気あるから多少物覚え良いな」

 

 

 

 

 ■

 

 

 

 

「…………俺だけ個別か?」

「まあな」

「泳ぎか」

「帰る!」

 

 今回、僕は錬君と一緒に海にきた。

 泳げないし、水中の敵とか倒すかもしれないのでレクチャーしに。

 

「いいかー錬。泳ぎっては大事なんだぞ」

「泳げなくても戦える」

「普通の小学生でも泳げるし、水中に入ったらどうするんよ? 泳げず他の仲間に救助されるのか? 足引っ張っていいの?」

「うっ」

「経験上、水場の戦いなんて少ないがな…………今後あるかもしれないのか人生だ」

「…………お前歳いくつ?」

「30」

 

 俺も歳を取ったものだ。

 

「ほら、水練始めるぞ。まずはこの重りを背負って」

「…………嘘だろ?」

「冗談では無い〜装備や仲間を救出する時に必要だ」

「…………」

「まあ、俺も背負うんだけど」

 

 前の世界でやったな。

 

「さ、泳いでみよ」

「…………」ゴボゴボ

 

 溺れてるよ。

 足がつく浅瀬なんだけど。

 

 バシャ

 

「大丈夫かお手本見せるぞ」

「…………」

 

 少し泳いでみるか。

 クロールで多少遠くに泳ぐ。

 

 お、獲物みっけ。

 念弾発射! 

 

 脳天をぶち抜く。

 よしよし、大物だな。錬と一緒に食うか。

 

「ん? 錬は何処だ?」

 

 いない…………逃げられたか。

 魚料理をご馳走したいのにな。

 

「やっぱり痛い目に会わないと学習しないか…………」

 

 基礎体力中心でレッスンしてやろ。

 後々分かった事だが、この魚は食用じゃなかったので武器に入れた。

 

 

 

 ■

 

 

 

 ? side

 

 

 

 誰かの夢。

 

「よう、ハジメ!」

「あ、ノブナガ」

「久しぶりじゃねえか! 団員に入るか?」

「嫌だ。俺は自由が大好きなんだ」

 

 ノブナガが肩を組んでくる。

 

「あ、ハジメ」ピキ

「よく面出せたもんだな……」ピキピキ

 

 フィンクス、フェイタン。

 ハジメの顔を見ただけで青筋が立つ。

 

「あっ、ハジメ! 元気だったか!?」

 

 ウボォーギン、ハジメの背中をバンバン叩く。

 痛そうな顔。

 

「それで? 何の用だ?」

「クロロ、久しぶりだな」

 

 クロロ=ルシルフル。

 

「実は緋の目について調べててな。そっちは売買したって聞いたし、売った相手の顧客名簿って無いか?」

「…………」

「やっぱり知らないか?」

「スマン……実はブローカーが殺されたらしくてな。名簿を探したが何処にあるか分からんらしい」

「そうか…………」

「仕事場を片付けたり円を使って隠し空間を探したんだが見つからないんだとさ」

「…………」

 

 沈黙が続く。

 

「名簿使って何する気だ?」

「多数数複製して売る。世界七大美色の出処だし、食いつく奴らがいるかもしれん」

「ちゃっかりしてるなお前」

 

 金儲け大好きと陰で言われているって事は本人は知らない。

 

「中々借りを返せないな」

「いいよ後で」

「おうおうハジメェ〜いつか借りは返すぜぇ〜」

「ゆっくり待ってる」

 

 

 

 

 映像が途切れ、夢の主が起きる。

 

「夢…………?」

 

 目を擦り、ベットから出る。

 

「春奈ァァァァァ! 見て見てデカい虫!」

「お兄ちゃん…………外に逃がしてきなよ」

 

 夢の主の上司が朝からうるさい。

 今日も一日が始まる。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。