黒い炊飯器と無個性の少年 作:名無しの炊飯器
期待に応えられるよう精一杯頑張ります。
追記︰オマケ講座も制作中です。
追記の追記︰オマケ講座完成しました。台本形式ですがそれでも良ければお楽しみくださいませ。
「個性把握テストォ!?」
「入学式は!?始業式は!?」
「合理性に欠けるので全カットだ」
なんということでしょう。
これからの始まりを認識する入学式も始業式も全部取っ払われてしまったでありませんか。
僕は演習場に誰よりも早く辿り着き、相澤先生にスライディング土下座気味に謝罪。
すると先生は「アレぐらいで怪我するほど、ヤワな鍛え方はしてねぇよ」と言って快く許してくれた。
多分、怒る時間も無駄として省いているんだろう。
遅れてみんなも集まって来たところで相澤先生はざっくりと説明を始める。
身も蓋もない言い方をすれば個性を使った体力測定、といったものだ。
そしてそれを「面白そう!」と言ってしまった人のせいなのか、元々企んでいたのかは分からないが「最下位は除籍だぞ」と淡々と最後に付け加えた。
その後のクラスの声は想像するに難くない。
相澤先生への批判が飛ぶけど当の本人はどこ吹く風、「はよ」と催促さえする始末だ。
第一種目:50m走
「トリガー、起動」
イズクはトリガーを起動させて戦闘体に換装する。
周りからはどよめきが起こるがイズクはそれらを気にせず、悠然とスタート体勢に入る。
ピッ!と後ろから音が聞こえた瞬間、予め起動準備をしていた三重の『弾』印をフットプレート(短距離走でクラウチングスタートの姿勢から蹴り出す時の板)に展開し、ゴールラインを切った。
ピピッ!と音がなりイレイザーヘッドが記録を見せる。結果は「1秒 45」。恐らくクラス最高タイムだ。
隣で走っていたカツキだが拳を握りしめることで爆発の範囲を制限し、出来るだけ後ろに噴射するように調整したようだ。
イズクの記録を抜けないことは折り込み済みだったのか、そこまで怒り散らすことはなかった。
第二種目:握力
「『強』印 六重 !」
メキリ、と音を立ててイズクの握力計の針が一周した。イレイザーヘッド曰く3tまでは耐えられる設計になっているようだ。
私の演算では十重でもオールマイトの100%まで届かない筈だが……。改めてオールマイトの規格外性を認識した。
第三種目:立ち幅跳び
グラスホッパーと『弾』印を併用すれば大気圏に突入出来たりもするのだが、トリオン消費が馬鹿にならないので断念。多分到達した直後にトリオン体が解かれて目も当てられない姿を晒すことになるだろう。
800mほど『弾』印で吹っ飛んでイズクはこの種目を終えた。
第四種目:反復横跳び
『設』印でグラスホッパーを配置し続けることで分身もかくやというスピードで左右に動き続けた。
結果…257回。ミネタ ミノルが唇を噛んでいたのが見えた。彼はこの競技には自信があったのだろう。
自分の頭に生えているボールのようなものをもぎ取り、それを左右に設置して踏みぬくことで反発力を得ているようだ。
一応そのボール(仮称)をちびレプリカで採取しておいた。
第五種目:ボール投げ
「麗日さん、ごめん」
「出久くんどうしたの?」
出番が始まる前にイズクはオチャコに事前に申し開きをしていた。内容を聞いたオチャコは「出久くんの個性だもん!」とGOサインをくれた。
私は恐らくはその様に言われると思っていた。イズクもそれに関しては同様のようだった。
「気持ちの問題」というものらしい。そこもまた、イズクらしさが現れている気がしないでもない。
イズクは円の中に立つと左手に持ったボールに右手をかざし、解析したての印を使用する。
「
フワリとボールが宙に浮き、まるで重力が反転したかのように空へ空へと舞い上がっていく。
イレイザーヘッドは呆れたように計測結果を此方に向けた。
示す数は∞だ。
「2人目の∞か!?すっげぇ!」
「アレは無重力にするというよりかは、斥力の性質を持っているようですね」
そう、ヤオヨロズ モモの言う通りだ。
この印はオチャコの「無重力」とイズクの母、インコさんの「引力」を解析した後、統合したものだ。
オチャコの個性単品でも印を作成することは出来たのだが、これからを見据えて使いやすくした方がいいだろうということで集約した。
引力と無重力を解析することで、反対の性質の斥力を発動出来るようになったのだ。
第六種目︰上体起こし
自分の両足に『錨』印で大量に錘を生成し、『設』印でグラスホッパーを上下に設置。
残像が出そうになるほど反発を繰り返した。
結果は243回。これもトップ記録だ。
第七種目︰前屈
戦闘体の運動性能は現実の体よりも格段に増加するが、これに関してはイズクは特にやれることはなかったようだ。
個性なしのテストよりかは爆発的に伸びたがショウジ メゾウという生徒の『個性』、複製腕には敵わなかった。
どこまでも伸び続ける腕はクラス最高記録を叩き出した。
「それじゃあパパっと結果発表だ」
今回の結果が空中投影された。言わずもがな、イズクは1位である。
2位がヤオヨロズ モモ、3位がトドロキ ショウト と推薦合格二人が並ぶ。
モモは創造の個性で様々なものを作り出してそれを効果的に運用していた。
ボール投げで大砲を使ったのは驚いたが。
ショウトは右側の身体から氷を生み出すようだ。左側にも個性があるようだが、今回のテストでは使いずらいものだったのだろうか、頑なに使おうとはしなかった。
「口頭で説明するのは面倒だからこんな形になってんだ。あ、ちなみに除籍は嘘ね」
「「「「ハーーー!!?」」」」
とイレイザーヘッドは言っているが、私はそれが嘘ではないと知っている。
雄英の過去の入学者がどうなったのかを調べているとイレイザーヘッドの項目で「通算除籍指導数154名」と記載されていた。
命に関わる仕事に従事する立場上、致し方ない部分もあったのだろう。
その後イレイザーヘッドは教室にこれからのカリキュラムやら教材などが置いてあることを伝えた後にサッサと消えてしまった。
とりあえずのところ今日はこれで終わりのようなので私たちも先生に倣ってさっさと帰宅することにした。
トリオン体だけでも身体強化系個性と同じくらいは記録だせるんだよなぁと書き上げた後にふと思いました。