ファイアーエムブレム覚醒~Darkside~ 作:謎多き殺人鬼
エメリナ暗殺事件を気に、エメリナは他国にも知られていない離宮に移る事が決まった。
本来ならフェリアへ移って欲しかったのはメリラだけでなく、クロム達も同じ考えであったがエメリナの意思でイーリスから離れようとはせず、せめてもの処置として離宮に移る事になったのだ。
「では、その様に手筈を整えますね。エメリナ様」
「はい。・・・メリラ」
「何でしょうか?」
メリラはエメリナに呼ばれて言葉を待っていると、エメリナは何かを迷っているのか表情を曇らせている。
「私は本当に安全な場所に一人で行かなければならないのでしょうか・・・」
「エメリナ様・・・貴方はイーリスの希望。あの時、暗殺にすぐに気付けたから対処できましたが次に気付くとは限りません。もしも、貴方様に何かあったら・・・」
メリラはそう言うと悲痛そうな表情を見せる。
本来ならメリラはまるで追い出すような形で安全な場所にエメリナは連れていかせたい訳ではない。
だが、メリラは恐れているのだ。
またエメリナに危害が加えられる様な事があれば、何かあってしまったらと考えればどんな形にせよ、安全な場所に逃げて欲しいのだ。
「メリラ・・・」
「・・・私は残りの天馬騎士団と兵士達で王都の守りに着きます。大丈夫です。もしもの事があっても負けるつもりはありません」
メリラはそう言って微笑みを見せた後、一礼して立ち去る。
___________________
___________
______
メリラは防衛の為の準備をする為に歩いていると、廊下の窓から外を眺めるラクスがいた。
メリラは今回は軽く解釈して通り過ぎようとした時、ラクスから声を掛けられた。
「死ぬ気か?」
「・・・何の事ですか?」
「メリラ。私がもし、ペレジアの将ならこの国に密偵の一人を仕込んでいてもおかしくない。例え何れだけエメリナ殿に人望があろうと裏切りとはあるもの。その裏切り者からこの王都が王不在の手薄だと知れば・・・真っ先に私は落としに掛かるだろう」
「それで私が死ぬのこ何の関係が?」
「お前は・・・意地でも此処を死守するつもりだな?例え、王不在と戦力の少ない手薄の王都でも。お前の性格の事だ。エメリナの愛したこの国の中心を壊されるのが嫌なのだろ?」
ラクスの問いにメリラは俯いた後、ラクスに向かって覚悟を決めた眼差しを送る。
「もう、決めた事です。私はペレジアに、ギャンレルにこのイーリスを壊される様な事はさせる訳にはいきません。奴を討ち、黙らせるまで私は戦います」
「メリラ・・・」
ラクスはメリラを咎めようとしたが、メリラの宿した覚悟は揺るぐ事はないと分かると何も言えなかった。
「お祖父様にお願いがあります」
「何だ?」
「エメリナ様を・・・エメリナ様をどうか守ってください。敵からも、間違った道からも。もし、エメリナ様が王都に戻ろうとするなら・・・止めてください」
メリラはそう言った後、立ち去っていき、ラクスは無言でその背中を見つめるしかなかった。