念能力者の英雄譚   作:煽りイカ

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第68話

「うむ……」

「それじゃ歓迎会でもしましょうか」

「いやいやいいよ……」

「料理とかこの国は自慢ですよ! ライガーフェンは簡単な料理しかないですし、アルコイリスは焼いたりして調味料かけるだけですから」

 

 確か技術と商業の国だもんな。

 

 俺も料理は得意じゃあないんだけどね。

 結構美食はやったはずだけど。

 

「そういえばなんでこの国は二人しか勇者がいない?」

「じ、実は……」

 

 リーネはボツボツ話してくれた。

 元々勇者は一つの国に最低限二人らしい。

 

 それでイクサってモノがあり、勇者の所有権利を争った戦いがあったそうだ。

 一つの武器を奪い合う為にゲームとかあるシステムになっている。

 弩は狙撃のPK戦だったり、脇差はナイフの格闘戦、農具は野菜を使った料理バトル、車輪はチキチキマシンレース。

 

「野菜を使った料理では負けたのか? 料理技能はある方なんだろ?」

「ええ……新種の野菜を使ってきましたし、偵察されていたらしいんです」

「偵察…………」

 

 偵察までするのかよ…………時と場合によってはギンギンのブラックだぞ? 

 

「それで私らは負け続けて、最低限の武器の銃剣と鋏は手に入れました。哀れみなのか幸い眼鏡の武器の権利は譲ってくれましたけど…………」

「何処にあるか分からないし、見つけたら召喚していいよって事か」

 

 …………ん? なんで行方不明なんだ? 

 盗まれたんなら何処かで召喚されてるんじゃないの? 

 

「一応召喚されてるかどうか分かるアイテムってあるのか?」

「ええ【アルコイリス】の王都の地下、【アロウ遺跡】に四聖武器と十輝星勇者のレリーフがあります。そこで生存してるかどうか確かめれます」

 

 そこはフォーブレイと同じなんだな。

 

「捜し系の能力者とかは?」

「いたら召喚してますよ」

 

 ですよねー。

 俺の能力にも無いよ? 

 

 今後とヒミコの世界の能力者に期待するか。

 

「それで? 鋏の勇者は?」

「ただいま【アルコイリス】に遠征中です」

 

 そうか……アイツにはまだ会えないか。

 戦えれば魔物の大群は一溜りもない。

 

 勿論テロリストからも恐れられてる。

 この前ビル倒壊させてたし、一個小隊を壊滅させたとか噂もある。

 

 ドォォォォン

 

 ん? なんだ? 

 何の音? 

 

「女王、大変です!」

「何ですか? あの車輪の勇者が遊びに来たんですか?」

「違います! 時計の方です!」

「えーあの人?」

「邪魔するぜぇ」ドォン

 

 入って来た。

 金髪のチンピラ、ホストとかにいそうな感じ。

 

 多分車輪って言ったらアイツか……性格も良いし実力もあるんだが……あるだけど。

 

「こんにちは〜時計の勇者のハットで〜す」

「なんですかアポ取ってくださいよ!」

「すいませんねぇ、ちょっと銃剣の人と戦いたくてねぇ〜」

 

 あら〜挑戦者ね。

 ジジイと戦った時期があったし懐かしいわ。

 

「いま、お疲れなのでまた後にしてくれませんか?」

「あ、そう? じゃまた明日来るわ」

「ええ、来る時には連絡入れてくださいね」

「いいよ〜んじゃまた〜」

 

 スタスタ

 

 うっし、んじゃ戦うか…………あれ? なんで帰るの? 戦う気満々なのに。

 

 …………融通効くんだな時計の勇者って。

 連絡してもくれるようだし親切だな。

 

「いつもこんな感じか?」

「ええ、いつも粗暴な態度ですが話は分かるタイプですし、お年寄りとかには凄い親切だそうです」

 

 あら、見上げた若者だな。

 パリストンに見習って欲しい物だ。

 

「一見、態度が悪そうなので転生者に間違われる事もありますがね…………【ライガーフェン】では人気ですよ」

「!? 転生者の事知ってんのか?」

「ええ、まあ? 昔暴れてたそうです。結界があるのでここら世界には転生者や転移者等は入れませんが」

 

 転生者の事まで知っているんだな。

 つーか結界まであるのか。

 

「ええ、誰が結界を作ったか知りませんし、結界の生成場所とかは私含め誰も知らないのです」

「そうか…………」

 

 四聖結界とか神狩りが作ったとか書いてあったような気がする。

 魂エネルギーを使い結界生成……ここの結界のエネルギーは何を使ってるんだ? 

 

「もしいてもオーラが汚いし分かるので、即効駆除です」

「…………」

 

 そうだとしても、お偉いさんの身内が転生者等や端末だったらやりにくいだろうなぁ。

 メルロマルクの女王がいい例だ。

 

「……とりあえず、町にでも行こうかな」

「わかりました。ちょっと手配しますね」

 

 技能と商業の町だし賑わってるんだろうな。

 

 

 

 ■

 

 ザワ ザワ ザワ ザワザワ ザワザワ ザワ

 

 おお、人がすっげえいる。

 

「ここがメインストリートです。選ばれ選ばれた商店しかありません」

「うおー色んなの売ってるな」

 

 服もあるし、レストランもある。

 本屋も菓子も。

 

 この人はミスルさん。

 案内役の文官だ。

 

「ここは国の顔みたいなものです。このエリアは広いので一部でしかありませんよ」

「一部!?」

 

 確かに広いが…………全部じゃないのかよっ! 

 

「他にも職人エリアや外食エリア、居住エリア。オススメしませんが花街エリアに闇エリアもあります」

「闇エリアって何?」

 

 あまり考えずそこに突っ込んでしまった。

 ヤクト? 

 

「簡単に言えば治外法権のスラム街ですね。盗賊とか闇商人等がよくいるそうで非合法な事がある場所です。聞いた話だと価格は高いけど何でも買えるって話を聞きます」

「治外法権……」

「一般の人はあまり立ち入りしませんね…………」

 

 どんな所にもそんなのがあるんだよなぁ。

 治外法権の理由とかありそうだ。

 

「まあ、一応協定は結んでいます。闇エリアの人間は一般人に危害を加えない。そしてウチらは情報提供を受けたり、重犯罪者の引渡し条約を結んでいます」

「この国は優秀だな」

「ええ、清濁合わせ持つのが国ですし、必要悪ですからね……」

 

 カキンでもそんな感じだな。

 マフィアと手を組んでるのは綺麗事じゃ世の中上手く行かないしさ。

 

「巫山戯んな!」

「んだとテメェ!」

 

 あ、喧嘩が始まった。

 どんな世界でも争いはある。

 

「「イクサ オン!」」

 

 な、なんだ!? 

 回りに結界が!! 

 

「くらぇええ!」

「うおおおおっ!」

 

 わー戦いが始まった。

 …………と、言っても非能力者なので見応え無い。

 

「うおら!」

「ぎゃあ!?」

 

 あ、片方が勝った。

 負けた方は切り傷から煙のようなのが出てる。

 

 ん、結界が解かれると煙は止まった……あ、起き上がった。

 

「おい、犬の方が良いだろ!」

「あ? 猫に可愛いに決まってんだろ!」

「あ!? またやるか!?」

「おっ!? やんのかまた? 犬と猫どっちがいいかよぉ!!」

 

 お前ら犬と猫どっちがいいか争ってたのか!? 

 どんな次元だよ。

 

「あれがイクサです。世界のシステムのようなもので、殺されても死にはしません。兵士以上には緊急脱出システムが組み込まれてます。デメリットに魔力がゼロになったり、数十分ステータスがダウンしますがね」

「…………」

 

 なんかスゲー世界だな。

 

 

 

 

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