青春の探し方   作:しまばら

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ドアはぶち破るもの

 朝の教室。僕は今ボンチと一緒に作戦会議をしている。

 

「昨日は散々な目にあったよ」

 

 昨日ボンチの静止を振り切って校舎を走り回った僕は保健室に連れ込まれていた。そこで、軽くカウンセラーを受けた後無事解放されたというわけだ。

 

「いや、昨日のは全面的にお前が悪いぞ。相棒よ」

 

 ボンチはそう言うと窓の外を向き、登下校する生徒を見始める。恐らく可愛い子がいないか物色しているのだろう。その眼はまるで獲物を仕留める前の猛獣のような眼光であった。

 

「集中しているとこ悪いけど、本題に入ってもいいかな」

 

 だがしかしボンチは僕の声に一向に反応する様子を見せなかった。凄まじい集中力。まるで猛獣だ。

 

「猛獣パンチ」

 

 僕の拳はボンチの頬に正確に食い込んでいく。ボンチは哀れにも体勢を崩して床に叩きつけられた。まったくしょうがない奴だ。

 

 ボンチは無言で立ち上がり僕を睨んだ後、椅子に座りなおした。何か考えているような顔をしている。よく分からない奴だと思う。

 

 突然ボンチが顔を上げて窓を指さした。

 

「おい相棒!あそこに空飛ぶパンダがいるぞ!」

 

「なんだって!空飛ぶパンダだって!?」

 

 僕は窓に張り付き件のパンダを探したが見えるのは晴れ渡った空のみである。

 

 すると突然僕の足は何者かに払われた。背中から床にダイブした僕は舞い上る埃を見ながら横にいるボンチを睨め付ける。

 

「やったなボンチ」

 

「売られた喧嘩は買う主義なんでな」

 

 そう言うとボンチは自分の教室に戻っていった。もうすぐ授業が始まるだからだろうか。

 

いまだに床で寝ている僕をサエコ嬢がゴミを見る目で見ていた。お返しにサエコ嬢のパンツを見てやった。縞パンだ。意外なチョイスだと思う。可愛い。

 

 仰向けでサエコ嬢のスカートを下から覗き込んでいると、周りが騒がしくなってきた。多分僕が教室で寝転んでいるからだろう。それじゃパンツの写真撮ってから起きるとするか。

 

 僕は携帯をパンツに向けるとピントを合わせようと距離を調整した。お、この距離だな。

 

 ビュン  バキャ

 

 瞬間僕の携帯は彼方にぶっ飛んでいった。何故かって?当然だ。サエコ嬢が携帯を蹴ったからだ。多分これはその手の者からしたらご褒美なんだろう。が、残念ながら僕はアブノーマルではない。だから興奮なんてしない。でも目の前のパンツには興奮している。ハアハア

 

 ビュン  ドカァ

 

 瞬間僕の見る景色は光速を超えた。何故かって?簡単だ。サエコ嬢が僕を蹴ったからだ。多分これはその手の者からしたらご褒美なんだろう。が、残念ながら僕はアブノーマルではない。だから興奮なんてしない。でも代わりに意識が暗転してきた。横を見ると粉々になった携帯がある。

 

 そっか。ここが僕の死地なのかもしれない。

 

悟った僕は携帯を抱き寄せ目を閉じた。薄れゆく意識の中で最後に思ったのは短い願望であった。

 

 来世も…人間に生まれたいな…。

 

 

 

 

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「仰向けになってスカートを覗き込んで挙句の果てに写真撮影。その後携帯と共に保健室に搬送ね。なにか言うことはあるかしら」

 

「縞パンでした」

 

 僕の返答を聞いた内藤先生は呆れたような顔でこめかみに手をあてると、ジト目で睨んできた。エロい。

 

「あなた中々最低な人間ね」

 

「精一杯生きた結果がこれなんです。許してください」

 

 内藤先生とは昨日のカウンセラー以来だ。心なしか昨日より小皺が増えている気がする。多分何かに悩んでいるのが顔に出ているのかもしれない。さりげなく気遣いの出来る男アピールをしておこう。

 

「内藤先生、もしかして何か悩みの種があるんじゃないですか?もしよかったら僕が聞きますよ」

 

「悩みの種であるあなたから悩みを聞かれるなんて私も焼きが回ったようね」

 

 内藤先生は心外そうな顔で肩を竦めて見せた。

 

「私からしたらあなたの方が悩みを持っているように見えるわ。昨日の奇行も何か原因があったのでしょ?」

 

 確かに僕は今悩みを持っている。昨日ボンチと話した部活についてだ。部活を作ろうというのは決まったが何の部活を作るのかは決まってない。そのため今日の朝ボンチと共に会議を開いたが現状何も進まなかった。このままではなあなあで部活創部の話自体が消えかねないと僕は睨んでいる。だからこそ何の部活を作るか早く決めたいし、何の部活にしようかと頭を悩ませているのだ。

 

「もしも、もしもですよ。内藤先生、あなたが一つ部活を作るとしたら何の部活を作りますか?」

 

「藪から棒ね。それがあなたの悩みなの?」

 

「まあそんなところです」

 

 内藤先生は幾何か悩む素振りを見せてからこう言った。

 

「普通に部活に入るのなら少し興味があったり、やってみたいなって部活に入るけど、作るのであれば自分の全力をぶつけられる部活がいいわね」

 

 なるほど、全力か。全力少年になればいいのか!

 

「わかりました!つまり躓いて転んでいる暇はないと言うことですね!」

 

「え…、いや…私の話聞いてた?」

 

 うおおおおお、そうと決まればこんなところで止まっている暇はない!今から何の部活を作るかのヒントを得るために走り出すぞ!

 

 後ろから内藤先生の声が聞こえるが構うもんか。僕は今フルパワーボーイなんだ。この漲るパワーでまずはこのドアをぶち破る!

 

 助走をつけドアにタックルするとドアは思いのほか固く体が跳ね返された。跳ね返った拍子に後ろに転倒し後頭部を強打した。しかし一瞬内藤先生の太ももが見えたのでチャラだ。

 

 もう一回太ももが見たいのでドアにタックルしてわざと後ろに転んだ。よし、見えた!もう一度。よし、見えた!もう一回。よし、見えた!

 

 満足したのでそろそろ本気でドアを破るとしよう。ん?なにやら後ろから肩を掴まれた。内藤先生かな?

 

「保健室のドアに損害を与え更に部屋を埃っぽくした後私の太ももを7回も見るなんていい度胸ね」

 

「7回も太ももを見たと言うことはそれほど魅力的な太ももだって言うことですよ。諦めないで!その太もも!」

 

 言った瞬間内藤先生が飛んだ。いや、この言い方では語弊があるな。飛んだというのは翼でもって飛んだのではなくて自身の脚力により飛翔したのだ。綺麗なジャンプだと思う。靴底がこちらに向けられていること以外は実に綺麗だと思う。あ、パンツ見えそう。あ、パンツ見えt…。

 

 次の瞬間僕の顔面に内藤先生の両の靴底が叩き込まれた。後に聞いたところ内藤先生がこの時僕に放った技はドロップキックだったらしい。

 

 靴底からの勢いそのままに僕はドアを巻き込み廊下に吹っ飛んでいく。体が廊下に打ち付けられると、周りにいた生徒たちが騒ぎ始めた。

 

騒めきの中で僕の胸は達成感に満ち溢れていた。

 

ドア、ぶち破ってやったぜ。

 

 

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