僕の亀仙流アカデミア   作:怪獣馬鹿

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はい!ではどうぞ!!


天晴と天哉

職業体験当日、A組は駅に集合していた。

それぞれヒーロースーツが入った鞄を持ってこれから出来るヒーロー活動に胸を踊らせていた。

 

「全員揃ったな、コスチュームは落としたりするなよ」

「はーい!」

「芦戸、伸ばすな!」

「はい・・・」

「くれぐれも体験先のヒーローに失礼のないようにな。じゃ行け!」

 

それぞれ、改札を抜けて目的地行きの電車に乗る。出久と電気は一緒なので駄弁っていた。

 

「どんなヒーローなんだろうな?」

「ネットで検索してもあまり出てこなかったから、色々と気になるね」

「出久はやっぱり気を使った攻撃が主体になるから遠距離か?」

「うん、得意なのは伸ばそうと思ってけど、桃白白相手にそんな事はあまり言ってられないしなぁ」

「まぁ、ご教授願おうぜ」

 

駄弁ってると目的の駅に着いたので出久と電気は紹介された事務所の前に来て止まった。何故なら見た感じ廃墟だったからだ。

 

「ここであってるよな?」

「兎に角入ってみようぜ、お邪魔します」

 

電気が元気よく入ると赤い液体の上にうつ伏せになってる小さい老人がいた。

 

「「あぁぁぁぁぁ!!死んでる!!!」」

「生きてるぞ♡」

「「あぁぁぁぁぁ!!生きてたぁ!!!」」

 

老人は起き上がりながら、ケチャップをまぶしたウィンターを持ったまま転んだと言ったが出久と電気にはとてもご教授出来るほど確りしてるとは思えなかった。おまけに耳が遠いのか非常にボケているうえに勝手に出久達のコスチュームが入ってるケースを開ける始末。どう見ても介護が必要としか思えなく、出久と電気は帰ろうとした。

 

「ほら、さっさとコスチュームに着替えて・・・」

「すまねぇ。俺達、早く進まなきゃいけないんだ」

「少しでも早く進まないと・・・皆を・・・だからごめんなさい。お爺さんの世話は・・・」

 

出久と電気はそう言って立ち去ろうとすると老人は凄い速さで2人の上に飛んで来た。

 

「だったら早く着替えんしゃい。受精卵小僧共」

 

出久と電気はその動きと気迫に武者震いしつつ、急いでコスチュームに着替えた。

2人ともコスチュームをバージョンアップさせてた。今まで通りの武道着のコンセプトは変えず、出久は深緑の道着に黒の長袖のインナー。電気は明るい黄色に黒の長袖のインナーだった。

そしてこのインナーは防刃素材という優れもの。

 

「「よろしくお願いします。グラントリノ」」

 

そして教えてもらうグラントリノに2人は先程までの偏見を詫びる意味も込で頭を下げた。

 

「それじゃ、早く始めようか。オールマイトからは色々と聴いとるし、殺し屋の件についても教えられとる。時間はないわけじゃからな。ま、取りあえずは・・・」

 

グラントリノはそう言うと天井まで高速で飛んだ。

 

「このワシに膝をつかせてみろ」

 

グラントリノは狭い部屋の中で縦横無尽に動き回り、出久や電気を殴ったり、踏んづける。

 

(は、早い!どんな個性だ!?)

(この狭い空間でこの速度で動けんのかよ!?)

 

出久と電気は背中を合わせてグラントリノを目で追おうとするが疾すぎて追いつけない。それどころか見失って頭やら足やらを殴られて膝をつく。

 

「ナメんな!!」

 

電気が飛んでくるグラントリノの上に行って頭を殴ろうとするが空中で一回止まり、過ぎていく電気の腹に思いっきり突撃した。

出久はそんな隙だらけになってるグラントリノに向かって気弾を撃とうと構えるが瞬時に後ろに回り込まれて抑えつけられた。

 

「なるほど速いし、良い鍛え方をしとるが2人とも色々と甘い。金髪の方は速さに自信を持ちすぎだ。確かに下手な高速系よりは速いが疾くない。緑髪、お前は気とかいうエネルギー系の利用法がなっちゃいねぇ。体育祭で多才に出せたから扱える自信もあるんだろうが特別視しすぎだ」

 

グラントリノはそう言うと出久の拘束を解いてまた杖を持った。

 

「俺は飯を買ってくる。掃除よろしく」

 

そしてそのままヤケにニヒルな感じで外に行った。出久と電気はやられた所を抑えながら立ち上がった。

 

「速いが疾くないってどういう意味だ?」

「利用法がなってないって一体?」

 

2人は指摘された事を考えながら掃除を始めた。

 

 

 

 

〇〇〇

勝己はコスチュームに着替えた後で指名してきたNo.4ヒーローのベストジーニストの説明を聞いていた。

 

「正直に言うと実際に会うまでは好意を持ってなかった。私を選んだのもNo.4という肩書で選んだと思った」

「指名入れたのアンタだろうが」

「しかし、実際に会ってみてそれは偏見だったと謝罪しよう。中々に己を律する気概を感じる良い目だ。体育祭での動きを見るに自分の個性や強さに自信があるようだが1回戦では逆にそれを付かれて負けた」

「わざわざ説教する・・・!?」

 

グチグチと言ってくるジーニストに勝己は掴みかかろうとしたが気づかない間に手足が拘束された。

 

「だがそう云う驕りを捨てさせて矯正するのも私の仕事だ」

「何する気だ?」

「モラルから言葉づかい、所作に至るまで徹底して君に縫い付ける」

「生憎とそんなもんに興味はねぇ。No.4ってのはグチグチと言葉でなんとかするヌルいヒーローなのか?」

 

勝己はそう挑発した。早く強くなりたいのにそんな事に時間を取られたくなったからだ。ジーニストは拘束してる勝己をこかした。

 

「勿論それだけじゃない。言っただろう君は己を律する気概を感じると、君のその目に対する敬意とそして偏見への詫びとして朝昼晩の3回、私が君相手に本気で特殊条件下の組手をする。制限時間は1時間。クリアする事に次のラウンドに行く。最後は限りなく無制限。さて君は何ラウンドまで行けるかな?」

「上等だ。全クリで爆破してやる!」

「よろしい。では先ずはデニムに履き替えなさい」

 

勝己はなんとも気が抜ける指示に半分ズッコケながらも履き替えた。

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

天哉は兄であるインゲニウムこと天晴の事務所に来ていた。

因みにこういう職業体験で身内の所に来るのは問題なのではないかと言われそうだが、それを言うとNo.2のエンデヴァーが既にやってるので誰も批判出来なかった。

事務所の応接間の前で天哉は兄で憧れの天晴と共に仕事出来ることに感動しつつもキッチリ挨拶するために深呼吸してから部屋に入った。

 

「失礼します!今日から7日間お世話になる雄英高校ヒーロー科1年A組飯田天哉です!よろしくお願いします」

「来たか天哉。意外に早かったな」

「は!遅れては失礼だと感じ駅から走ってきました!」

「ま、堅苦しい事は抜きにして確り揉まれろ。それに紹介したい新しい相棒(サイドキック)もいるんだ」

「新しい相棒?」

「ホントはもう来てるはずなんだけどなぁ?」

 

天晴は腕時計を見るがまだ来てない感じだった。すると

バタバタと騒々しい音と共に幾つかの怒鳴り声が聴こえて激しく部屋のドアが開かれた。

 

「遅れてすみません!本日よりここで暫くの間お世話になる灰廻航一です!」

「久しぶりだなクロウラー!!」

 

航一が来ると久しぶりにあったのが嬉しいのか天晴は握手し、航一もそれに応えた。

天哉は天晴の行動に頭に?を浮かべていた。兄の交友関係はヒーロー関係だけでなく色々と聴いていたが遅刻してくる人と友人とは聴いたことがなかった。

 

「紹介するよクロウラー。俺の弟の天哉だ」

「飯田天哉!雄英高校ヒーロー科1年A組です!よろしくお願いします!」

「よろしく、俺はザ・クロウラー。アメリカでセレブリティの相棒をやってて今回はインゲニウムに呼ばれて来たんだ」

 

天哉はセレブリティとザ・クロウラーいう言葉に聞き覚えがあった。不祥事とスキャンダルの多さはアメリカヒーローの中でもトップで一時期はアメリカでの活動が難しくなり日本で硬派路線を築きながらも未だに訴訟の多さがトップのお騒がせヒーローのキャプテン・セレブリティ。そしてその相棒で失言の数々で度々大炎上してるザ・クロウラー。天哉はなぜ優秀な兄がそんなヒーローを呼んだのか気になった。

 

「兄さん、なぜ灰廻さんを?」

「そう言えば、俺も呼ばれた理由は聞いてなかったな」

「聞いてなかったんですか!?」

「いやぁ、日本に帰れるのが嬉しくて」

「そんな事でどうするのですか!?これからヒーロー活動するというのにあまりにも気が抜けすぎてるのでは!?」

「こらこら、初対面の人に失礼だろうが。すまなかったなクロウラー。それで呼んだ理由は通称“ヒーロー殺し”、ステインを捕まえる為だ。俺もやられてから色々と調べていく内に5年前の鳴羽田で活動していた自警団(ヴィジランテ)が起こした殺人と似ていたとわかった。そいつの名前はスタンダール」

 

その言葉を聴くと先程までと違い航一は顔を引き締めた。天晴はそんな顔を見過ごさなかった。

 

「知ってるのか?」

「自警団時代に2回だけ会いました。1回目は助けてもらって2回目は人を殺そうとしてる所で会って、それからは会ってないです。俺は鳴羽田での経験を買われて呼ばれた?だったら役には立てません。なんの個性なのか俺には検討もつかないです」

「それはある程度こっちでついてるから安心してくれ。ウチのチームIDATENに所属してる相棒やスタッフにも全員対策を立てた。君を呼んだのは今までのやり方じゃ逮捕できないからだ」

 

航一も天哉も逮捕できないと断言した天晴の言葉に疑問を持つ。そもそもチームIDATENを始めとしたインゲニウムの犯人の追い詰め方は逃げる犯人を相棒の力で追い詰める大捕物が得意であり、そんなインゲニウムが出来ないとなると疑問しか浮かばなかった。

 

「まずヤツの個性は少しの間だけ相手の動きを止める物。そして全身に刃物という姿から恐らくトリガーは血液によるもの。斬られたら終わりかそれともそこから何らかのアクションがあるのかはまだわからない。サポート会社に協力を仰いで防刃対策をしたスーツで挑む。問題は止められてる間、こっちは指一本動かせない事。そのために俺と同じ速度で動ける程速いクロウラーを呼んだ」

 

同じ速度で動けるという褒め言葉に航一は顔をニヤけさせた。天哉は電気という自分よりも速い存在がいたのでクロウラーの速さには驚かなかったが兄に頼りにされてるという部分が悔しかった。

しかも初っ端に遅刻をしでかすアメリカのお騒がせヒーローという点も生真面目な天哉は嫌った。

 

「ステインは俺とクロウラーのツーマンセルで挑む。それに下手するともっと危険なのにも出会す可能性がある」

 

そう言うと今まで冷や汗を欠いてなかった天晴の顔に初めて冷や汗と少しの恐怖が浮かび上がった。

 

「ステインに遭遇した時に会った奴だ。姿からして恐らく異形系の個性だと思うが幾ら軽量素材とは言えスーツを着た俺を軽く蹴り飛ばした。正直に言ってアイツを捕まえるには既存の戦力では足りない。クロウラーを呼んでツーマンセル体制にするのは最悪、どっちかを担いでの退却も考慮してだ」

「そんなにヤバいのがいるの!?」

「あぁ、既に幾つかのヒーローと連携する事が決まってる。チームIDATENの他にNo.2のエンデヴァー、保須が地元のマニュアル、年配だが実力者のグラントリノ、日本中を周ってるミルコの計5つの事務所が連携を取り、グラントリノ以外は明日から現地入り、約1ヶ月間の大規模な連携だ。」

「ちょっと待ってください、それはステインに対して?それともその遭遇した奴に対して?」

「・・・遭遇した奴に対してだ」

 

航一と天哉はその言葉に絶句した。

そんなに恐ろしい敵がいるとは信じられなかった。

 

「やつはフリーザと名乗っていた」

 

天晴の言葉に天哉は言葉を失った。それはZ戦士達からフリーザの恐ろしさを知っていただけではなく、下手をすると桃白白を始めとした敵連合も動くかもしれないと緊張が全身を走った。

 

「何その冷蔵庫みたいな名前」

「名前は変だが実際に会うと恐ろしさが良くわかる。フリーザは間違いなく過剰戦力とも呼べる規模で当たった方が良い。今まで凶悪敵は何人も逮捕してきたがあれはその中でもド級だ。気を引き締めて市民に安全だと示さないとこの超常社会そのものが傾く」

 

天晴の言葉に航一は気を引き締め、そして天哉も兄の役に立つ為に気を引き締め直した。

そこまで説明が終わると天晴は緊張を緩めせるために笑った。

 

「じゃ、これから保須の下見とパトロールも兼ねてジョギングだ。2人ともこっちが用意した防刃対策のアーマーを着てくれ。天哉はこっちで用意したスーツでクロウラーは大丈夫だな?」

「勿論、アメリカの敵は血の気が多くて防刃対策はバッチリ!」

 

天晴、天哉、航一はスーツに着替えた。

天晴と天哉はステイン対策として防刃素材のインナーを着た上でスーツを着てアーマーを少し重いが軽い刃を跳ね返し、鉄よりも軽い特殊金属のアダマンチウム製にした。

航一はアメリカでの経験と自警団時代からプロテクターを愛用してたので全身のプロテクターを硬くそしてスーツも防刃防弾素材にしていた。

天晴と天哉のヒーロースーツの姿は腕と足の違い以外は殆ど一緒だった。

航一のヒーロースーツは紺色に白と赤が入ってオールマイトヤングエイジコスチュームに似ていた。そして安全対策のヘルメットもメットも確りと被ってた。

 

「お?オールマイトのヤングエイジか?」

「どうも自警団時代の名残でオールマイトに似せないとノラなくて、このままブロンズエイジ、シルバーエイジ、ゴールデンエイジと変化していく予定!」

「「おぉ・・・」」

 

あまりにもオールマイトヲタクな航一に天哉も天晴も感心しつつも少し引いた。しかもそれが無茶苦茶良い笑顔で言われてるので余計に引いた。

3人は部屋で駄弁るのを後にしてパトロールへと向かった。

 

 

 

 

 

〇〇〇

フリーザは黒霧と一緒にステインを見送っていた。

それは保須を見渡せるいい位置にある廃墟の屋上だった。

 

「ここで良いんですか?」

「ここで構わない・・・1つ聞きたいことがある」

「何でしょう?」

「血は流れるのか?」

「・・・えぇ、勿論。生き物ですので」

 

ステインはそれを聴くとさっさとその場から立ち去った。フリーザはそれを見ながら笑っていた。

 

(ふふふ、この私の首すらも狙おうとは良い心掛けですね)

(血が流れるなら、勝機は限りなく低くてもある。アイツは確実に殺さないとダメだ)

 

ステインはそう頭で考えながら降りた。

また殺人をするために・・・

 

 

〇〇〇

天哉は天晴と航一と一緒にパトロールをしていた。人気のヒーローであるインゲニウムは街の多くの人に手を振られていて天晴も手を振り返していた。

 

「あ、インゲニウムだよ」

「あれ?2人いるよ?」

「もう一人知ってる。苦労マンだ」

「うわ、本当に姿勢低いんだ。キモっ!」

 

街の人の言葉でザ・クロウラーではなく自警団時代のしかもあだ名の苦労マンと言われて航一はより凹んだ。更に低姿勢がキモいというのも辛かった。

 

「そういえばクロウラーって最初の頃はザ・スカイクロウラーってヒーロー名だったけどなんで変えたの?」

「空飛べるようになって、なんというか最初の頃はそれが嬉しくてしょうがなかったんですけど、一昨年にちょっとスランプになっちゃって・・・それで初心に帰るって意味を込めて直しました。低姿勢の移動に戻したのもそう言う感じで」

「なるほど・・・いやしかし、本当に来てくれて心強いよ」

「まだ相棒から脱却出来てないですけどね」

「いやぁ、俺も相棒時代が長かったからな〜」

「あんた、3年で終わったでしょ」

「うっ!」

 

天晴と航一が親しそうに話していてあぶれてる天哉は実に面白くなかった。大事な兄が近くにいるのに遠くにいるようで非常に面白くなかった。

 

「さて、天哉・・・いやインゲニウム2号に問題だ。俺達ヒーローは基本的に公務員扱いだが普通の公務員とは著しく全てが違う。副業も認められてるしな。でだヒーローに必要なのは何だと思う?」

「速さです!助けを求める人達を素早く迅速に助けるために速さが必要です」

「そう、ってこれは昔から俺が言ってたからなぁ。クロウラーは?」

「速さも必要だけどやっぱり親切心も必要だって思うよ。後は言動だね。特にウチのアレを見てると本当にそう思うよ」

「そんなにセレブリティって言動酷いのか?」

「付き合ってみたらアレの酷さが良くわかるよ。もう本当に色んな意味で言葉と動きが合ってなくて腹立つから」

 

航一の唸るような言い方に天晴は苦笑しつつも互いにこの5年間についての話に花を咲かせていた。そして1人また蚊帳の外になった天哉は疎外感を覚えた。

しかも相手が失言過多でお騒がせヒーローの航一というのも余計に腹が立っていた。

 

(兄さんはなぜ、この人を呼んだんだ?他にも速い人なら大勢いるのに、なぜお騒がせヒーローのこの人を・・・)

 

折角の尊敬する兄と共に仕事が出来るかと思ったのにこれじゃ、居ても居なくても変わらないという感覚が天哉の心を蝕む。

 

そんな中でドカンっと爆発音が3人の耳に入った。

 

「今のは!?」

「現場に急行するぞ!」

「負傷者の確認!」

 

天哉が爆発音に驚いてる内に天晴と航一はさっさと現場に急行した。天哉も遅れて追い掛けるが純粋に速度で追いつけなかった。

天晴に追いつけないのはいつもの事だがそんな兄に余裕で追いついてる航一の姿が天哉には酷く邪魔に見えた。

 

(絶対に兄さんに認めて貰うんだ!)

 

 

 

 

 

〇〇〇

3人が現場に急行すると6階建てのビルの4階から上が火事になっていた。

大勢の人が溢れかえっていて混乱していた。

 

「インゲニウムです、通してください!」

 

天晴はそう叫びながら航一や天哉と共にビルの前に来る。そんなインゲニウムに1人の年配の男性が近づく。

 

「助けてくれ。まだ中に人が!」

「分かりました、火の手はどこから!?」

「わからないんだ、急に爆発して!」

 

それだけを聴くとインゲニウムは男性を避難させてビルを見ながら2人に指示を出す。

 

「俺とクロウラーはまだ残されてる人を!2号は裏口に回って人が居ないか確認してくれ!俺は5、6階を調べる!クロウラーは4階から下だ!」

「「了解!」」

 

天晴と航一はすぐにビルの中に入り、天哉は裏に回った。裏に回ると5、6人が口や鼻を抑えて息苦しそうにしていた。

 

「皆さん、ヒーローです!すぐに表に来てください!動けない方は俺が運びます!」

「ヒーローだ!」

「助かった!」

「良かった!」

 

天哉は1人ずつ表に運びながら、事情を聞き始める。

 

「一体、火の手はどこから?」

「わからない、急に爆発してガス管とかも無いのに・・」

「不審な人物は見てませんか?」

「・・・そう言えば、見たことない人が・・・」

 

何人にも聞いて天哉は残り2人の状態でそこまで聞けた。そして本当に放火犯の場合はたまに現場で見物してくる可能性があるので天哉は野次馬を一回見た。そして見つけた。非常に顰めっ面をしながら燃えてるビルを見ている“火傷の男”がいた。

桃白白、そしてフリーザ、さらに言うと元悪人であるベジータやピッコロのお陰で善人と悪人の感覚が鋭くなった天哉は理解した。奴が放火犯だと。天哉はまだ助ける人が居るにも関わらず火傷の男を捕まえるために追った。

火傷の男も気づいたのか逃げ始めて2人はビルから離れた。

一方、天晴と航一は裏に残されていた人達を助けていた。

 

「2号はどこ行った!?」

 

 

 

 

 

〇〇〇

天哉は火傷の男を追っていた。

普段なら絶対に天哉は救助する人を置いてまで追いかけない。しかし、兄に認めて貰いたい感情と航一よりも上に行きたい嫉妬心が心を支配していた。

 

(兄さんに追いつくんだ!)

 

天哉はそう思いながら、火傷の男を追い掛けるが土地勘の差か男は入り組んだ裏道を入って逃げまくり追いつけないでいた。

 

「おいおい、ヒーローが救助する人ほっぽりだして良いのかよ?」

 

男はそう呟きながら天哉に向かって青い炎を放出した。

天哉はそれを間一髪避けた。下手すると2次災害が起こるかも知れないくらいの大きな炎で天哉は他に被害がないか確認してると男はその隙に逃げた。

 

「しまった、逃げられた!」

「2号!!」

 

炎を確認した天晴が路地裏にやってきた。

その声はいつもの兄の声ではなく怒気を帯びていた。

 

「お前、何してんだ?」

「兄さん・・・僕は・・・放火をした敵を追って・・・」

 

懸命に事情を説明しようとする天哉の頬を天晴は思いっきり殴った。殴り飛ばされて天哉のメットが外れる。

 

「誰がそんなことをしろって言った!!救助する人をほっぽり出してやることか!?ふざけんな!!」

 

天晴はもう一度天哉を殴ろうとするがその拳は航一に止められる。

 

「インゲニウム・・・それ以上は・・・」

 

航一の言葉を聞いてか天晴はメットを取って天哉を見た。その目は非常に冷たく、初めてみた目に天哉は漸くここで自分が何をしたのか理解した。

 

「天哉・・・お前、ヒーローに向いてねぇな」

 

天晴はそう言うとすぐにビルの方に戻っていき、航一はまだ倒れてる天哉に手を伸ばすが振り払われた。

航一はそれ以上は何もせず自分もビルの方に戻るとだけ天哉に伝えて、天哉は1人路地裏で打ちひしがれていた。




まず一言。飯田君ファンの方すみません。
兄貴が無事である以上、ステイン編以降の飯田君にする為にこの方法しか思いつきませんでした。
ごめんなさい。 
ただ、この章は飯田君が主役なのでここから上げます。
ますます薄くなる出久と電気だけど偶にはこういうのもありと言うことでよろしくお願いします。

因みに火傷の男は某嫉妬炎のあの人です。

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