前作読み直すと色々とあまりに不甲斐なかったので、今回はふまじめ系オリ主をメインに据えて、後は知らない。故に設定も荒い。
でもTSは好きよ。
Prologue
――俺氏、第二の人生が始まる。
これだけだと一念発起して脱サラした時の台詞みたいだが、断じてそうではない。
大雑把にまとめてしまうと、なんか起きたら自分の部屋ではなく、見知らぬボロいタコ部屋で小汚いロリショタ集団の中で寝てたのだ。何故か自分の身体も同じくらいのサイズになって。あと股間の穢れしバベルの塔が逆一夜城してた。たまげたなぁ……。
当然ながら、初めは「変な夢だなー」と思って二度寝を十回以上繰り返したが、結局のところ寝ても覚めても状況は変わらなかったわけで。
なんぞこれぇ……。
数日様子をみるに、どうやらこの世界、俺が生きていた世界の百年以上先の日本らしいということがわかった。
世界線が悪い方に振り切れた後なのか、自然環境が手遅れレベルに逝っちゃってるので、ちょっとコンビニに買い物をしにいく感覚で外に飛び出せばあっという間にお陀仏できること請け合いである。クレイドルが飛んでないアレな世界観を想像するといい塩梅かも。いや、それよりもっとひどいか。
たまたま見た日本地図も俺が知ってるものと、なんかこう違っていた。とりあえず俺の実家は海の底確定である。もしくは消滅しているかもしれん。
……二十二世紀なら、どうせならドラ○もんの世界に生まれたかったなー。
もしそうなら、ワンチャンどころか100チャンくらいはあっただろうに。
今自分がいるここは、一応身寄りのない子供を集めて健全に育てる施設である。勿論、実態は全く健全ではないけど。
雀の涙な補助金を絞り取って業突く張りの懐にそのままシュートする集金場、もしくはロリショタ趣味の富豪の、イケナイおもちゃ生産工場と言い換えてもいい。
世話役の大人たちにしてみれば、「この世の中親なしが生きていられるだけでありがたく思え」、とのことだが、くっそまずい飯すらろくに食わしてくれない。ひもじい。臭い。
流石の俺氏もこの状況には苦笑い。
地獄行きとどっこいどっこいなのはちょっといただけない。前世の俺、そんなに悪いことやっただろうか? ちょっと記憶にありませんねぇ……。
隣に寝ていた、いい感じに目が死んでる少女をわちゃわちゃと構い倒しながら、さあこれからどうしようと考える。
とはいえ、大人達のスキを見て脱走なんてのは現実的ではない。
生憎となーんか足が上手く動かせないので、まともに移動できない。よしんばカカッとオサラバ出来たとしても、それなりの装備と行く宛もなく外に出てしまえば、あっという間に無縁墓地行きである。
ひとしきり悩んで出た結論は――ロリコンという名の善良な紳士が可愛くて気の毒なょぅι゛ょ(童女でも可)を見初めて引き取りに来るのを待つ、というものだ。
まあ、これしかないだろうな(確信)。
大人達の零れ話からすれば、今の日本で子供を引き取るようなのは120%碌でもないけどお金はたんまり持ってる輩くらいしかいないらしいので、とりあえず上手くことが運べば栄養失調で死ぬ羽目に陥ることはあるまい。
というわけで、今俺が努めるべきは自分磨きである。それっぽい人の目に留まるように、身なりを整えた上で頭の良さをアッピルするのだ。
死んだ目の少女の頬をグニグニしながらほくそ笑む。ダイジョブダイジョブ、道は見えた。
なにせこちとら元々男なのだ。わざとらしくならない程度のあざとさなら、なんとか再現できる自信も無いことも、ない。
……でもできることなら、百合趣味のキレーな大金持ちのおねーさんで、オナシャス!
§ § §
そんなこんな生活を始めて半年か1年か、それなりに時間が経った頃。
「ふーん、アンタ達がここで一番利口な×××って子?」
唐突に俺の名が呼ばれて、普段見かけない女性(というか少女)が現れたのだ。
おうふ……おねーさん(自分比)、しか合ってなかったよ。
どうやらこやつがようやっと現れた俺氏の引き取り手候補のようだが、俺氏を見る目に情欲の色はとりあえず見えなかった。
服もどこかこう、貧乏臭が漂っている。裾がよれてるし。
はーやれやれ、とメリケン風にジェスチャーしながら首を振る。せっかく練習してきたあざとさは皆無だったが、我慢できなかったのでしょうがない。
本当に孤児を引き取りに来たのかと思えるくらい、期待はずれであった。
もっとも、こっちもふつくしいとはとてもとても言えない容姿なのでお互い様ではあるが。こんな環境なのでちゃんと歯磨きするだけでも大変なのだ。これ以上の美容対策なんてやりようがないじゃない。
……俺をダッチワイフにしないことだけは期待できそうだけど。
「……確かに頭は良いようね、憎ったらしいくらいに」と、俺の煽りフェイズを受け目と唇の端をヒクつかせながらも、動かない足を見て嘆息したので、問題なく意味が通じていることも確認できた。
まあいいわ、としゃがみながらこちらに視線を合わせてくる。おっ、子供好きのいい人アピールか? 個人的にポイント高いぞー! とまあ、そんなことを考えながら値踏みするこちらを他所に、そのお人は俺に宣言した。
約束するわ。今後アタシの指示に従うなら――アンタに、この世界の何処に生きる誰よりも幸せな暮らしをあげる。
美味しいもの食べて、キレイなお洋服を着て、周りのみんなにちやほやされて――
緑いっぱいの草原を駆けて、透き通った海を泳いで、宇宙の果てにあるお星様まで見える夜空を仰いで――
きれいな水を全身に浴びて、ほっぺたが落ちるくらい美味しいもの食べて――
フッカフカのやわらかいベッドでぐっすり眠れる、そんなこの星の誰もが、もう絶対に手に入れられない幸せが欲しいなら――
「アタシの手を取って、力を尽くしなさい」、と。
……う゛わ゛ぁ゛ーうさんくせー(こなみかん)。
命乞いしながら、実は後ろ手にピストル隠し持ってる大統領かってくらい胡散臭……いや、あれは読んでるときそうでもなかったわ。
だってさぁ、こんな嘘八百、信じるのは何も知らないガキンチョどもか、厨二患者か、もしくは脳みそがパッパラパーになった手遅れな人たちだけやん。
地球捨てて、どっか他所の星に引っ越すならまだわからない夢物語だが、到底数年以内にそれが可能にある技術レベルだとは思えない。しかも、こんな底辺極まる孤児にですよ? そんな切符くれるわけありゃしない。
……それでも、俺としては粛々とついていくしか無いんですが(白目)。
当てにならない言葉どころではないのだが、少なくとも、脂ギッシュにデブったオヤジの上で腰をふるような未来は避けられそうだったので。
事ここに至って我が身の貞操は生存に不可欠ではない……が、大事にしておくに越したことはない。そうだろう?
ちなみにちらっと話に出した、目の死んだ娘っ子も道連れにした。「もう一人、俺から見て利口な子を選べ」と言われたから真っ先にチョイスしたのだ。
だってこの娘、普段口数少ないけど手慰みに仕込んだ日本語はちゃんと理解できるようになったし、知識に貪欲なのかひらがな・カタカナは勿論、漢字を通り越して簡単な英単語まであっという間に習得した天才児である。正直、将来性では間違いなく自分より良いお嬢さんであった。
相変わらず目が死んでるけど。
§ § §
そうして紆余曲折を経てたどり着いた新天地は――何にも無いといっていい空間だった。
え? 今二十二世紀だよねって疑うレベル。この環境で必須な生命維持装置が据えられている他には、壁にかかった数着の服(?)と、うっすいせんべい布団と、保存食と思しきビニール袋。部屋の隅によく分からない電子機器っぽいものがある他には、何もない部屋――それが、この人の住処だった。
いや、俺もこの人の服装からして、全然期待はしていなかったが、万が一というものにどこか希望を残していたのかもしれない。今やそれは、欠片も残らず飛んでいってしまった。
一体全体、この惨状からどこをどうすればあの妄言を吐くに至るのか、コレガワカラナイ。
約束通りアンタ達に幸せをあげる。そのために、今日からアタシと一緒にゲームをしてもらうわ、と改めて宣言するのは、扉の鍵を閉めた後にそこに正座とせんべい布団を指差すこの部屋の主である。もう片方の手には何年か前にリリースされたらしい、基本無料のDMMO-RPGという謎ジャンルゲーの特集記事が握られている。何度も読み返されたのか、表紙は色あせている。
……ぱーどぅん?
今、ゲームをせよと、そう言いました? 労働の代わりに遊興に耽ろとでも?
呆然とする俺たちの首筋に
そんな俺を知ってか知らずか、御高説は続く。
言っておくけど、これから何年も毎日休みなんて無いから。ただでさえ出遅れてる上にあんたらを引き取ったから予算的にもこの先余裕なんてないの。その分はプレイ時間でなんとかするしかないから。寝る間も惜しんでプレイするのよ。ああでも病気になったらペナルティだからやっぱ適度に睡眠はとってね。え? ご飯? 目標達成まではご飯は全部ペレットよ、コスパ最高だし。ってかアンタ達臭っさ! この話終わったらまずお風呂ね。勿体無いから一緒に入って。ああ、話を戻すけどアタシ日中働いてるし、アホみたいに典型的なブラックだから夜も遅いか下手すりゃ徹夜続くの。小卒で入れるとこでは条件良かったのにやっぱり世の中腐ってるわね。上司もなんか視線イヤラシイし。そんなわけだからアンタ達以上に時間が限られてるし不器用だからプレイスキルは期待しないで。最低限のプレイ条件は伝えるし、BANされない程度ならどんな汚いプレイ方針でもいいからアンタ達しっかりアタシを引っ張り上げるの。このままだとアタシの野望は失敗するから、アンタらが頑張らないと一緒に野垂れ死によ。そんなの絶対に、アタシはまっぴらゴメンなんだから。今がどれだけ意地汚くても情けなくっても、終わりさえ良ければあとは万々歳なんだって決まってる。そうよねぇ――ねぇ、ちゃんと聞いてる?
ここまで一息である。長らく溜め込んだ何かを一気に吐き出しているような言葉だった。プレッシャーに押されて壁に追い詰められた目が死んでる少女は震えながら俺にしがみついている。スマン、メシのところしかまともに聞いてなかった。
ちなみに話に出たペレットとは、一粒三十時間の労働を保証する最高にゲロマズな合成栄養食品のことである。
色んな意味で余裕が無くなっているこの世界において、それなりに低コストで大量生産されているそれは、最貧困層の人間にとってできれば食べたくないけどそれなりの頻度で食べなければならないという嫌なソウルフードである。今や袋麺はおろか、合成食パンでさえ贅沢品なのであった。
「言っておくけど、これはゲームだけど遊びじゃないんだから。ふざけたりサボったりして貴重な時間と金を無駄にするようなら――」
殺すわよ、と俺達を見ながらそう締めくくる目は本気だったと思う。
案の定、俺の手を握る目が死んだ少女の目が、さらに死んだ。
■おりしゅ
・転生者
・原作知識:なし
・たまァ!:なし
・親:なし
・学歴:なし
・職:なし
・体格:ちびがり
■うさんくさいおんな
・転生者その2
・原作知識:ありあり
・親:ろくでなし
・学歴:小卒
・職:ブラック
・金:あんまない
・プレイスキル:なし
・体格:不健康
・コミュ力:びみょう
■めがしんでるむすめ
・現地人
・かしこい
・いいこ
・多分、この作品の地球で一番ラッキーな子
初めのプロットではうさんくさいおんなが主人公だったりした。