夢の中の妹は   作:夢野裏蜩

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遅くなってしまいすみません

では、今回はヤンデレ本領発揮です


夢の中の歪

少し強めの風の帰り道

 

 

 

空は異常な程にカンカン照り

 

 

 

「ハァ…」

 

 

 

それとは反して、ため息混じりに下校をする俺

 

 

 

ため息だって出るだろう?

 

 

 

夢の中での事が現実に起きるのだから

 

 

 

今日の朝に判明した事だ

 

 

 

 

 

 

 

友人から何十巻とDVDを借りて

 

 

 

夢の中でそれを見て

 

 

 

確認したら

 

 

 

何十巻もあるDVDの内容が

 

 

 

夢の中と同じで

 

 

 

妹と料理をしてみて

 

 

 

その時使った調理器具と

 

 

 

食べ残しが現実にあるなんて

 

 

 

 

 

 

 

今までの事を思えば、変な話だ

 

 

 

2ヶ月前、俺は俺以外の家族を失った

 

 

 

母、父、妹

 

 

 

泣くに泣いて、葬儀もろくに覚えていない

 

 

 

そんな中で、一ヶ月前に妹が夢の中に現れた

 

 

 

驚きもしたが、俺はその夢の妹に泣き縋り

 

 

 

そして、それから夢の中で妹と過した

 

 

 

 

 

 

 

………夢は、たまに昔見た夢を見ることはある

 

 

 

だが、こんなにも一ヶ月も連続で

 

 

 

同じような夢を見続けるなんてあるのか?

 

 

 

ありえない………筈だ

 

 

 

そして、何よりも、なぜ夢の出来事が

 

 

 

現実に反映されている?

 

 

 

夢の中で、偶然俺が死んでしまうば

 

 

 

俺も死ぬのか?

 

 

 

今まで、全ては俺の家の中での

 

 

 

出来事だ

 

 

 

それに、もしかしたら、あの妹は

 

 

 

亡霊か何かで、俺を殺して道ずれに…………

 

 

 

 

 

「ッ!?」

 

 

 

『キャァ!!』

 

 

 

考え事をしていたせいか

 

 

 

見知らぬ女性とぶつかってしまった

 

 

 

しかも、最悪なことに

 

 

 

女性は自転車に乗っていた

 

 

 

俺は地面に尻もちを着いた

 

 

 

 

 

『す!すみません!大丈夫ですか!?』

 

 

 

「あ、はい!こちらこそ、すみません!

 

僕の不注意で!」

 

 

 

慌てて立ち上がり頭を下げる

 

 

 

相手は自転車から降りて

 

 

 

何度も頭を下げながら

 

 

 

慌てたようにポケットから

 

 

 

何かを取り出した

 

 

 

見たところハンカチだ

 

 

 

俺が疑問に思っていると

 

 

 

手のひらにソレを当ててきた

 

 

 

 

 

そこでようやく気づく

 

 

 

手から少し血が出ていた。

 

 

 

女性がすみませんと何度も謝るが

 

 

 

俺は気にしなくて良いですよと

 

 

 

面倒事を避けるのに必死だった

 

 

 

 

 

最終的には警察などもなく

 

 

 

先生への連絡もなくて済んだ

 

 

 

血が少し多めに流れるので

 

 

 

相手がどうしてもと言うのでハンカチを借り

 

 

 

傷口を抑えながら帰ることになった

 

 

 

 

 

>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>

 

 

 

家に帰り、制服も脱がずに

 

 

 

カバンを投げ出し

 

 

 

ソファに寝転がる

 

 

 

血はもう家に着くだいぶ前から

 

 

 

出なくなっていたから、ポケットだ

 

 

 

また、変にまぶたが重い

 

 

 

どうしたのだろう?

 

 

 

事故で疲れたのか?

 

 

 

いや、そんな事は無い

 

 

 

まぁ、良い

 

 

 

夢の世界で妹に聞きたいこともある

 

 

 

 

 

そして、俺は夢の中へ沈んで行った

 

 

 

 

 

>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>

 

 

 

 

 

「お兄ちゃん!!!」

 

 

 

「……ン、」

 

 

 

 

 

目の前には、いつもと変わらぬ

 

 

 

そう、死亡前と変わらぬ妹が居た

 

 

 

数ヶ月間、俺と共に居た妹が

 

 

 

 

 

「どうしたの?今日は早いね」

 

 

 

語尾に音符が着きそうな程、

 

 

 

妹は嬉しそうに言った

 

 

 

 

 

「まぁな、色々あった」

 

 

 

「?」

 

 

 

コテンと首を傾げる妹

 

 

 

いつも見てきた。

 

 

 

これからも見続けると思ってた

 

 

 

 

 

「…………なぁ」

 

 

 

「ん?なぁに?お兄ちゃん」

 

 

 

一呼吸。

 

 

 

たったそれだけでも

 

 

 

永遠に感じられる

 

 

 

 

 

 

 

「お前は、俺の妹なのか?」

 

 

 

 

 

♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥

 

 

 

何を言われたのか

 

 

 

何故そんなことを言われたのか

 

 

 

唐突すぎて、頭が回らなかった

 

 

 

「え?」

 

 

 

口から出た言葉は、戸惑い

 

 

 

 

 

 

 

「お前は本当に、石山凛なのか?」

 

 

 

 

 

なんで、そんな、こと、いうの?

 

 

 

 

 

「わ、たしは、お兄ちゃんの妹だよ?」

 

 

 

 

 

起き上がり、ソファに座り直す最愛の人に向けて、

 

 

 

私はそう言った

 

 

 

 

 

「本当にか?」

 

 

 

 

 

本当にって、ナニガ?

 

 

 

ナンデ、疑うの??

 

 

 

ワタシは、オニイチャンノ、妹だよ?

 

 

 

このアイは本物で

 

 

 

このオモイは紛れもないジジツで

 

 

 

 

 

「私は、だって………何時だって

 

お兄ちゃんを……私……」

 

 

 

頭が痛くなってきた

 

 

 

何故、こんなことを言われるのだろう

 

 

 

何故、大好きな人から、存在を

 

 

 

疑われてしまうのだろう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

怖い……………

 

 

 

 

 

 

 

兄に疑われるのが

 

 

 

私を私じゃないと思われるのが

 

 

 

思いが偽物だと思われるのが

 

 

 

存在を否定されるのが

 

 

 

今は、兄の一言一言が

 

 

 

どうしようもなく怖くなった

 

 

 

 

 

足から力が抜ける

 

 

 

兄の顔を見るのが怖くて

 

 

 

俯いてしまう

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

相手が、座り込んでしまった

 

 

 

カタカタと震えている

 

 

 

こんなに追い詰めらるなんて

 

 

 

思ってもいなかった

 

 

 

なんだか、心苦しい

 

 

 

それでも、ハッキリさせなければ

 

 

 

 

 

「お前はなんで、俺の夢にいるんだ?」

 

 

 

 

 

相手はビクリと反応し、

 

 

 

自分の体を守るように自分を抱きしめる

 

 

 

 

 

 

 

「夢で起きたことが、現実でも起きてる

 

なぁ、何か知ってるんじゃないか?」

 

 

 

「シラ……ィ」

 

 

 

 

 

小さな、極々小さな返事が来た

 

 

 

何かに怯えるように、相手は震える

 

 

 

クソ、埒が明かない

 

 

 

「俺の妹は、2ヶ月前に死んだ

 

死んだんだよ、お前は誰だ

 

なんで俺の夢の中にいる?

 

何が目的なんだ?

 

リンだったとして

 

俺を殺す気なのか?

 

それとも、お前は俺の夢の産物なのか?」

 

 

 

 

 

「「「「「違う!!!!」」」」」

 

 

 

今度は俺がビクリと反応する番だった

 

 

 

相手が立ちあがり、俺の肩を掴んで

 

 

 

顔を近づける

 

 

 

俺の目に映った妹の顔は…

 

 

 

その顔は、今にも泣きだしそうだった

 

 

 

 

 

「私は、ワタシは、お兄ちゃんの

 

妹なんだよ!!?

 

ずっと、お兄ちゃんが大好きで

 

ずっと、お兄ちゃんに憧れて

 

お兄ちゃんの1番近くにいて!

 

お兄ちゃんが朝に弱いことも!

 

ホラー番組を見たあとに

 

怖がる私を安心させるために

 

一緒に寝てくれたことも

 

小学生の頃テストの点数が

 

悪かった事も

 

全部全部、ちゃんと覚えてる!

 

なのに、なんで!?なんで

 

私の存在を疑うの!?

 

目的って何!?

 

私はお兄ちゃんと一緒がいいの!

 

ずっと一緒に居たいの!!

 

ねぇ、死んでも会いに来ちゃダメなの!?

 

大好きな人と、せめて、せめて

 

夢の中だけでもって、思っちゃ

 

ダメなの!?ねぇ、お兄ちゃん!!

 

私は、今も、昔も、これからも!

 

お兄ちゃんが大好きなの!

 

愛してるの!!

 

私は石山凛だよ!!

 

石山亮太郎の、1人の、たった1人の

 

妹だよ………」

 

 

 

声が出なかった

 

 

 

目尻に涙を浮かべながら

 

 

 

必死に叫ぶように訴える

 

 

 

妹の顔に、気圧されていた

 

 

 

「ねぇ、信じてよ、お兄ちゃん

 

私はお兄ちゃんが大好きなだけ

 

それ以外に何も無いの

 

幽霊でもなんでもいいよ

 

お兄ちゃんと居られるなら

 

私は!!!!」

 

 

 

「わ、解った、落ち着け…」

 

 

 

何度も肩を揺さぶられながら

 

 

 

哀願されると、相手が嘘を

 

 

 

ついているようには見えなかった

 

 

 

 

 

その時、パサッと音がした

 

 

 

音のした方に顔を向けると

 

 

 

そこには、帰りに借りたハンカチがあった

 

 

 

 

 

それと同時に、妹の腕が止まった

 

 

 

妹を見ると、ハンカチを凝視して

 

 

 

動かなくなってる

 

 

 

 

 

???

 

 

 

「ねぇ、お兄ちゃん……」

 

 

 

静かな、とても静かな声

 

 

 

しかし、何か、良くないものが

 

 

 

含まれていた。

 

 

 

怒り?

 

 

 

違う

 

 

 

嫌悪?

 

 

 

違う

 

 

 

これは

 

 

 

 

 

「ねぇ、これってさ、お兄ちゃんの?」

 

 

 

「いや、ち、違う」

 

 

 

「誰の????」

 

 

 

「え?」

 

 

 

相手の目が、何処までも

 

 

 

何処までも虚ろになっていた

 

 

 

「お兄ちゃん、ねぇ、誰の????」

 

 

 

有無を言わさぬほどの圧

 

 

 

これは、殺意?

 

 

 

「ねぇ、お兄ちゃん?

 

お兄ちゃんはさ、なんでそんな風に

 

私を困らせるの??」

 

 

 

「は………?なに……言って」

 

 

 

「私はずっとお兄ちゃんを慕って

 

何されても構わないくらいに

 

愛してて、なのに、なんで他の

 

女がお兄ちゃんのそばに居るの?」

 

 

 

「ま、待て!!誤解だ!

 

今日の帰りに自転車と接触して

 

その時に怪我をしたから、

 

傷口を抑えるためにハンカチを

 

その人から借りただけだ!」

 

 

 

「怪我、したの?」

 

 

 

「そ、そうなんだ、だから、

 

そういうことじ」

 

 

 

「ふざけないで!!!!!!」

 

 

 

「!?」

 

 

 

「お兄ちゃんに怪我させるなんて

 

何処のクズなの?酷い。

 

優しくて頼りがいがあって

 

素っ気ないけど可愛いお兄ちゃんを

 

傷つけるなんて!!!」

 

 

 

「は?いや、」

 

 

 

ブツブツと親指を噛みながら

 

 

 

髪の毛をワシャワシャと乱暴に

 

 

 

ひっかく妹

 

 

 

 

 

なんだ、これ、なんで、こんな

 

 

 

 

 

「り……ん…」

 

 

 

俺の声は届いていなかったようだった

 

 

 

マズイ、逃げないと!!

 

 

 

俺は走り出そうとした

 

 

 

だが、ダメだった

 

 

 

「何処行くのぉ?お兄ちゃん?

 

私が一緒じゃなきゃ……ダメでしょう?」

 

 

 

足首を掴まれていた

 

 

 

だが、おかしい。

 

 

 

妹はどちらかと言えば

 

 

 

運動が苦手で握力も中の下だ

 

 

 

なのに、なんで俺の足が動かない?

 

 

 

恐怖で足が動かないわけじゃない

 

 

 

なんだ?ビクともしない!?

 

 

 

「お兄ちゃんは、外に出ちゃダメだよ?」

 

 

 

部屋が、俺たちの居る部屋の壁が

 

 

 

赤くなり始める

 

 

 

まるで、錆びていくように

 

 

 

「お兄ちゃんは私と一緒

 

ずっと一緒」

 

 

 

なんだ、何が起こって

 

 

 

「おやすみ、お兄ちゃん」

 

 

 

>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>

 

 

 

 

 

「ハッ!」

 

 

 

目が覚めると、自室のベッドだった

 

 

 

嫌な汗が流れていた

 

 

 

そうか、助かったんだ

 

 

 

そんな安心感が支配していた

 

 

 

壁を見る、赤くなっておらず

 

 

 

いつもの白い壁だ

 

 

 

 

 

 

 

いや、いつものじゃないものがあった

 

 

 

 

 

現実を脳が受け入れない

 

 

 

身体が震え出す

 

 

 

視線の先にあった

 

 

 

たった一つの物が

 

 

 

現状を暗示していた

 

 

 

 

 

俺の部屋には無いはずの

 

 

 

鳩時計

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時、ドアが開いた

 

 

 

 

 

「お兄ちゃんおはよ」

 

 

 

にっこり笑いながら

 

 

 

妹が入ってくる

 

 

 

両手にはおぼんに乗せられた

 

 

 

匂いからしてカレーがあるようだ

 

 

 

だが、明らかに違うのが

 

 

 

「髪、どうした」

 

 

 

「んー?切ってみたの

 

お兄ちゃん、ショートも好き?」

 

 

 

「あ、あぁ」

 

 

 

妹の髪が短くなり

 

 

 

目のハイライトが消えている

 

 

 

「はい、ご飯。

 

いっぱい食べてね?」

 

 

 

「え、ぁ、……………は?」

 

 

 

そこにあったのは

 

 

 

カレーではなかった

 

 

 

いや、カレーだったものだ

 

 

 

カレーの中に、細い黒いものが

 

 

 

蛆虫のように、蜘蛛の巣のように

 

 

 

張り巡らされるように存在していた

 

 

 

「何、こr……」

 

 

 

「カレーだよー?」

 

 

 

何を言ってるんだ

 

 

 

コイツは

 

 

 

「く、食えねぇよ、こんなの」

 

 

 

「は?」

 

 

 

妹の顔が歪む

 

 

 

見たことの無い表情

 

 

 

なんだ、何が、どうなってる?

 

 

 

「お兄ちゃん、食べなよ」

 

 

 

妹が無理やりスプーンでカレー(?)を

 

 

 

掬って差し出してくるが

 

 

 

俺は精一杯首を振る

 

 

 

食べれるはずが、ない

 

 

 

「………んで?」

 

 

 

「え?」

 

 

 

「なんで食べてくれないの!!」

 

 

 

「!?」

 

 

 

怒号が飛ぶと同時に

 

 

 

髪の毛を掴まれて、引っ張られる

 

 

 

反射的に引っ張られた方に体を寄せると

 

 

 

妹が口に無理やりスプーンを入れてきた

 

 

 

「食べて!お兄ちゃん!!!

 

食べなきゃ死んじゃう!!」

 

 

 

「やめ…………ゥッ」

 

 

 

口の中にスプーンが入れられ

 

 

 

黒い細いものが口の中で絡まる

 

 

 

やはり、これは

 

 

 

「どう?私の髪の毛カレー

 

美味しい?美味しいよね?お兄ちゃん?」

 

 

 

くそ、やはりか!

 

 

 

「お兄ちゃん、返事は?」

 

 

 

「ゲホッ!ゴホッ!」

 

 

 

「1杯食べて?」

 

 

 

無理やり、無理やり、何度も何度も

 

 

 

口の中にスプーンが入れられ

 

 

 

無理やり飲み込めば喉に絡みつき

 

 

 

むせ返り、布団は汚れていく

 

 

 

「助け……」

 

 

 

「これからはこうやって

 

お世話してあげるねお兄ちゃん」

 

 




いやぁ、壊れちゃいましたね凛ちゃん

愛の告白の後に兄の女の可能性と

自己により失う怖さ

それにより堕ちてしまいましたね

次回はリスカの出番ですね

「夢の中の愛」

また次回でお会いしましょう!

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