「久しぶりだね。元気にしていたかい?」
画面にはヒゲズラのおっさ・・・失礼。ラグナ氏が写っていた。
「お久しぶりです。気にかけていただきありがとうございます。」
彼が後見人になったのは、俺がパイロットとしてAEUに引き取られたのち、しばらく経ってのことだった。アレンからの俺の訓練結果の報告が上層部によって黙殺されたすぐあとだったので、彼が下心をもって近づいてきたことはわかっていた。
だが、俺のAEUでの居住権や住民権などをとってくれたのも彼であり、下心など見逃していいほどには感謝していた。
「ガンダムと戦闘をしたことは聞いた。君の身に大事がなかったことを嬉しく思うよ。」
「ありがとうございます。」
「今回君に通信をしたのは、君のモビルスーツのことについてだ。」
そう言って彼は手元の資料を覗き込む、ガンダムと戦闘したということを知っていたのだ、自分のモビルスーツが使い物にならなくなったのも知っているのだろう。
「君には、最新鋭のイナクトを送らせてもらった。あと少しで届くだろう。タリビアでのソレスタルビーイングの武力介入のことはみたかね?」
「いえ、すいません。ずっと演習装置にこもりきりで、ニュースは見ていませんでした。」
「はっはっは、君らしいといえば君らしいのかな? さて、じつはもう一つ君に伝えたいことがあってね。」
彼は手に持った資料をおき、両肘を付き、手をくんでこちらを向く。
「君のことを話したらあってみたいという人がいてね。AEUの真のエースとはどれほどの人物なのか?とね。」
「真のエースなどと。自分にはもったいない。実績だって何も残しておりません。」
「まだ。だろう? まぁ、あって少し話してくれるだけでいい。場所と日時は通信終了後にそちらに送る。」
「はい、了解しました。」
「そんなに堅苦しくしないでくれ。検討を祈っているよ。」
ラグナ氏はそう言い残し通信を切った。
―――数日後。
俺は例の俺に会いたいという人物と待ち合わせをしたレストランへと来ていた。
誰なのかは聞かされていない。
「君がプロト・ゼロ君かい?」
後ろから声をかけられた。振り向くと、茶色の髪の男性と、緑の髪をもった青年がいた。
(なんだ、このプレッシャーは?)
うしろの青年から、抑えられてはいるが決して見逃せない類のプレッシャーを感じる。
彼もこちらを興味深い様子で見ている。
(プレッシャーがゆらいだ。これは、困惑か?)
「はじめまして、プロト・ゼロ少尉です。」
「こちらこそ、アレハンドロ・コーナーだ。よろしくたのむよ。」
「国連の大使の方でいらっしゃいましたか。」
この時、リボンズ・アルマークは多少なりとも困惑していた。なぜなら、自分の知らないイノベイドと同じようで、また圧倒的な脳量子波を発する人物が目の前にいるからだ。
(彼は何者だ? イオリアの計画にはこのような人物はいなかったはずだが。ヴェーダによって秘匿されている? もしそうならなぜ? これは早期にヴェーダを掌握する必要性が増したようだね。)
「すいません。彼は?」
「あぁ、彼は私の付き人をしている。リボンズ・アルマークだ。リボンズ、挨拶を。」
「はじめまして、リボンズ・アルマークといいます。以後お見知りおきを。」
僕が一言発したとたんに彼は少し顔を引きつらせた。
「すまない。失礼だとは思うが、俺と君はどこかであったことはないだろうか?」
「いえ、なかったと思いますが? どうかしましたか?」
どういう意図かはわからないがとりあえずとぼけておいた。もし自分のことを知っているのなら計画の邪魔になるかも知れない。僕は彼のことを調査しておこうと決めた。
「すまない。失礼だとは思うが俺と君はどこかであったことはないだろうか?」
俺は青年――リボンズの声に引っ掛かりを覚えていた。懐かしいようで、憎ましいような。そんな感情が湧き出してくる。ガンダムと相対した時の感覚に似たような。
「いえ、なかったと思いますが? どうかしましたか?」
「そうか・・・」
彼はそう答えるものの、変な感情の高まりは消えそうもないし軽い頭痛も起こってきた。そして、その日帰宅してねるまでその痛みは消えなかった。
「リボンズ、彼に会ってみてどう感じた?」
私は先程まで会っていた青年――プロト・ゼロのことを聞いた。
ラグナからガンダムと戦った凄腕のパイロットがいると聞いたときは戦ったガンダムのことについて聞いてみる予定だった。
しかし、あってみた瞬間それは彼に対する興味に変わった。彼の佇まいは、元ユニオンのパイロットだった私から見て、若くありながらいくつもの戦場を渡り歩いた歴戦のMS乗りのそれだったからだ。
「彼からは何か不思議なものを感じました。もしかしたら、イオリアの計画に支障をきたす恐れも。」
「なに、もしそうなりそうなら彼をこちらに引き込んでしまえばいい。幸いにも彼の後見人はラグナだ。彼も嬉々として協力してくれるだろうさ。」
彼はソレスタルビーイングによる人類の革新に、少なからず一石を投じる。そんな確信をしていた。
アレハンドロ氏との会食のまた数日後、アレンから俺の機体が届いたと連絡があった。
俺はその連絡を聞きすぐさまアレンがいるだろう格納庫へと向かった。
「ようやく来たね。これが君に送られてきた機体。君専用のイナクトのカスタム機だ。」
そこには、真っ白なイナクトがあった。
「このイナクトカスタムは装甲を極限まで削ぐことによって機動性の向上を計り、飛行形態の最高速度は通常のイナクトの1.5倍にもなるよ。機体色は白。武装は装甲を減らしたことによりリニアライフルに通常のプラズマソードと大型プラズマソード、それにイナクト通常装備の20mm機銃に各4発のミサイルポッドが4基と通常よりも多く搭載しているよ。脚部ウエポンベイには緊急時のソニックブレイドのほかに状況に応じて装備を変えれるみたい。大型プラズマソードはディフェンスロッドの付いていた場所に大型プラズマソード用の大型バッテリーと一緒に左手を開けたまま展開できるように設置されているよ。かなりピーキーな仕上がりだけど君になら使いこなせると思うよ。」
「白・・・。」
自分の機体の色が白、というのに因縁のようなものを感じる。ゆっくりと言われた武装を頭の中で再確認し、コックピットへと乗り込む。
「ゼロ少尉、機体の試運転は10分間です。その後少尉にはモラリアの軍事演習に向かってもらうとの命令なので、一度管制室までお越し下さい。」
「了解した。プロト・ゼロ。機体テストに入る。」
飛行形態のまま、滑走路を走らせる。加速度がヘリオンの比ではない。
機体が浮かび上がり、最高速まで持っていく。尋常じゃない早さだ。俺はコックピットのなかで風を浴びている感覚を幻想した。そして軽くバレルロール。急上昇からの急降下をためし、そのまま空中で変形する。感度もヘリオンと比べるのがおこがましいほどだ。その機体は日光を浴びて白銀に光り輝いていた。
「その機体、機動性は半端じゃないけど装甲はホントに紙だから一発でも当たったらアウトなのを忘れないでおいてね。」
アレンから通信が入る。とても気分がいい。俺はついつい自分の頭に浮かんだ言葉をそのまま返してしまった。
「なに、当たらなければどうということはない。」
「まぁ確かにそうだけど。呆れた、せいぜい生き残りなさいよ?」
「わかっている。」
そのまま機体をモラリアの方へと向ける。
「モラリアか・・・。待っていろよ、ガンダム。」
次なる戦いは、近い。
今回はオリ主の新しい機体登場です。見た目はサーシェス専用機を白くしたイメージ。
ホントは青くしたかったんですけど、作中のサーシェス専用機が青なので断念。
正直焼け野原さんには最初っから赤でいて欲しかったと今更ながらに思ってしまいました。