念能力者の英雄譚   作:煽りイカ

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第7話

「ごめんね、坊や。私たちはここまで」

「すまない、力不足だ……」

「ごめんね……」

 

 辺り一面焼け野原、空の色は夜よりも暗くなっている。

 この世界に生きているのは彼らだけだ。

 仲間の骸が地面に倒れている。

 

「頼む、生きてくれ」

「奴等に見つからないで……」

 

 二人は呪文のようなモノを唱える。

 

「いい旦那を探せよ」

「病気には気をつけなさいよ」

 

 最後の言葉をかける。

 もう会えないから。

 

 すると闇、彼らに世界の滅亡が迫ってくる。

 

「時間切れか……もう送るぞ!」

「お願い、幸せになって!」

 

 彼らは存在が闇に飲まれた。

 

 全て……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわぁぁぁぁぁ!? 何だこの夢は!!」

 

 俺は飛び起きた。

 何だこのシリアスな夢は、リアルだったからビックリだわ。

 

 疲れてるのかな俺? 

 

「ハージメ様、食事だそうですよー」

「わかった、今行く」

 

 今日は奴隷商へ行く予定だ。

 仲間を増やしておいた方が楽だろうし、俺は万能って訳じゃない。

 

「ん? 何だコレ?」

 

 なにか手に持っているな。

 卵の形の感触だな。

 と思って見たら本当に卵だった。

 

 寝る前にはこんなの無かったよな……何だこの卵? 

 

 ……まあ魔物も仲間に加えるつもりだし丁度いいか。

 魔物商に行って魔物紋と孵化器を貰おう。

 

 ……今日の朝飯は肉かな? 良い匂いだ。

 

 

 

 

 □ □ □

 

 

 

 

「これはこれは初めまして斧の勇者様、我が奴隷商会にようこそ」

 

 メルロマルクの奴隷商とそっくりだ、あれは黒だったけどこっちは白。

 ゲームとかで絵は同じなのに色は違うキャラがいて、種類を水増ししていたゲームがあったような気がする。

 

(何ですかこの胡散臭い人は?)

(黙っとけ)

 

 気持ちはわかるけどさ。

 

「なんと!? 胡散臭い?! 私は売り物を詐称したりしません!!」

「売り物はだろ、客は惑わすんじゃないか?」

「おっと知られていましたか」

 

 メルロマルクの奴隷商と親戚だし性格も同じじゃないか? 

 もしかしたらメルロマルクの奴隷商にも会うかもしれない。

 

「取り敢えずゆっくりしていってくださいハイ」

 

 まあ見て回るか。

 こういう所にくると異世界に来たって感じがするよな。

 異世界モノっていつも奴隷とか出てくるし。

 

 そう言えば誘拐されて奴隷にされているってあったな。

 ラフタリアの村の人間も奴隷狩りにあったんだっけ。

 

 ここ大丈夫か? 

 

「……少し高めだな、奴隷の体調も良さそうだし、ここ高級店か?」

「ほぉ今まで奴隷商に来たことが?」

「前の世界で少し」

 

 ちなみにハッタリではない。

 ハンターライセンスを使って立ち入り禁止の国へ行った事があるのだ。

 そこは無法の国なので法もスッカスッカだから抜け道とか多い。

 

 まあ色々安く買えるしメリットはあるんだけどね。

 

「へぇ~色んな人種がいるんですね」

「人間の坩堝だからなこの国は」

 

 治安は悪いけど差別がないのがこの国だ。

 そりゃ色んな人間がいるだろう。

 

 …………そうだ、ゼルトブルにいる原作キャラがいたよな。

 もしかしたら会うかもしれない。

 

 暇だったらコロシアムにでも行ってみようかな? 

 

 檻を見ているととある奴隷に目が止まる。

 狐耳の少年の様だ。

 

「ん? この子は?」

「フォクス種の子供です。右額に傷を負ってしまい、大幅に値引きしておりますハイ」

 

 あちゃーやっちまったな。

 

「どうでしょうか? 顔の作りは良いのですが……」

「あのなー俺は正義の味方でも無いしトモダチごっこじゃあないんだ。波だぞ? 命を懸けるんだぞ? こんなガキが戦えるのか? 同情で買うんだぞ、どんだけ傷つくと思うんだ?」

「……ごもっともで、失礼しましたハイ」

「だけど育てて強くすれば死なないし、顔に傷がついても戦っている人間もいる。第一に俺は勇者だ。絶望している人間に手を差しのべるのが常だろう。って事でいくらだ?」

「落としておいて結局買うんですか!?」

 

 ローナのツッコミが冴える。

 こうして俺は奴隷を購入するのだった。

 

 

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

「それで名前は?」

「……シルフィ」

 

 奴隷商帰りだ。

 ただいま奴隷と一緒に手を繋いで歩いている。

 棒つきの飴も買ってやった。

 

「取り敢えず服買おう、奴隷服じゃ嫌だし配下としてカッコがつかない」

「でも少な目に買った方がいいですよ。レベル上げたら大人になりますし」

「確かにそうだな、一二着くらいでいいかな?」

「あっでも家に弟のお下がりありますよ。持ってきましょうか?」

「そうしようか。金使わないで済むし」

「えっとその……」

 

 卵の孵化器を2つもらい、フィロリアルと謎の卵を孵すつもりだ。

 謎の卵なんだが魔物商に聞いてもなんの魔物か分からないそうだ。

 変な夢も見たし、特別そうな感じだな。

 

「あの……ここは?」

「俺のクランハウス」

 

 そうゼルトブルから貰ったのである。

 二十程部屋があり、庭が広いのだ。

 

 掃除とかはローナの家族がやってくれるみたいだ。

 勿論金は出す。

 

「さあ、風呂でも入るか」

「それじゃ服取ってきますよ」

 

 ローナが家に取りに行くようだ。

 それではこの子と友好を深めますか。

 

「ほら一緒に入るぞ」

「え? は、はい」

 

 ん? 顔赤くなったぞ。

 あーいるよな、風呂で見せたくないやつとか小学生に。

 だけど湯槽にタオルとか入れちゃいけないんだぜ。

 

「よ、よろしくお願いします」

「? よろしく」

 

 体を洗ってほしいのか? 

 まあ一緒に洗うけどさ。

 

 そして脱衣所まで二人で一緒に来た。

 あっ風呂沸かしてなかった。

 

「一緒に洗ってから入ろうか」

「は、はい」

 

 俺達は浴槽内を洗った。

 入るんだったら綺麗な浴槽に入りたいし。

 

「さ、水を入れてと」

 

 ちなみに五右衛門式である。

 良いよね風情があって。

 

「俺がお湯見てるから火を焚いてくれ」

「わかりました」

 

 そして数分後。

 

「おい、丁度いいからそんくらいにしとこうか。火を消してこっち来てくれ」

「はーい」

 

 40度くらいかな、こんくらいだろう。

 体を洗って先に入ってよう。

 

 体を洗った後、湯に入る。

 いやぁ気持ちいな。

 

「ど、どうも」

 

 おっ来た来た。

 ん? タオルで股間を隠してる? 

 

「おい、なぜ隠している」

「えっ? だって恥ずかしいし……」

「男同士だろ! 全然恥ずかしくないだろ」

「えっ俺……」

「隠すな没収だ!」

「きゃああ!!」

「え?」

 

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 

 

「本当にごめんな」

「いえ自分は奴隷なので……」

「ただいま戻りました……ん、何やってるんですか?」

 

 今シルフィと椅子に対面で座っている。

 ……ガチで悪い事しちゃった。

 

「コイツ女の子だった」

「え!?」

 

 外見が少年みたいだったから間違えた。

 俺とか言ってたし。

 

「男物持ってきましたけど変えて来た方がいいでしょうか?」

「いやいい、少しの間だけ着るだけだし」

 

 大きくなったら買えば良いよね。

 

「それでだ。お前を奴隷として買った理由は波と戦う事だ」

「波と……」

「ああそうだ。俺は斧の勇者だ。明日からお前を鍛えるから覚悟しておいてくれ」

「勇者様……」

「そのかわり俺がお前を守る」

「え?」

 

 いきなり波と戦うと言われても覚悟何て無いだろう。

 外見十歳くらいか?

 

 尚文も子供のラフタリアに魔物殺させてたし俺も同じか……。

 だけど信用できる戦力が欲しいから育てる。

 

 仲間を作っていこう。

 前の世界でも良い仲間や悪い仲間がいたけど結構楽しかった。

 

 ぐぅ

 

 シルフィはお腹空いたみたいだ。

 外食行こうか、作るのめんどいし。

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