魔法のかかったようなテーブル(ヘタレ男がヤンデレ女に振り回される話)   作:バンバババルタリアン

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タイトルにもあるように、今回の話は苦手な人はバックしたほうがいいかもしれません。
最後はちゃんとハッピーエンドになるのでご安心ください。
皆さんの中には処女厨っていますか?今回の話の舞台は彼らの新婚当初です。
そんな人に送りたい話です。


番外編 「妻が非処女だったことを知って鬱になった男と夫を選んで幸せになった女が送る新婚の話」

○○月××日

今日の日をもって僕らは晴れて夫婦になった…と言いたいんだが

まぁあくまで婚姻届を市役所に届けただけだから全然実感もクソもないな。

僕も無事就職が決まったものの、収入が安定するまでは彼女もしばらくは働いてもらう生活になる。

 

「……」

 

だが僕は少し狼狽えていた。この記念すべき日に彼女…いや、今は妻と言うべきかな。我が妻の調子は普段と変わらないのだ。なぜそれが不気味かというと、彼女はお互いの誕生日などの記念日には、普段とかけ離れる程の高いテンションで僕にデレデレしてくるからだ。まして、パートナーとしてのゴールを今日ついに切ったというのに…僕は何か悪いことでもしてしまったのだろうか?

 

トントントントン

 

彼女はキッチンで料理をしている。部屋には包丁が具材を切る音だけが部屋中に響いてる。僕はテーブルで頬杖をつき、その姿を見ながら悶々としていた。

 

「…あのさ…今日なんか機嫌悪い?」

 

すると彼女は振り返って僕の方を見た。

 

「…別に何もないけど?」

「そ、そっか…ならいいんだけどね…」

 

意識的に彼女から目をそらした。

 

「…何かあるならはっきり言いなさいよ…」

「…じ、じゃあ、聞くけど…今日ってさぁ…役所に婚姻届出したじゃん?」

「そうね。それがどうかしたの?」

「いや、結構今日はめでたい日のはずだと思うんだけど…君のテンションが低いから…なんか…悪いことでもあったのかな…ってね…」

 

彼女はため息をついて呆れたような表情でこちらを見た。

 

「結婚なんてただの通過点よ。別にめでたくも何ともないわ。ただ強いて言うなら、これからの財産共有と家計の話をしなきゃいけない日ぐらいかもね。」

「なんか…君ってよくわかんないところでドライだよね…あはは…」

「…それは褒めてるの?」

 

ギロッと包丁を持って睨みつけてきた。あかん、死ぬ。

 

「う、うん!そうだよ!褒めてる褒めてる!」

「…あなたはどうやらいつもと変わらないようね…」

 

再び彼女は具材を切り始める。結構内面は激情家な方だと思っていたが、こういう所は現実的なんだなぁ。

 

「…君は結婚とか考えていた?」

「…女の夢だもの。そりゃ考えるわよ。まぁでも、もうちょっと遅くなると思ってたわ。大人になってやりたいこともあったし。」

「え…」

 

僕は彼女の思わぬ言葉に身が震えるのを感じた。

 

「やりたいことって…?」

「いや、単純に遊ぶことよ。色々なところに行きたかったし、友達とも遊びたかったわ。それに…機会があるなら恋愛だってもっとしたかったかもね。」

 

彼女の冷めきった告白は僕の心へと深く突き刺さった。

馬鹿だ…僕は…彼女の幸せなんか考えずにこんなことを…お互いの幸せなんて考えてたのも馬鹿らしい…結局僕は自己中心的な人間だったのか…

 

「どうして…早くそれを言わなかったんだい…?僕は自分よりも…人の幸せを叶えたいと思ってるんだ…言ってくれれば…僕はどうとでも…」

 

僕がそう言うと、包丁の切る音が止んだ。するといつもより、小さい声で彼女は呟いた。

 

「あなたに…惚れたからよ…」

「え…」

 

僕はまた驚いてしまった。返ってきた声のトーンからは、彼女が僕に気を遣って嘘をついてるようには思えなかった。

 

「私は確かに、社会に出て色々な事を経験したかったのかもしれない。でもね、あなたに出会って、あなたに恋したことで…そういう幸福論とか未来予想図が全部吹き飛んじゃったの…あなたとずっと共にいたい。あなたと一緒に笑っていたい。あなたのために、生きていたいってことばかりに頭が埋め尽くされちゃったのよ。」

「そ、それは…君にとって正解だったのかな…」

「正解なんてわからないわよ。これからの話だもの。もちろんあなたも…でもこれだけは言えるの…

人って必ず何かの「使命」を背負って生まれてくると思うの…それを知るために10代っていうのはあるのじゃないかしら?私は…「希望」はあったけど、その「使命」は見つけられなかったわ。でもね。今でもこうやって話してて、私はあなたの一つ一つにときめいてるの。これってあなたって存在が私の人生を輝かせてるって意味なんだと思うの。単なる恋愛体質なのかもしれないけれど…私は…少なくとも、今正しい「使命」を全うできてる気がするわ…」

「そうか…」

 

僕は安心と不安で心が落ち着かなかった。どうしても、彼女の言質だけでは深淵から逃れられない感覚に陥っていた。だから僕は、ついに聞こうと思った。

 

「今、恋愛体質って話を言ってたけど…その…君って僕以外の男性とお付き合いしたことあるのかい?」

 

本当は聞きたくなかった。この3年間、心の中でずっと留めていようと思っていたことだが、この日を境にまた一歩彼女に歩み寄ろうと思う。

でも現実は非情だ…やっぱり答えは期待してなかったものだった。

 

「…あるわよ…」

「そ、そうだよね…」

 

二人の間の空間が冷え切り、静寂が続く。

 

「…何人くらいと?」

「…あなた含めないで3人…まぁでも、一人は中学生の頃ですぐ別れたから二人でいいかもね。」

「…どんな人だったの…その人たちは…」

 

恐る恐る僕は聞いた。手の細胞の一つ一つから汗が流れてくる感覚がした。

 

「一人目は中学の同窓会で会った元同級生…二人目は友達の紹介であった男子高の一個上の人だったわ…あなたよりもよっぽど優秀な人たちだったわ…」

「へ、へぇ…そ、そうだったんだなぁ…」

 

もう、この時点で僕の心はノックダウンされてた。でもなぜか心に反して僕の口は動くことをやめない。

 

「…………した?」

 

言った…言ってしまった…実際僕は彼女で初めてを捨てたが、その時は無理やり奪われたので記憶が曖昧なのだ。だから、彼女が経験済みかどうかも分からなかった。

 

先程よりも小さい声で悪魔の3文字が放たれた。

 

「………したわ…」

 

………死にたい……てか、もう死のうかな…辛すぎる……だろうなとは思ってたけど、やっぱり本人から直接聞くのは本当に辛い…

 

「まぁ、回数は少ないけどね…その当時わたしは部活と勉強で忙しかったからあまりする機会はなかったわ…片手で数えられるほどしかね…まぁ、でもやったのは事実よ。あなたにとっては残念だと思うけど。」

 

「…はい…そうでしゅね…すいましぇんでした…」

 

僕は泣きかけていた。情けない人間だ…そりゃそうだ…本当なら彼女と僕とでは住んでいる世界が違うんはずなんだ…それなのに…勝手にエゴなんか持ち続けて…

 

落ち込んでる僕を見て、彼女は困ったように笑みを浮かべる。

 

「あなたに救いの手を差し伸べてあげましょうか?ふふふ」

「へ…?」

 

彼女は包丁をまな板の上に置き、僕の方へと歩み寄って来た。

 

「私ね…実は…エッチ嫌いなのよ…正確には嫌いだったと言うべきかしら。」

「そ、そうなの…?」

「うん…その二人は既に経験してて、本番はリードされたんだけれど…別にすごく気持ちいいってわけじゃなかったわ…それになんだか気持ち悪かったの…二人は繋がってるはずなのに…想いのベクトルが違う方向にお互い向いてる感じが…それと、これは私の特異体質だと思うのだけれど…交わってる時感覚が研ぎ澄まされて相手の心情とか手に取るようにわかっちゃうの…その二人からは純粋な気持ちが感じられなかったの。どっか、劣情が混ざってた感じ…」

 

彼女が僕の目をじーっと見つめる。

 

「あー恋愛って結局こんなものなのかなぁって思ってしまったの。その二人どちらも本当に好きって思えるほどではなくて単純に世間一般論の恋人としての手順を一応踏んだだけ…だから、大学では彼氏は無理に作らないこと前提に入ったんだけどね…それが一変、あなたに会ってしまったのよ♪」

 

ギュッと僕に抱きついてきた。それに答えるように僕はさらに強く抱きしめた。美しい曲線を描く、彼女の柔らかなボディを全身で感じる。

 

「あなたはやっぱり運命の人だったわ…交わってる時のあなたの目と声色は混じりけのない純粋な気持ちで満ち溢れてるの…別にそれ抜きにしてもあなたは本当に素敵な人だって元々わかってたけど…むしろそれで安心したの…この人は本当に裏がなくて、健気で相手を幸せにする心を持ってるんだなぁって…私はこんなに美しい人に愛されて幸せだなぁってね…」

 

僕の胸に溜まった重い何かが、スッと体をすり抜けどっかに落ちていったような感じがした。

 

「…僕を美しいだなんて…君の方が心も容貌だって美しいじゃないか…洞察力に優れてる君が、見当違いな考察を出すなんて珍しいじゃないか、ふふ。」

 

「そういう所よ…あなたの美しいところは…」

 

僕らはゆっくりと唇を重ね、より一層強く身を寄せ合った。キスを終えた彼女の顔は少しだけ後悔のような表情を浮かべていた。

 

「ごめんなさい…私…本当はあなたに初めてをあげたかった…それが…あなたに出会って思った唯一の後悔なの…でも今日、やっと話せて心が軽くなったわ…」

「ふふ…僕もだよ…でも安心して…僕は君に出会ったことで何一つ後悔はしてないからさ。」

「…ありがとう…//」

 

先程まで凍え切ってた部屋の中が、二人の笑顔によって溢れんばかりな暖かい空間に変わった。

 

庭には菜の花が二輪ほど咲いていた----

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

○○月××日

僕は今彼女へのプレゼントと花束を持って閑静な住宅街を歩いている。

 

あれから随分と月日が経ったなぁ…最近、彼女とゆっくり話す機会もなかったから、今日ぐらいは思い出話でもして楽しい夜にしよう。

 

家の前に着き、インターホンを鳴らす。数秒後、ガチャと鍵が開く音がした後、ドアが開かれた。

 

「おかえりなさい。あなた。今日もお疲れ様。」

「ただいま。帰ってきて早速なんだけど、目を瞑ってくれるかな?」

「…えっ//」

 

彼女はドキドキしながら腕を後ろに組んで目を瞑った。

僕はそうっと、彼女の耳に手をかけた。

 

「いいよ。目を開けて。」

 

彼女は目を開けて、自分の耳に手を当てた。

 

「これは…」

「イヤリングだよ。君に初めて買ったプレゼントはイヤリングだったろ?今年はあれより今の君に似合うものをつけて欲しくて選んだんだ…あと、これ。」

 

僕は彼女に花束を手渡した。

 

「これはクレマチスっていう花なんだ。花言葉は

『美しい精神』『あなたの心は美しく正しい』 だ。

これからも僕らは、美しい心を持ってお互いを支え合おうね。」

 

そう言い終えると、顔が徐々に火照ってきた。

やっぱり僕はこんなセリフが似合わない男だったな。 照れ臭いや…

 

 

そんなことを思ってると、突然彼女は顔がぐちゃぐちゃになるほどえんえんと泣き出した。

 

「うえええええええ!!!結婚記念日おぼえてぇくりぇたんでぃやぁぁぁぁぁぁぁ!!!しあわしぇだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!やっぱり何年たってもしゅきいいいいいいいいい!!♡♡♡これからもじゅっとじゅーーーーーっと一緒なんだかりゃぁぁぁぁぁぁ!♡♡♡」

 

 

あれ…僕は誰と結婚したんだっけかな…笑




いかがでしたか?
僕が思うに恋愛したことない人で処女厨が多いのは、「愛する人とは必ず繋がるもの」だと考えてるからではないかなと思ってます。人は関係を持つ中で必ず不満や矛盾を抱えて生きるものです。お互いの価値が矛盾し、愛想も尽きれば別れることだってあります。だからもし好きになった人、付き合うことになった人が非処女でも本人に歩み寄りその人の好きなところ、嫌いなところを見つけるのが大事です。良き夫婦とは、それを認め合って尊重し合うことで本当になれるものではないでしょうか?過去ではなく今と未来の彼女を愛しましょう!
ちなみに僕の嫌いなタイプは「彼氏のことや元カレの事をすぐ話題にする女」です笑笑
後、読んでくださった方々には活動報告にも書いてありますように是非とも投票やお気に入り、感想を積極的に入れていただきたいです!どうぞよろしくお願いします!
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