悪風   作:Kaisu

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P2GiOS版やってたら突然構想が生えてきた。










さよならラオートさん

 セクメーア砂漠近くの街で余生を過ごしていた高名なハンター。

 82歳での死去。脳卒中による突然死。

 周囲は老衰みたいなものだろうと語っていた。

 

 いまはもういなくなったと思しき砂獅子の鎧を着込み。

 これまた昨今目撃情報のない蒼い老山龍の重弩を担ぎ。

 数多のモンスターを狩り果たした、街きっての出世株。

 

「歯応えのある奴が砂漠にいなくなった」

 G級と称される等級の中でもさらに上澄み、約30年の長い全盛期を迎えていた間、大陸屈指のハンターとして名を馳せていた。

 多くの若者が追い返された繁殖期のディアブロス夫妻を笑って一蹴し。

 どこからか漂ってきた鋼龍は2日保たずに砂漠を追い出され。

 炎妃龍炎王龍の連続来訪で街崩壊の危機が騒がれるも、炎妃龍斃され炎王龍は角折られ翼を風穴だらけにされてどこかに走って逃げてった。

 

 其の者のオトモアイルー(既に逝去)はその時のことを述懐している。

 ご主人が顔面ボコボコにしてて、美味しいとこだけ手柄譲ってもらっただけニャ。

 

 月刊『狩りに生きる』 ― 往年の名ハンター、砂漠の守護神編 ― より抜粋。

 

 

 

 

 

 

 その老ハンターには歳の離れた弟子がいた。

 正確にはその老ハンターにしか御せなかった弟子がいた。

 その弟子は、あまりにも純粋な戦士の才に恵まれていた。

 

 その子は母の腹にいた時から異様に育った。

 やけに膨れた腹に育ち、その両親は双子か三つ子かと思ったほどに。

 その実腹の中でひたすらに巨大に育っており、産まれた姿は赤ん坊とは程遠い重さと骨太さであった。

 その赤子は実によく食いよく眠りよく育つ。3歳の頃には3つ4つ上の世代と背丈も変わらず、その中に混じって遊んでいた。

 

 さらに異様であったのは、その育ちが全く止まらなかったことだろう。

 背丈は6歳をして周りの子供達の倍近く、体格では既に大人の仲間入りを果たしていた。

 しかし精神は年相応でガキ大将そのもの、体格が良いだけに、実に面倒な悪ガキになっていた。力を持て余していたのである。

 もはや両親では手に余ると感じた村長は、セクメーア砂漠で余生を過ごしていた老ハンターに才ある若者として預けることにした。

その時8歳、既に背丈も体重も老ハンターを超えている巨躯。ブルファンゴと力比べができたほど。

 預けられた当日にウザがって老ハンターに殴りかかり、半日かかってスタミナが切れるまで全部避けられ続け、かすらせることすらできず。

 コンガでももうちょっと当てるとすら言われてようやく弟子入りを承諾。

 

 老ハンターがその子に提示したのは、正しい体の使い方を教えてあげたことだった。

 動きの癖を矯正し、運動しても怪我しない体を作り、目の使い方を教える。それだけだった。

 人に向けて振るうには過ぎた体格と膂力。ハンターに預けられたならハンターになるのが道理。

 手始めにハンター用の回避の体捌きを教えたら、軽く老ハンターの倍は移動する瞬発力と筋力。

 体が成長が止まる気配を見せない以上、老ハンターは下手にトレーニングを課すことはしなかった。

 そもそも、セクメーア砂漠をハンターとして生きるために必須の技能である、柔らかな砂上をダッシュし続ける行為そのものが強烈なトレーニングである。

 ガレオス種が泳げるほど踏ん張りのきかない砂上において身体能力をフルに活用する術を体得する、それそのものが十二分に弟子の体を適切なものに育てるであろうと考えた。

 

 老ハンターはまずはヴァイパーバイト(ゲネポスの片手剣)を与えて、盾蟹を相手に攻防の駆け引きを教えようとした。

 しかしその身体能力では盾で防ぐまでもなく大概避けることができ、その膂力であらゆる方向から一方的に殴りつけるそれでヴァイパーバイトはあっさりへし折れた。

 これはダメだとボーンクロウランス(盾蟹のランス)を与えて、今度こそ盾蟹を相手に攻防の駆け引きを教えようとした。

 前提として、ランスは正確に弱点を抉り、傷口を広げていく武器である。

 それを甲殻の隙間に抜けなくなるほど深々と、それもあっさりと突き刺して、相手の攻撃を避けながらランスの盾で殴打し杭打ちする武器ではないのである。

 そもそもランスは抜けなくなるほど突き刺さるものでもなければ、盾が槌代わりにできるほどのサイズでもない。

 

 積極的な防御という概念はこの弟子にはいらないのでは。一方的に攻め続けられるならそれでいいのではないか。

 そう思ってブレイズブレイド(鉱石の大剣)を与えて、突き刺さないように厳命して、三度目の正直で攻防の駆け引きを教えようとした。好きに攻めていいがいざとなれば大剣で受け止めろと。

 しかし本当に8歳なのかと疑わしい、太刀もかくやという勢いで振り回してモンスターに挑みかかり、重さよりも刃で叩き斬ることを苦にし、途中で諦めて当たればどこでもいいかで側面で殴りだす。空気の抵抗はないとばかりに。

 

 身体能力が勿体ないとは思ったが、弓と重弩も試させた。

 弓ではろくすっぽ的に当たらず、重弩では狙いを定めるという行為自体を面倒と忌避したので、向いていないと選択肢から外した。

 狩猟笛も試させたが、自己強化の旋律による身体能力の著しい強化から繰り出される破滅的な威力の打撃は、モンスターを倒すより先に笛の構造を破壊した。

 

 ともなれば残るはハンマーである。

 端的に言えば、水を得たガノトトスであった。

 ハンマーの重さなんてまるで気にせず、その重量を優れた身体能力で叩きつける単純にして強力な戦法に、足りないことは経験だけだった。

 こればかりは一概に教えられることではないし、天狗にならぬよう自信を喪失しないよう剪定はしなければいけない。

 

 

 

 

 

 弟子が齢13の時、彼はハンマーを得物に上位等級に昇格していた。

 その背丈は既に大人の背すらも頭ひとつ追い越し、セクメーア砂漠近辺ではもう並ぶ者がいない長身になっていた。

 ある日弟子が依頼から帰ると、老ハンターは自宅で亡くなっていた。

 遺品の中に遺書があり、体の使い方を考え続けろ、武具はくれてやるが師匠の実績を超えるまでは使うな、という二文だけが書かれていた。

 

 人間離れした体躯から繰り出される運動能力による戦闘力は技術としては完成に程遠い、ハンマー持った人型の獣としか言いようがない戦い方。

 避けて殴る。その動作が一般的なハンマー使いの基本軸。

 避けて殴る殴る殴る殴る殴るぐらいの動作を彼は同じ時間に詰め込む。

 セクメーア砂漠近郊で砂獅子亜種の異名を賜った幼き猛獣が、首輪から解き放たれた瞬間であった。

 

 その背丈はなおも伸び続け齢20を過ぎてようやく止まる。もはや人間としては完全に規格外であり、体を研究したいと言い出す者も多数。

 優秀な師を追うようにハンターとしての実績も伸び続け、遂に彼は大陸屈指のハンターとなる。

 あらゆるモンスターを粉砕する力は、剣を持てば人の身で老山龍の尻尾を切断できるかもしれないと噂された。

 彼の持つハンマーは特注を重ねて一般的なハンマーの倍以上のサイズと重さを誇り、もはや砕けぬものはなにもないと人は言い、本人も弾かれることなどないと豪語する。

 

 

 その後も彼はあらゆるモンスターを征し続けたが、遂に彼の攻撃を弾くモンスターが現れた。

 ゴア・マガラおよびシャガルマガラの騒動がひと段落してから現れた、狂竜症の極限フェーズに達した個体である。

 あらゆる攻撃を弾く硬く激しい敵に、彼はこれらを真正面から砕くことを目標として率先してその依頼を受けていった。

 理外の破壊力と理外の耐性。

 抗竜石【心撃】が開発されても彼はそれに頼らず、己の力だけで硬化部位に弾かれ、時に硬化部位にすら打撃を通した。

 そのぶつかり合いは同行したハンターに生物の出す速度と音ではないと言わしめる。

 数多の鉱石で造られた極鎚ジャガーノート(合金でできた特注のハンマー)は、彼の荒っぽい使い方と極限個体の硬さに耐え切れず、依頼が終わるたびに毎回どこかがひしゃげ、曲がっていた。

 

 極限フェーズ個体と率先して戦い続けること十数年。

 狂竜症と戦い続け、いつしか極限フェーズに達する個体は見られなくなった。

 ふと、彼は思った。

 

「歯応えのある奴がいなくなった」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そろそろハンマーも昔のようには振るえなくなった。

 師匠の実績は超えているだろうから、もういいだろう。

 蒼い老山龍素材を惜しまず投入した巨砲、老山龍砲・極。

 師匠にとっての重弩は、巨躯の弟子にとって軽弩に等しい。

 そして師匠が愛用した砂獅子素材防具のブランゴZシリーズ。

 今は砂漠に茶色のドドブランゴが出ることはない。無理な環境適応の後に砂漠の生存競争に負けて淘汰されたのだろう。

 武器の反動を大きくする代わりに弾倉を拡張し放熱性を高めるこの装備は、今はもう失われた機構。

 是非使いたいが、そのままでは小さ過ぎてとても使えない。

 あらゆる伝手を辿り、希少な素材を注ぎ込み装備を当時の性能そのままにリサイズ。

 

 1度装填すれば弾が尽きるまで撃ち続け、大きくなった反動も彼の巨体にはなんなく吸収されて無いようなもの。

 常人の筋力では構えて走ること叶わないそれを容易に取り回し、尋常ならざる破壊力をあらゆる状況から止めどなく放つ革命的な変遷。

 新たな怪物ガンナーの誕生である。

 かつて忌避した狙いをつける動作も、相手の動きが読め、体も安定した今ではその必要もない。

 彼にとって通常弾や属性弾が最大限活きる距離は、ハンマー時代の移動範囲となんら変わらない。

 狙いをつけるより接近して連射して離脱する方が、彼にとっては手早く手堅かったから仕方がない。

 

 

 

 

 

 月日をさらに重ね、彼の年齢は既に60を過ぎていた。

 巨体を支え続けた下半身は限界に達しており、何度か手術も行っていた。

 かつて狂竜症個体と散々戦い続けたせいか、静かに蓄積された狂竜ウイルスは全身を蝕み、いつ急変してもおかしくないという。

 そこへセクメーア砂漠で久方ぶりに確認された狂竜症極限フェーズの轟竜。

 若いころ鎬を削った相手に懐かしさを覚えた彼は、引退試合のつもりでその依頼を受けた。

 

 師弟二代に渡って使い続けられた防具も相応の年季を重ね、あらゆる箇所が擦り切れている。

 老山龍砲もだいぶフレームがガタついている。

 定まらない膝、痛む足首、軋む腰。機動力は全盛期の半分以下。耗弱した体は重弩を重弩として扱わせた。

 

 遠い記憶の彼方にある、衰えを経験でカバーしていた師匠の姿。それが今の境遇に重なる。

 ぼやけてしか思い出せないが、体には教わった砂漠での立ち回りがしっかりと根差している。

 

 轟竜が砂塵巻き上げ猛然と突っ込んで来る。

 高揚と、ほんの少しの懐かしみ。体は流れるように動き、すれ違いざまに横っ面へ弾丸を叩き込む。

 師匠には手が届く範囲でひたすら避けられた。それを再現すればいい。近距離こそがホームグラウンド。

 血が騒ぐ。クーラードリンクは服用したのに脂汗が止まらない。

 心臓が張り裂けそうなほど大きく拍動する。

 なんで今出てくるんだよ、もうちょっと待ってくれよ師匠。

 なんで俺は上から狩りを見てるんだ。

 

 ほら、狙い所に当てるのも上手くなっただろ。

 貫通弾も弾き返す部位に打撃通したんだぜ、すげえだろ。

 戦ったことがないからわからないって、そりゃねえよ。

 轟竜の咆哮は腹に響くよなあ。砂地がビリビリ波打つのも面白い。

 ことあるごとに遅れてくる尻尾に気を付けろって、何回聞いたかわかんねえよ。

 

 どうだ、勝ったぞ師匠。

 帰るまでが狩猟だって言うけどさ、倒したんだからそっち行っていいだろ?













なんでこんな身体能力チート野郎が脳内プロット持ってきたのかさっぱりわかんね。
なんとなく身長2m60cmぐらいを想像していた。
歯応えがない奴がいなくなった2周をやりたかっただけの気もする。

MHP2GiOS版、2019年9月に販売終了はしているものの未だにマッチングサーバーは生きている。
ラオート使うより、テゼルトテイルに通常弾強化と見切りつけてLv3通常弾乱射してたり、蒼穹桜花で色々回し打ちしながら回復弾ばら撒いてたりするのが好き。
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