僕の亀仙流アカデミア   作:怪獣馬鹿

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案外、早く書けてうれしいです!


空から堕ちて

出久と電気はグラントリノから言われた事を考えていた。出久は気の使い方。電気は疾さが足りないと言われたがなまじ2人は自信があったものなのでそれが出来てないと言われて悩んでいた。

 

「くそっ、疾さが足りないって分かんねぇな」

「僕も気の使い方には自信があったんだけどなぁ」

 

出久はいつも通りにノートを拡げて考え始めて電気は体を動かし始めた。

 

(疾さ・・・速いが違う・・・難しいなぁ。考え方が違うのか?俺の帯電は移動系の個性じゃねぇ。けど速く動けるし、移動系の悩みである急な方向転換は兎も角、止まることは簡単に出来る・・・)

 

電気はそこまで考えて先程のグラントリノの動きを思い出した。速さなら負けてないがどういう個性かはわからないが急に止まって再攻撃、さらに言うと急な方向転換もしていた。

 

(ひょっとして、急な方向転換を自在に出来れば・・・放出の量の調整を更に細かく出来れたら多分いけるはず・・・)

 

電気はそう考えてやった方が速いと事務所に置いてあったガムテープを持って屋上に行った。屋上に着くとガムテープで3つの線を作りやるのは個性を使っての反復横跳びだ。

初日の体力テストで実に負けていこうやってなかったが電気はそれをやって見る。

 

(放出と纏うを両方やる。ある程度まで来たら逆方向に放出して纏えれば急な方向転換も出来るはず)

 

電気はそう考えて反復横跳びを始めた。左端、真ん中と上手く行った電気は右端に来た瞬間に逆方向に電流を少しだけ流して纏う事をやったが体がついて行けず思いっきりコケた。

 

(イッテェ、頭ん中じゃ出来てんだけどなぁ)

 

 

一方、出久はノートに取りながらブツブツと考えていた。

 

(気は師匠やクリリンさん達から教わってる。気弾を出したり、かめはめ波をしたり、ブーストも出来る。繰気弾でコントロール性もあるし、それ程とはいかないけど普通の気弾も曲げられる。これから考えて気弾じゃなくて多分、気の使い方そのものだと思うけど気を纏って殴ったり、移動したりしてて普通の人よりも身体能力は向上してる。使い方・・・これ以上の使い方って・・・)

 

出久はそこまで考えて体育祭の時を思い出した。それは電気が柔造と試合した時に足で気を放って加速した事を思い出した。

 

(足で気を放つ?・・・いや、違う。もっとコンパクトに気と武術を組み合わせれば・・・そうか!!師匠や悟空さん達に引っ張られ過ぎてた、ブーストと気弾と武術を上手く組み合わせれば・・・)

 

出久はそこから答えを導き出した。

その姿を見ていた者がいた。

グラントリノである。

 

(なるほど、2人とも確かに才能豊かだ。俊典(オールマイト)、未来のヒーローはお前の想像以上かも知れんぞ)

 

 

〇〇〇

勝己はジーニストにボコボコにやられていた。それこそ、地面に拘束された状態で動けなくなっていた。

 

「初日にレベル3まで来たのは素晴らしいと言う他ないがこのレベルはかなりキツイと言ったはず、レベル1が転けないこと。レベル2がそれを個性抜きで、だが私はこれでも手加減している。この3は個性抜きで100メートル1回も転けなければ良いが君は既に百回は転んでるね」

「うるせぇ、さっさと解きやがれ」

 

悪態をつく勝己にジーニストは拘束を解いた。そして勝己はまたスタートラインに戻ってクラウチングスタートの準備をした。

 

「それではハジメ」

「ぶっ殺す!!」

 

ジーニストはなんとも物騒な掛け声にここらへんの言葉遣いも直していこうと決心した。そして容赦なく勝己を個性の糸で転ばせる。

 

 

〇〇〇

夜になり、グラントリノの事務所で晩御飯を食べる出久達3人。そんな時に不意にグラントリノが話し始めた。

 

「なぁ、オールマイトのやつはオール・フォー・ワンについてお前ら一年坊主共に詳しく話したか?」

「いえ、その・・・僕達も詳しく知らなくて・・・」

「あのバカ!何やってんだ、全く・・・」

「そのAFOってのは何なんっすか?」

「・・・あのバカから聞け・・・ったくアイツはまだ恐れてるのか・・・」

「あの・・・・オールマイトが恐れてるって・・・」

「詳しい事情を俺から話す気はない。だが、俺から見てアイツは人を守る気概はあっても人と共に歩んでいかない。共に歩く勇気がない」

 

グラントリノはそう言うと食べ終わっていのもあって席から外れた。出久と電気はどうするべきか悩みつつも自分の食事を食べた。2人は食べ終わり、共に食器を洗うと一緒に今日はわかった課題点を話し合っていた。

 

「俺の課題点はやっぱり急な方向転換だけど体がついていかねぇ。転んじまう」

「僕は気をもっと徒手空拳に混ぜる事。これについてはある程度イメージ出来た。後は実践するだけ」

「マジかよ・・・ぜってぇ負けねぇからな!」

 

出久に先に行かれた事に電気は一瞬呆然としてしまうがすぐにそう言うと燃えていた。出久はそんな電気の凄い所を見て微笑む。

 

「でも電気って下手な移動系個性よりも速いけどちゃんと止まれるよね。あれってどうやってるの?」

「あぁ、あれは・・・・」

 

出久は電気に何気なしに尋ねて見て電気は応える前に止まった。少し止まり、電気は途端に項垂れた。

 

「電気?」

「そうか、わかった!!俺、勘違いしてたんだ!!」

「ごめん、どういうこと?」

「ちょっと屋上に行こう!」

 

興奮してる電気は出久を連れて屋上に上がった。

電気が反復横跳びをやった跡がコンクリートの上なのに出来ていた。

電気はまたガムテープを今度は2本だけ張って出久から見て左側に立つ。

 

「いいか出久。ちゃんと超えてるか見といてくれ」

「わかった」

 

電気は集中しバチバチと体から少しだけ電気を出して右側に向かって動いた。そして見事にさっきまで出来てなかった方向転換をして左側から右側に行こうとすると思いっきり転んだ。

出久はさっきまで出来てないと愚痴ってたのに出来た事に啞然となった。

 

「え!?電気、大丈夫!?」

「大丈夫・・・けど成功だ!」

 

電気の顔は実に爽やかさを感じさせる清々しい笑顔だった。

 

「一体どうやって!?」

「俺の個性“帯電”は放出も出来るけど纏う個性だ。その放出と纏うを瞬時に切り替えて高速移動してる。つまり移動系の個性じゃない!だから移動系と同じように反対に向かって動くんじゃなくて止まることを意識したんだ。俺が止まれるのって少しだけ全身から電気を放出して止まってんだよ。それをピンポイントに出来ればホンの一瞬だけでも止まれる」

「それって無茶苦茶難しくない?そんな瞬時に放出って」

「あぁ、だから今転んだ。けど出来た!出久、先に行くぞ俺は」

 

ニヤニヤと言う電気。出久はやっぱり電気は天才だと思いながら負けない為にも気と武術を更に混ぜる為に体を動かし、電気もまた修行を始めた。

グラントリノはそれを物陰から見て満面の笑みを浮かべた。

 

(こりゃ、想像以上だ。ライバル関係も良い感じに作用してる。明日は本気でやってやるか・・・・・流石に寝ないとヤバくなりそうだ)

 

グラントリノは明日の本気の組手の為に早く寝ようと寝室に行った。

 

 

 

 

〇〇〇

インゲニウム事務所の空気は最悪だった。

天晴が天哉にブチギレ、航一だけでなく普段からいる相棒達やメカニックもここまでキレてる天晴は見たことなくどうすれば良いのか悩んでいた。

まぁ完全に悪いのは天哉の方ではあるが天哉は天哉で落ち込み方が違く、1人事務所の屋上で蹲っていた。

 

(僕は何をやってるんだ。兄さんと一緒にヒーロー活動出来る事に浮かれて大事な事を忘れて失望させて・・・いつもそうだ。僕は自惚れてばかり・・・入試でも体力テストでも模擬戦でも・・・ずっと自惚れ続けてる・・・)

 

天哉は後悔していた。入試では0pの仮想敵から助けなければいけない他の受験生もいたはずなのに逃げて、体力テストでは自分の個性よりも速い個性がいる可能性があったのに一々驚いていて、そしてあの出久の無個性が明かされた後の模擬戦ではエゴを振りかざし出久を傷つけた。

 

(何がヒーローだ・・・とんだクソ野郎だ)

 

天哉は蹲りながら泣き始めてると不意に屋上のドアが開かれてそっちの方向を向いた。そこには航一がコーヒー缶を2つ持ってやってきた。

 

「隣に座っていいかな?」

 

航一に天哉は返事をしなかった。色々と放っておいて欲しかったからだ。けど、来るなと言うことは出来ずに天哉は航一を無視した。

航一は沈黙は肯定と受け取って天哉の隣に座って、コーヒー缶を1つ近くに置いた。

 

「そう言えば、俺がスカイクロウラーからクロウラーになんで戻したのか言ってなかったね」

「一昨年にスランプになったと」

「そのスランプの原因」

 

航一は少し間を置いて一昨年に何があったのか話始めた。

 

 

〇〇〇

その日、ニューヨークは混乱していた。

ヨーロッパのオセオンを中心に拠点を置くヒューマライズの思想にのめり込んだ数十人の無個性の人間が爆弾を人質のいる高層ビルに仕掛けた。

航一はセレブリティや他のヒーローと共に行動していた。

 

「我々の任務は人質救出だ。人質はビルの10階と15階にいる。絶対に助けるぞ!」

 

ビルの前でそう他のアメリカのヒーローに言われてその場にいた全員に緊張が走る。そんな中で航一に駆け寄ってきた1人の少女がいた。航一は彼女に気が付き、屈んだ。

 

「どうしたの?」

「パパが上にいるの・・・助けて・・・」

 

泣きながら訴えてくる少女に航一は笑顔を見せた。安心させる為だ。

 

「わかった!このザ・スカイクロウラーが助ける!約束するよ、えっと・・・」

「・・・マリア」

「約束する、絶対にパパを助ける!」

 

航一はマリアとそう約束した。

ビルに入り、セレブリティの号令と共にヒーロー達は2班に分かれた。航一は15階へ、セレブリティは10階へ。そして人質が居る部屋に入ると見たのは1人の男性が体に時限式の爆弾を巻き付けられて口にガムテープを張られていて他に数十人の人質もいた。しかもタイマーは航一達が入った瞬間に起動した。

 

「ヤバい!」

 

航一は瞬時に男性に駆け寄ってガムテープを剥がした。

 

「助けて助けて・・・マリアが・・・娘が待ってるんだ・・・」

「絶対に助けます!」

 

航一は約束を守る為に助けようと、KGDで爆弾を吹き飛ばそうとするが下手にやると爆発するおそれがあって止まり、自力で解除しようとするがタイマーは刻一刻と迫っていた。さらには他の人質を救出しようにも拘束具が増強系個性犯罪者に使われる物で外すことも壊すことも出来ないでいた。

そんな中、あるアメリカのヒーローが2人に近づき、航一を押しのけた。

 

「何を!?」

「すまない」

 

そのヒーローは男性を連れてビルの窓際まで来た。

航一や男性は何をするのか理解した。

 

「止めろ!!」

 

航一は2人に向かって飛んでいった。しかし、そのヒーローは無情にも男性を窓から落とした。すぐに助けようと飛んでいくが残酷にもタイマーがゼロになって男性は爆殺してしまった。

 

「あぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

窓際で叫ぶ航一。

彼は怒りを放り投げたヒーローにぶつけた。

何度も何度も殴り続ける航一。

 

「なんでなんでなんでなんでなんで見捨てた!!?」

 

怒りのまま叫び、殴る航一。

殴られてるヒーローは一切の抵抗を見せずにただそれを受け入れていた。

航一が止まったのは上で何があったと慌ててきたセレブリティに拳を受けて漸く止まった。そして見たのは自分が殴り続けて半殺しにしたヒーローと血まみれの自分の手だった。

呆然とセレブリティに付き添って貰ってビルから出た航一を待っていたのは爆殺されて返り血が撒き散った自分の父親の血を浴びて“真っ赤”になったマリアの姿だ。マリアは呆然となってる航一を見て悟ったのか、たった一言だけ言った。

 

「嘘つき」

 

さらに最悪なのはこの後だった。犯人である無個性のグループは爆発したのと同時に全員自殺。そして男性を投げたヒーローは一切の反論もせず、全て自分のせいだと言って刑罰を受けるのと同時にヒーローを引退。だが数カ月後、罪に苛まれたのか刑務所内で自殺。

無個性のグループに影響を与えたヒューマライズの指導者フレクトは今回の事件についてこう語った。

『大変痛ましい事件ですがそもそも無個性の彼らをここまで追い詰めたのは個性を重要視し、無個性を差別してるこの社会そのものではございませんか!そしてそんな彼らを1番追い詰めているのはヒーローという病です!彼らが存在せずに個性を重要視しない社会であればこんな事にはならなかった』と言った。

あまりにもあんまりな発言と投げたヒーローが自殺した事で航一に待っていたのはこの上ない“同情”だった。

『やれ、あれは仕方なかった』とか『君は何も間違ってない』とか歯につくような薄っぺらい同情の嵐。

いっそ敵扱いのほうがまだ良かったと航一は思った。

そして航一は“飛べなくなった”。

自警団時代のように地を這うぐらいしか出来なくなった。

しかし、彼は諦めなかった。

何故なら、どんなに苦しみ辛くても人の手助けをしたいと心の底から思い、行動するから。

彼は“ザ・スカイクロウラー”から“ザ・クロウラー”に名前を戻して再びヒーロー活動をした。

 

沢山の安い声援、夢に現れる血塗れのマリアと共に・・・

 

 

 

〇〇〇

あまりにも悲惨な経験に天哉は絶句していた。

その事件を天哉は知らなかった。何故ならヒーローが飽和してる社会だけではなくニュースというのは悲惨であればあるほど人は忘れようとするからだ。

 

「君にはこんな風にならないで欲しい。君が今日やったのはそんな絶対に行ってはいけない道の一歩だ」

「すみません、僕・・・何も見てなくて・・・」

「良いよ・・・さ、コーヒーでも飲んで明日から気持ちを切り替えないと!ヒーローになるんでしょ?」

「・・・・はい!」

 

天哉は渡されたコーヒー缶を思いっきり飲んだ。

 

「あっつい!!!」

 

そしてコーヒーの熱さに悶えていた。

 

 

 

 

 

〇〇〇

弔は黒霧がバーテンダーをやっているカウンターで緑谷出久、上鳴電気、そして桃白白、フリーザ、ステインの写真を見ていた。

 

「気に入らねぇな、どいつもこいつも・・・」

「死柄木弔、どうしたのですか?」

「ムカつく、どいつもこいつも・・・コイツラを全員殺せたらどれほど気持ちいいんだろうなぁ?」

 

弔はそういうと全ての写真を塵にした。

 

「まずはあの野郎からだ。アイツの行持も何もかも台無しにしてやる」  

 

弔の目には怒気が宿っていた。それはまるで蛇のように確実に相手を殺すような鋭さと静けさを宿していて黒霧の背筋は凍った。






次回からは本格的にステインとの決戦+敵連合の大混乱編へと突入します!
体育祭編での反省でここらへんを容赦なくスピーディーにやっていくつもりです!
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