ファイアーエムブレム覚醒~Darkside~   作:謎多き殺人鬼

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暗殺劇

イーリスとペレジアの開戦。

 

その事件はイーリスとペレジアだけでなく、イーリス大陸全土に広がる物となった。

 

イーリスの民は今までの平和が壊されるかもしれない不安、ペレジアの悪行への怒りが広まる中、メリラは次の戦闘に備えて、徹底した武器、物資の管理と迎撃部隊の編成を始めていた。

 

一回目の軍事衝突後、メリラはよくルフレを頼る様になった。

 

メリラは戦略を考える事には誰も追従を許さなかった。

 

だが、国境の峠で自身は何も指揮出来ず、新参のルフレが的確な指示を出して持ちこたえたと言う結果にメリラのルフレに対する考えは変わった。

 

ルフレの軍師としての知恵にメリラは大きく助けられつつ、ペレジアとの戦いに備えつつあった。

 

メリラはルフレと共に執務室で夕暮れ時まで対ペレジア戦について戦略を組み立てていた。

 

「すみません、ルフレさん。夕暮れまで付き合わせてしまいましたね・・・」

 

「良いよ。メリラさんも最近、無理をしてる様に見えるから少しでも助けになりたいから」

 

「ありがとう。貴方は頼りになるわね・・・今更、クロム様が貴方に対しての深い信頼が分かるなんてね」

 

クロムはルフレの事を自身の半身の様に信頼している。

 

メリラは実際、ルフレに頼る様になってからルフレは本当に優秀な軍師だと分かり、クロムとルフレの二人の深い信頼関係は確かな物で、この二人がいる限りイーリスは落ちないとすら思えていた。

 

「(少し、過大評価し過ぎかしら・・・)」

 

メリラはそう思い微笑んでいると、ルフレが少し顔を赤くして立ち尽くしているのに気づく。

 

「ごめんなさい。待たせてしまったわね・・・少し、考え事をしてしまったわ。ルフレさんはもう休んでもらって構いません」  

 

「え?でも・・・」

 

「少しでも休んで。私はまだ少しやり残した事があるのでそれが終わったら休みますから」

 

「・・・うん、ありがとう。僕は休むからメリラさんも早く、休んでね」

 

メリラにそう言ってルフレは執務室から退出すると、メリラは小さく溜め息をついた後、メリラは残りの仕事に取り組む。

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ルフレはメリラに促されて休む事にし、歩いていた。

 

ペレジアと開戦してからメリラは自身の仕事に熱を入れ始め、鈍感な者が見ても無理をしているのは分かった。

 

峠で見たメリラの弱々しい姿はルフレの記憶に深く刻まれていた。

 

常に冷静、素早い判断、的確な対応。

 

イーリスの鉄血軍師と呼ばれるだけあって、人に対して冷たい所はあるが優秀な軍師であるのは間違いはなかった。

 

そのメリラが心の弱さを見せた所を見たルフレはメリラは軍師であり、一人の女性なのだと思った。

 

「女性、か・・・」

 

ルフレはメリラが執務室で一瞬ではあったが見せた微笑みを見て、綺麗だと思えた。

 

普段は遠目に見るだけであまり関わりはなく、話す事すら希であったのに開戦後、メリラの方から知恵を貸して欲しいと言ってきたのだ。

 

ルフレはこの非常事態だからこそ、他の者からの知恵が欲しいのだと考え、メリラと共にペレジア戦に備えた。

 

ルフレはメリラの軍師としての仕事を間近で見て、まだ学ぶべき物が多いと実感させられた。

 

優秀で美女、彼女程の才能と美貌の持ち主なら相手は選り取り見取りだろうに結婚は考えていないのかとルフレは考えた。

 

「ッ!?僕は何を考えているんだ・・・!///」

 

ルフレはメリラに対して失礼だと顔を赤くしつつ考え、早歩きで中庭の方へ歩いていく。

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夕刻から夜刻となり、蝋燭の火が灯る中、メリラは各報告書を睨み付ける様に読み、不備が無いか確かめていた。

 

峠での自身の無力さがどうしても許せないメリラは仕事に集中する事で辛さを軽減しようとしたが、やはり辛さは軽減出来ても消し去った訳でもないので苦しみを抱いていた。

 

「・・・少し、外の空気を吸いましょう」

 

メリラは仕事を中断し、外の空気を吸って気分転換しようと執務室から出た。

 

夜の王城は一部を除いて誰もが寝静まり、暗く静かな空間が広がる。

 

メリラは暗い王城内をただ目的もなく歩き続けていると、メリラは暗闇の中に何かが動いているのが見えた。

 

「誰かいるの?」

 

メリラは声を掛けてみるが、返事がなく、気のせいかと考えて歩きだそうとした時、暗闇から鋭く光る刃がメリラに向かって飛んできた。

 

「ッ!?」

 

メリラは咄嗟に避けると、暗闇から数人の男達が武器を手にメリラに向かって来た。

 

メリラはティソナとディアブロスを抜くと、ティソナとディアブロスを巧みに振るい、素早く男達を倒した後、装備を確認する。

 

「これは・・・ペレジア製の武器・・・!?服装はペレジア兵の正規の装備だけど・・・」

 

メリラは正規軍なら装備の一部に描かれている筈の紋章が何処にも無いのである。

 

つまり、ペレジア正規軍の装備が何らかの形で流れてメリラを襲った男達に渡ったと言う事である。

 

「もし、彼らがペレジアからの刺客ならエメリナ様が危険だわ・・・衛兵!衛兵!!!」

 

メリラが城内に十分響く程に声を響かせると、巡回していたのか数人のイーリス兵が駆け付けてきた。

 

「何事ですかメリラ様!・・・これは!?」

 

「何者かの刺客よ!黒幕は何となく分かるけど今は刺客からの防衛態勢を取りなさい!急いで!特にエメリナ様には一歩も近づけさせないで!」

 

「「「「はッ!」」」」

 

メリラの指示でイーリス兵は走って行くと、メリラはすぐにエメリナの元に向かう。

 

早歩きで歩く中、城内は徐々に騒がしくなり、次第に金属同士のぶつかる音まで響き始めた。

 

「戦闘が始まった!急がないと」

 

メリラは走り出そうとした時、城内の一角に二人の人物が斬り合っているのをを見つけた。

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イーリス城内。

 

そこでは、普段は平穏な場所である筈だが武装した刺客とイーリス兵が激しい交戦を始めた戦場となっていた。

 

その城内でティソナを手に戦う騎士が次々と刺客を凪ぎ払い、倒していた。

 

騎士はマルスと共にエメリナの危機をクロム達に伝える為に現れ、刺客の撃退を手助けする為に戦っていた。

 

「はぁッ!」

 

騎士は回りにいた最後の刺客を倒すと、息を整えて立ち尽くす。

 

回りは刺客の死体が転がり、騎士の強さを伺わせ、刺客も敵わないと知るとすぐさま距離を取って、騎士から退いて行く。

 

騎士は次の戦いに出向こうとした時、騎士の死角からの強い殺気と共に刃が振り下ろされた。

 

「・・・ッ!?」

 

騎士は咄嗟にティソナで弾き、後ろに転がり飛んで襲ってきた相手を見ると、そこにはディアブロスを構えた少女がいた。

 

「・・・仕留め損なちゃった」

 

「貴様は・・・ローラか!」

 

「そうだよ。貴方の姉のローラよ」

 

「誰が貴様を姉と思う物か!裏切り者め!」

 

騎士はそう言ってティソナでローラに斬り掛かると、ローラはディアブロスで応戦。

 

騎士とローラは互いに同じ形の剣技を振るい、互角の戦いをする中、互いに鍔迫り合いとなった。

 

「やるようになったじゃない。前まで私に一方的に負けてたのが懐かしいんじゃないかな?」

 

「黙れ!俺は貴様に一族の剣を汚れた目的に使った事を後悔させ、ディアブロスを取り戻す!」

 

「私は正しい事をしてるだけ。ギムレーには勝てないのよ・・・分かる?ギムレーに対抗する力を得られないまま民が無惨に死んでいく姿を見続けるのが貴方の望み?」

 

「違う!まだ負けた訳じゃない!まだこの時代には炎の紋章とファルシオンがあり、俺達の親も生きている!この時代で無くした物を補えれば勝てる!」

 

騎士はそう言ってローラを蹴り飛ばすと、ティソナで斬り掛かると、ローラはあっさりと返す。

 

「そんな観測的な希望しか無いのに無謀にも程があるのよ!炎の紋章がなに?宝玉の無い炎の紋章の何がギムレーに対抗できるの?ファルシオンがなに?昔の力が封じられてる神剣に何ができるの?馬鹿みたい・・・いや・・・馬鹿なのよ!それなら、ギムレーに勝てなくても少しでも民を救う道を私は選ぶよ!私は、これ以上の犠牲を出してまで戦いを続けたくない!」

 

「確かに何もかも不完全だ・・・もし、この時代も巻き込んだら犠牲は更に出るかもしれない・・・だが、ギムレーの好きにさせて俺達は生きていける道はあるのか!答えろ!ギムレーが俺達、人間を生かす保証はあるのか!」

 

「うるさい!貴方があくまでもルキナの側で戦うなら容赦はしない!」

 

ローラはそう言って騎士に斬り掛かる。

 

ローラと騎士の戦いは激しくなり、同じだが互いの技がぶつかり合う戦いに遂に決着が着いた。

 

「そこよ!」

 

ローラは騎士の一瞬の隙をついてガラ空きになっていた足を蹴り飛ばし、転ばした。

 

「しまった・・・ッ!?」

 

騎士は急いで立ち上がろうとしたが、ローラのディアブロスの刃の方が早く騎士の首元に向けられた。

 

「最後に聞くね・・・ギムレーの側に来ないかな?」

 

「・・・行く位なら死を選ぶ。さぁ、殺れ。今のお前なら容易いだろ」

 

騎士はそう言って諦めた姿勢を見せると、ローラは少し動揺しつつもディアブロスを突き立てようとした。

 

「止めなさい!」

 

だが、そこに通り掛かったメリラが現れ、ローラのディアブロスを弾き、ローラを遠退かせると、騎士を庇う様に立ちはだかる。

 

「・・・また会ったね、メリラ」

 

「闘技場以来かしら。貴方、ローラって言う名前なのね?」

 

「余計な事を知るなんて・・・でも、今は関係ない。貴方はまた後で仕留められる。さぁ、そこにいる騎士を渡して。さもないと予定を変更して貴方を殺すわよ」

 

ローラはディアブロスを構えて威圧的にそう言うと、メリラはディアブロスとティソナの二つを構え、対峙する。

 

「やれる物ならやってみなさい」

 

「・・・相変わらず凄い才能。神剣を二つ扱えるなんて・・・やっぱり、凄いよ・・・」

 

メリラのディアブロスとティソナを構える姿を見て、ローラは懐かしい物を見たと思うと、メリラに斬り掛かる。

 

メリラはティソナで受け流すと、ディアブロスで斬り掛かり、ローラはティソナを巧みに操り、ディアブロスを攻撃を防ぐと、メリラはディアブロスとティソナによる連続攻撃を行う。

 

メリラの猛攻にローラは厳しい状況に追い込まれるも、上手くメリラの隙を突いて攻撃を加えた。

 

「くッ!?」

 

メリラは上手く隙を突いた攻撃に何とか防ぐも、今度はローラの猛攻が始まった。

 

「ほらほら!追い込まれてるよ!」

 

激しいローラの攻撃は止まず、メリラは厳しい状況に追いやられ始めた時、メリラの後ろから雷が固まって放たれた様な魔法がローラに向かって飛んできた。

 

「ちッ!」

 

ローラは雷を避け、飛来した場所を見るとそこには魔導書を開き、身構えているルフレがそこにいた。

 

「ルフレさん!」

 

「メリラ。ごめん、遅くなったよ」

 

ルフレはそう言ってメリラの隣に立つと、ローラは顔をしかめ、自身が不利だと悟った。

 

「まさか・・・貴方まで来るなんて・・・運命も酷いイタズラを仕掛けるわね」

 

「なんだい?僕は君とは知り合いじゃないはずだけど・・・」

 

「いずれ、知り合い以上になるわよ・・・此方は今回は流石にお手上げね。でも、彼奴だけでも」

 

「彼奴とは私の事ですか?」

 

ローラはそう言われ振り向くと、そこにはマルスと同じ服装の少女がそこにいた。

 

「大丈夫ですか?」

 

「はい。申し訳ありません、マルス様・・・仮面は?」 

 

「壊されてしまいました・・・今は、もう素顔は露見しているので良いです」

 

マルスは苦笑いしながらそう言うと、騎士を立ち上がられる。

 

その姿にローラは自身が更に追い込まれた事を知る。

 

「貴方には私の部下を送り込んだ筈よ。どうしたの?」

 

「そいつに放たれた刺客は・・・我々が片付けた」

 

ローラはまた声のする方を見ると、今度はラクスとベルカ、クロムとフレデリク等と戦闘の猛者達が集結していた。

 

「腕の良い刺客だった・・・危うく、エメリナ殿だけに気に取られ、マルスを危険に晒しそうになったぞ」

 

ラクスはそう言うと、ローラは完全に詰みだと考えた時には遅く、窓には他の自警団とイーリス兵が集結し、ローラだけでは突破は不可能な状態だった。

 

「今すぐに投降するんだ!お前は完全に包囲されている!これ以上の抵抗は無駄だ!」

 

「一体、どうやったらこんなに早く包囲が出来るのよ・・・」

 

「それは僕が事前に伝令を出して君を足止めしたからさ。一瞬の足止めだったけど皆はもう中庭にいたし、伝令を送るだけですぐに包囲が出来たんだ」

 

「・・・流石、未来の神軍師。とても頭じゃ勝てないよ」

 

「?。君は何を言っているんだ?」

 

ルフレは訳が分からないとそう表情に出すと、ローラは諦めたのかディアブロスを下ろし始める。

 

「本当に、此所の軍は化け物染みてて敵わないよ。さて・・・私の負けは確定・・・もう、用済みにされたかな・・・繋がりが無くなってる・・・」

 

「お前は何を言っているんだ?兎に角、投降を」

 

クロムは投降を再び促そうとした時、ローラは首筋にディアブロスの刃を向けた。

 

「何をする気だ!?」

 

「見て分かるでしょ?自害するの・・・最後にメリラ・・・最後に、会えて・・・良かった・・・」

 

ローラはそう言って誰も間に合わせる事なく首を切り裂き、自害した・・・かの様に思われた。

 

ローラは手元が軽くなっている事に気づき、見てみるとそこにはディアブロスはなく、後から金属が落ちる音が響いた。

 

ローラが金属の響いた方を見ると、そこにはローラが手にしていたディアブロスその物が落ち、ローラの近くにはベルカが斧を手にそこにいた。

 

「どう、して・・・?」

 

ローラは唖然としていると、ベルカは素早くローラの鳩尾を殴ると、気絶させて寝かせる。

 

「大丈夫なのか?」

 

「大丈夫。この手の事は慣れてるから」

 

クロムの質問にベルカはそう答えると、ローラの頬を撫でる。

 

「まだ若いのに何で・・・」

 

「何かしらの事情はあるのだろうな・・・一先ず、尋問は必要になるだろう」

 

「手荒な尋問じゃないわよね?」

 

「今のイーリスではそれは認められていない。間違いないなく、手荒な事はしたりはしない」

 

クロムがそう言うと、ベルカは少し安堵した表情を見せる中、フレデリクが歩いてくる。

 

「メリラ様。この剣は?」

 

「それは・・・ディアブロス、ね」

 

「昔、エメリナ様から聞いた事があります。貴方様の剣は二振りとも唯一無二の名剣だと。なのに、唯一無二のその剣が何故、此処にもう一振りあるのですか?しかも、ラクス様も同じ物をお持ちです」

 

「・・・確かに、唯一無二の物よ。でも、だからと言って、その剣が本物と言う事はないです。偽物、あるいは似せた様な剣かもしれません。伯父様の剣・・・」

 

「私のは似せた物だ。本物は継承者が受け継がれ、他は剣を似せて贈り、他の者への敬意の表れとする我々の一族の伝統なんだ」

 

ラクスの咄嗟の嘘にフレデリクは首を傾げつつ、メリラに視線を向けた。

 

「そうなのですか・・・?」

 

「・・・そうよ。その剣、渡してくれるかしら。その剣が模造品として鍛えられ、送られた物なら、証拠としても私が直接管理するわ」

 

メリラの返答にフレデリクは少し疑問を浮かべたが、深くは追及せず、メリラにローラのディアブロスを渡した。

 

「本当に、似てるわね・・・そうえば、クロム様は?」

 

メリラはディアブロスを確認した後、クロムがいない事に気付き、フレデリクに聞くと、フレデリクは答える。

 

「いつの間にかいなくなったマルス様達を追い掛けて行きました。私も着いて行きたかったのですが此所の後始末を命じられました」

 

「そう・・・まぁ、良いわ。今後の事を決めないとエメリナ様の命が幾つ合っても足りないわ」

 

「それは貴方様も同じですからね」

 

フレデリクの言葉にメリラは黙ってフレデリクを見た後、ローラをイーリス兵と共に連行していった。


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