「彼女のことは残念に思っているよ。本当は遅れたが君の昇進祝いにとかけるつもりだったんだがね。」
「いえ、構いません。」
「君は・・・いや、何も言うまい。またかけ直すよ、それではね。」
「ハッ。」
ラグナ氏はアレンの死に対して悔やみの言葉をくれた。
何かほかに要件があったような口ぶりだったが・・・いま言わないというのはまだ余裕のある案件なのだろう。
俺は通信室を後にする。
たまたま出たところにはパトリックがいた。
「なんかすごい音しましたけど大丈夫です? あれ?中尉どの水でもこぼしたんですか? 服濡れてますよ?」
「え? あ、あぁそうなんだ、いまから着替えにちょっともどるところでね。あと、プロトでいい階級もそう変わらないし俺のほうが年下だ。」
「そう? じゃあそうさせてもらうわ。」
パトリックはニコニコとしながら話しかけてくる。そこでパトリックと別れ、一度自室に戻った。
ついでにシャワーでも浴びようと決めて、シャワールームに入り水を出す。シャワーから流れ出すお湯はいたく右拳にしみた。
それから数ヶ月が経ち、俺はパトリックと同じ隊に配属となった。俺はガンダムとの戦いがない間、模擬戦やスクランブルで実戦感覚をなくさないようにしていた。
「ゼロ中尉、ラグナ・ハーヴェイ氏より通信が入っています。」
「了解した。」
ラグナ氏からの通信?おそらくはあの時言いそびれたことか?
俺は通信室へと向かい、ラグナ氏との通信を繋いだ。
「やぁ、もう大丈夫そうだね。」
「ご心配おかけして申し訳ありません。」
画面に向かって頭を下げる。前回の時は参ってしまっているのが表情には出さなかったが分かってしまったのだろう。
「それで、今回連絡したのは前回話しそびれた件についてだ。」
ラグナ氏は一拍置き、安心した表情から真剣な表情に変わる。
「君には前にアレハンドロ・コーナー氏にあってもらったことがあったね?」
「はい、一度だけですが。」
アレハンドロ氏が何か?俺はこの前の会食について思い出していた。
「アレハンドロ氏から君にチケットをもらっていてね、単身アザディスタンまできて欲しいとのことだよ。できればアザディスタンに向かう時からついてきて欲しかったらしいが、
君の状態を見た私が一旦断っておいた。今の君になら大丈夫だと思うが、どうだい?」
「しかし、自分は軍の人間です。そう簡単に許可が降りるかどうか。」
「そのことについては私から手を回しておこう、もし来てくれるなら君のモビルスーツに乗って来て欲しいそうだ。」
「了解しました。」
「うん、ではこれより向かってくれ、ただアザディスタンに直接来ずに、モビルスーツは郊外に隠して来て欲しいとのことだ。アレハンドロ氏から来た隠すポイントの座標をそちらに送信するから確認しておいてくれ。」
よりにもよってアザディスタンとは、紛争寸前の場所に来てくれというのはどういった意図があるのだろうか。それに、あの青年のことも気になる。まぁ、着いてから直接聞けばいいだろう。
俺はスワローのコックピットに乗り込む、今回は戦闘に行くわけではないので、ウエポンベィには模擬戦の時に使ったスモークグレネードを積んだままで行こう。
「こちら、プロト・ゼロ中尉。アザディスタンに向かう。」
「こちら管制室、上層部からの通達を確認しています。あそこはいまいろいろときな臭いことになっているみたいなのでお気を付けて。」
「承知している。プロト・ゼロ、スワロー、出撃する。」
そうして単身俺はアザディスタンへと向かった。
ラグナ氏から転送されてきたポイントへスワローを着陸させる。
そうして機体を茶色のシートで隠し、指定されたビルへと向かった。
指定されたビルには、アレハンドロ氏とその付き人、リボンズ・アルマークが待っていた。
「久しぶりだね、
「お久しぶりです、コーナー殿。失礼ですが、その名で呼ばれるのはご遠慮いただきたく思います。」
「そうかい、かっこいい二つ名だと思うのだがね。モラリアでの活躍は聞いているよ。あのガンダム相手に勝利寸前までいったんだって?」
「自分はあのデカブツの武装の一つを破壊したに過ぎません。そこまで賞賛されることではないかと存じます。」
「それまで傷一つつけられなかったんだ、賞賛されて然るべきだと私は思うよ。」
「はぁ、ありがとうございます。」
はなしをして歩いているうちにホテルの前に到着した。
「さて、ここが私たちの止まっているホテルだ。今は国連の仕事でアザディスタンまできていてね。君の部屋も新たにとってある、今日はゆっくりするといい。」
「了解しました。」
「そうだ、君にこれを渡しておこう。」
そう言ってアレハンドロ氏が取り出したのは通信端末だった。
「これで私とリボンズへとつながる。君に連絡をする時にはこの端末を通して連絡すると思うから肌身離さず持っていてくれ。君から何かあるときもその端末でかけてきてくれて構わないよ。」
「ありがとうございます。」
「それではわたしもこれで部屋に戻るとしよう。リボンズ、彼を彼の部屋に案内してあげなさい。」
「承りました。」
そして、俺は自室へとリボンズに案内してもらい自室にて休息を取った。
「やはり、彼はどこか我々とは違う何かを持っている。」
「そうでしょうか?」
「あぁ、なぜだろうな。私にはそう思うのだよ。もしかしたら彼はガンダムマイスターとして選ばれていてもおかしくない逸材じゃないかとね。」
翌日の夜、俺はアレハンドロ氏に呼ばれ彼の部屋の前へと来ていた。ノックをして声をかける、返事が帰ってきたので扉を開け中に入った。
アレハンドロ氏は窓際にこちらに背を向け立っていた。リボンズはそのそばにいる。
「来たね。遠慮せずにこちらにきたまえ。」
そう言われて、近くまであるいていく。
「クーデターが起こったようだよ。」
「クーデター・・・ですか。」
こちらに背を向けていたアレハンドロ氏はクーデターのことを話すとこちらへと向き直る。
「あぁ、紛争だ。つまり、彼ら―――ソレスタルビーイングも来ている。」
そう言うとその場から横にずれる。彼のずれたところの先には窓越しにガンダムが写っていた。
次回は戦闘入るかもです