今日から俺は……   作:ローファイト

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投稿遅くなり、すみません。
一気に書き上げようと気張ったんですが、あっちの方がいいかな、こっちの方がいいかなとか思ってたら、いろいろ悩み過ぎて……とりあえず出来上がったところまで投稿します。
だから、後編は①~③までとなる予定。


第二話

総武高校2年F組。

4時限目の授業だが、社会科の先生が身内の不幸とかで、早退したらしい。

急な事で代理の先生を立てることができず、自習となったのだ。

夏休み前とあり、クラスの連中は大人しく自習するわけもなく、思い思いに友人知人と話に花を咲かせていた。

 

因みに俺は、真面目に自習をする。

俺は周りがどんなに騒ごうが、物が飛んでこようが、ケンカが始まろうが、大人しく自分の机で集中して勉学に励むことが出来る。

この程度の喧騒では、俺の集中力が削がれることはない。かえって心地よくもある。

 

 

しかし、俺は不意に有る会話が耳に入ってしまった。

 

「隼人くん。忠高に練習試合申し込まれてるって、やべーんじゃない?」

 

「何がだ戸部」

 

「忠高(忠実高校)よ。忠高。札付きがの悪が居るって噂の高校よ。やめといたほうがいいんじゃない?」

 

学年一の人気者、イケメンで勉学も優秀で、サッカー部のキャプテンの葉山隼人と、その友人で部活仲間のお調子者の戸部翔の会話だ。

どうやら、葉山率いる総武高校サッカー部は忠実高校との練習試合を申し込まれたらしい。

 

忠高か、確かに千葉でも有数な不良高校だが、あいつら、ケンカは弱いし、今はかなり影が薄い。

三橋、伊藤がいない時代は不良強度が軟高よりも上だったらしいが……今じゃな。

ただ、不良の多さは軟高に引けを取らない。

伊藤曰く、一般生徒もターゲットにするダサい奴らだと。俺の情報網でも、一般生徒へのカツアゲや強請は奴らの得意とすることらしい。陰湿な奴も多いと聞く。さらに、闇金連中とも繋がりがあると噂されてるしな。俺からすると、その辺が厄介だと感じる。

ここは戸部の言う通り断った方がいいと思うぞ。

 

「戸部、ビビり過ぎだし」

そこにクラスの女番長三浦優美子が話に入って来る。

髪を金髪っぽく染め、見た目も派手で、クラスの中では発言権も影響力も大きく、誰も逆らえないが 、本当の番長ではない。便宜上女番長とは俺の中では名付けているが、本当の意味での番長ではない。

女の番長、いわゆるスケバンとは、伊藤の彼女、早川京子の事を指す。

まあ、今はスケバンやめて、かなりお淑やかになってるが、たまに切れると、スケバン丸出しになる。

昔の早川京子は煙草をやり、長スカートに鞄の中身は教科書ではなく、鉄板を入れ、男女構わずケンカをしていたのだ。

それに比べれば、三浦優美子はなんちゃって女番長である。

 

「優美子、千葉って意外とヤンキーが多いべ。その中でも、開久、軟高、紅高、忠高はやべーんだって」

戸部は眉を顰めながら、身震いし三浦に話す。

 

「はぁ?そんなん知らないし。ヤンキーって、そんなん戸部みたいなやつが集まってるだけじゃない?」

三浦、戸部みたいなやつはヤンキーとは言わん。ウェイウェイ系?

 

 

「戸部、仮にも相手は千葉ベスト4常連の強豪校だ。そんな選手たちが、素行が悪いはずがない。問題を起こせば試合を出してもらえないどころか、廃部すらあり得る。折角の強豪チームとの練習試合が出来る機会は滅多にないし受けようと思ってる。

戸部は、実際に相手の選手なりに会ったわけじゃないだろ?噂だけで判断するのはよくはない。

今日の放課後に忠高のキャプテンがわざわざうち(総武高校)に、正式な申し出と打ち合わせを行うために来てくれるんだ。こちらも誠意を持った対応をしなくちゃいけない」

葉山、確かに言っていることは正論だ。しかし、それは違うぞ。奴らは姑息で狡猾なんだ。不正なんてものは、裏で、脅しや買収でもなんでもやって、もみ消すに決まってるだろ。

葉山の言論は説得力があるが、今回ばかりは戸部が言ってる事が正しい。

 

「隼人君……わかったよ」

戸部は葉山にそう言われ、項垂れながら了承する。

 

「隼人ー♡」

真剣なまなざしで戸部にそう言う葉山を見て、三浦はデレていた。

イケメン力半端ないな。

 

「とべっちって、その、ヤンキーに詳しいの?」

そんな中、三浦たちと同じグループの由比ヶ浜が戸部にこんなことを聞く。

 

「そんなに詳しくないっていうか、同中の友達がそんなん好きで噂程度は知ってるべ。ひと昔はさ、ヤンキーばっかりの開久が一番だったんだけど、今年の1月に、そこに襲撃した連中がいたんだべ」

戸部の知ってるのか知らんのか、よくわからん言動に俺はビクッと体を強張らせる。

……もしや、その話というのは。

 

「それ、知ってる知ってる」

その戸部の話にグループ仲間の海老名姫菜が話に入って来る。

 

「軟高の金髪の悪魔、三橋とその相棒伊藤、軟高ナンバー3の恐眼の八幡、紅高の大番長今井とその一の子分小山、それと中野って奴、たった6人で開久不良共600人の中に入って番長を倒したって噂になってるべ」

俺は心の中で慌てる。

やっぱりか……その話は俺の部分だけは嘘で出来てるから、因みに恐眼の八幡って奴は俺であって俺じゃないし、噂が勝手に膨張して独り歩きした名前なんだ!

 

「ヒッキーと同じ名前……」

ち、違うんだ由比ヶ浜!!

俺はめちゃくちゃ焦る。首筋に冷や汗が流れるのを感じる。

 

「ヒキタニくんが?ないわーー」

言い方ムカツクが、その通りだ戸部!

 

「ああ、俺も聞いた事がある。開久襲撃した伝説の6人の噂。結衣、八幡って苗字らしいからヒキタニくんじゃないよ」

葉山ナイスフォロー!流石はイケメンだ。

葉山の言う通りだ。それは俺であって俺じゃないぞ由比ヶ浜。

でも苗字間違ってるぞ。俺はヒキタニではなく比企谷だ。

 

「軟高の恐眼の八幡と言えば、開久の不良を1人で100人倒したって噂だべ、ヒキタニくんは流石にないわーー」

おいぃぃぃ!!戸部―――!何処からそんな噂がでたーー!!そんなん無理に決まってるだろ!!一人だって倒せやしない!!確かに三橋にあの時、開久の不良共100人の中に囮として放り込まれ囲まれた。だがな、時間稼ぎして、口先八兆でそこから逃げただけだからな!誰一人倒してないからな!!しかも、誰だーーそんな噂流した奴!!きっと佐川の奴だな!!

 

「戸部、1人で100人って普通に無理っしょ」

三浦は呆れはてたように戸部を一瞥する。

その通りだ。物理的に無理だろう……あれ?でも三橋と伊藤だったら出来るかも……

 

「腐腐腐腐ッ!ヒキタニ君とツッパリの鍛えられた肉体が組んずほずれ!キマシタワー――コレ!!」

その横で興奮して鼻血をだしながら叫ぶ海老名姫菜。

もしやと思うが、それ俺と不良共100人との、その、ボーイズラブ的な乱交を想像してないよね。

………勘弁してください!!

 

 

 

そうか、忠高の奴らが来るのか、まあ、今の俺には関係ないがな。

もし、練習試合受けて、うち(総武高校)の学校のグラウンドでやるにしても、夏休みだ。

奴らに会うことは無いだろう。

しかも、忠高で俺の事を知ってる奴は少ないはずだ。

実際に軟高と忠高やりあった際、交渉には駆り出されたが、会ったのは数人だけだしな。

連中も、まさか恐眼の八幡がこの学校に在学してるなどとは思わんだろうし、伊達眼鏡さえかけてればバレることは無いだろう。

 

確かに、忠高はスポーツ系の部活動も盛んな学校だったな。

俺の調べによると、サッカー部は千葉ベスト4の常連、野球もベスト8、ボクシングは全国レベルらしい。

スポーツ系の奴らは比較的おとなしい奴が多いとは聞いているが、まあ、不良共に比べての話だから、総武高校の連中からすればヤンキーに見えるかもしれん。

 

最近、軟高の様子を良くんに聞いたが、三橋と伊藤の奴、相変わらずあっちゃこっちゃでケンカしてるらしい。そんで、軟高への襲撃は今期になってからまだ無いらしい。

まあ、三橋、伊藤の武勇伝は千葉全域に広がってるからな。わざわざ攻めてくる猛者は居ないだろう。

俺?ないない。俺のは全部、噂だけだから、全部ニセ情報だから。

 

最近情報収集もさぼり気味だからな、また、この機に再開しないとか。

開久も忠高も同じ千葉だしな。それ以外にも厄介な連中がいるらしいし。いつ何時、不良共の抗争に巻き込まれておかしくない。

やはり、殺伐とした日常から抜け、俺も気が緩んでいたのかもしれない。

 

俺は教科書に視線を落としながら、思考を巡らせていたのだが……

 

「八幡~、八幡ってば」

 

「おっ、すまん戸塚、ぼーっとしてた」

眼前に美少女の顔が、いや男の娘が頬を膨らませていた。

 

「もう、八幡って集中するとそう言うところあるよね」

 

「すまんすまん」

 

「さっきの、葉山君たちが話してたの、聞こえてた?」

 

「いいや」

聞いていたが、ここは聞かなかったことにする方が良いだろう。

 

「そうなんだ。忠実高校が葉山君たちのサッカー部に練習試合申し込むらしいんだ。僕もテニスの試合で忠実高校と当たったことがあるんだけど、選手の子はまだ普通だったけど、その、応援に来てる人たちが不良みたいで、僕もその試合で色々言われちゃって、怖かったんだよね」

戸塚は眉をひそめながら言う。

何!戸塚に文句をいう奴だと!そいつは誰だ!!許さん!!よし、後でそいつら調べて、紅高の今井をけしかけよう!!今井だったら、あいつらがお前の事をロバとか馬とか言ってたぞと知らせたら、その日に絞めに行くだろう!!

 

「まあ、あれだ。そいう輩には関わらないのがベストだ。何言われても、獣の叫び声程度に思っておけば大丈夫だ」

 

「そうだよね。今度そんな事が有っても、そうするよ。八幡っていつも冷静だよね。頼りになるな~」

戸塚は屈託のない笑顔を俺に向ける。

うん、この笑顔守りたい。

 

「そうか、普通だと思うが」

まあ、多少は慣れたよ。でも奴らに凄まれると未だに緊張するし、焦るし怖いしな。まじで。

だが、俺の数々の経験で、表面だけ冷静に見せる技術を習得してる。さらには、脅しや凄む技術だけは自分でも一級品だ。俺の目は通常でも、ヤンキー共から恐れられるが、さらにこの目を生かし、怖さ200%に見せる事ができるのだ。まあ、怖くてキョどってるだけなんだけど。

 

この学校の連中があまり認識が無いのは仕方がない事だ。

この辺はまだ、不良共は少ないからな。

東京から千葉市の湾岸まではな……

山間部から南東は全国有数のヤンキー生息地。

ヤンキー共を落花生の如く多量生産し、東京都心から離れれば、離れるほど、ヤンキー密度が増加し、全国でも有数の猛者共が集う修羅の国。

それが千葉。

全国でも有数のヤンキーの生息地なのだ。

 

 

放課後、俺はいつも通りに奉仕部の部室へと向かう。

 

 

 

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