黒い炊飯器と無個性の少年   作:名無しの炊飯器

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個性『レプリカ』

 なるほど。

 

 どうやら私はとんでもない世界に来てしまったようだ。

 

 トリガーを使わずとも能力の行使できるとは……。いや、この世界では『個性』と言うんだったか?

 

技術体系はオサム達の玄界と一部を除いてあまり変わらないのがとても不思議に思えてならないが、それがこの世界にとって即した発展だったのだろうと推測する。

 

 私としては無個性のイズクの方が普通に見える。いや、他の人を見たことがないからこんなことを言えるのだが。

 

 

 「無個性だと虐められてしまうのか。なら、私が君の個性となることもやぶさかではない」

 

 「こせいに……なる?」

 

 「何、簡単な話だ。右手を此方に向けてもらえるか?」

 

 

 出久は不思議そうに私に右手を向けた。

 彼も何言ってるんだ、と思っているだろうが私も私で不可解なことが幾つかある。

 身体の中に一つ、『ブラックトリガー』が格納されていたのだ。そしてそれをイズクに与えることにした。

 

 

 誰かが助けを求めていれば、ユーマやオサム、ボーダーの面々はたとえ無理だと思っても、その手を伸ばすだろう。

 

 手がとどくのなら尚のことだ。

 

 ならば、その意思は私が引き継ごう。次にユーマ達と会った時にその身に恥じぬ私でありたいから。

 

 もしユーマやオサム、ボーダーの面々に出会ったらレプリカらしいな、と言ってもらえるだろうか。

 

 

 

 

 イズクに与えたトリガーは薄手の動かしやすいガントレットグローブのような形だ。しかもサイズ調整機能付きなので、子供の出久の手のサイズにもしっかり対応している。

 

 トリガー本品の機能としてはユーマが使っているユーゴが作成したブラックトリガーと大差ないものだ。『印』を能力と搭載していて、私を纏うこともできる。

 

 能力をコピーする点も同じ。この世界においての能力、『個性』をコピーできるかどうかはまだ分からないが。

 

 

 そして二点ほどユーマのブラックトリガーとは相違点が存在する。

 

 

 まず一点、この中にイズクの身体を封印する機能がないこと。これはユーゴの例が中々に特殊だったために特筆すべき点ではないだろう。

 

 

 二点目が重要だ。なぜか自分の見知らぬ『印』が追加されているのだ。

 ユーゴのものとは異なるトリガーだから当たり前といえば当たり前なのだが、能力をコピーするトリガーなどユーゴが作ったもの以外には私の記録には存在しない。

 

 私としてはアフトクラトルに中身を弄られた説が濃厚だと思っているが、そんなことなら自我を抜きとるはずだろう。反抗的な自我など在るだけ無意味なものだ。

 

 だが私はこうして自律行動が出来ている……。どうしてだろうか。

 

 ────いや、考えるのはよそう。

 

 

 

 追加された『印』は三つだ。

 

 まず『攻・狙・銃』。三つの言葉が一つの印の中に入っているものだ。どれか一つを選択すると『撃』の文字が表示されてそこからなぜかボーダー製のトリガーを生成できる。

 

『攻』は攻撃手用のブレード型トリガー、現在使用可能なのはスコーピオンのみ。

『狙』は狙撃手用の銃型トリガー、現在使用可能なのはライトニングのみ。

『銃』は銃手・射手用の弾型トリガー、現在使用可能なのはアステロイドのみ。

 

 記録には他のトリガーもあるはずなのだが、なぜか生成できない。何か条件があるのだろうか?

 

 

 次に『設』。これはボーダーのオプショントリガーを生成できる。現在使用可能なのはグラスホッパーとスパイダーの2つ。

 

 

 最後に『複』。ボーダー製のトリガーを複製できる。形はボーダーで支給されるようなグリップのような形になる。トリガー以外のものが複製出来るかは分からないが、今挙げた印の中では一番生成コストが高い。

 

 

 

 

 

 

 「わー!!これすごい!」

 

 

 ブラックトリガーの着け心地は出久のお気に召したようだ。

 私が解析した限りでは人体に害があるようなトリガーではないことが分かっている。

 

 そういえばブラックトリガーがしっかり適合しているな。特に拒否反応もないようだしこのままでも大丈夫だろう。そのうちこのトリガーを製作した人物も探さなければいけないだろう。

 

 

 「ねぇ、レプリカ!これってなにができるの?」

 

『そうだな、ここで全て教えても構わないが何かに書き記した方がイズクにとってプラスになるのではないか?』

 

 「!そうだね、いえにかえってからにするよ!レプリカはどうする?」

 

『私?そうだな、私としてはここで待ち続けても構わないが……』

 

 「ぼくのところにきてよ!ほら、レプリカはぼくの『こせい』なんでしょ!」

 

 

 ──あぁ、そうだったな。

 

 

『分かった。親御さんにはしっかり説明するんだぞ?』

 

 「はーい!!」

 

 

 私はイズクの家で厄介になることになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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