黒い炊飯器と無個性の少年   作:名無しの炊飯器

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亀投稿以下の体たらくですねこれでは……。

とりあえず書き上げました。ゆっくりしていってね!


ヒーローとして

 「レプリカ、そろそろかな」

 「ああ、そろそろだな。準備をしておくといい」

 

 私はイズクと一緒に下校ルートからは少し離れたちょっとしたトンネルのような場所にいる。

 

 油断なくマンホールを見つめるイズク……今まで頑張ってきた分凛々しい顔つきになっているな。

 

 

「Mサイズの隠れミノォ!!」

 

 

 バァン!とマンホールが宙を舞い、中からヘドロがドバッと出てくる。

 

 汚水逆流ならばまだ良かった。

 御生憎なことにこのドロドロっとしたものはヴィランである。

 

 このヘドロが最近このあたりを騒がしている奴ということは既に私達は把握済みだ。

 そして、こちらを狙うようにわざとおびき寄せたのだ。

 

 

 「トリガー、()────」

 

 

 イズクは落ち着いた様子でトリガーを起動して戦闘体に換装しようとする──

 

 が、そこに一陣の風が吹く。金髪ガチムチマッチョが私たちの眼前に一瞬映った。

 

 換装するのも忘れてそのガチムチマッチョをイズクが見ている。一体どうしたのだというのだ?

 

 だが、そんな私もその姿を見て直ぐに正体に思い至った。

 

 

 「もう大丈夫だ少年!!」

 

  「私がっ、来た!!」

 

 

 それは出久が憧れるヒーローであるNo.1ヒーロー、オールマイトであった。

 

 

 「TEXAS SMASH!!」

 

 

 なるほど、拳で風圧を繰り出してヘドロを吹っ飛ばすことで行動を封じる……。

 

 私の既存知識ではまだ推し量れないことがこの世界にはあるようだな。

 

オールマイトの活躍は動画投稿サイトにも多数アップロードされていたので、暇を見つけては時々見ているのだが本物の迫力はそれ以上だな。

 

 それよりも私たちの眼前で風圧を繰り出したせいで私もイズクもドロまみれなのだが──イズクは気にしていないようだな。

 余程憧れのヒーローに出会えたのが嬉しいとみえる。

 

一応これも解析しておこう。私はドロの破片を少しだけ自分の体内に格納した。

 

 

 「すまなかった少年!ヴィラン塗れにしてしまったな!と……君は?」

『私はレプリカ。彼の個性だ』

 「ほう!自立型個性か!これは珍しいな」

 

 「お、オールマイ──ゴボッ……」

 

 「あっ、忘れてた!すまない少年!今そのヴィランを剥がすからな!」

 

 

 オールマイトは慌ててイズクのドロを腰に付けていた装置で吸引し始めた。

 なるほど、確かに流体相手ならばこの手の装備は有効打だな。

 

 

 「ふう……ありがとうございます!オールマイト!」

 

 「いや、私は君と君の個性をヴィラン塗れにしてしまったから──」

 

 感謝などされるとむず痒い、と彼は言った。

 

 「いえ!そんなことはないんです!出会えただけでも奇跡のようなもので……」

 

 イズクは恋する少女のような瞳でオールマイトを見つめる。イズク、その辺にしておくといい。オールマイトが困っている。

 

 「えっ?あ、あぁあすいませんすいません!!」

 

 「いや謝るのはこちらの方だ、すまない少年……その代わりと言ってはなんだが、私が出来る範囲で何かさせてもらえないか?」

 

 「ほ、ほんとですか!?」

 

 

 とりあえずイズクは肌身離さず持ち歩いている色紙にオールマイトのサインをもらった。

 もう1つくらいなら頼まれてもいいぞ、という彼の言葉にイズクは少し考えてからこう口にした。

 

 

 「友達に無個性の子がいるんです。それで、無個性でもヒーローになれますか?」

 

 

 その言葉にオールマイトはうむむ、と唸った。それもそうだろう。

 この社会は今や世界人口の八割が個性を持つ社会だ。

 

 それを行使することがヒーローをヒーローたらしめていると言える。

 それがなくてもなれますか?というのは中々に答えずらい問題だ。

 

 誰が見ても彼に憧れていると分かる少年に、本人ではないにしろ現実を突きつけるというのは──

 

 

 「なれない、というわけではない。だがなれるとも言いきれないな」

 

 「例えば個性がないとしてだ、君はこのヴィランに勝てると思うかな?」

 

 ヴィランを回収し終わった装置のボトルをコツンと叩く。イズクはそれに首を横に振った。

 

 「だろう?ヒーローとはこういうものと日常的にやり合わなくっちゃあいけない。世の中、機転だけではどうにもならないこともある」

 

 「ヒーローというのは職だけじゃない。警察だってヴィラン受取係と揶揄されていることもあるが彼らにだって救った命はある」

 

 ふう、と一呼吸おいてオールマイトは言った。

 

 

 ──その人たちにとっては警察だって職業ヒーローに負けないくらい、立派なヒーローに見えたはずだぜ。

 

 

 「夢を見ることを否定はしない。だが、それ相応に現実を見なくてはな。でも君は無個性ではない、自信を持ちたまえよ!」

 

 

 さらばだ少年!と言ってオールマイトは飛び立ってしまった。

 

 

 

『イズク……』

 「いや、分かってた。分かってたんだ。でも、キッついな……」

 

 イズクはこぼれる涙をゴシゴシと擦って顔を叩いた。

 

 

 「レプリカ、まだ終わってないんでしょ?」

 

『よく分かったな。サイドエフェクトにでも目覚めたのか?』

 

 

 何それ、とイズクが首を傾げるが私は後で教えよう、と返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さってと、少年を諭していたら中々に時間を食ってしまったな。

 私も無個性だったし、少し熱く語りすぎてしまったか。

 

 それじゃあコイツを警察に届けに……あれ?

 

 バッと飛んできた進路を振り返ると黒い煙が上がっている。

 

 まさか──!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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