僕の亀仙流アカデミア   作:怪獣馬鹿

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中編です。
次回で決勝戦とフリーザの目的の一部を明かそうと思います。

いやぁそれにしても戦闘を書くのって楽しい!!


友情の決勝戦 中編

出久と電気の決勝戦が白熱している最中、TV中継でその光景を見ている存在がいた。

自身の仕事場にしてほぼ家であり、宇宙船でもあるフリーザの船の中にある司令室でフリーザは桃白白、そしてベリブルとキコノも一緒に中継を見ていた。

 

「ほほほ、流石キコノですね。司令室に無かった大画面を僅か数分で取り付けられるのですから」

 

「お褒めに預かり光栄でございます」

 

「桃白白さんも気楽に見ましょう。知恵の育成で当たる相手の中で一二を争うとは言えどもまだまだ貴方には追いついてませんからね」

 

「はっ!・・・・フリーザ様、1つ気になることがございます」

 

「ほう?何ですか?」

 

「なぜ、フリーザ様はこの育成を?AFOもフリーザ様からすれば格下の筈ですが?」

 

「確かにAFOさんも甘く見積もっても力の大会の下級くらいでしかありませんがそれよりもこの星の個性と無個性に興味があるので・・・」

 

「お教え願いませんか?」

 

「・・・今はこの余興を楽しみましょう」

 

フリーザはそう笑いながら出久と電気の決勝戦の中継を観ていた。

 

 

 

〇〇〇

出久と電気の戦いは更に白熱していた。

先程までと違い、お互いに残像拳をしながら相手の攻撃を避けて反撃してを繰り返していた。

当たると思ったら残像。

多くの観客どころかやってる本人達でさえ、一体どこに本体があるのかわかってなかった。

 

(電気はどこ行った!?)

 

(くそ、出久はどこだ!?)

 

『緑谷選手、上鳴選手!共に残像を使うほどの速さで戦っておりますがお互いに相手を見失ってしまったようです!!』

 

アナウンサーの言葉に出久と電気は少し羞恥心を感じつつもどこかにいるであろう本体を探すが見つけられなかった。殴っても蹴っても相手は残像。

気を感じ取れない2人。

音で判断してもすぐに避けられて見失う。

状況はまさに膠着していた。

先にこの状況を打破しようとしたのは出久だった。出久は突然、立ち止まり全身に気を溜めた。電気は罠かと疑いつつも好機と狙って最高速度の飛び蹴りを思いっきり出久に喰らわした。

出久は数メートルくらい後退りしてしまうが気と頑丈な体の2つを使って電気を止めて脚を掴んだ。

 

「やべっ」

 

電気が気付いた時には既に遅く、出久は電気を地面に向かって思いっきり叩きつける。舞台が壊れようが関係なく出久は何回も電気を叩きつけた後、ハンマー投げのように回り始めた。

 

『緑谷選手、ハンマー投げのように上鳴選手の脚を掴んだまま回り始めた!!』

 

『投げますね完全に』

 

(飛んでいけ!!) 

 

出久は電気を思いっきり投げた。

しかし、電気は投げ飛ばされる瞬間に腹筋を使って体を反転させて逆に出久の腕を掴んだ。

 

「なっ!?」

 

「出久はいつもわかり易すぎなんだよ!!」

 

そしてそのまま電気は出久の顔面に膝蹴りを放つ。出久は咄嗟に気で防ごうとしたがそれでも電気の膝蹴りの威力は抑えきれず顔面に喰らった。

鼻血を出し、頭がクラクラするが出久は倒れそうになる勢いを利用して電気を頭越しに投げる。自分も受け身を取れなかったが投げられた電気も咄嗟の事に反応できず受け身を取れなかった。

すぐに2人とも起き上がり、先程の残像拳の鬼ごっこは嫌なのか相手を掴み投げようとするがそれをする前に払い除ける。

摑んで払って摑んで払って摑んで払って摑んで払って摑んで払って摑んで払って摑んで払って摑んで払って摑んで払って摑んでと気の遠くなるような攻防戦がまた始まる。

だが、これは早くに決着がついた。

出久は電気と違い速さはない。

力も素はほぼ互角。

個性の影響で電気は超高速で殴りに来るので実はシンプルな攻撃力は電気の方が上である。

しかし、出久は電気と違いかなりの技巧派である。

速さも威力も負ける出久は電気の攻撃の要である超高速を使えない超接近戦では負けない。

1回戦の時に鋭児朗に遅れを取ってしまったがそれを逆転したのも接近戦の技だ。

接近戦に於いては出久の方が上である。

 

出久はフェイントを巧みに使い、電気の手を取って小手返しする。投げられた電気はすぐに稲妻を体に走らせてバチッと出久の手を放させて離れる。

また超高速の攻撃を仕掛けようとする電気。

出久は両手に気弾を作り電気に向かって放った。

 

「繰気弾!!」

 

2つの繰気弾が電気に向かって来る。

電気は超高速で逃げようとするが繰気弾の特性状何処までも追ってくる。出久は繰気弾で挟み撃ちにしようと1つを電気の進行方向から来させるが電気はそれを避ける。出久は電気が予測できないように1つを地面の下に潜らせた。

追われてる電気はやられっぱなしは癪なので出久との距離を詰めて殴りに来るが地面に潜っていた繰気弾が飛び出て防がれた。

攻めようとしても繰気弾に防がれて距離をおいても繰気弾に追われる。電気にとっては鬱陶しい戦法だった。

 

(いずれ電気は燃料切れになる!そこをついて勝つ!!)

 

(このままじゃ、ジリ貧だ!!)

 

『上鳴選手、出久選手のエネルギー弾を避ける避ける!!凄まじい速度と反応だ!!』

 

『しかし、このままだと不利になるのは上鳴選手ですから打開しないと危ないですね』

 

アナウンサーとクリリンの解説に一般の観客はどっちが優勢で劣勢か判断しにくい状況から打開される瞬間を見逃さぬように凝視していた。

 

出久は決して慢心しない。

基本的にビビりな性質と思考する性質、そして一線を超えるととことん肝が据わる性質と修業のおかげでついた自信が出久の精神をより堅牢にしていた。

 

(電気の速度を考えると僕の懐に入るのに1秒も掛からない。視線や稲妻の走り方をしっかり見て対応しないと一気にやられる。電気の集中力を削ぐ為にもこの追跡してる繰気弾は変えられない)

 

出久はしつこく繰気弾で電気を追っていた。

 

 

電気は自分の精神の脆さを理解していた。

基本的にお調子者な性質に短絡的な性質、そして危機的な状況になると表面化する散漫さ。だが修業と出久のおかげで電気はそこを理解していた。

 

(慌てるな。出久の事だから狙うのは俺のキャパオーバーだ。後ろの繰気弾はその為に慌てさせるやつだ。なんとか隙きを突きてぇが長丁場はこっちが不利だ。あの方法をやるしかねぇ!!)

 

電気は勝負を仕掛けた。

繰気弾に追われつつももう一度出久の懐に飛び込もうとしていた。出久はまた近距離で下からの繰気弾で顎をかち上げようと狙う。

出久の狙い通りに超高速で飛び込んでくる電気。

出久は下からの繰気弾で電気を退けようと放った。

しかし、繰気弾は電気の体を擦り抜けた。

残像拳だ。

だが出久はそれを予想していた。すぐに電気の後ろを追っていたもう一つの繰気弾を自分の頭越し後ろへ回す。電気は残像拳をやると後ろから回ってくるからだ。

出久は電気が我慢できなくなって飛び込んできたと思った。だからこの2重残像拳に対応すれば繰気弾は電気に当たると思った。

だが繰気弾はまた電気の体を擦り抜けた。

 

(3重残像拳!?)

 

出久は擦り抜けられた事実に混乱しつつも電気を探そうと見渡す瞬間、上から来た電気に頭を思いっきりぶん殴られた。

うつ伏せに倒れる出久。

電気はすぐに倒れてる出久に蹴りを入れてくるが出久はすぐに両手でそれを受け止めて捻り電気を倒れさせる。

また出久が電気を投げようとするが電気は体を捻り、出久の手を思いっきり踵で蹴って脱出する。

 

「やるね電気」

 

「相変わらずじょうぶいな」

 

「電気に言われたくない」

 

互いに構え直す2人。

お互いにダメージは五分五分といった所だ。

2人は接近戦では埒が明かないので離れて遠距離戦に変える。

出久は気弾で電気は雷で。

互いに修業して手に入れた遠距離攻撃で相手を狙うがそれも互角だった。

大量の気弾を雷で相殺する電気。 

速い雷を気弾で迎撃する出久。

 

(ここでも互角か・・・ならこれはどう!?)

 

出久は気弾を変えた。

今までのような直線的な気弾ではなく野球で云うとカーブのように曲がって向かって来る気弾だ。

急に来た変化球に電気はビックリしつつも雷で相殺した。

電気は修業で雷を放てるようになった。

それは掌以外を気で軽く体を纏って雷の出る場所を1箇所にして出す方法だ。だがそれは雷を操れるようになったわけではない。出久のような変化球は電気には無理なのだ。

出久は全気弾を変化させて電気に放つ。

 

『緑谷選手、多種多様なエネルギー弾で上鳴選手を狙う!!凄い変化の数です』

 

『これはやられてる方は疲れますよ。あちこちから飛んでくるのでさっきの直線的な軌道の方が遥かに楽に感じるでしょうね』

 

クリリンの解説は実に的確だった。

電気は迎撃出来なくなりまた逃げる事になった。

出久はさらに直線的な気弾も混ぜた。

この事により電気は2つの異なる性質の気弾の雨に晒されることになった。

繰気弾よりも単純ゆえに避けにくい。

避け続ける電気だが徐々に体に掠り始めて捉えられるのも時間の問題だった。

 

(こうなったら賭けだ!)

 

電気は高く飛び上がった。

そして空中で足から気を放って出久目掛けて落ちてくる。

出久は一瞬避けるかと考えたが足から気を放てる電気なら修正して必ず来ると予想した為、迎え撃つことにした。

 

「か・・・め・・・は・・・め・・・波!!!」

 

出久のかめはめ波が電気に向かって放たれる。

そのかめはめ波は出久の必殺の豪龍かめはめ波では無かったがかなり極太だった。

 

電気はそのままかめはめ波に向かっていく。

だが当たる前に電気は全身に稲妻を走らせながら両手を前に出して縦回転し始めた。

まるでそれはドリルのような感じだった。

そしてかめはめ波と電気はぶつかった。

多くの観客は電気が吹き飛ばされると思ったが実際は回転の力でかめはめ波を貫くような感じで突き進んでいく。

 

落下速度もドンドンと速くなって遂にかめはめ波を真っ向からぶち破って電気の両手は出久の腹にめり込み、吹き飛ばした。

 

肋が二、三本やられたことを出久は理解しながらも舞台にしがみつき何とか場外にならずに済んで立ち上がるが肋の痛みが強かった。

 

「見たか出久!これが俺の新技、回電撃だ!!」

 

『上鳴選手!まさかの新技で緑谷選手のかめはめ波をぶち破った!!』

 

『一歩間違えればやられてたでしょう。何とも分が悪い賭けに良く勝ちますね』

 

クリリンは冷や汗を欠いて解説した。そうだ、クリリンにとってかめはめ波は自分や悟空、ヤムチャや亀仙人の技であるし、切り札的な側面も多少もあった。

勿論、気の高い者には通じないのもザラだが少なくとも出久や電気の歳でここまで完全にぶち破るのは初めて見た。

 

 

 

 

電気は両手を前に出して稲妻と気を溜める。

一気に決着を付ける為に自身の切り札で勝負に出る。

出久も電気のようにまた両手を前に出して気を溜めた。お互いに気も容量的にもこれが最大かつ最後の大技の勝負になるのを理解していた。

そして親友だからこそ、下手に余力を残したら勝てないのをわかっていた。

 

「豪龍・かめはめ波!!」

 

「雷豪・かめはめ波!!」

 

螺旋に突き進む出久だけのかめはめ波と雷のように突き進む電気だけのかめはめ波。

 

2つの強烈な攻撃が舞台の中央でぶつかり火花を散らした。

2人とも相手に負けない為に相手のかめはめ波をぶち抜こうとして力を入れていた。全身から全ての力をかめはめ波に使っていた。

 

相手を恐れない。

相手に負けたくない。

相手に勝ちたい。

自分に負けたくない。

 

2人はそんな感情で心と根性に火を入れながら撃っていた。

 

『両者のかめはめ波が舞台の中央でぶつかりあった!!』

 

『これはどうなるかわかりませんよ』

 

 

 

 

『技巧派の緑谷選手か!超高速の上鳴選手か!勝者は一体どっちだ!!?』

 

アナウンサーの魂を掛けた実況と眼の前で繰り広げられてる激戦に会場は熱狂で応えた。




残像拳~繰気弾による追跡~遠距離戦~かめはめ波をぶち抜く電気~かめはめ波対決。

戦闘ってやっぱり楽しい。

ただ個人的には接近戦の方が書きやすい。



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