「ごめんね、坊や。私たちはここまで」
「すまない、力不足だ……」
「ごめんね……」
辺り一面焼け野原、空の色は夜よりも暗くなっている。
この世界に生きているのは彼らだけだ。
仲間の骸が地面に倒れている。
「頼む、生きてくれ」
「奴等に見つからないで……」
二人は呪文のようなモノを唱える。
「いい旦那を探せよ」
「病気には気をつけなさいよ」
最後の言葉をかける。
もう会えないから。
すると闇、彼らに世界の滅亡が迫ってくる。
「時間切れか……もう送るぞ!」
「お願い、幸せになって!」
彼らは存在が闇に飲まれた。
全て……
「うわぁぁぁぁぁ!? 何だこの夢は!!」
俺は飛び起きた。
何だこのシリアスな夢は、リアルだったからビックリだわ。
疲れてるのかな俺?
「ハージメ様、食事だそうですよー」
「わかった、今行く」
今日は奴隷商へ行く予定だ。
仲間を増やしておいた方が楽だろうし、俺は万能って訳じゃない。
「ん? 何だコレ?」
なにか手に持っているな。
卵の形の感触だな。
と思って見たら本当に卵だった。
寝る前にはこんなの無かったよな……何だこの卵?
……まあ魔物も仲間に加えるつもりだし丁度いいか。
魔物商に行って魔物紋と孵化器を貰おう。
……今日の朝飯は肉かな? 良い匂いだ。
□ □ □
「これはこれは初めまして斧の勇者様、我が奴隷商会にようこそ」
メルロマルクの奴隷商とそっくりだ、あれは黒だったけどこっちは白。
ゲームとかで絵は同じなのに色は違うキャラがいて、種類を水増ししていたゲームがあったような気がする。
(何ですかこの胡散臭い人は?)
(黙っとけ)
気持ちはわかるけどさ。
「なんと!? 胡散臭い?! 私は売り物を詐称したりしません!!」
「売り物はだろ、客は惑わすんじゃないか?」
「おっと知られていましたか」
メルロマルクの奴隷商と親戚だし性格も同じじゃないか?
もしかしたらメルロマルクの奴隷商にも会うかもしれない。
「取り敢えずゆっくりしていってくださいハイ」
まあ見て回るか。
こういう所にくると異世界に来たって感じがするよな。
異世界モノっていつも奴隷とか出てくるし。
そう言えば誘拐されて奴隷にされているってあったな。
ラフタリアの村の人間も奴隷狩りにあったんだっけ。
ここ大丈夫か?
「……少し高めだな、奴隷の体調も良さそうだし、ここ高級店か?」
「ほぉ今まで奴隷商に来たことが?」
「前の世界で少し」
ちなみにハッタリではない。
ハンターライセンスを使って立ち入り禁止の国へ行った事があるのだ。
そこは無法の国なので法もスッカスッカだから抜け道とか多い。
まあ色々安く買えるしメリットはあるんだけどね。
「へぇ~色んな人種がいるんですね」
「人間の坩堝だからなこの国は」
治安は悪いけど差別がないのがこの国だ。
そりゃ色んな人間がいるだろう。
…………そうだ、ゼルトブルにいる原作キャラがいたよな。
もしかしたら会うかもしれない。
暇だったらコロシアムにでも行ってみようかな?
檻を見ているととある奴隷に目が止まる。
狐耳の少年の様だ。
「ん? この子は?」
「フォクス種の子供です。右額に傷を負ってしまい、大幅に値引きしておりますハイ」
あちゃーやっちまったな。
「どうでしょうか? 顔の作りは良いのですが……」
「あのなー俺は正義の味方でも無いしトモダチごっこじゃあないんだ。波だぞ? 命を懸けるんだぞ? こんなガキが戦えるのか? 同情で買うんだぞ、どんだけ傷つくと思うんだ?」
「……ごもっともで、失礼しましたハイ」
「だけど育てて強くすれば死なないし、顔に傷がついても戦っている人間もいる。第一に俺は勇者だ。絶望している人間に手を差しのべるのが常だろう。って事でいくらだ?」
「落としておいて結局買うんですか!?」
ローナのツッコミが冴える。
こうして俺は奴隷を購入するのだった。
◆ ◆ ◆
「それで名前は?」
「……シルフィ」
奴隷商帰りだ。
ただいま奴隷と一緒に手を繋いで歩いている。
棒つきの飴も買ってやった。
「取り敢えず服買おう、奴隷服じゃ嫌だし配下としてカッコがつかない」
「でも少な目に買った方がいいですよ。レベル上げたら大人になりますし」
「確かにそうだな、一二着くらいでいいかな?」
「あっでも家に弟のお下がりありますよ。持ってきましょうか?」
「そうしようか。金使わないで済むし」
「えっとその……」
卵の孵化器を2つもらい、フィロリアルと謎の卵を孵すつもりだ。
謎の卵なんだが魔物商に聞いてもなんの魔物か分からないそうだ。
変な夢も見たし、特別そうな感じだな。
「あの……ここは?」
「俺のクランハウス」
そうゼルトブルから貰ったのである。
二十程部屋があり、庭が広いのだ。
掃除とかはローナの家族がやってくれるみたいだ。
勿論金は出す。
「さあ、風呂でも入るか」
「それじゃ服取ってきますよ」
ローナが家に取りに行くようだ。
それではこの子と友好を深めますか。
「ほら一緒に入るぞ」
「え? は、はい」
ん? 顔赤くなったぞ。
あーいるよな、風呂で見せたくないやつとか小学生に。
だけど湯槽にタオルとか入れちゃいけないんだぜ。
「よ、よろしくお願いします」
「? よろしく」
体を洗ってほしいのか?
まあ一緒に洗うけどさ。
そして脱衣所まで二人で一緒に来た。
あっ風呂沸かしてなかった。
「一緒に洗ってから入ろうか」
「は、はい」
俺達は浴槽内を洗った。
入るんだったら綺麗な浴槽に入りたいし。
「さ、水を入れてと」
ちなみに五右衛門式である。
良いよね風情があって。
「俺がお湯見てるから火を焚いてくれ」
「わかりました」
そして数分後。
「おい、丁度いいからそんくらいにしとこうか。火を消してこっち来てくれ」
「はーい」
40度くらいかな、こんくらいだろう。
体を洗って先に入ってよう。
体を洗った後、湯に入る。
いやぁ気持ちいな。
「ど、どうも」
おっ来た来た。
ん? タオルで股間を隠してる?
「おい、なぜ隠している」
「えっ? だって恥ずかしいし……」
「男同士だろ! 全然恥ずかしくないだろ」
「えっ俺……」
「隠すな没収だ!」
「きゃああ!!」
「え?」
◆ ◆ ◆
「本当にごめんな」
「いえ自分は奴隷なので……」
「ただいま戻りました……ん、何やってるんですか?」
今シルフィと椅子に対面で座っている。
……ガチで悪い事しちゃった。
「コイツ女の子だった」
「え!?」
外見が少年みたいだったから間違えた。
俺とか言ってたし。
「男物持ってきましたけど変えて来た方がいいでしょうか?」
「いやいい、少しの間だけ着るだけだし」
大きくなったら買えば良いよね。
「それでだ。お前を奴隷として買った理由は波と戦う事だ」
「波と……」
「ああそうだ。俺は斧の勇者だ。明日からお前を鍛えるから覚悟しておいてくれ」
「勇者様……」
「そのかわり俺がお前を守る」
「え?」
いきなり波と戦うと言われても覚悟何て無いだろう。
外見十歳くらいか?
尚文も子供のラフタリアに魔物殺させてたし俺も同じか……。
だけど信用できる戦力が欲しいから育てる。
仲間を作っていこう。
前の世界でも良い仲間や悪い仲間がいたけど結構楽しかった。
ぐぅ
シルフィはお腹空いたみたいだ。
外食行こうか、作るのめんどいし。