ポケットモンスター虹〜JvsS〜   作:RPS-3rd

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タマゴか先か、それとも。

 人とポケモンは何が違うんだろう。

 お母さんに聞いたら、難しいねって言われた。

 お父さんは言葉が話せないことかなって言ってた。

 

 人よりずっと力持ちで、言葉はわかんないけど仲良くできて、ペットだったり、友達だったり、家族だったりして、色んな人とポケモンがいる。

 

 ずっと近くにいる、人と一緒に生きてるのがポケモンだとみんなは言ってる。

 

 でも、ポケモンはポケモンとしゃべってるみたいだし、人も別の国の人としゃべれない人もいるし。ポケモンも外国の人じゃないのかなって言ったらみんな笑ってた。いつか話せるといいねって笑って言ってた。

 

 ポケモンも外国の人だって思ったら、話そうとすると声をかけてるだけって思われてたけど。みぶりてぶりで話そうとするのは変なことなのかな?

 ポケモンを人といっしょだとおもうのは変なのかな?

 

 

 

 でも、でも、たとえばだけど。

 

 モンスターボールなんか無くても一緒にいられて。

 

 くさむらにいるポケモンよりもつよくて。

 

 

 

 そんな人は、ポケモンと何が違うんだろう。

 

 

 

 ううん。ポケモンは人と違うんじゃなくて。ポケモンが人じゃないんじゃなくて。もしかしたら。

 

 

 人は、ポケモンじゃなくなっちゃったんじゃないのかなって。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ネイヴュの牢獄を?」

「そうだ。アイスエイジ・ホールの調査。及びネイヴュ監獄の構造把握、その他諸々に合わせて来たる時まで牢にて待機ってとこだ」

「最高だな、尋問を受けながらのピクニックか。期間は?」

「グライドからの話じゃ明確な期限はないな。数年単位は覚悟しろよ」

 

 バラル団基地にてイズロードが幹部会の席で同じ幹部のワースから告げられた新たな指令は、常人ならまず怒り狂う理不尽なネイヴュの監獄の調査と潜伏というもの。期限は実質無期限のオマケ付きだ。

 

「捕まるタイミングはお前に任せるとさ。内部からの動きもなきゃなんねえから、お前の捕まり方もわざとらしいんじゃダメ。ま、金かからないようにするんならある程度はお膳立てはしてやるよ」

「ほう。貴様が金が動かんのに手を貸すとは。明日の天気は大雨による世界水没か」

「ただじゃねえさ。なんせお前のポケモンを一時的とはいえ預かれるんだ。これ以上ない対価だろ」

「ビジネスだからな。アイツらも金の亡者なバイト先の店長に愛想よくするくらいはするだろうさ」

 

 イズロード自身は捕まらなければならないことから、フルメンバーにしているわけにはいかない。全力の状態で負けることなどないからこそ嘘の様に見えてしまう。あくまで本気で戦った上で負けなければならないのに全員で戦えない矛盾を孕んでいた。となれば捕まる時の事は誰かの手を借りて場を整えねばならないだろう。

 結果、イズロードのポケモン1.2匹にバラル団での仕事を行ってもらい、普段から相手の目に入れる事でイズロードが手薄だと思わせることとなった。というか本当に手薄になるのだが。

 その後、何としてでもマニューラを借りようとしたワースだったが、アイスエイジ・ホールの調査やネイヴュ付近での通信役とマニューラは動いてもらわなければならないので、戦闘力の点で硬さと力共に申し分ないオニゴーリをワースへと預ける形になった。

 

「ボールにいつも入ってりゃ楽なのによ。お前、ボールに常に入れるの本当に嫌がるよな。たまにだけどポケモン入れたりはするのに一度使ったら壊すから、まあまあの経費になってんぞ」

「モンスターボールなんぞただのカプセルホテルだろう。素泊まりホテルとしては偉大な発明だと思うが、一生ホテル暮らしなど俺もコイツらもゴメンだ」

「はー、わかんねえような、わかるような。まあ、とりあえずはコイツは預かるぜ。戦いになった時に俺の指示が無くても戦う奴が援護してくれるだけで値千金だ。ありがたいもんだな」

 

 そうしてイズロードのオニゴーリがボールに収まったのを見てからイズロードは会議室を後にした。

 

「……流石に部下の手を借りんとならんな」

 

 

 

 

「なんというか……捕まるための手伝いっていうのも変な話ですね」

「上司のいない職場が数年単位で貰えると思え。なんならお前が俺を牢にぶち込むか?」

「えっ本当ですか!無抵抗でボコボコにさせてくれるんですか!やりましょう!」

「えっ、無抵抗のイズロードさんをボコボコにして私色にできる?そんなキモチイイこと独り占めはダメよ」

「うるさい!こんなチャンス滅多にないんだから年上に譲りやがれ、このガム噛み童子!そのパーカーのヌイコグマはいつ進化するんでしょうねー?」

「私が大きくなったらキテルグマに進化しますから何も気にしなくて大丈夫。一回だけなんだからいいじゃない、ケチ」

「先に言うが私も本気で戦うぞ」

「「それならいいです」」

 

 場所は変わりバラル団アジトから外れた山のロッジ。中でイズロードと話すのは全身真っ黒な服にぼさぼさの髪というひきこもりのような容姿をしている少女と、ニット帽とパーカーを着た幼い少女の2人。ハートンとソマリという、イズロード隊の班長となったばかりの団員である。

 ハートンは元はしたっぱだったが、強力なポケモンであるタイプ・ヌルとポリゴン2を手元に置いており、指示を出すのも上手かったことでしたっぱのまま終わらせるのは惜しいと19歳にして班長となった才女。

 ソマリは12歳という若さにして大人びた雰囲気があり、今もダウンタウンの女王として多くの人間を引き込みつづけている、時代が違えば教祖として活動もできたであろう魔性のカリスマを持つ少女。

 どちらも癖のある子供だが実力は折り紙つきで、だからこそイズロード隊に班長として推薦されたのだ。

 

「そんなの裸でカイリキーとノーガード殴り合いするレベルで死ねますね。無理無理」

「同意よ。ダウンタウンの掌握ももう1年くらいで完璧にしてからバラル団に来れるのに自殺なんてしたくないわ」

「……まあ、お前たちはそうだろうな。本気では、戦えないだろうさ」

 

 隊と言っているが、イズロード隊の班長は他に比べて人数が少ない。したっぱはそこそこの人数だが、なにせ強襲を行う関係上、身体能力もポケモンバトルの腕もかなりのものを要する。故にほんの数人しか班長にはなれないのだ。

 普段はこう行った会の時は来れない理由のある班長以外は全員呼ばれているが、そもそも各地に行っていることもあり居ない団員が多い。しかしそれにしてもたった2人かと疑問に思ったソマリがその事を聞いたのはすぐだった。

 

「2人だけ?仮にも上司が捕まるのにもっとこないの?」

「あと1人だけ来るが、それだけだ。嘘とバレないためにもリアリティを出さねばならんからな」

 

 捕まる事が全員に知られていては、いざその時にやけに落ち着いていたりしてバレる可能性がある。完全に欺く為にも仲間内で少人数にのみ知らせ、捕まってから内部が落ち着いてから知らせるとはワースの言。

 

「ジンのやつももうじき来る。アイツにはドンカラスをしばらく預ける事にする。お前たちはフリーザーとマニューラの動きの把握を任せておく」

「!」

 そう言いながら窓を開けると1匹のポケモンが見えた。力強い羽音をたてて、滑空してくるその姿はただ飛んだだけだというのにかくも美しい。

 三対の鶏冠が煌めき、まるで氷でできているかのような透き通る水色の翼。

 伝説のポケモン、フリーザー。

 それに合わせて黒い影がロッジへと飛び込んでくる。かなりの速度だったはずなのに辺りに埃が舞うこともないほどに静かな動き。

 鋭き鉤爪と猫のような漆黒の体に目つき。

 かぎづめポケモン、マニューラ。

 

「ソマリ、俺のビジネスパートナーに余計な事をしようとするなよ。お前如きではまだ揺さぶることさえできんだろうし、機嫌を損なえばすぐにでも氷漬けだ」

「……でもたしかイズロードさんのポケモン達って指示がなくても普通に戦えますし動き回れますよね」

「ああ。だが、マニューラもそうだが、どこにいるのかが分からんと後々困るんでな。調査報告もお前達がマニューラから受け取れ」

 

 

 

 

ーーーーーーイズロード投獄まであと1ヶ月

 

 

 




あの人の何が気になるのかといえば、「最期」だろう。あの人が連れていた子も、似たような思いを感じた。

とても強い人。戦いが、精神が、生き様が、全てが人とは桁違いの人。

ああ、見ていたい。

その燃え尽きんばかりの灼熱の意思。
稲妻の如き鮮烈な生き方。
そして吹雪を彷彿とさせる凍てつく瞳。

満たされる事なき貴方は、どこにたどり着こうというのか。
ああ、ああ、崇められたこともあった長いこの命。

この身にまさかこんな楽しみがあったなんて!

その身一つで私の前に立ち、言葉など通じないのに思いを通じさせたあの時の衝撃は今でも忘れられない!
人もまだ、捨てたものではなかった!

その終わりまで、見たいと思う。いや、見るだけではない。共にいてみたい!
雌伏の時は、私にとっては至福の時だ。貴方が再び雪の大地に足を下ろす日をまっていますよ……
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