念能力者の英雄譚   作:煽りイカ

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第74話

「あー負けた」

「まさか選んだ物を斬る能力があるとは」

 

 んで、俺らはカマゲロスとベリトと王都に向かう途中だ。

 

 んでまだイクサをするらしい。

 

「まさかのカマゲロスが勇者になってたとはな」

「トラックに跳ねられたわ」

 

 酷いな…………運転手のクセして責任は無いのかこの野郎。

 

 …………いや、待てよ? 

 カマゲロスの防御力は高い……何故死んだ? 

 

「それで球の勇者はどんなやつなんだ?」

「僕らも見てない」

「召喚されたって話を聞いただけよ」

 

 見てないんだ。

 まあ普通戦争放って顔見に行かないか。

 

「んで【アルコイリス】で3狩リアするそうよ」

「3狩リア?」

 

 ん、聞いた事あるぞ? 

 ボーボボでそんな戦い方があったな。

 

「3狩リアってのは3対3の決闘方式です。フィールドはホスト国が用意します。ギミックがよくありますよ」

 

 まんまじゃねえか。

 

「この2人が出るかは分からないですけど。残りの棒・漁具・農具・球が出てくるかもしれないですね」

「多分僕らやんないと思うよ? フィールドの事は聞いて無いし」

「イクサの後だし可能性は低いと思うわ」

 

 この2人は不参加か? 

 球が出てくるのは無いな。

 

 やっぱり2人の内どちらかか。

 

「んでどんなフィールドがあるんだ?」

「海フィールドでのイクサの可能性が多い。ゴドルも武器を銛に変えられたはず」

 

 自然溢れる国だからな。

 フィールドの要素も沢山あるだろうに。

 

 …………他の2つの国にはどんなのがある? 

 

「ん?」

 

 ガサリ

 

 あれ? また草むらが動いたぞ。

 

「スライムだ」

 

 んだよスライムかよ。

 定番だな。

 

「駆除していいのか?」

『いやダメだ!』

「?」

 

 ん? 駆除対象じゃないの? 

 定番RPGじゃ結構狩られてると思うけど。

 

「えっと、スライムってのは自然界の掃除屋みたいな存在なんだ」

「掃除屋?」

「倒木や魔物の死体を分解して土に返してくれるんだ」

 

 ゴキブリやシデムシみたいなスカベンジャーなんだね。

 

「スライムには無限の可能性があると専門家がいるな」

「そうなんだ…………」

「トイレ内に飼うテイマーもいるぞ?」

 

 なるほどぉ。

 便利だな。

 

「他にもそれで肥料とか作って【アルコイリス】は畜産や農業とかしてるらしい」

 

 わーいいなぁ。

 進んでるねこの国。

 

 

 

 

 ■

 

 

 

 

 はい、やって来ました【アルコイリス】へ! 

 

 王都の街並みは…………中世のイギリス。

【バムズガーデン】は中世のイタリア。

 

 んで3狩リアだっけ? 

 なにやるの? 

 

「んで、何処に行けばいいの?」

「王宮まで行こう」

 

 王宮にいるのか。

 ちょっと観光したい。

 

「昼食行かない?」

「王宮で何かあるだろ」

「アウェイだから」

 

 パイ投げでもされそう。

 ラーメンを被るとかも。

 

『ピンポンパーンポーン』

「?」

『おい、【バムズガーデン】の勇者共聞いているか!』

 

 なんだろ? 

 

「コイツの声は【アルコイリス】の第一王女のルリアンだ」

『3狩リアの準備が出来た。王宮に来るといい』

 

 お腹すいてるんだけどな。

 

「今すぐとは言ってないし。飯食ったら行こう」

「だな」

「僕のおすすめは海イノシシかな?」

「私は豚蟹ね」

 

 

 

 ■

 

 

 

「うぃーす師匠」

「ほら、来てやったぞ」

『1時間も何やっていたー!』

『飯』

 

 んで【アルコイリス】の王宮。

 ルリアン第1王女様か? 

 

「なんだよせっかく来たのに飯食わしてくれねーのか?」

「まあいい…………それより3狩リアだ」

 

 まあ、そのためにこさせたんだろうし。

 

「んでカマゲロスとベリトは不参加か?」

「まあ連チャンは酷いし休め」

 

 まあ慮ってくれるんだな。

 いい人かもな。

 

「んでこっちが勝ったら加工費を元通りにしろ」

「いいぞ」

 

 ああ、イクサの理由は武器防具薬の割引の停止だったな。

 

「ふ、実は新入戦力が入ってな…………そっちの負けだ」

「ほう」

 

 球の勇者か。

 誰だ。

 

「いでよー! 球の勇者!」

 

 シュバアアアアアアアアアアッ

 

 よくあるスモークが焚かれる。

 それで出てきたのは。

 

「あれ!? 父様!!」

「夜刀ちゃん」

 

 夜刀ちゃん! やっぱりこの世界に召喚されてたのか!! 球の勇者って! 

 

 …………ん? サッカーのユニフォームだ。

 なんで? 

 

「やっと会えた!」

「こっちも心配したぞ」

 

 俺らは抱き合う。

 

 パチパチ バチパチ パチパチ

 

 あれ? 拍手されてる。

 周りの人間から…………いや、これ近く建物の方からも聞こえるぞ。

 

「これ中継されてる?」

「よくイクサは生中継されるぞ」

 

 そ、そうだったんだ。

 まあ暇とか潰せそう。

 

「無事で良かった」

「うん。こっちも」

「で、ローナは?」

「…………わかんない」

 

 ですよねー。

 こっちも分からないならそうだし。

 

「さて、もういいか?」

「ああ、3狩リアだろ」

「フィールド移動するぞ」

 

 

 

 ■

 

 

 

 んでここは? 

 

「【マルセル墓地】だ」

 

 いや、分かりませんが? 

 詳しくないですけど。

 

「怨霊とか多すぎて駆除しきれないらしくて。もう放っていってる」

「壊しても問題ないって事か」

 

 と、言っても敷地から出たらアウトらしい。

 

「で、敵はフェムト、ガゼル、夜刀ちゃんか」

「一応無駄だがガゼルの能力を教えておく。物体の速度上昇する能力…………だけど放出系の能力で小回りは効かない」

「ふむふむ」

「船の推進の他にも大砲の威力も上昇する」

 

 船乗りみたいな能力だな。

 あれ? ゴドルは? 

 

『イクサスタート!』

 

 あ、始まった。

 俺、アギレラ、ハットの3人で殺るぞ。

 

「アースクエイク!」

「ガルヴァリン!」

 

 フェムトが地面を沿った衝撃波。

 ガゼル……かな? 大砲が具現化、漁具だよね。

 

 ん? 

 

「しまった夜刀ちゃんの能力だ。能力使えん」

「やられたな」

 

 剥がしたら能力使えなくなるし。

 武器の能力を借りるとしよう。

 

「ナパームレイン!」

 

 焼夷弾を雨のように降らすスキル。

 多少オーラも混ぜてるので威力が格段にやばい。

 

 ドゴォォォン!! 

 

「きゃあ!?」

 

 シュン

 

 あれ? 今の一撃で夜刀ちゃんがエスケイプした。

 よし、チャンス。

 

「鬼徹連弾!」

 

 またまたオーラを込めてマシンガン弾を打ち込む。

 

 ドドドドドドドド

 

「ぎゃあっ!?」

 

 シュン

 

 ガゼル、エスケイプ。

 フェムト、後はお前だけだ。

 

「行け、サイバイナイト!」

 

 サイバイナイト? 初めて聞くな。

 どんな能力だ。

 

 あ、緑の騎士が地面から出てきた。

 三体出てきたか。

 

「HAHAHA、師匠。このサイバイナイトを出させましたね」

「どんな植物?」

「物理耐性、魔法耐性、オーラも混じって身体強化もたっぷり」

 

 わー面倒ね。

 サイバイマンみたいに爆発するのかしら。

 

「キャンサースラッシュ!」

「クロックハンマー!」

「双魚の逆巻き!」

 

 俺ら3人で三体を攻撃する。

 

「どうです? 傷つかないでしょ」

「ほう」

「私の植物は世界一ぃぃぃぃ」

 

 ザシュ

 

「ぃぃぃぃ…………え?」

 

 後ろから剣がザシュリと、殺戮任侠殺助だ。

 

「俺らの勝ちだな」

 

 

 

 ■

 

 

 

「あーサイバイナイト自信作だったんですがね」

「でも攻撃や魔法に耐性付いてるのは良かったぜ。大量生産してイクサで使えば?」

「時間と材料がかかるんでひと月に3つ程です」

 

 んで、ウチらは友好を育むために宴をしていた。

 この国料理の量が多い。

 宴だからと言って贅沢過ぎだな。

 

「んで父様、これからどうする?」

「? 【ライガーフェン】に行こうと思う。多分この流れだと予想出来るし」

「だよねー」

 

 まあ、有り得る話だな。

 他の勇者の顔を見ておきたい。

 

「あ、そうだ。【ライガーフェン】にもカチコミしないとな」

「武器防具とかの値下げの件か?」

「結構下げられてるから職人達が怒ってたな」

 

 まー費用下げられちゃ怒るわね。

 

「ん? 別世界の方に行くのは出来るのか?」

「出来るぞ。あっちの方にやっぱ戻るのか」

「まあな。行っちゃ不味いか?」

「行ってもいいがちょくちょくでいいから来いよ。ウチの国の勇者だし」

 

 とられた斧はどうなったのだろう。

 複数持てるのか? 

 

「ところでゴドルは?」

「丁度休み。バカンスだってさ」

 

 

 


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