夢の中の妹は   作:夢野裏蜩

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第2話です!

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おかげで気力が溜まりました!

最高にハイってやつだぁあああぁ!
by DIO


夢の中のカーレース

カチ…カチ…カチ…カチ…カチ…

 

 

部屋にハト時計の針が回る音が響くのを

聞きつつ私は、兄のベッドに横たわって

今までの事を考えていた。

 

いつもの事ながら

兄が起きていて本当に暇なのだ

だから、昔のことや兄との思い出

空想の兄とのじゃれあいで

暇な時間を潰している。

 

今日は、私が死ぬ時の事でも考えようか

 

私が事故にあって、死んでしまった

その、2ヶ月ほど前の出来事

 

あの頃の私の生活は

学校への登校手段はいつだって自転車だった

なぜなら、両親はいつも慌ただしく忙しくて

家族4人。父、母、兄、私が揃うのは

1ヶ月に1回あるか無いかだった

当然、そんなに忙しい親に

「学校に送って行ってくれ」

とは言えなかった。

 

 

そして、当然。忙しい親の代わりに

私の面倒を見るのは兄だった

 

 

いちいち勉強したか?とか

テストだったんだろ?とか

私の学校での事をよく聞きたがった

それに、自分は今日はこんな事をした

とか、聞いてもいないのに言ってくる

 

正直いって、かなりウザかった

 

1人にして欲しい時も

ゲームに集中してる時も

何時もそばに居た。

 

ウザいとか言ってキレたこともあった。

キレたり怒鳴ったりしたら

クラスの男子のように距離を置くと

そう考えたからだった。

 

結果は、何も変わらなかったが

 

そんなある日

親が二人とも仕事が一段落し、

私が帰る頃には迎えに来てくれることになった

 

友人達は何時も車だった。

そして、自転車登校の私を憐れんでいた

 

それが嫌だった。

 

今思えば、そのいらだちを

兄にぶつけていた所もあった。

 

しかし、今日は違う。

憐れに思われることもなければ

今までされなかった

車での迎えにワクワクした。

兄は部活が遅くなるというので

迎えは私とは別だ。

私だけの1人の後部座席。

楽しみだった。

 

帰りのホームルームが終わるやいなや

すぐさま教室を飛び出して

保護者用に作られた駐車場に走った。

 

ほどなくして親が車に乗ってやってきて

私は車に乗り込むと、つい、

テンションが上がって

「ついでにどこか、遊びに寄ろう!」

と言ってしまった。

 

たまにはと親も承諾してくれて

家とは逆方向のゲームセンターに

向かって車が発車する。

 

結果、コレが事故をよんでしまうとも

気が付かないままで

 

窓の外の風景を見ながら

父の話を聞いていた。

ゲームセンターに続く道の

十字路を通り過ぎようとした瞬間に

 

私の視界にトラックが

猛スピードで走ってくるのがうつった

 

父親の話をかき消すように叫んだ

 

「お父さん!トラック…………!?」

 

叫んだ直後に鉄や車の部品が

ひしゃげて、割れてきしんで、

砕けて、捻れて、凹んで

折れて、曲がって、

様々な悲鳴をあげたのが聞こえた。

直後に強い、強すぎるほどの衝撃

シートベルトが自分の逃げ場を消した

 

その後はあやふやだった。

 

視界が暗くなったり、

明るくなったりをただ繰り返した。

多分、座っている

身体がまるでいうことをきかない

それでも、頭は働いた

 

 

 

死ぬ

 

 

 

その2文字が、急に頭に浮かび

とてつもなく恐ろしく思った。

また、変えられない事実だと直感的に

理解してしまった。

 

それと同時に始まる、記憶の数々

 

自分の過去の考え、行動、思い、

全部が全部、見えて思えて感じれた

 

そして、最後に私の行き着いた感情は

死に対する恐怖でもなく

怯えでも、絶望でもなかった。

 

いつだってそばに居てくれて

私を気にかけてくれて、

私を見限って距離を置くこともしなかった

何時だって優しかった兄にたいする

 

 

恋だった。

それも、初恋

 

 

 

残り数十秒で消えてく命と

残り数十秒で産まれた恋心

 

 

嫌だった。

 

 

初めての恋が、残り数秒で終わるのも

優しくしてくれた兄に感謝を

きつくあたった自分の行動の謝罪も、

この初めての感情が言えないのも

そのために、助けを言えない喉も

走り出せない足も

シートベルトすら外せない腕も

どれもこれもが嫌だった。

 

 

どうしてなのだろう???

 

 

生まれて初めての感情が

 

どうして、こんな、数十秒で

 

誰の心にも残らない新聞の切れ端のような

 

そんなものになってしまうのだろう

 

お兄ちゃんは私を1人の女の人と

 

見てくれないまま

 

知らないまま

 

私が好きって事も解らないまま

 

他の女の人と仲良くなって

 

きっと、いつか、一緒に…………

 

 

悔しさと嫉妬と悲しみ、絶望と怒り

様々な感情がいっぺんに襲ってくる

意識が遠のく

 

 

 

 

 

視界の黒い闇が、視界の中央に

向かって進んでいき

世界をせばめていく

 

 

 

 

 

嫌だ

 

 

 

 

嫌だよ

 

 

 

こんなの。あんまりだよ

 

 

 

 

私は、この気持ちを

 

 

 

 

 

私は、まだ、お兄ちゃんに

 

 

 

 

 

伝えてないのに、伝えたいのに

 

 

 

 

死にたくないよ

 

 

 

 

 

助けて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、気が付いたら

私はお兄ちゃんの夢の中に住んでいた

 

どうしてなのかは解らない

 

でも、そんなのは

実はどうでもいい。

今は、ただ、お兄ちゃんを

私のものにしたい

ちゃんと、女の人として見てもらって

愛されたい、好きだと言い合いたい

初恋なのだから、他の女にとられたくない

 

 

それが、今の、私の気持ち

>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>☆

「…………よし、終わり!」

 

最後の荷物を押し入れにしまい

俺は約4時間にわたる掃除を

終わらせることに成功した

 

家族が死んでしまって1ヶ月の間は

あまりにショックで精神が不安定になり

物にあたってしまったり

掃除をやろうとしなかったりで

家の中の物が乱雑になってきていた

なので、今日は家の整理整頓をしていた

 

きっかけは、飯を食べたあとに

台所で洗い物をしつつ

部屋をざっと見渡すと

結構汚れていたからだ

 

だから、掃除を開始した

 

台所から見えるリビングの食卓

それと、その下の床

ただ、それだけのはずが、

いつの間にか家全体を掃除していた

掃除をしだしたら、

あっちも汚い、こっちも汚れてる

と次々に汚れを見つけてしまったからだろう

 

 

いつも思うのだが、掃除を始めると

かなり時間が早く進んでいくのは

一体何故なのだろうか?

 

何気なく時計を見たら3時間経過

していた時は、さすがに時計を

2度見したりしてしまう

 

さて、片付いて一安心しつつ

整理してる時に、出てきたなつかしい

ゲームのパッケージを見る

 

赤と緑の兄弟や、その他のキャラ達が

レーシングバトルをくりだすゲームだ。

 

マ●カと略されていて、俺も昔は妹と

よくこのマリ●で戦ったものだ

 

 

反射的に思い出が蘇る

容赦はしなかったこと

よく妹がボロボロに負かされて泣いたこと

そのせいで母に叱られたこと。

 

 

………せっかくだし、やろうかな

 

過去の哀愁を感じつつ

そのなつかしさに誘われて

リビングのテレビの隣で

大人しく使われるのを待つWi●の

電源を入れて、取り出しボタンを押す

たまに他のゲームのディスクが

入ってるのに次のディスクを入れようとして

失敗することがあるので、今は

事前に取り出しボタンを押した

 

無事、何も出てこなかったので

ディスクを入れる。

 

WI●リモコンの電源も入れて

1pの所にライトが着いたのを確認し

テレビにW●iリモコンを向けて

スタート画面を押すと、

今度はリモコンを横向きに持つ

 

こうして、深夜につい●リカ

を始めてしまうのだった

 

 

俺のルイー●は止められないぜ

 

>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>

「………ちゃん………」

 

 

何処からか声がした

 

ちゃん?なんだそりゃ

 

 

 

「……いちゃん………て…!」

 

 

また、聞こえた

 

いちゃんて??

なんの呪文だ??

 

 

「お兄ちゃん!起きて!!」

 

 

「…ん??」

 

 

ゆっくりと目を開けると

俺はリビングのソファに横になって

眠ってしまっていた

妹からは、眠った場所が夢に反映される

と事前に聞かされていたのを思い出した

 

 

マリ●してるうちに寝ちまったのかな

 

 

恐らく、キリのいい悪いは解らないが

眠ってしまったんだろう

テレビの方を向くと電源は消えてるので

良いところで終わらせたのだろう

 

ツンツンと肩を指で突かれて

改めて前を見ると、

何故か最初から俺に抱きついている

夢の産物の妹、リンの顔がそこにあった

 

 

「…………リン?なにしてんの?」

 

 

「今日はいつもより遅いから

ちょっとだけ早く抱きついてるの!」

 

 

妹が照れたように笑う

こちらも微笑み返して

優しく頭を撫でると、妹は

くすぐったくも嬉しそうに

目を閉じてニコニコしていた。

 

 

いつから、こんな顔しはじめたんだか

 

 

生きていた頃の妹とは違っていた

もっと、こう、ウザがられてた

 

やっぱり、夢なんだよなぁと

思わず再認識させられる。

 

「でも、珍しいね

お兄ちゃんがリビングで居眠りだなんて」

 

 

「ん?あぁ、ゲームしてたら

途中で眠っちまったんだよ」

 

 

「ゲームってなんの??」

 

 

「ほら、昔よくやっただろ??

マリオカー●だよ、W●iの」

 

 

妹は思い出したのか

ハッ!!とした顔になり

何度もうなづく。

 

「やったやった!!

お兄ちゃんがル●ージで

私が何時もピー●姫使ってた!」

 

 

相手の言葉に賛同しつつ首を

うんうんと、縦にふる

本当になつかしい

 

…………というか、あれ??

ここ、リビングが反映されてるなら

 

 

急に気がついた可能性を確かめるために

俺はゆっくりと上半身を起きあがらせる

 

妹は頭にハテナマークを出しつつ

俺の動きの邪魔にならないよう

立ち上がってくれた。

 

こちらも立ち上がり、テレビの

リモコンを持って電源を付けてみる

 

考えた通り、マ●カの画面が映る

妹の顔を見て、テレビを指さしつつ

 

「やるか??」

 

「!うん!!!やる!!」

 

即答だった。

 

 

数分後には、キャラ選択だった

まぁ、俺はいつも通りのルイー●

妹も、いつも通りのピー●姫だった

 

後はステージを決める

 

ステージの特徴が画面に映し出され

最後に位置についた自分のキャラの

後ろ姿に画面が変更される

 

画面にカウントダウンの数字が出され

俺達は3秒後に走り出した。

 

 

>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>

 

さて、ファイナルラップに

突入したは良いが、

俺は現在2位

妹が現在1位だ。

 

おかしい。

何故こんなに上手くなっている

 

「隠れて練習してたんだよ?

お兄ちゃんに勝ちたかったから」

 

心を見透かしたように妹は

そう言った。

 

勝ちたかった………か。

まぁ、あんなにボロボロに

負かされたら、流石に許せないわな

 

 

「とかなんとか言っても

最後に勝つのは俺なんだけどな」

 

 

見え透いてるだろうか?

だが、ハッタリも大切だ。

 

 

「もう負けないもん!」

 

 

「俺だって負けない!」

 

極限まで集中し、コーナーのギリギリを

曲がって妹に近づいていく

 

 

やっぱりお兄ちゃんだなぁ

 

とつぶやく声がした。

その嬉しそうな、満足そうな声に

つい意識がいってしまう

 

すると、ピ●チ姫の後ろに3個の

バナナの皮が現れて、置いていく

意識がそれたのと、急なバナナに

驚いて反応が遅れてしまい、

俺は見事にスリップした

この技は………!

 

「お兄ちゃん、昔こんなふうに

バナナ置いてたよね」

 

妹が楽しそうに笑う

そう、これは昔の俺の戦法。

大抵はコレで妹がスリップして

俺が勝っていたのだ

 

なつかしい。

 

 

が、妹には負けていて貰おう

スリップ状態から戻り走り出すと

俺は少し前にとっておいた

赤い亀の甲羅を投げる。

この甲羅は自動追尾で、妹は

これに弱いのを俺は知ってる

 

甲羅にぶつかった●ーチ姫がスリップする

その間に俺は距離を縮めつつ走る

 

妹もスグに復活し俺の隣を走る

 

「もう来たのか!?」

 

「だって、負けられない!」

 

 

後はテクニックの差だ

久しぶりなので、互いに少しミスをしつつ

ちゃんと相手の隣まで戻ってくる

 

残りの距離も、もう長くない

後ろには3位のドンキーコン●が

迫ってきている

 

後は直線、ハテナブロックと呼ばれる

アイテムが目の前で横一列になっている

 

ハテナブロックにつっこみ

アイテムをゲット。

 

互いに、一時的に速度の上がるアイテムだ

それが、3つ。

 

相手が使えばこちらも使う。

残り数百メートル。

ゴールは見えていた

 

が、ここでとんでもない

伏兵が現れる。

 

 

妹が加速し、俺も加速し終えた時

画面から、シューーーと

飛行機が空高く飛ぶような音が

迫ってきた。

 

急にWi●リモコンから警告の

ベルがなり始める。

 

画面下にそれがなんなのか

アイコンで表示される

 

青い甲羅に羽が生えたイラスト

これは、トップ殺しの甲羅だった

 

1位のキャラを爆破し、かなり

スリップの時間を長くする

 

さらに、タチが悪いのは、

1位の近くの奴も巻き込まれる事だ

 

俺は一応、1位だが

スピードを落として妹を1位にしようとする

青い甲羅が画面に入ってくるまでは

位置と順位が変われば青い甲羅を

回避することが出来る

 

しかし、当然、妹も同じように

スピードを落とした

 

シューーーという音が大きくなり

画面に現れる。

俺は妹になるべく近寄った

青い甲羅が空中で一回転し、

垂直に落ちてくる

 

妹はスピードをあげるが、

もう、遅い

 

 

妹は爆発に巻き込まれた

 

 

「あ!もう、お兄ちゃん!?」

 

 

こちらを責めるような

口ぶりで妹が吠えるが

 

「誰だってそうする

俺もそうする」

 

と、冗談っぽく肩をすくめた

 

 

「ううぅぅ」

 

悔しそうにうめく妹。

可愛いとは思ったが

俺は残りのコースを走破した。

 

 

結果、

俺は3位

妹は4位だった

 

「お兄ちゃんが青甲羅の時に

近づいてこなきゃ勝ってたのにー!」

 

悔しそうに足をジタバタする妹だが

行動とは裏腹に、顔は嬉しそうで

とても満足気だった

 

「残念でした」

 

俺も多分、同じ顔をしてるんだろう

 

「じゃ、もっかい、するか?」

 

「うん!!まだ一緒に

お兄ちゃんとゲームしたい!!!」

 

妹はすぐさまうなづいた。

 

まだ遊びたいじゃなくて、

俺とゲームがしたいか。

 

くすぐったくも嬉しくなった

 

こうして、ハト時計が鳴くまで、

走っては勝って

走っては負けてを

繰り返しながら、俺は、

夢の妹と笑いあって過ごした。

 

 

 

 




登場人物
主人公

岩山 亮太朗
・妹が夢の産物だと思ってるので
塩になるが、やっぱり大切に
していたいのでデレが入る
・妹は冷たかったと時折思ってる


岩山 凛
・大事にしてくれた兄が大好き
生前、死ぬ前まではそうではなかった


最後まで読んでくださった皆様

ありがとうございます!!

最近、シジミとアサリの違いがなんなのか

気になり始めました。

亮太朗にしじみ食わせよ

次回
「夢の中の嫉妬」

次回でまたお会いしましょう!!
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