尚文side
「それにしてもあにさんは何処行ったんだろ」
「アイツ生存能力高そうだしな」
「前に殺し屋と鬼ごっこしたとか言ってたね」
「…………」
ここに来て数日。
ラフタリア達と合流し、絆の家で団欒していた。
刀の勇者になっていたのは驚いた。
「やっぱり兎さんに捜索してもらっても見つからないでござる」
「もしかしたら他の異世界に紛れ込んでるかもしれないね。敵の仕掛けで」
ハルナだっけ? 確かに異世界同士行き来出来るならそんな技術あってもおかしくない。
「おまえさーあにさんのなんな訳?」
「は?」
「妹を名乗ってるけどさーあにさんに妹としての仕事してるの?」
「してるよ。領主の仕事手伝ってるし、お風呂で背中流してるし一緒に寝てるし…………」
「及第点」
及第点なのかよ。
いつも何やってる?
「例えば身支度とか手入れとかやらないとダメでしょ? 肌荒れがあったらクリーム塗るとか、服に埃があればローラーするとか、寝癖あれば整えるとか」
「あーなるほど」
「兄を立てなきゃ。それから甘えるの」
こいつ立派に奴を立ててるな。
「もうくっついたらどうだ?」
「くっついてるよ?」
「ん」
「もう、恋人同士って事」
「は?」
「え?」
あ、確か言ってたような。
「付き合ってたか…………」
「まあね。色々あったけど」
狂ってそうだしなんかあったのか?
「やっほ〜みんな集まってるかーい!」
「アノンさん」
「あのクソ二匹の情報が入った。明日乗り込むよ」
それは良かった。
アイツらは許せない。
俺らの世界から奪ったお礼してやらなければな。
「んで、ハジメと他は?」
「わからんとさ。生きてると信じたいな」
「だろうね。だけど心配に越したことないな」
生きてる……よな。
武器無しでも強い話を聞くが。
「そう言えばアイツって前の世界で何してたんだ?」
「ん? 色々。凄い優秀なハンターだし自慢の弟子だよ」
「ハンター? 犯罪者を狩るのか?」
「まあ大体あってる。ハンターってのは 怪物・財宝・賞金首・美食・遺跡・幻獣など、稀少な事物を追求することに生涯を懸ける人々の総称なんだ」
「アイツは犯罪ハンターって事か?」
「ちょっと違う。ハジメはテロリストハンターって言ってテロリストを殴って取り締まる事をしてるんだ」
確かに奴の動きは俊敏だし。
「対テロの特殊部隊とかに所属してたのか?」
「まあ…………うん。対…………テロって訳じゃ…………無いけど」
ん? 妙に歯切れが悪いな。
なんか思うところあるのか?
「んてあにさんは凄い特殊部隊でリーダーやってた訳」
「アイツ、リーダーやってたのか?」
「うん。メンバーも凄い優秀で他のグループでエースを張れる程の実力だよ?」
「んじゃゴドル達もか?」
「フェムトさんは違うよ? あの人はあにさんの弟子」
確かに弟子とかも居そうだな。
フェムトはしっかりしてるし指導はしっかりしてるのだろうか?
「んで弟子も優秀」
「?」
「ああ、実はハジメの弟子も優秀で殆ど大成してる」
「…………」
「あにさんは見る目はあるらしいんだ」
アイツが武術の道場で師範の様なイメージが浮かぶんだが。
教えるの上手いのか?
「確かに教え方は上手いでござる」
「教え方は荒いけど」
確かに。
どっかの軍隊みたいなやり方だしな。
「確か教え子には騎士団長、大富豪、マフィア、占い師、王族、剣豪とかいたはず」
「コネやばいだろ。フェムトは?」
「農家……と教祖」
教祖?
確かに人間出来てるが。
「万年豊作教って宗教なんだけど。農作物を主とした宗教で飢饉の場所に穀物とか送ったりしてる。たまに育てられた野菜とか食べるけど凄い美味しいよ」
「凄い教祖だな」
「だから金が入ってくる。有名な富豪の1人だ」
フェムト……おまえ凄い奴だったんだな。
「んで、御館様は何をしたでござる?」
「んとジャシン教の打倒、ギギの討伐、百鬼衆の打倒だったかな」
「…………」
ヒミコ? なんか思うところあるのか?
顔が曇ったのを見逃さなかったが。
「やっぱり凄いでござるか?」
「凄いに決まってるだろ。A級難易度三つだぞ?」
「Aが1番高いって事か?」
「その通り。不可能に近い仕事を成し遂げたんだぜ」
…………だから異世界に召喚されたってことか?
その方が即戦力だしな。
「でもアノンさんも二ツ星でしょ? コンロン病の」
「まあね。だけど意外と簡単に出来たから達成感無かったけどね」
二ツ星? 格付けかなんかか?
「二ツ星ってなんでござる?」
「ああ、とある分野で成功したら貰える称号だよ? 特権中の特権を貰えるんだ」
「特権?」
「各種交通機関・公共機関のほとんどを無料で利用できたり、一般人立ち入り禁止区域の8割以上に立ち入りを許されるようになる。その他の面でも所有しているだけで一生不自由しないだけの信用を得ることができるんだ」
「それ以上の特権を貰うって事」
やっぱりアイツ特権階級だったのか。
自由だなと思った。
「アイツ、自由にし過ぎじゃないか?」
「…………なんかやったの?」
「メルロマルクの城で俺を擁護してクズを襲撃したらしい」
「やるじゃんあにさん」
「修繕費を俺に要求されて支援は貰え無かった。クズの髭が焦げ付いてたのは笑えたがな」
「でもお兄ちゃんは慰謝料や素材渡したでしょ? 情報も話したし問題無いと思うよ」
「まあな……」
ちょっと悪い事してしまった。
許してくれる時点で良い奴だな。
「まあ前の世界でも自由過ぎて煙たがれていたし」
「何やったの?」
「うん。ニーズヘッグのメンバーも自由過ぎるし」
「?」
「まあ、会えば分かるさ」
会えばわかるか。
■■■
雪丸side
んで奴隷を買って数時間。
臭うので城のシャワーで洗った。
この子の名前はジュリアン。
「…………」
んで最初あった時は汚かったが、シャワー後は見違える程になった。
なんつーか品のある大人しい感じだ。
いい所のお嬢様って感じだ。
「クサノ様、古着ですが持って来ました」
「ありがとう」
キーノさんに古着を持って来させた。
貫頭衣よりもマシだな。
「…………」ゴホッ
「? やっぱり咳多いね」
数時間の間咳多い。
なんか病気か?
医者に見せてみよう。
「うむ、10日咳ですな」
「10日咳?」
「10日以内に死ぬ病気ですな。環境が悪い場所に居続ければ発症しますぞ。この状態だと後2日でしょうね」
「治す方法は?」
「薬ですな。この薬を三食後に飲むと良いですな」
「良かった…………」
「金貨三枚」
は?
おまえなに言ってんの?
「王城の人間でも無いし…………あなたは神から何も貰っていない。あたりまえでしょうに?」
「…………」
「なるほど。はい、三枚」
「!!」
何を驚いてんだよ。
まさか出せないと思ってたのか? 腹ただしい。
「いえ、思い出した。確か貴方には薬を出せません」
「は? 今金貨三枚とか言ってたでしょ」
「女王様からの直筆です」
嘘だろ? 何を考えてるんだ!?
僕が何をやったと思うだよ?
つーか尚文もこんな事されてたな。
これは腹立つ。
他の所行こう。
どこ…………薬屋に行こう。
「あーこれねー」
「難しいんですか?」
「在庫切らしてるんだよ。作るなら1時間で出来るけど」
「このキンリンソウってのを取って来ればいいんですね?」
「ああ、山岳にあるから見つかりにくいよ? 冒険者ギルドに頼んだ方がええ」
「時間かかるんで行ってきます!」
んで僕は山岳へ。
ToLOVEるは無ければ良いけど。
んで入ると。
「へへ、兄ちゃん〜」
「よぉ、金目のものだしな」
は? 盗賊?
なんで?
待ってましたばりに待ち構えてたけど?
「ふん!」
「うおっ!」
「大人しくしててもらおうか」
網投げられた!
なんで?
「よし、捕まえた!」
「アジトに持ってこう!」
「三日後に奴隷に売ろうぜ!」
「傷つけんなよぉ」
★
2日後、鍵をかけなかったらしく簡単に抜け出せた。
クソ、なんでこんな時に盗賊に捕まるんだ!
んでキンリンソウを手に入れ、薬屋に作ってもらい全速力でジュリアンの部屋に入る。
「?」
「あれ?」
何ともない?
顔色も良くなってる?
「おや、クサノ様」
「…………何があったの?」
「実は…………ツルギ様が薬を買ってくれたのです」
ホワッツ?
僕がやっていた事は…………なんだったの?
クラスメイトに頼りたく無かったのに。
「危なかった所でした」
「あ、うん」
嫌になってきたな。
この国消えれば良いのに。